ウマ娘怪文書の資材置き場   作:飛行士

5 / 9
(トレーナー君視点なので)初投稿です


超光速は何処まで行くか 中

「……長かったなぁ、ここまで」

「もしかして新人トレーナーの方ですか?」

「え? あ、はい!」

「ではこちらになります」

 

 正門にいた緑の服を着た女性に言われ、体育館のようなところへ向かう

 中学卒業間近にあった一つの個人的な事件で、片手間の資格取りの為であったトレーナーを真剣に考え始めた俺は、あまりいい思い出の無い学生時代を終え、今日ようやくここで正式なトレーナーになれるのだと少し浮かれていた

 

「これから第八十三回日本トレセン学園入社式を始めます」

「秋川理事長、お願いします」

「うむ、祝福!! まずは皆難関のトレーナー試験を突破しよくここまで来た!! ここにいる四十七名を全職員歓迎するぞ!!」

 

 そうこうしているうちに入社式とやらが始まったが、理事長と言われ登壇したのは頭に猫か何かを乗せる年端もいかないような少女だった

 まわりを少し見回すと、皆少し困惑しているようだった

 

(というかなぜ扇子に祝福って書いてあんだよ、ボケの為の用意周到かよ)

 

 そのあとも滞りなく式は続き、締めのあいさつとなった

 

「奮起! 明日からはさっそく選抜レースが行われる! 一ヶ月の間に最初の三年間を共にする担当ウマ娘を決めてほしい!」

「担当……か、奴が居ればいいが恐らくいないだろうな」

 

 二年前の少女を思い出し、そう呟く

 今では朧気にしか思い出せないが、とても、とても速く素晴らしい走りだったことだけは確信をもって断言できる

 あの少女は今何をしているのだろう、薬学などの方へ行くために猛勉強をしているのだろうか? 

 そう考えを巡らせている間に、すでに式は終了し座っている人間も少なくなってきていた

 

(こういう時に孤立をするのはあまり良くない、今までの経験がそう言っている)

「なあそこの君」

 

 そう呼ぶ声を無視し、学園内の配置を覚えるために体育館を出た

 

 

(はずだったんだがな……)

 

 ここはカフェテリア

 いまは授業時間なので生徒たちはいない

 と、ここで事件が起きたのである

 周りを見ながら脳内マッピングをしていたところ、何故か行くとこ行くとこに30代にみえるガラの悪そうなおっさんが居た

 それだけなら『面白いこともあるものだな』と、それで済むのだが、そのまま絡まれたのだ

 

「なんだよ、ガン飛ばしてんじゃねぇよ」

「いや、貴方に少しの興味もないし、そちらが視界にしつこく何度も入ってきたのでは?」

 

『思ったことをそのまま煽りを加えて言う』

 これは学生時代からの悪癖で、ウマ娘トレーナー養成課程時代のいい思い出がないのも、こうやって敵を作ってきたからである

 

「はあ!? もういっぺん言ってみろ!」

「何度でも言いましょうか? その出来の悪そうな頭で理解できるかはわかりませんけどね、いい歳してやってることがそこらのヤンキーと変わらないとは」

「ッチ!! なめてんじゃねーぞ!! このクソガキが!!!!」

「やめなさい」

 

 入口から高そうなスーツを着こなしたメガネ男が入ってくるなり、おっさんの殴りかけていた腕をつかみ、決して大きくはない、しかししっかりと通る声でそう言った

 

「……んだッ!? 秋本の旦那!」

「何の騒ぎですか」

「そこのが絡んできた、それだけです」

「てめえ……!」

「やめろと言っている」

 

 眼鏡の奥の糸目の視線が、それどころか男の全身が一瞬だけ絶対的強者の持ちうる圧倒的圧力を持った

 

「……すんませんでした」

「秋本……どこかで」

「どうもこんにちは新人トレーナーさん、私は秋本 仁(あきもとひとし)と申します」

「こんにちは」

「おそらくシンボリルドルフのトレーナをやっていると言えば、なんとなく分かるのではないでしょうか」

「あぁ、だから聞いたことあったのか、史上初の七冠ウマ娘のトレーナといえばトレーナー教本に載って久しいですからね」

「君には少し話があるのですが、よろしいでしょうか?」

「ええ、特に用事はありません」

 

 

 その後、秋本トレーナーに連れられ生徒会室に来た

 どう考えても生徒会室というよりも、校長室や理事長室と言われた方が納得できそうな、調度品の数々が並ぶ部屋に少なからず圧倒されながら、話を始める

 

「で、話って何でしょうか?」

「いやあ、ふと気になって体育館で話しかけたんですけど、反応されなかったので探してたんですよ」

「よくもまあ抜け抜けと」

「……ほう?」

「あのヤンキー、貴方が差し向けたんでしょう? つけとけとか何とか言って」

「そんなことやるわけないじゃないですか」

「ずっと一緒にいるならまだしも、こっち見てたんならなんかあると思うでしょう」

「……素晴らしい! なんとも鋭い! これはこの学園が面白いことになりそうです」

「そうですか、用がそれだけなら帰らせてもらいますよ」

「またお話ししましょう、貴方とは話が合いそうだ」

「真っ平御免被りますよ、皇帝の臣下殿(化け物みたいな天才)とは恐れ多くてまともに軽口も叩けやしない」

 

 

「どうだい? 彼は、トレーナー君」

「まあまあといったところでしょうか、もしかすると退屈しない日が来るかもしれませんよ? ルドルフ」

「ふふふ、そうか」

「彼はどんな娘を担当するのか楽しみです」




内面と外面違うトレーナー君
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。