我々は皆、怪物である   作:西城文岳

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第18話 ドキドキ!魔法少女!

 

「やば!遅刻する!」

 

(わたしは今!某県K市の学校に通う普通の高校生!)

 とでも思っていそうな眼鏡をかけた地味な少女。聞き飽きたフレーズを心の中で唱える彼女は普通ではないモノを持っている。

 

「また~!?遅刻しそうなのに~!」

 

 彼女の目の前現れる、青い肌の一つ目の怪物たち。

 

「ああ、もう!鬱陶しい!」

 

 彼女が手を怪物にかざす。乱暴な言葉遣いと共に一瞬にしてしてレーザーが放たれ怪物の集団が爆発と同時に一掃される。

 

「こっちは急いでるの!邪魔しないで!」

 

 そうして彼女は学校への道を急ぐ。

 

 彼女には幼い頃から不思議な力があった。

 ゲームや物語に出てくるような魔法だ。だが現代では大して活躍も出来ないだろうと思っていたがここ最近では謎の怪物達が襲い来るようになった。彼女にはただ抗えるから正気を保っているようなもの。自分以外のまともな世界、ゲームには蘇生やリスタートはあれどこの世界には無い。いつ死んでもおかしくない彼女は正直言って、気が気でない。また、死にたくない。

 

 彼女は道を邪魔する怪物に夢中で黒いワンピースの少女がそれをまじまじと電柱から見下ろしていることには気付かなかった。

 

 

 

 

 彼女の名は伊吹(いぶき)(ゆき)

 いわゆる前世の記憶を持つ転生者というものらしい。前世で事故に遭い命を失うが、神によって新しい人生を送る少女。そんな彼女は普通の人生を望んだはずだった。

 

(何でこんなものを持たせてこんな世界に来させたんだろう)

 

 伊吹は不満だった。自分が望んだのと違う人生。

 前に居た世界と同じようでオカルトや人外魔境が潜むこの異世界で、静かに生きようにも向こうからやって来る。

 

 こうして授業を受けていたり普通に暮らしていても一人になった瞬間、それらは容赦なく襲ってくる。

 

 見たことのない怪物や見覚えのある妖怪、それらならまだしも、何処からともなくやって来る視線や感覚。何処を見てもその人物はいない。普通とはかけ離れた未知の恐怖がここ最近頻発している。

 

 如何に力を持っていようと正体不明の恐怖には敵わない。

 少女はこの世界の異常に引き込まれつつあった。

 

 だがある日、そんな彼女の正気に止めを刺さんばかりに異常がやって来る。

 

 それは突然現れた転校生。

 

「俺の名前は龍造寺虎徹。取り敢えずお前ら全員俺の物な」

 

 頭の悪い屑がそう言った瞬間、騒がしかったクラスメイト全員が静かになる。

 

 彼女を除いて。

 

 彼女は幸運だったろう。

 その異常に呆気にとられ周りと同じ様に動けなかったのが幸いして気付かれなかったのだ。

 

 彼女の目の前で吟味され、無感情で犯される若い担任。

 無抵抗のクラスメイトのみならず自身の身の危険。

 自分が動けると気づかれたときどうなるか。

 ここで抵抗した場合どうなるのか。

 魔法で皆を巻き込んでしまう。殺してしまう。

 その元凶の狂人。

 

 限界を迎えていた彼女の精神は悲鳴を上げ、身体が震えだす。

 自身もあのケダモノに犯されるのだろうか?魔法で倒せるのか?抵抗出来ず襲われたら?そもそも突然やって来たあの男は何者なのか?

 ただでさえ未熟で、すり減った精神には不安が募り、まともな思考から遠ざかって行く。

 

 人相手に戦えない未熟な少女。最悪の状況になった場合の罪悪感は一般人には耐えられない。

 

「ん?」

 

 その男が教室の異常を感じてその席を見たとき、そこには誰も居なかった。

 

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