凌辱エロゲの清掃員   作:怪異犯罪特殊清掃班

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八尺

百貨店。

沢山の人がこれまた沢山の店を巡り、思い思いの時間を過ごす中。

一人の女性が焦燥感に駆られた様子で辺りを歩き回っている。

 

「翔太ー!どこなの翔太ー!!」

 

子供の名前を呼び、周りをしきりに見回す。

周囲に人が居るのにも関わらず、声を張り上げる様はなりふり構わずといった様子である。

人混みに紛れて自分の息子が消えた。

それは親にとってみれば一大事だ。

 

周囲の人間はそんな声を張り上げる女性が居ることに驚き、視線を向けはする。

しかしそこから声を掛けるなど協力する姿勢を見せる人間は中々現れない。

力にはなれないと自分で理解したつもりなのか、躊躇っているのかそれとも面倒事に関わりたくないのか。

多くの人たちは通り過ぎる。

 

(もしかして外に...?いや、でもいくらあの子でも外に出るとまずいってことは分かるでしょうし...。もしかして6階のおもちゃ売り場?それとも4階のペットショップかしら.....)

 

どこに行ったのか頭をフル回転させて考える。

そんな中、不意に背後から肩を叩かれた。

振り返るとそこには一人の女性が立っていた。

黒髪ボブに泣きボクロ、そして眼鏡をかけていてどことなく妖艶な雰囲気を醸し出している女性。

体躯やスタイルからまるでモデルのような立ち姿で怜悧な魅力を持っていた。

 

(わぁ...綺麗な人....。...じゃなくて!一体何の用なんだろう...こっちはそれどころじゃないのに!)

 

「は、はい...なんですか?」

 

息子を探している途中に足止めを喰らってしまったことに更なる焦りと苛立ちを覚えながらも、それを表に出さずになぜ声をかけたか問いかける。

するとその女性は印象とは違い、おずおずとした様子で話しを切り出す。

 

「あの....さっき一人で歩いている小さな男の子を見かけたのでもしかしたらって...」

 

「ほ、本当ですか!?ど、どこで...!あのっ、その子はアニメものの...黄色いキャラクターのポーチを持ってて、チェックの服を着てるんですけど!」

 

一人で歩いている小さな男の子

それを聞いて女性はその男の子が自分の息子だろうと彼女の話に食いつく。

小さな子供が一人で闇雲に長い距離移動するとは考えづらい。

興味惹かれる物へと心のままに向かっているのか、それともこの階にまだ居るのか。

息子の特徴を言って本当に息子か確かめながらも、どこで見たのか尋ねる。

 

すると、女性は真面目な顔で頷くと指差す。

 

「だったら間違いなくその子だと思います。あちらの方のトイレと喫煙所がある所でずっと自動販売機を眺めていました。」

 

「あの子、ジュース飲みたかったのかしら...言ってくれたら...っ!あのっ、教えていただきありがとうございました!いってみます。」

 

「いえいえ、私も母親ですから。お気持ち理解できますよ。」

 

息子の居る場所を教えてくれた彼女に頭を下げながらも、女性はそちらの方向に歩みを進める。

段々と小走りになる歩み。

ここでもたもたしていたらまた見失ってしまうかもしれない。

 

フロアの中でも外れの方。

そんな一角へと辿り着く。

息を切らしながらも、入っていく。

トイレの入り口を通り過ぎ、押しボタン式の自動ドアの前。

 

「はぁ....はぁ...翔太.....あれ....?」

 

女が付いた頃には、子供どころか人っ子一人居ない。

 

(そんな...いや、だったらもう迷子センターに行....)

 

「あら、結局見つからなかったの?情けないわね、母は強しって言葉はあるけれどそれもお母さん次第ってことかしら?」

 

せっかくの手がかりが無駄足で終わったことに落胆しながらも、冷静に次に取るべき手段を考えていると聞き覚えのある声が背後から聞こえる。

振り返る。

すると、そこには先ほど息子の居場所を教えてくれた女が一人。

しかし、肌色が目に入ってその女が一糸纏わぬ姿であることに気づいた。

 

「貴方!?一体何をやっ....えっ?」

 

女性が服を着ていないことに気づいて、ギョッとする。

そしてそれを咎めるような声を出すも、その女の姿をしっかりと目に収めると言葉を失った。

乳房に当たる部分にはそれぞれ大きく開かれた口。

その二つの口はまるで目の前の呆けた女を嘲笑うかのように笑みを浮かべている。

そして、下腹部の割れ目...女陰からは蛇のように長く真っ赤な舌がだらりと地面に垂れ下がっていた。

 

明らかに常人離れした姿。

趣味の悪いクリーチャー絵のような有様だ。

それが何かは理解していないのに、膝が震えていた。

本能的に、それが自分にとってどれほど危険な存在であるか察知したかのように。

 

「でも安心しなさい。私が強い母親に産み直してあげる。そうね...次は人混みでも見失わないように背を伸ばしましょうね?」

 

そう言って、掌を合わせると下腹部へと持って行ってハートマークを手で作って宛がう。

その瞬間、ぞわりと背筋に怖気が走る。

身体に触れている空気が絡みつくような不快感。

この場から逃げ出さないといけない。

それが分かっているのに、足が震えて動かなかった....。

 

そんな彼女を見つめて笑みを浮かべると、女は紡ぐ。

その名前を。

 

「術式解放....魔胎姦母転誕。」

 

人気のない外れで濡れた肉が擦れた水っぽい音が響いた。

 

 

 

 

「欲しい!欲しい欲しい!!みんな持ってるもん!持っていないの僕だけだよ!?」

 

ゲーム売り場。

一人の幼い少年がバタバタと足を動かして駄々を捏ねる。

しかし、傍らに居た母親らしき女性は溜息を吐くと相手にしない。

 

「あのねぇ...よそはよそ、うちはうち。何度言ってもダメな物はダーメッ!」

 

「えぇぇーーー!!」

 

ダメだと言っても聞き入れる様子がなく、その場で買ってくれると言うまで動くつもりがないと少年は視線で意思表示をする。

そんな少年のやり方は既に何度か経験しているのか、母親は呆れた様子で踵を返す。

そして彼に背を向けた。

 

「そんなに他所のことを言うんだったら、そのままどこか他所の子にでもなっちゃいなさい。お母さん、もう知らないからね!」

 

そう言ってゆっくりではあるが歩き出す。

こうすれば、自分の子供は慌てて立ち上がって駆け寄ってくると知っているからだ。

数歩歩く。

そこで違和感を覚えた。

いつもならば、ここまで歩けば待ってと駆け寄ってくる。

今日は手ごわいなと言わんばかりにやれやれと肩を竦めて振り返る。

 

「ぽ..ぽぼぼ.....。」

 

「がぁ..おがぁざ.....。」

 

そして、目の前の光景に絶句した。

成人男性の背すらも超えていそうなほどの背丈の大女。

髪が腰まであって、顔に掛かって見えない。

しかし、微かに病的な白い肌と口のような小さな穴が髪の隙間から除く。

なにより、最も目を引くのは頭からまるで帽子を被ったかのように左右に骨のような物が出張っている所である。

 

そして、そんな奇妙な女はぽぽぽ...と不気味な音を穴から発すると強く少年を抱き上げている。

パキ...バキ....と人体から鳴っていけない音が空気を揺らし、口から血液が泡立った状態で湧き出てくる。

顔の色は最早紫色。

それなのに、まるで女は我が子を慈しむようにほおずりをする。

 

「カケルっ!!!」

 

助けを求めるように視線を向ける自分の息子を助け出さんと駆け出す母親。

しかしその瞬間、ブチブチブチリと繊維が引き裂ける音共に少年の上半身が重い音を立てて地面に落ちた。

 

「あ...あ....ああぁぁぁぁああ!!!」

 

理解できないと言った様子で呆けた声を出すも、残酷にも段々と目の前で起きたことが現実であることを理解する。

そして、母親は最愛の息子を目の前で無惨にも喪ったことに悲鳴を上げる。

 

それが、このフロアにおける阿鼻叫喚の始まりだった。

 

 

 

 

 

 

「いいか、もう一度行程を確認する。もう一度やってみろ。」

 

「はぁ.....。」

 

平日の朝。

昨日の休日に出勤しなくてはいけなかったのでいまいち休んだ気がしない。

そしてそんな中、チーフの目の前でオナホールに機材を入れ込んでいる。

 

そう、オナホールになんか棒みたいな機材を真面目な顔で入れているのである。

しかもこれ二回目だ。

他人から見たら異常行動以外の何者でもないだろう。

 

しかし、これもれっきとした仕事....というより仕事を行う上での確認事項や教練に近いのだ。

僕はオナホールにずぷりと棒を突き立てるとそのまま中へと入れる。

そして取り出すと、チーフの顔を見る。

 

「これで計器の数値が0であれば問題なし、1以上であれば妖の種で受精していると記録します。故障があればエラーという文字が表示されるのでその際は遺体から離れて周囲の安全を確認。連絡を入れて新しい計器が届くまで異常が起きないか監視し、起きた場合は全体に報告して即刻対処に当たります。」

 

「うむ、完璧だ。これなら高町の代わりも務まるだろう。」

 

そう、今僕は高町先輩が担当している業務の代わりを務める為に機材の使い方を教えてもらったのだ。

昨日僕も仕事があったように先輩たちも仕事があったのだが、その際に淫妖界における仕事で高町先輩が負傷して病院で治療を受けているのだ。

だからこそ、高町先輩の業務を誰かが代わりに行う必要がある。

よって僕に白羽の矢が立ったというわけだ。

 

なんでもいづれ新人を脱却して、様々な業務を任せることになる。

よって良い機会だからと高町先輩の業務を代行することになったのだ。

新人が入ってきた際に運搬しか出来ないと困るし、何事も経験だと。

どちらにせよ危険な仕事にはまだ新人である内は連れていかれないし、まぁいい。

問題は、業務内容である。

 

高町先輩の業務は主に被害者の調査だ。

それも女性であれば、今行ったことをしなければならない。

言うならば死体や抜け殻のアソコに棒突っ込まなければいけないのである。

....なんというかやりづらい。

ネクロフィリアや意識のない女性が嗜好な人材であれば喜んでやるだろうが、僕はそうではないのだ。

 

「どうしたよ?得な役回りなんだからもっと喜んでみろよ。ほら、仕事の度にマ〇コに棒状の物を突っ込めるんだぞ?」

 

中鉢先輩は後ろからニヤつきながら僕の肩を叩く。

新しい仕事をすることになったイジリなのだろう。

まったくこの人は....。

男から男へのセクハラって成立するのかな?

 

「....別に意識のない女の人に興奮なんかしないですよ。大抵死体とかにやるわけだし、そんなので興奮したらネクロフィリアですよ。なんか人間性として難があるじゃないっすかそれ。」

 

僕ははっきりと先輩に対してそう断る。

すると、中鉢先輩はどこか気まずそうに眼を逸らす。

 

「あ~....それ、高町の前では言うなよ。」

 

「え......。」

 

え...あの人興奮してたのか。

怖....。

割とお世話になっている先輩だけあって、衝撃はひとしおだった。

あの人..マジか....。

接し方が分からなくなってしまうな....。

 

「まぁそこまで気負わなくても良い....あっ、SSR出た。爆死してる奴にスクショリプしよ。」

 

ロッカーに背を預けていた坂本先輩はこちらに視線を向けて僕に声を掛けようとするも、すぐにスマホに視線を戻した。

なんというかマイペースな人で、いまいち掴みどころがない。

まぁでもなんとなく性格が悪いことは分かるのだが。

 

すると、事務所の内線が鳴る。

チーフがそれを受け取ると、一言二言返事してから頭をペコペコと下げた。

....多分、相手は本部だ。

十中八九、清掃の仕事が入ったのだろう。

そしてチーフが受話器を戻すと、こちらへと視線を向ける。

 

「歓談している所悪いが、仕事だ。....葦矢、機材を忘れるなよ。」

 

「は、はい....!」

 

チーフの言葉を合図にさっきまでこちらをヘラヘラと弄っていた先輩方が準備を始める。

その切り替えの早さは流石は先輩と言ったところか。

 

「うぇぇ~...マジかよ.....、周回しようと思ってたのに.....。」

 

「いいからさっさと着替えろ!」

 

坂本先輩はぶーたれていたが。

なんというか身体だけ成長した中高生のゲーマーの子供のような光景だなぁ。

彼の様子を見て、そう感じた。

 

 

 

 

現場はショッピングモールの6階。

ゲームおもちゃなどホビーをこの階では取り扱っているようだ。

いつもならばその品揃えから人々を魅了しているであろうフロア。

しかし、今や惨憺たる有様だった。

 

「こいつぁ...ひでぇなぁ.....。」

 

中鉢先輩が独り言ちる。

そこはまるで臓物の海。

バラバラの人間の一部がそこらに転がり、床は赤黒い水たまりが出来上がっており皮脂が溶けだしたのか膜張っている。

内臓なんか売られている玩具や棚に掛かってやがる。

まるで地獄をこの階に敷き詰めたかのように見るに堪えない有様だった。

 

「当フロアに居た従業員含めて25人死亡。この階に居た人間はみんな余すことなく殺されている。」

 

「...久々にえぐい現場だ。葦矢、大丈夫か?」

 

いつもはのほほんとした坂本先輩が珍しく苦々しい声を発しながら、こちらを心配する。

それだけこの現場は酷いと言うことだろう。

確かに、見ていて心良い物ではない。

だが、グロ耐性あるからとかイキリ散らかした中学生のようなことを言うつもりはないが見ているだけで吐きそうとかそういうのはない。

この前の下水道なんかとは比べ物にならないくらい胸糞悪い光景なのは確かだが。

 

そして、加えてなんというか....。

 

「.....」

 

冷泉文代に見られている。

何故居るのかと言えば、この現場を制圧したのが彼女だからといったことに他ならない。

しかし、それにしたってなんでずっとこっちを見ているのだろう。

ただでさえこの光景で精神的にきてるのだ。

過敏になってしまって、気になって仕方がない。

 

でも、ここでそれに触れてしまうのはおかしい。

だって僕はただの一清掃員である。

立場が上の彼女に対してどうこう言うのもなという話なのだ。

 

先輩たちは真剣な顔で話している。

...ここは気づかないフリで先輩たちの話を聞こう。

しばらく経てば別の方向に向くだろう。

なんならこっちを見ているというのも僕の考えすぎかもしれないしな。

 

「これがこんなことを....」

 

「2m80㎝....くらいか。結構デカいな。そりゃこんなのが老若男女ちぎっては投げしてたら壮観だろうよ。」

 

坂本先輩は唖然としており、中鉢先輩はこの惨状の原因である妖を見て皮肉を言いながらも睨みつけている。

その妖は2m以上の大柄の女のような物。

しかし頭の左右から骨が突きだしてまるで麦わら帽子を被っているようであったり、長い髪の隙間から何も入っていない眼窩と口と呼べない程に小さな穴が顔についている。

着ている服は丈足らずで血で真っ赤に染まっていた。

...そもそも妖が現代の人間らしい服を着ている光景なんか初めて見るのだが。

 

「今まで俺はこの仕事を続けて長いが、こんな妖は見たことがない。ただ聞くに、監視カメラの映像からこの妖は優先的に子供を襲っており、その子供の近くの大人も共に殺していたようだ。」

 

「子供狙うとか随分と陰険じゃねぇかクソ妖....。」

 

中鉢先輩は苛立たし気に妖を見る。

そして、それは概ね僕も同じ気持ちだった。

子供と言えばまだ成長も未発達で弱い。

しかし、陳腐な言い方をすれば次の世代を担う宝である。

それを優先的に襲うというのはまるでなんというか...浅ましさを感じるのだ。

...それにまぁ、天涯孤独で親を見たこともない僕が言うのもなんだが自分の子供が死ぬなんて耐えられないだろう。

絶対に許されていいことではない。

 

「この仕事が来た時に、上層部の方も退魔師からの情報を受け取るもこの妖が何かは現状分かっていないようだ。今回のサンプルから研究を始めれば決まるのかもしれないな。」

 

「名前はなんにせよ、自分らは掃除をするのみ。ですよね、チーフ。」

 

坂本先輩は妖から目線を外して、チーフに問いかける。

すると、チーフは首を縦に振った。

 

「あぁ。その通りだ。それじゃ俺と坂本でフロア洗浄。中鉢は妖の回収。そして葦矢は....まぁ、被害者の身体もバラバラで妖も種を撒くタイプとは思えないが、一応被害者女性の調査と回収を頼む。もしかすればこの場所に逃げられただけで別の妖が居たかもしれないし、状況の把握には役に立つかもしれない。調査の際は....この有様だ。部位で分かれたせいで誰の物か特定は難しいだろう。特徴とカメラの撮影データを帳簿に載せる。それと回収も同じ理由でもう容器に」

 

「わ、わかりました。」

 

明らかに被害者の身体はバラバラで下半身がそのまま転がっていたりするので明らかに妖を育てる為の母体にはなり得ないと思うが、どんな性質を持っているか分からないのが妖である。

マニュアル通り、職務を行えと言うことだろう。

...しかしこの落ちている一部分を拾い上げて棒を突っ込むってことか?

結構キッツいな.....。

 

「...今日は四柱こと冷泉様が監督為されている。なに、気負うことはない。いつも通り可能な限り迅速にスムーズに、そして一つの掃除漏れもないようにすれば大丈夫だ。それじゃ、みんな仕事に掛かれ。」

 

「「「了解」」」

 

チーフは一瞬後ろの冷泉文代に目線を向けるも、こちらに向き直る。

そして、僕たちもチーフの言葉を合図に仕事へと取り掛かったのだ。

手には帳簿と計器、首にはカメラ。

肩に掛けるはこの前妖を保管した際に使用した金属製の容器。

 

転がる死体は無秩序に散らばっている。

だからこそ、闇雲にやってはキリがないだろう。

なので、フロアの左から右へと調査と回収を行っていくことにしよう。

 

しかしそれにしたって....。

 

「ここまで大規模だと隠すのは大変だろうな。」

 

ここまで派手に殺していると、下や上の階にも断末魔は聞こえていただろう。

確か前の下水道で記憶処理とか聞いたし、それでこの百貨店に居た人間のアフターケアしてるんだろうか。

僕もはっきりと妖の存在について知ったのはこの仕事に就いてたからだし、隠しているのは確定しているのだが。

だとすれば、今回の事件は後処理を担当している人達からすれば溜まった者ではないだろう。

もしかすればデスマーチしているのかも。

 

目の前の惨状から目を逸らすようにそう考えていると、フロアの左端へと到達する。

左端ではアケコンやらレトロゲーのリメイクに腸がべったりと乗っている。

そして廊下に転々と人の右腕や上半身、下半身など。

 

「....。」

 

一度合掌しつつも、カメラを取り出してそれらの部位一つ一つを撮影する。

人の死体を写真に残すのはなんとなく憚られたが、これも仕事だ。

ただ罰当たりではあるので、一応手を合わせといた。

 

「さてと....女性の下半身...があります、ね....。」

 

多分元々の生地は白かったのだろうが、血を吸って赤くなったスカート。

奇妙にもそれを身に着けた下半身がそこに落っこちているのだから頭が痛くなる。

こんな光景、この仕事に就いていないと目にする機会すらないだろう。

ご丁寧にも両足をもぎ取られてやがる。

 

これに棒入れるのか.....。

やだなぁ.....。

そう思いながらも、それに歩み寄るとスカートを剝いでいく。

スカートを剥ぎ取るとそこには血で汚れているも紫のショーツを履いていることが分かった。

割と遊んでいる女性だったのだろうか?

....いや、ただの偏見だなこれは。

それに、死体見て遊んでいる女の人だったのかなぁとかぶっ壊れてんのかって。

いちいち吐いていたらキリがないとチーフが言っていた。

でも死体見てこんな感想が思い浮かぶなら慣れることは必ずしも良いことではないな。

 

そう思いながらもショーツをはぎ取る。

そして露出される女性のアレ。

それを見ると足も丁寧にもぎ取られているだけあってか朝に見たオナホと一瞬被った。

うわ.....今のは流石に気分悪い。

さっさと終わらせるか。

 

いち早くこの遺体をケースへと入れる為にも計器の電源を入れる。

そして割れ目へと計器を朝に練習した通り差し込む。

練習とはちがって、肉を掻き分ける感触がして気持ち悪い。

この仕事、結構きついな....。

高町先輩はよく流れ作業でやってたもんだ。

それが経験による慣れと言った物だろうか。

 

暫く待っていると、棒が振動する。

測り終わったか。

取り出して見ると、0の文字。

陰性か...まぁ、そりゃショーツ付けてたし、そもそもあの妖はそういう人を苗床にする系の物ではないみたいだし当たり前か。

そう思った瞬間。

 

「...なに、..してるの...?」

 

背後から鈴を転がしたかのようにか細い声がした。

背筋がぞわりと粟立つ。

その声の主を、僕は知っている。

 

ゆっくりと振り返る。

するとそこに声の主は確かに立っていた。

 

「もう一度..聞く。何を、している?」

 

冷泉文代。

冷泉家の次女にして、退魔師。

そんな彼女が僕を冷たい目で見下ろしていた。

 

...よくよく考えれば女性の下半身の死体の衣服を剥いで局部に棒突っ込んでいるってやべーな。

しかもそれを中学生女子に見られていると来ている。

...アレ、すっごくヤバイ気がするぞ。

今すぐにでも弁解しないととんでもない誤解をされる気がする。

だってなんか圧のような物を彼女から感じるもん。

 

「い、いや!これは仕事で妖に種を仕込まれているのか調べる為に行っているんですよぉ~!だから僕は....」

 

「そんなことは...知ってる...。」

 

狼狽える僕の様子など知ったことではないと言わんばかりにきっぱりと言い切る。

まぁ、そりゃ知ってるか。

曲がりなりにも彼女は僕よりも数段上の立場であって、僕よりもこういう現場を見てきたであろう。

なんなら高町先輩がやっているのも見ているだろう。

テンパってそんな少し考えればわかることも頭から抜けていた。

 

「そうじゃなくて....なんで、貴方がそんな仕事...してる、の?」

 

どうやら僕がこの仕事をやっている理由を聞きたかったらしい。

新人がこの仕事をしている理由が気になったのだろうか?

まぁ、なんにせよ誤解されているわけではなさそうだ。

....それならなんでこんなにも話しているだけなのに圧を感じるのだろうか?

 

「あ、あの...前任者の高町先輩が淫妖界での仕事で負傷して....それで経験を積むいい機会だからと......

。」

 

「....そう。」

 

説明すると、納得したのか返事をして黙りこくる。

....やっぱりなんか変な子だなぁ。

口には絶対に出せないが、そう思いつつも帳簿に情報を書き込んだ。

 

さて、次の死体の所へ行くか....。

立ち上がると、歩き出す。

目の前に今度は少し小さめの女性の下半身がある。

道中の腕やら男性の死体やらも撮りながら進むとしよう。

見る限り、この列はあの女性の下半身はさっきのと目の前に見える奴しかないみたいなので、アレを調査したらまずはこの列の死骸を回収するか。

 

そう思って一歩二歩と歩みを進める。

 

「.....。」

 

そして、何故か背後で冷泉文代も同じように歩みを進めていた。

....ん?

足を止める。

すると、ぴちゃぴちゃと背後で響いていた血だまりを踏みしめる足音も止まる。

....これ、明らかについてきているよな?

 

「...えーと、なんですか?」

 

「なに...が?」

 

振り返って何の用か尋ねると、彼女は首を傾げる。

いや、首を傾げたいのは僕の方なんだけど。

 

「いや、なんで付いて来ているのかなって....。」

 

「見られてまずいものとか...ある?」

 

彼女はジト目で僕を見つめてくる。

なんで僕が詰められているんだよ。

 

「....別にないですけど。」

 

「なら良い...。早く仕事に、取り組んで....。」

 

そう言って無言でこちらを見つめる彼女。

いや、よくはないだろ。

...もしかして、この子暇なのか?

よく考えてみれば、この現場では彼女は監督してるだけ。

つまりは何かトラブルが起きない限りは何もすることがない。

....これは、本当に暇説が濃厚になってきたな。

だとすればこちらは仕事をやっているのに良い御身分であるが。

 

どうやらこれ以上は会話する気がないようだ。

まぁ、僕自身も仕事がある。

気にせず、死体に歩み寄ってしゃがみ込む。

そして衣服をはぎ取ると、棒を局部に入れこんだ。

 

「.....。」

 

背中に視線を感じる。

.....やりづれぇ....。

暇なら暇でどっか別の所に行ってくれないかなぁ。

その思いも虚しく、再度僕が歩みを始めると背後でも足音が聞こえてくるのだった。




現段階ではまだ妖が人であることも、その裏に居る存在に気づく人間は誰もいない。

ちなみに似非八尺様になった母親の子供は4階のペットショップの方に居たので、何も知らずに母親が失踪したと認識するでしょうね。
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