魔法少女リリカルなのは~踏み台に憑依した紅き閃光~ 作:鳴海ゆの
スミマセン!
ゼロside
教室に戻るとみんなが俺のほうに寄ってきた。
さっき影口を叩いて奴や睨み付けてきた奴だ。
「おのよぉ、衛玖珠。」
「ほら、あんたしっかり言いなさいよ。」
「うっせぇ、だったらお前が言えよ。」
こいつらは何がしたいんだ?
『きっと、ゼロに謝りたいんですよ。
多分、先程先生と話したときに自分達が悪いと感じたんでしょうね。
では、ゼロ、先手をうちましょう。
私の言う通りに言ってください。』
俺はアイリスに聞いたものを自分なりにアレンジしてみんなに伝えた。
「先程はすまなかったな。
少々気が立っていたんだ。
それと今まで迷惑かけて悪かった。
許してくれとは言わないが、普通通りに接してくれると俺はありがたい。」
殺気を放ったことには自分でも謝罪をしなければと思っていたのでちょうどよかった。
俺がそう言うとクラス中の奴等が唖然とした顔を浮かべたが、そのあとでクラスのリーダーぽい奴が手を差し出してきた。
「へへ、仲直りにはやっぱ握手だろ。」
「ああ。」
俺はそいつの手をしっかり握った。
「んじゃ、みんなでドッジしにいこうぜ。」
「「「「オー!!」」」」
そう言ってクラスの奴等が俺の手を引き運動場に向かった。
『良かったですね、上手く受け入れてもらえたみたいで。』
『ああ、だが、アイリス何でこんなもので仲直り出来るとわかった?』
『子供っていうのはですね、意外と単純なんですよ。
相手が反省したと思えば、結構あっさり許してくれるんです。』
『そうか、今回のことでは迷惑をかけたな。
すまない。』
『いえいえ、どういたしまして。』
ちなみにドッジボールだが、人間が機械の俺に勝てるわけなく俺の一人勝ちに終わった。
ー授業後ー
「ちょっと良い?」
俺に話しかけてきたのは『衛玖珠 零』の幼馴染み『三園 優希』だった。
「珍しいな、お前から話しかけてくるなんて。
てっきり嫌われているものだと思っていたが・・・。」
「別に嫌ってなんかないわ。
ただ上原の奴がいたせいで話しかけずらかっただけ。
それに、あんたと私は幼馴染みなんだからね。」
少しムスっとして見える。
俺何か悪いことしたか?
『ゼロは良い意味でも悪い意味でも鈍感さんですね。』
「まあ、良いわ、この後少し付き合いなさいよ。
話があるの。翠屋で良いかしら。」
「あそこだと上原や高町に会う可能性があるぞ。」
「構わないわ、それに上原の奴はあんたに負わされた怪我でしばらくアースラに籠りっぱなしになるらしいわ。」
「そうか、では、行くとしよう。」
ー喫茶翠屋ー
「話とはなんだ?
それに、先にいっておくが、俺はもう管理局には関わらない。」
「なるほど、リンディさんの言っていた通りね。
理由を聞いても良い?
あんなに魔法やなのはちゃん達に拘っていたのに。」
先手をとったのは俺だが、どうやら優希は俺がそう言うのはわかっていたようだ。
「愚問だ。
俺にもやりたいことができただけだ。」
「やりたいこと?」
優希は俺が即答したことについて疑問を感じたらしい。
「ああ、平行世界に渡る技術を作ることだ。」
「平行世界!?
確かに時空管理局でも、パラレルワールドには干渉できないって聞いたことあるけど・・・。」
「ああ、それに、管理局に頼ってしまうと平行世界を侵略しようと考える輩も必ずいるはすだ。
管理局は一枚岩ではないことぐらいお前だってわかっているはずだ。
だから俺は今回の事件で管理局との縁を切った。
俺たちはあくまで協力体制にあっただけだからな。
しかし、きっとリンディ提督あたりはまだ俺を管理局に引き込もうとしているのだろう?」
「ドンピシャよ。
確かにリンディさんはあんたのことを諦めてはいないわ。
それに、上原の奴もあんたを次の事件、つまり闇の書事件であんたをこっち側に引き込むみたいよ。」
優希はヤレヤレといった様子で首を傾げた。
「どいつもこいつも勝手な奴等ばかりだ。」
「ほんとね、それにあんたが管理局と手を切ったのなら私もこれ以上関わる必要はないわね。
私もリンディさんに言ってくるわ。」
「別に良いんだぞ。
俺に付き合う必要はない。」
「わかってないわね。
私はあんたがいるから管理局と協力してたの。」
どういうことだ?
『この子はもしかしたら、『衛玖珠 零』のことが好きだったのかもしれませんね。』
『そうだとしたら、悪いことをしたな。』
俺はそれでもいつかこいつに伝えなくてはいけない。
今の俺は『衛玖珠 零』ではなく、レプリロイドのゼロであることを。
「でも、あんた平行世界なんか行って何するのよ。」
「俺にはどうしても会わなくてはいけない人物がいる。
いや、待ってくれている人物がいる、だから俺は平行世界に行くんだ。
もし仮に二度とこっちに帰って来られないとしてもだ。」
「な、何よそれ。
恋人ってこと?
知らないわよ、そんな人がいること!
私はずっと、ずっとあんたのこと見てたんだから!」
優希はパニックに陥っている。
自分の好きな人に別世界、それも平行世界に好きな人がいるとわかればこうもなるだろう。
シエルは俺にとって恋人というわけではないが、ラグナロクの中で『俺を信じろ!』と言ってしまっているからには帰らなくてはいけない。
『ちょうど良い機会かもしれないな。』
彼女には真実をしる義務がある。
そして同時にこれは受け入れなくてはいけない現実でもある。
『運命というのは残酷ですね。』
ドガーン!!
アイリスの念話の声を遮り何者かが入ってきた。
武装をした男が五人だった。
「な、何!?」
優希は我にかえったように入ってきた人間を見回した。
「なんとも、不躾な客のようだ。
窓から武装してはいってくるなんてな。」
「そんな呑気ないってる場合じゃないでしょう。」
優希は俺の変わらない態度に少しばかり怒っているようだ。
「俺たちは強盗だ!
とりあえずここにいる全員が人質だ。
下手な真似をするなよ。
まあ、した瞬間ここにいる人間に一人ずつ風穴が空くけどな、アハッハッハッハッハ!!」
強盗のリーダーと思われる奴が手に持っているマシンガンを見せつけながら、そう言った。
「こうなったら、私が。」
「やめろ、ここにいるのが俺達だけならまだ良いが見たところ妊婦も子供連れもいる。
下手に手を出せば、動きの遅い人からノックアウトだ。
今はまだ機会を伺え。」
優希が今にも飛び出しそうな勢いになっているのを押さえながら、機会を伺う。
そんなときだった。
この店の店主ー高町士郎ーが刀を持ち高速で近づいた。
そして、一人を剣の峰で凪ぎ払った。
しかし、それに気付いた強盗達の行動が思った以上に早かった。
「店主さんが俺達に抵抗してきたんでまず一人死になぁぁぁあああ!!」
仲間がやられたことはつゆにも思わず、発砲する人間を決めた。
狙ったのはまさかの優希だった。
マシンガンの弾が優希に迫ったときだった。
俺の体はまるで誰かに操られるように優希の前に立った。
俺は奴の声を聞いた。
『今回だけで良い。返してもらうぜ俺の体。』
確かに聞こえたのは聞き飽きるほどに聞いた衛玖珠 零(自分)の声だった。
優希side
それは突然だった。
士郎さんが敵に切りつけた直後強盗の一人が私に向かって発砲した。
(私死ぬのかな?)
何かを投影すれば助かったかもしれない。
でも、私は迫り来る弾丸と死への恐怖心によって力を使うことすら忘れて呆然としてしまった。
視界は暗い。
目を瞑ってしまっているのだろう。
しかし、いつまでたっても私に痛みは訪れなかった。
私は恐る恐る目を開けた。
光と同時に赤色が目に飛び込んだ。
それはまさしく私の幼馴染み(衛玖珠 零)だった。
零は私のほうに倒れこんだ。
私は零を抱え込むように座り込んだ。
「へへ、無事かよ優希。」
「ええ、零が助けてくれたから無事よ。」
私に向けた顔は先程までのような鋭い顔ではない。
かといって少し前までの嫌な笑みを浮かべた顔でもなかった。
『無事か、優希?』
昔私を助けてくたときに向けたあの屈託のない笑顔だった。
「やっとだな。
やっと俺のこと『零』って呼んでくれたな。」
零が私にそんなことを言う。
そうだ、いつからだっただろう。
私は零のことを『あんた』って呼ぶようになってた。
「そんなもん、また何時でも呼んでやるわよ。」
「へへ、そうか。」
零は嬉しそうに笑った。
その顔はやはり温かい笑顔だった。
「それと、悪かったな。
ほんとは、優希の気持ちにずっと気付いてたんだ。
こんな、踏み台みたいな容姿の俺を好きになってくれて本当に嬉しかった。
その思いに答えてやりたかった。
でも、小学校に入学して上原のやつに会ってから体が思うように動かなくて、他のやつらにも迷惑かけて、お前にも悲しい思いさせて、本当に俺は情けない。」
零は泣きそうになりながらもそう言った。
確かに零の態度は小学校に入ってから急に変わった。
その理由を今わかった。
上原が零に暗示の魔法を掛けていたんだ。
零は踏み台役としてこの物語に強制的に参加させられていたんだ。
「でも、そんなものも今日で終わりだ。
俺は生まれ変わるんだ。
だから、優希。
俺はお前の気持ちに答えることは出来ない。
俺が生まれかわって、別の俺になっても俺を好きでいてくれるか?」
「当然だよ。
私は・・・私は・・・
零以外のことなんか好きになれないよ!」
私の悲痛の叫びだった。
多分零はこのまま死んでしまうだろう。
私はそのときようやく気付いたんだ。
さっきまで話していたのは『衛玖珠 零』であっても『私の知る零』ではなかったんだって。
「そっか、なら安心だ。
『ゼロ』後は頼んだぜ。」
『本当に良いのか?』
零からもうひとつの声が聞こえた。
その声の冷たさは間違いなく先程まで話していた『衛玖珠 零』の声だった。
「ああ、俺とお前はひとつになる。
俺の魂はきっと消えてしまうだろう。
でも、俺はお前と共にずっと生き続ける。
これからも。
な~に、上原の野郎に操られていたときよりはマシさ。
あとさ、優希、ひとつだけ約束してくれ。
俺のことは誰にも話さないでくれ。」
零が『ゼロ』と呼ばれる人との会話を終えた後私にそう言ってきた。
「どうしてよ!
あんたは悪人じゃなかった。
元凶は上原だったんだって言えば・・・。」
「良いんだ。
優希が真実を知ってくれればそれで良い。
さて、俺はそろそろ行くよ。
じゃあな優希。
俺はお前が大好きだった。」
「私だって大好きよ、ばかぁ!」
そう言うと零は微かに笑って目を閉じた。
一つの光が零の体から出た。
きっとこれが零なのだろう。
そして、今から目覚める零は私の知らない零。
でもきっと、私はもう一度あなたを好きになる。
けど、好きなったとしても忘れはしない。
最後に笑った零の顔を。
「お約束通りまずはひっとりっと。」
そう言った男の腹に一本の剣が突き刺さった。
これが私の異能『無限の剣製(アンリテッド・ブレードワークス)』
どんな剣でも作り出すことができる。
でも、作り上げられた剣に名前なんてない。
宝剣でも聖剣でも神剣でもない。
魔導師相手だったらシールドも通らないくらいグダグタに作り上げられた剣
でも、ただの人間に痛みを与えるには十分だった。
そして、他のやつらにも
「ぐゅぎぁ!」
「ゲボォ!」
「ヌフォ!」
次々と剣を突き刺した。
殺しはしない。
皮肉にもこいつらのせいで零の気持ちや真実を知ることが出来たのだから。
「でも、零を撃ったことは許さない!」
私は肩、腕、脚などに次々と剣を突き刺した。
返り血は浴びてない。
だって次に会う零とのファーストコンタクトで血に濡れた私なんて見せたくないもの。
そして、上原 匠
お前だけは絶対に許さない!
殺すんじゃ生温い。
お前には死よりも恐ろしい絶望を味わわせてやる!
零くんゆっくりとお休みなさい
ちなみにオリ主君(笑)は自分が暗示をかけたことをわすれています