魔法少女リリカルなのは~踏み台に憑依した紅き閃光~   作:鳴海ゆの

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良いサブタイが思い付きません・・・( ;∀;)




mission04 似た者

目をさましたのは何処かのベッドの上だった。

 

先に起こったことは鮮明に覚えている。

 

この体のもとの持ち主『本物の衛玖珠 零』は完全に消え去った。

 

いや、違う。

 

正確には俺とアイツの魂は俺の魂を基盤として、ひとつに成った。

 

昔の俺には無かったものを俺はアイツのおかげで皮肉にも手に入れてしまった。

 

だからと言って、俺がアイツの代わりにアイツがしたかったことをするわけではない。

 

いや、これも違う。

 

アイツと一緒に成ったからこそ分かる。

 

『本物の衛玖珠 零』のしたかったことはもう終わったみたいだ。

 

「あ、目が覚めたみたいね。」

 

扉が開き、優希が入ってきた。

 

「ああ、しかし、ここは何処だ?

 

見たところ病院ではないようだが・・・。」

 

「うん、ここはね・・・。」

 

「僕の家さ。」

 

新しい声が聞こえた。

 

力強い声でありながら若々しさを兼ね備えている声だ。

 

その声の持ち主は『衛玖珠 零』としての記憶にあった人物であり、原作主人公の『高町 なのは』の父親でもある人物。。

 

「『高町 士郎』か・・・?」

 

「そうだね、実際に君に会うのは初めてかな?衛玖珠君。」

 

「そうだな、お前と会話した記憶は俺にはないな。」

 

「・・・君、本当に衛玖珠君かい?

 

なのはの話に出てくる人物とは随分違うようだけど・・・。」

 

「どういうふうに話されているかは知らないが、

きっともう『高町 なのは』から俺のことが話されることはそんなにないだろう。」

 

「・・・そうかい、ところで傷は大丈夫かい?

 

弾丸が貫通していたと思うのだけど・・・。」

 

「気遣いは無用だ。出血もなければ、痛みもない。」

 

『衛玖珠 零』から『ゼロ』に戻ったことで体が元のレプリロイドの状態に戻った。

 

おかげで怪我は殆ど治った。

 

レプリロイドの体は『ライビング・メタリウム』通称『ライブメタル』と呼ばれる物で構成されている。

 

この『ライブメタル』は例えるなら人間の細胞に最も近い物で壊れた部分に対しては自己修復をしようとする。

 

違うとすれば、人間の細胞が、怪我を治すのに一週間費やすのに対し、『ライブメタル』の自己修復による回復の場合、同じ怪我ならば一時間程で完治することが可能である。

 

「僕のせいで君に怪我をさせてしまって本当に申し訳ない。」

 

高町 士郎は自分のせいで俺に怪我を負わせてしまったことに負い目を感じているらしい。

 

「別にお前が気にすることではない。

 

俺が優希を守ったのは俺意思であり、怪我をした原因はそれだ。

 

しかし、お前が謝罪することで肩の荷が降りると言うのならその謝罪は受け取ろう。」

 

俺の言葉を聞き、高町 士郎は少しうれしそうな顔をした。

 

「二人とももう夜も遅いし、夕食を食べていくかい?」

 

高町 士郎はこのように提案した。

 

「いや、そこまでの心遣いは結構だ。」

 

「私も大丈夫です。」

 

俺と空気になりつつあった優希はそれを断る。

 

なぜなら、ここにいれば嫌でもアイツに会ってしまう可能性があるからだ。

 

「では、俺達はここで失礼する。」

 

俺は、未だに生傷だらけの体を起こし、高町 士郎に頭を下げ足早にそこを去った。

 

「あ、待ってよ、零!士郎さんさようなら。」

 

当然後ろから優希も着いてきたが・・・。

 

 

――――――――――

 

「なんで衛玖珠君が家から出てくるの!?」

 

高町家から出た俺達の前に高町 なのはが立ちふさがった。

 

「もう、用事は済んだ。

 

お前に用はない、どけ。」

 

「そういう言い方はないだろ!?」

 

(こいつ、もう退院したのか。

 

頑丈な奴だ。)

 

さらに、隣に昨日をそれなりの怪我を与えた筈の上原 匠も立っていた

 

「それに、優希まで連れて、またお前は魔法で人を自分の良いように動かしているのか!?」

 

何を言っているんだ。こいつは・・・。

 

『どちらかと言えば関係のない『本物の衛玖珠 零』を洗脳し操っていたのはこいつですもんね。

 

こいつにそんなこと言う権利有るんでしょうか?』

 

アイリスが俺に念話でそう伝えてくる。

 

『相手にするな、まあ、任せておけ。』

 

「俺はもう魔法は使ってないし、優希に関しても特別何かをしたわけではない。

 

そんなこと本人に聞いてみれば良いだろう。

 

そんなことも聞かないで決めつけるとは随分と幼稚な頭だな。」

 

『ゼロ~、それ煽ってますよ~。』

 

当然だ、煽っているのからな。

 

相手の精神を揺さぶる。

 

戦術の基本だ。

 

「っな!お前いったい何様なんだ!所詮踏み台のくせに!」

 

上原は案の定キレた。

 

「もう許さないぞ。この僕をコケにするなんて!

 

決闘だ!この前のはお前がイカサマしたに決まってる!」

 

「くだらん。

 

なぜ俺がお前たちのままごとのような戦いに参加しなければならない。

 

俺はお前と違って忙しいんだ。

 

人のために未来を変えるような暇はない。」

 

「んな!」

 

そういうと上原は結界をはった。

 

中にいるのは俺と奴だけだ。

 

「闇の書事件やJ・S事件には関わらないつもりか!?」

 

「何を言っているんだ?お前は・・・?

 

それにお前の望んだことだろう?

 

俺が高町 なのはやフェイト・テスタロッサに関わらないことは・・・。

 

もう一つ言っておくが俺はミッドチルダに行くつもりも、まして管理局に入るつもりもない。

 

最悪次の闇の書事件に関わったとしてもそこで終わりだ。

 

俺には俺の未来があるからな。」

 

「どうやらその考えに変わりはないようだな。

 

なら、僕が強制的に物語に関わらせてやる!

 

『イビル・アイ』!!」

 

そういうと奴の眼が赤く光った。

 

(なるほど、これが奴の催眠術の種というわけか。)

 

上原の眼から発せられる光の波に催眠魔法を乗せ、相手の脳に直接魔法をかける。

 

これにより、人間なら確実に催眠状態にさせること。

 

これこそが奴の催眠や洗脳の種のようだ。

 

ただし、人間限定だがな・・・。

 

レプリロイドとなった俺にそれは効かない。

 

レプリロイドの頭脳は人間のような脳ではなく、高性能の人工頭脳である。

 

基本的にそこに感情というものは存在しないが稀にエックスのように感情を持つレプリロイドもいる。

 

俺も『衛玖珠 零』の魂と同化したことで微量ではあるが感情を手に入れた。

 

「アッハッハッハ

 

これで君は僕の駒だ!やっぱり踏み台がいないと僕の主人公性が発揮しないだろう!

 

そうだな、まずは「何を一人で高笑いしている。」なんだと!!」

 

「『視線を合わせた人間を支配下におく』

 

いや、正しくは

 

『視線を合わせた人間を洗脳する』

 

といった方が正確か?

 

光波に術式を組み込んで、直接脳に働きかけるもののようだが所詮は子供騙しというわけか。

 

それ以前に、どうやら人の心を操っていたのはお前の方だったようだな。」

 

上原の方もまさか自分の魔法が防がれるとは露にも思っていなかったらしく驚愕の表情を浮かべていた。

 

「だ、黙れ!

 

僕の魔法を一つ防いだくらいでなんだ!?

 

調子に乗るなよ!

 

僕はお前なんかとは違って僕は相棒の『ジャスティス』と一緒に小さい頃から魔法の練習を毎日欠かさずやってきたんだ!

 

お前みたいに、神からの転生品に甘えて修行を怠ってきたやつなんかに負けるわけないだろ!」

 

自分には未だ手が残っている。そうやって意気込んではいるが強がっているのが目に見えて解る。

 

こいつはあいつに似ているとそう思う。

 

かつて、シエルが人々のために作り出した『英雄』になりたかったレプリロイド―コピーエックス―

 

彼もまた努力を怠ったわけではなかった。

 

彼が治めていた当時はレプリロイドにこそ辛い時代ではあったが後に訪れたバイルが統治したネオアルカディアと比べれば雲泥の差があるといっても過言ではなかった。

 

では、何がいけなかったのだろうか?

 

彼には優秀の鑑とも言える四天王も就いていた。

 

しかし、失敗した。

 

その一番の理由は『エックス』という自分のオリジナルに憧れ、そこをゴールだと考えてしまったことだろう。

 

確かにエックスは優秀なやつではあった。

 

しかし、あいつも所詮は俺と同じ戦うために作られたレプリロイド

 

統治者としてならあいつよりも優秀なやつはいくらでもいた。

 

それこそ、ネオアルカディアを一つの組織として考えるなら、レジスタンスからのシエルへの信頼が100%とするなら、ネオアルカディアからのエックスへの信頼は80%もなかっただろう。

 

それでもコピーエックスは『エックス』を目指した

 

そして、やつは自分に従う者達を残し、それ以外の者を追放することで統治者として『エックス』を越えてしまった。

 

故にやつは次になすべきことを見つけることが出来なかった。

 

『エックス』という偉大な英雄になるという目標を達成してしまったから。

 

大きな目標を越えてしまうことにより自分の先が見えなくなる。

 

これは意外にもよくあることである。

 

きっと上原も自身のオリジナルの魔法を使うことで、自分よりも戦闘に富んだ奴を従えることに成功したせいで、自身の目的をなくしてしまったのだろう。

 

そいつが例え戦闘に特化していたとしても催眠系の術式に強いとは限らないのに・・・。

 

だからといって、俺が手加減することはあり得ない。

 

俺は今は感情こそうっすらとはあるが所詮は戦うことしか出来ないレプリロイドだ。

 

目の前にやつが立ち塞がるというのなら叩っ斬るまでだ。

 

「面白い。では、俺もお前がそこまで言うのなら付き合ってやる。」

 

「抜かせ!僕の、思い通りにならないやつなんて皆消え失せてしまぇぇぇええええええええ!!」

 

そういうと上原は百は下らない数の魔力弾を作り出した。

 

こういうすぐに熱くなるところもコピーエックスにそっくりだ。

 

「まあいい、アイリス!」

 

『はい!武装展開!イレイスフォームだ。』

 

展開された姿は嘗ての俺の服装だ。

 

ヘッド、ボディ、フットどれも機械的なものだが、懐かしみを感じる物達ではあった。

 

普通ならば赤色である俺の戦闘服は赤紫色になっている。

 

エルピスや二回目の四天王達との戦いで大いに活躍してくれた『フォームチェンジシステム』の一つ本来はエネルギーを欠き消す物なのだがこの世界ではどうやら魔力を打ち消してくれる力を持つらしい。

 

「なんだ!?そのバリアジャケットは!?

 

お前のバリアジャケットは金色の鎧じゃなかったのか!?」

 

上原は驚愕しているのが目に見えて解る。

 

「答える必要があるか?来い。」

 

「ふざけるなぁあああああああ!!」

 

上原がそう叫ぶのと同時に無数の魔力弾が俺に向かって降り注いだ。

 

「アイリス、援護を頼む。

 

すべて叩き落とす。」

 

俺はゼットセイバーを握り、向かってくる魔力弾に備える。

 

『どうやらコントロールされているわけではないみたいです。

 

標的に向かって機械的に向かうように設定されています。』

 

まったく。俺の相棒はかなり優秀なようだな。

 

「コントロールしているものでないのなら簡単だ。

 

アイリス、軌道を先読みしてくれ。」

 

『了解、三時の方向から七、五時の方向から十二、真上から六、同時に来ます。』

 

「わかった。」

 

魔力弾は切りつけることで霧散する。

 

この世界において、イレイスフォームはかなり優秀なのかもしれない。

 

上原が打ち出した魔力弾を全て打ち落としやつを見る。

 

驚愕の顔はすでに真っ青に染まりきっていた。

 

俺は素早く奴に近づき

 

「ハァアアアア!」

 

肩から斜めに切りつけた。

 

イレイスフォームの力によってバリアジャケットは斬りつけられた直後に霧散した。

 

俺は上原が作った結界に近付きゼットセイバーで斬りつけた。

 

結界は瞬く間に霧散し、俺と倒れた上原はもとの世界へと戻る。

 

「た、匠くん!」

 

高町なのはは倒れている上原に近付きこちらを睨み付けた。

 

「どうしてこんなひどいことをするの!?

 

上原君はなにもしてないのに!」

 

こいつの頭の中はお花畑なのだろうか?

 

「何もしていないわけないだろう。

 

先の結界はこいつが張ったものだ。

 

それに中で『洗脳魔法』とやらもかけられそうになったぞ。」

 

「嘘!匠くんはそんなことしないの!

 

衛玖珠君が悪いに決まってるの!」

 

高町なのははどうしても俺を悪者にしたいらしい。

 

「そうか、ならそういうことにしておくといい。

 

俺たちは帰るぞ。

 

そいつの怪我の手当てでもしてやれば感謝の一つや二つされるのではないか?

 

行くぞ、優希。」

 

「あ、ちょっと待ってよ!」

 

俺と優希は高町なのはと上原から背を向け立ち去った。

 

 

 

――――そしてこれから数ヶ月後のこと

 

俺達は新たなる事件に巻き込まれることとなる。

 

悲劇と悲しみの連鎖

 

『闇の書事件』に・・・

 

 

 

 

 

 

 

 




今回は大分作者の妄想?が入っていますので細かいことはあまり気にしないで貰えると嬉しいです。

次回から原作突入予定です。

感想お待ちしております。
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