ダクファン帰りのエルフさんは配信がしたい   作:ぽいんと

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第1話の構成を変えました.



【配信前2】誰か大人の人呼んでくれる人呼んでくれ

 はっきりいってかなりまずいことになった。

 

 ふと後ろを振り返ると、先ほどまで話していた警察と連行されていく不良達がいる。

 綺麗な中世風ともいうべき、錬金術師のアトリエを模した店内は荒れ果て、玄関に新店長がこれ見よがしにおいていた壺が割れてしまっている。

 テーブルは吹き飛び、いくつかの椅子の足は折れてしまっていた。

 現場保存とかなんとかで、飛び散った食器の破片もそのままだ。

 

 昨日まではあれだけ綺麗だった店内がこうも無残になってしまうとは…………

 魔法があれば正直割とすぐに直せるのだが…………

 

 そう、ここは日本である。

 たやすく喧嘩を買ってはいけない。

 それが、正直、頭から吹っ飛んでいた。

 

 壊れてしまったドアを眺めていると、赤い衣装を着こんだ茜が駆けつけてきた。

 彼女は小波茜。

 関西弁の似合うモデル体型の美人女子大学生だ。

 

 「ちょ、ミシロ大丈夫なんか?えらい警察と話し込んでたけど」

 

 「平気平気。とりあえず状況が状況だから即連行はされないと思うよ」

 

 ちなみに「ミシロ」は私の名前だ。

 銀髪だがまぁ白っぽいし,妹分の「マシロ」に合わせて適当に付けた。

 フルネームだと「雪村ミシロ」である。

 ………顔立ちからいつもロシア人と間違えられるが。

 

 警察は詳しい事情聴取はまた後日でいいと言っていた。

 まぁ傍から見ればバットを持った多人数の不良モドキと、一見かよわい私一人だ。

 こっちからは特に攻撃してないので、周りの証言もあり正当防衛が認められたのだろう。

 ちなみにあっちだと街中で先に武器を抜いた時点で、殺してもいいことになっている。

 まともな衛兵がいれば止められるが。

 まぁさすがに殺しはしないが手首の一つや二つぐらいなら折ってたと思う。

 

 ちなみにご存じの通りここは日本だ。

 世紀末並みの倫理観のあっちじゃない。

 

 

 

 

 ――顛末はこうだ。

 

 まず、昼交代の直前にしつこい勧誘していた奴含む、柄の悪い連中が10人ぐらい入店してきた。

 

 正直その時点で嫌な予感がしたが、一応普通の客だった。

 ……全然、食べ物注文しない点で言えばクソだが。

 問題になったのは客が増えてきたころか。

 

 一緒に働いていた店員曰く、

 

 「あれはどう見たってあいつらが悪いよ。トイレにゲボ吐いて謝らない。客に陰キャだのチー牛だの不細工だの。挙句の果てにテーブルの上に足上げて、禁煙なのにタバコ吸って。注意したらいちゃもんつけられて私たちまで土下座させられて、ほんと最悪だった」

 

 である。まったくその通りだと思う。

 稀に見るクソ客だった。

 

 私が注意する間に警察呼んでもらう予定だったのだが、なんと店長、それぐらい我慢しろと。

 新店長も元ヤンか何からしく、警察の介入をめちゃくちゃ嫌っているのだ。

 店員が勝手に通報すると連絡した本人がめちゃくちゃ怒られるので、誰も連絡したがらない。

 

 店員を土下座させられた時点で相当イライラしていたので、売り言葉に買い言葉で口喧嘩がはじまり、胸倉をつかまれそうになったので反射的にそのまま投げ飛ばしてしまった。

 弁明させてほしいが、ここに私の意思は一切挟まっていない。

 体に染み込ませた反射反応が出てしまったのだ。

 

 後は、ずっと冷や汗をかきながら怒り狂う相手の攻撃を、いなして時に投げ飛ばすだけ。

 冷や汗をかいた理由は、エゴで申し訳ないが相手や周りへの心配じゃない。

 自分への心配だ。

 

 というのも万が一さっきのような反射反応が出れば、人外バレしかねないからだ。

 ただでさえ油断で茜と葵の二人にはばれているのだ。

 さすがにこれ以上人外バレしたくない。

 もし、魔法をバラすにしても、もう少し信用できる人間を増やしてからだろう。

 

 そういうわけで、近年まれに見る心を削る戦いだった。

 ある意味では、非常に熱い戦いだったかもしれない。

 縛りプレイ的な意味で。

 

 ………二度とやりたくないけど。

 

 

 店の奥から、のっそりと。

 何考えてるのかわかりづらい垂れ目をした、蒼い装衣をまとった葵が歩いてくる。

 彼女は小波葵。

 茜の双子の妹で、けだるけな黒髪巨乳大学生だ。

 いつもあまり会話には混ざらず一人でラノベか漫画、読もう小説をスマホで読んでいるのだが、今日は珍しくあたふたしていた。

 

 「……大変だったね。でもすごい、あれだけ激しく動いてたのに服には傷一つついてない」

 

 「この衣装も高いって聞いてたからね。前オーナーからだけど」

 

 「高いとか安いの問題やないと思うで」

 

 関西弁でツッコミを入れられつつ思う。

 こっちの装備はもろい。

 いやまぁ当たり前か、戦闘用じゃないしね。

 ともかくお気に入りのコスプレ衣装に傷一つつけないのも勝利条件の一つだった。

 

 「でも、これから大変やな」

 

 「うん、大変だと思う」

 

 そしてもう一番の心配だが………

 

 「仕事、どうすんだよこれ………」

 

 そう、仕事である。

 

 

 

 いやほんとどうしようか。

 エルフ耳と、身元が怪しすぎるせいで働ける場所がほんとに少ない。

 

 今月も家電揃えでお金がカツカツなのだ。

 大家さんには身元の怪しい人間を無理に住まわしてもらっているので、滞納もしたくない。

 

 路上ライブでもやるか……?

 と思ったが違法らしいのだ。

 日本は変なところで窮屈だ…………

 

 露店で料理店でもやるか……?

 と思ったが、これも法律でダメ。

 

 つみです。

 

 

 「弁償がなぁ………、上手くいけばいいけど………」

 

 「いや、どうみても被害者やろ、弁償せんでええんちゃうの……?」

 

 「店長は私に弁償させたがってるんだよ、本当に鬱陶しい………」

 

 

 さらに追い打ちというべきか、クソ店長はクソ高い壺の弁償を自分にさせる予定らしい。

 バックがやばそうな不良達より身寄りのない自分か。

 金ないなら風俗紹介するみたいなことも言っていた。

 もっとも壺の弁償は、上手くいけばなくなるかもしれないが。

 

 あっちの世界での私のジョブは、ゲーム風に言うならプリーストだ。

 そしてその僧侶―聖神官としての技能に、相手の嘘を見抜いたり、記憶を読んだりするというものがある。

 もっともこれ、無許可で記憶を勝手に読むのは犯罪だし、倫理的にまずいのはわかるので、普通はやらない。

 ただ、プリースト相手に嘘をついた場合は、神に背く天敵としてこの倫理が適応されないことになっている。

 

 ………いちいちこんな条件満たさなくてもバレないと思うが、一応である。

 こんなんでもあっちじゃ名の通ったプリーストなのだ。

 

 

 まぁともかくとして、店長は聖神官の前で嘘をついた。

 そしてその結果、店長は壺の鑑定書を偽造したということが分かった。 

 

 わざわざ玄関の体の当たりそうな位置のぐらついた机の上に壺を置いていたこと。

 事故後最速で弁護士が出てきたこと。

 反省の意を込めて今すぐ契約書にサインすれば、情状酌量して安くしてやると言われたこと。

 

 このあたりのことから踏まえて壺が本物か聞いてみたのだ。

 案の定嘘だった。

 大方、金に換えられない贋作の壺を適当に金に換える予定だったのだろう。

 クズ人間が考えそうなことだ。

 

 あっちの世界では探索者や傭兵、ハンターはしょっちゅういろんなものを壊す。

 その際には毎回、法務官ギルドから公証人という弁護士モドキを呼んで公平に判断してもらうのだ。

 この経験が無かったら騙されていたかもしれない。

 

 なので、警察に「美術品には一家言あるんですが、残っている壺は間違いなく偽物です」

 と、できるだけあざとく伝えておいた。

 

 『わたし、海外で育って、母親は幼いころに死んで、日本で身寄りがなくて………、幼い妹と二人暮らしで、もう、頼れる人がいなくて……』

 辛いことを思い出して出来るだけ目を麗わせ、服の裾をつかむ。

 相手が声をかけてくるまで目を伏せ、声が掛かったタイミングで顔をあげて遠慮がちに相手の目を見るのがポイントである。

 

 あっちのあざとい部下から演技指導してもらったので、それなりに演技はできるのだ。

 こういう時だけは、見た目がいいと得である。

 感動して泣いて連絡先をくれた警官さんはちょっと申し訳ないレベルでいい人だった。

 

 

 海外(異世界なので確かに海の外)で育ったのも本当だし、前世の母親は顔も覚えてない頃に死んだのも本当だし、あっちの世界から連れてきた妹分(15)は中学生相当なので幼いといえるし、日本に頼れる人はいないのでこれも本当である。

 

 何一つ嘘は言ってない。

 聖神官は嘘つかないからね。

 

 私はもう何一つ気にしてないという一点を除けばだが。

 

  

 

 とにかく、今日は疲れた。

 早くゆっくりしたいものだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

【ジョブ辞典抜粋:聖神官】

 聖神官は宗派を問わず教会に仕える神官である。それぞれが神聖魔法と呼ばれる、治癒と魂を扱う奇跡の御業を成す魔法を得意とする。清らかで美しい乙女しかなることができない。その中でも全ての神聖魔法を習得した聖級聖神官は、その奥義の1つとして他人の記憶を読む能力すら持っている。神に最も近い近い存在として彼女らは特別に、『聖女』と呼ばれる。

 

 本当に彼女らが清らかか、それは神のみぞ知る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 日本の夜景はなかなかに美しい。

 ネオンの光と街灯がいつも夜をやさしく照らしてくれる。

 

 ギルド本部がある街もなかなか綺麗だが、あちらは魔力場の影響で魔力灯が赤青緑黄、様々な色で光っている。

 荷物便の翼竜たちは一日中飛び交っているが、特に夜にはこっちでいうイルミネーションのような航空灯を纏っているので、空はいつもせわしない。

 ついでに結構な頻度で隕石と魔物が降ってきてジェノサイドパーティが始まる。

 ジェノサイドされるのが人か魔物かはその場所とタイミングによるが。

 それと比べると、静かな星空と暖色の明かりが織り成す日本の夜景はとてもやさしい。

 きっと日本人にきけば100人のうち95人があちらが美しいと答えるはずだが、私にとってはこちらが美しい。

 

 びゅうと吹き抜ける夜風が、否応なしに冷たい冬の訪れを告げる。

 

 「うぅ……、最近一気に寒くなってきたなぁ……」

 

 「フードつけっぱなしでも耳が蒸れにくくてちょうどいいんだけどな」

 

 「ミシロは目立つ……、主に耳が」

 

 私は仕事あがりの茜と葵と夜の街を歩いていた。

 この二人は純日本人だが、唯一エルフバレしているのでとても話しやすい。

 

 普段私は自前のエルフ耳をフードの奥に折って隠している。

 あんまり長時間やっていると耳が痛くなってくるし、出している状態の方が良く聴こえるので出来れば出したままにしたい。

 だが、自分の見た目も相まって結構目立ってしまうので普段は隠しているのだ。

 

 あっちの世界だと私はそれなりに有名人だと思う。

 仲間も多いし、指示すればすぐに動いてくれる部下のような人たちもいる。

 だが、仲間が増えるほどに敵も増えるわけで、街中で襲われるのもしょっちゅうだった。

 その点で言うと、私の顔を知らない人が多いこの町は非常に安心できる場所だ。

 

 「まぁ無駄に目立ってもロクなことないからなー」

 

 「あれだけミニライブとかやっといてよく言うわ」

 

 「あれはネット公開禁止してるからいいんだよ、ていうか自分からネットに顔さらすとか感覚が今も信じられんわ」

 

 「あ、あははははは、そ、そうかぁ………」

 

 妙にたじろく茜を見ながら考える。

 茜は積極的にお店用のYwitterを更新している。

 現代っ子的な考え方もあるだろうが、一番はやっぱり仕事だ。

 

 ウチの売りは女の子のレベルの高さでもあるので、客引きにはYwitterの更新も重要なのだ。

 まぁ最近は何もしなくても予約でいっぱいだったわけだが。

 ちなみに自分は他の子と一緒に映る写真にしか写っていない。

 なぜか呪われているのか、毎回撮る瞬間目をつむってしまうので自分の写真もあげてない。

 いつも文オンリーかスマホのスクショ(ロバ娘)だけである。

 

 

 10年ぶりの日本で驚いたことはいくつもあるが、その一つにゲーム実況がお仕事になっていることが挙げられる。

 10年前に見ていた実況者が、いつの間にか顔出して、いつの間にか100万近くの登録者を獲得して、専業で()()()()()()ゲーム実況しているのだ。

 そして彼らは皆総じて、平気でインターネットに顔を出している。

 

 このあたりの感覚がまだどうにも慣れない。

 未だ私はニマニマ動画の黎明期にとらわれているのだ。

 そんなこんなで自分は仕事でもネットに顔を上げたくないと考えているので、そのことをやんわりと周りに伝えている。

 

 「もったいない、こんなにかわいいのに」

 

 「かわいいよりかっこいい目指してるからなー」

 

 女になって10年たった今でも、女の子が好きなことは変わらなかった。

 あと女の子っぽい格好もちょっと苦手だ。

 なので、基本はパーカーにロングパンツスタイルだ。

 スカートはいやじゃ、足がスースーするし。

 

 そんなことを考えていると、ふとすれ違った女子高生たちの一人と目が合う。

 すると何かに気が付いたように声をあげた。

 

 「あっ、ちょ、ちょっと待ってくださいっ!!」

 

 ――陽動か……?

 

 足を止め、相手を見ながら周囲を警戒する。

 とりあえず目の前の相手は弱そうだし、狙撃手もいなさそうだ。

 目の前の相手は格闘経験もなさそうで、特に刺客でもないと思う。

 

 ………いや何考えてるんだ、日本にそんなポンポン敵がいてたまるか。

 

 「なんか用か?」

 

 内心は隠して、努めてポーカーフェイスで答える。

 

 「あっ、ええっと、あの、そのぉーーー」

 

 言いよどむ先頭の子に、残りの二人があつまってくる。

 

 「えっなになにっ?あっ!!」

 「あっ、あっ、この子、この子って!」

 

 色めき立った子たちを見ていると気分はまるで有名人だ。

 おかしいな、有名になる要素なんてなかったと思うんだが………?

 

 「び、び、」

 「………?」

 

 よほど緊張しているのか興奮しているのか、目をあちこちに漂わせている。

 

 「美少女ロシア系忍者のアナスタシアちゃんですか!?」

 『なんて?』

 

 思わずあっちの言語で聞き返してしまった。

 誰だよそれ。

 いや、アナスタシアは店で使っている名前なので分かる。

 美少女も、まぁわかる。

 ロシア系も、まぁまだわかる。

 忍者って何?

 てかなんで知ってるの?LIMEやってる?口止めしていい?

 

 いや、ここは冷静になろう。

 聞き間違いかもしれないのだ。

 

 「もう一回言ってもらっていい?」

 「ロシア系忍者のアナスタシアちゃんですか!?」

 

 なんということだ、聞き間違えじゃなかったらしい。

 

 

 私たち3人と女子高生3人で話し込むこと数分。

 原因が分かった。

 

 これだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▶ ▶❘ ♪
 
 ⚙ ❐ ▭ ▣ 

【喧嘩】コスプレ美少女ロシア忍者が強すぎるwww【不良10対1で無双】

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 めぎど 
 チャンネル登録 

 チャンネル登録者数 893人 

 

 

 「ミシロバズってんなぁ、いや、勝手に動画上げられてんのか」

 

 「ZowTubeとまとめサイトにも転載されてる。掲示板にスレも立ってる、絶賛お祭りだね」

 

 「…………」

 

 女子高生たちは、Ywitterのある投稿を見て私を知ったらしい。

 その投稿は、不良達のあまりの不快さに撮影して晒し上げることを決めた客の一人が偶然撮った映像だった。

 

 持ってきた酒で騒ぐ不良達に、注意しにきた店員を言いくるめて土下座させる姿、注意する私。

 始まる喧嘩、無様に吹っ飛ぶ不良、そして最後に静まり返った店内で、ヤケクソ気味に完全勝利ポーズを決める私。

 

 いくつかのパートに分かれていたが、その全てがネットに投稿されていた。

 あまりの不良の不快さに特定も進んでいるらしい。

 ついでに私も。

 

 「忍者ですか!!?もしかして日本の忍者に憧れて本当の忍者になったんですか!!??」

 「いや、機関のエージェントさんだよきっと、本当は目立っちゃいけないのに友達のために立ち上がったんですよね!?」

 「か、かっこいい…………!」

 

 せっかくなので、近くのベンチで6人でタブレットを囲んで見てみた。

 ちなみにZowTube版であり、しかも何故か4Kまで画質がある。

 もっともタブレットだと4kは意味ないのでHDで見たが。

 

 半日も経ってないのに既に1000件以上のコメントが寄せられており、30万回以上再生されていた。

 

 

 この外人店員すごすぎる。けど周りはなにやってるんだ,どうして警察呼ばない。

 リアルがフィクションを超えた日

 おいカメラ,戦闘シーンは角度変えて撮るもんだぞ

 映画化決定

 コンビニで働いてる俺からするとクソ客が痛い目見て清々するわ

 2:01:みえ、3:22:神業コップキャッチ、3:27:みえ

 

 

 特に目立っているのが私の戦闘スタイルか。

 コンクリ壁ぶっ壊せる私がいつも通り殴ると多分破裂する。

 なので、こっちの世界でいう合気道に近い技術を使って戦っていた。

 本来は、あっちの世界の合気道は力の強いモンスターや魔物の攻撃を受け流す技なので、立場が逆転しているのはちょっと不思議な感覚だが。

 

 忍者と言われているのは、近くに落ちていた飾りの鎖を使ってバットやら木刀を弾き飛ばしていたのが原因だろう。

 刃物が戦闘に使えない縛りがある私は、鎖をよく戦闘で使っていたので受け流しにちょうどよかったのだ。

 自前のもいつでも持ち出せるようにはしてあるが、何もないところから取り出すとバレるしね。

 

 あとは、両方向から殴ってきたやつをごっつんこさせたり、つかみかかってきたやつを頭からこかせたり、相手の肩を使って前宙したり、壁キックしたり、割とやりたい放題やっていたのが忍者と思われた原因か。

 

 ん~~~~~

 

 い、いや、私これバカすぎる!!

 なんでこれで普通の人間ですって誤魔化せると思ったんだ。

 いや確かに無理な動きはしてないけど、それは不可能じゃないってだけの話だ。

 コインが10回連続表出たのをみて、まぁ普通にあるよねとか言ってるのと同じだ。

 

 「ミシロちゃん、顔赤いで」

 「あ、う、はずかしすぎるな、これ、私、バカだなこれ……」

 「赤くてかわいいから写真撮っていい?」

 「ダメに決まってるだろはっ倒すぞ」

 

 女子高生たちには教えてくれたお礼に、目の前で二連バック宙を見せてあげた。

 めちゃくちゃキャーキャー言われたのでちょっと照れてしまった。

 笑顔の子供はやっぱりかわいい。

 

 ちなみにYwitterの最初の投稿主のツイートは既に4万リツイートを超えているらしい。

 ふと見ると何故か放置に近いYwitterアカウントのフォロワー数が4000人近く増えていた。

 

 ………なんだこれ

 

 

アナスタシア@アトリエール/@ana_atelier

ディープちゃん出なくて天井まで二万課金したら妹にガチギレされて夕飯抜きになりました。ぐすん。

#ガチャ爆死 #無料100連求む

@14  ↺1420  ♡3120  …

Reply to @ana_atelier

懲役100年小僧/@xxxxxx
3m

Replying to @ana_atelier

ガチャは爆死したかもしれんが、よくぞクソガキを憤死させたな!誉めたるで!!

@  ↺11  ♡23  …

にんてんちゃん@裏サブ/@xxxxxx
3m

Replying to @ana_atelier

あいつに店売ったのが失敗でした。ごめんねアナちゃん。

@  ↺  ♡  …

 

 ………これ以降何もツイートしてなかったからか最新のツイートがめちゃくちゃリツイートされてネタにされている。

 にんてんちゃんは前オーナーのサブアカだったはず。

 何かと目をかけてくれたいい人だった。

 ――何かつぶやこうと思ったが、墓穴を掘る未来しか見えない。

 

 

 いつだって世界は私に優しくないなぁ。

 

 

 

 

 

 

【食べりゅログ:喫茶アトリエール:★4.0】

 評価:★4.2

 独身アラサー女二人で夕食に

 予約していなければまず入れないと思います。

 路地裏にあるとは聞いていましたが、思ったより奥の寂れた外観でした。

 しかし、外観とは裏腹に、玄関を2つ開けばそこには異世界が広がっていました。

 

 コンセプトである優しい錬金術士というだけあって、店員さんの笑顔も衣装もすごくきれいで可愛らしいです。そして何より棚に乗った色とりどりに光る薬液が夜の薄暗さと相まって幻想感を掻き立てます。ただ、玄関の悪趣味な壺はどうかと思いました。それにぐらつく台に乗っていて落としそうになったので、正直どけてほしいと思います。減点-★0.2

 

 料理は特に語ることないです。

 なんたって私たちの働く店の2つ星シェフが引き抜かれた店ですからね。

 ぜひ一度行ってみてはいかがでしょうか。

 

 

 

 

 




2021/12/02:特殊タグなるものを試してみました。
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