五条悟の妹は千里眼を持って呪術廻戦の世界を生き抜く   作:アルトリア・ブラック(Main)

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第5話『全てを見渡す眼』

ー高専最下層ー

 

虎杖たちは高専最下層にある天元のいる場所に入ると、天元が現れ、羂索の目的や五条兄妹の封印解除方法についての話になった。

 

「五条悟の封印を解くには、五条零の封印を解いた方が良いだろう。封印解除に必要な天の逆鉾を持っているのも彼女だし、別の方法で解除できる可能性を持つのも彼女さ」

 

「っし!じゃあ、零先生を見つければ良いんだな!」

 

虎杖の言葉に九十九が苦笑いする。

 

「…あの人が封印されてる場所は物じゃない。建物内にある異空間という結界だ。つまり、日本各地にあるんだよ」

 

「??つまり??」

 

「どこにでもあってどこにもない、つまり、封印場所を限定出来ない以上、解除したところで生還できる保障はないってことか…」

 

真希の言葉に九十九が頷き

 

「アンタの術式なら、彼女を解放できるんじゃないの?」

 

「無理だよ、出来るとしても彼女が拒否したら不可能なんだ。そもそも、彼女が今昏睡状態にある以上、こちらから関与しても意味がないだろう」

 

「先生、意識ないの!?」と一人驚く虎杖に伏黒がわかりやすくため息をつき

 

「…あの人が拒否したら無理ってどういうことですか?それに…天元様とあの人って繋がってるんですか?」

 

普通は天元の意識が外にいる術師に繋がることはない。

 

「彼女の持つ眼・千里眼は並行世界や九年先の未来まで見ることができる。つまるところ、私自身も認識されているんだ、死滅回遊のルールだって、彼女がいたら無意味になってしまうからね」

 

「千里眼って何?未来視?」

 

「そうだよ…」

 

「え?!つまり最強じゃん!?」

 

「…お前には、あとで説明するから」

 

「あ、はい」

 

「確かにな、見るだけで事象を変更し、あったことをなかったことにするなんてチートも華々しいな、それじゃ、死滅回遊の開催だってなかったことに出来てしまうから羂索も警戒したわけか」

 

「もっとも彼女自身が自分で出てきてもらった方が上手くいくだろう。あの結界は獄門疆とは違って封印を解除する方法は、権利は封印された本人にある。だからこそ、封印する前に本人を気絶させるのが何よりの優先事項なんだよ」

 

天元の言葉に「だから、零先生に対してあの特級呪霊が向かったのか」と伏黒が呟く

 

五条零の天敵。ツギハギの呪霊が言っていた『花御』と呼ばれる呪霊

 

植物を操り、天元様の結界も正常に作用されない呪霊。

 

「そうだよ、彼女の未来視には無機物や植物、ビルなどと言った建物は認識の範囲外になる。つまるところ、未来視に映らない、だからこそ彼女はそれに対する術は持たない」

 

「…私の考えなんだけど、五条さん(零のこと)は自分で自分に縛りをかけているように見えるけどな…千里眼っていうのはあらゆる事象を見ることの出来る眼だろう?それが、何故、九年先に限定されてる?」

 

九十九の言葉に天元は手らしき物で宙を指差し

 

「普通の人間が千里眼なんて物を手に入れて平然と生きていられると思うかい?未来は見えないからこそ、人間としてのあり方を確立できる。そんな未来を万年先まで見れてしまったら生きることを拒絶してしまうだろう?私だって未来は見えない。神であろうとなんであろうと真っ先に制限するのは千里眼さ」

 

「「「………」」」

 

「それを彼女は制限出来なかった。あろうことか、この世に生まれてきて死ぬ手段すらなかった。理由は簡単だよ、彼女は六眼を守るためだけに生まれてきたようなものさ」

 

五条悟が生きている限り、彼女は死ぬことは出来ない。

 

「…双子の兄のために生きて、死ねと言われたら死ねるのか」

 

真希の不機嫌な声に乙骨が『真希さん?』と気遣わしげに言ってくる。

 

「そうだよ、まぁ、彼女の封印を解除するのが何よりの優先事項だろうね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー???ー

 

転生してからも普通に前世の記憶があるなんておかしな話だった。

 

それに、この世界にも兄はいた。

 

だからこそ、夢なのだろう。

 

母と出かけて毎日を過ごす日々だった。

 

「それでね、ーー、今日も…」

 

ショッピングモールから出たとき、何か違和感を感じた。

 

「…!」

 

サングラスをかけたスーツ姿の人がいた。

 

「………七海…?」

 

「ーー?どうしたの?」

 

母が声をかけてくる。

 

「なんでも…」

 

『いつまで眠っているんですか』

 

そう声をかけてくる

 

母には七海が見えていない。

 

『貴女は生きているのがつらいかもしれませんが、それでも、貴女には生きていて欲しいのです』

 

冷たい風が吹き荒れる。

 

『貴女は五条零ですよ、私の自慢の先輩です』

 

次に見えたのは駅構内で、七海の体が崩壊して行く寸前の光景だった。

 

「ーー、どうしたの?!どこか悪いの?」

 

母が心配そうに私の体を抱きしめていた。

 

「………お母さん」

 

「?何?」

 

「…私は、佐藤凛は死んだんだよ」

 

昔の名前。生まれ変わる前の本当の名前

 

「…なにを、言ってるの…?だって、貴女は…」

 

「………」

 

お母さんは、死を受け入れられてないんだ。

 

死なないで欲しかったから、ひたすらに生きて欲しいと願ったんだ。

 

前世の私の死因は車に轢かれたことによる事故死だった。

 

奇しくも、里香が死んだ理由と同じだった。

 

ただ、違うのは母が普通の人間でありながら、人一倍感受性の強い人だったから乙骨君のように死を拒絶したのだろう。

 

(…だから私は中途半端に記憶があって、中途半端な未来しか見えないんだ)

 

母のせいなんて言えない。

 

だって、死んでしまった自分が悪いのだから

 

「…お母さん。ごめんね、死んじゃってごめん。でも、今だから分かるんだ、お母さんがどれだけ愛情のある人かって」

 

生まれ変わって感じた、前世の両親の偉大さ、前世の母の温もり

 

みんな、生まれ変わった後はなかった。

 

ただ悟と二人、嫉妬やら下心のある人間から逃げる日々だった。

 

「だから、お母さんは兄さんを守ってあげて」

 

この世界の兄は悟と違ってずっとずっと後悔して悲しんでるままだ。

 

あの日、私が『佐藤凛』が死んだ日に居合わせたのは兄だったんだ。

 

だからこそ、悲しみ後悔してる。

 

私がこうやって亡霊になって一人で話している母を見て悲しんだのだろう。

 

「生んでくれてありがとう、私ね、今すごく幸せだよ」

 

そう微笑むと母が涙を流しながら「凛…!」と崩れ落ち、後ろから兄が走ってくる。

 

「もういいのかぃ?」

 

聞き覚えのある声に横を見る

 

「人の過去を勝手に見ないでくれない?傑」

 

そう言うと高専姿の夏油が笑いながら「ごめんごめん」と言ってくる。

 

「案内は必要かい?」

 

「少しだけお願い」

 

「了解」

 

零と夏油は二人で歩いていると、草原の場所にたどり着く

 

「行っておいで」

 

「うん。ありがとう傑」

 

振り返らず、コンクリートから足を一歩前に出して、草に足をつける。

 

「……」

 

草原の真ん中にある不自然な扉

 

その扉はまるでエレベーターのようだった。

 

息を吸い、頭上を見上げる。

 

月のある位置には地球と同じぐらいの惑星があり、零は目を閉じる。

 

「……あの世界で生きよう、生きて生きよう」

 

平和な前世から変わり、あの地獄のような世界に戻らねばならない。

 

エレベーターの向こう側にある箱の横に悟が座っているのを確認し、息を吸う

 

 

 

 

 

 

日車との戦いの後、虎杖は灰原と合流し、建物内に来ていた。

 

「このエレベーターに異空間が確認されたんすか?」

 

二人で階段を上りながら話す。

 

「うん。それに、ここにくる高専術師を抹殺するように動く呪霊もいた。つまるところ、ここに零さんがいる可能性が高いんだ」

 

それは同時に羂索がいる可能性も高い。

 

二人で警戒しながら進んでいると…

 

「やぁ、やっぱり来たね」

 

「「!!」」

 

そう手を振っている羂索に二人は驚く

 

「羂索!!」

 

敵意むき出しの灰原と、五条悟が封印されている箱を探している虎杖を見て

 

「悪いけど、獄門疆は置いてきたよ、一度にハイリスクは犯さないさ」

 

「お前がここにいるってことは、零さんはここにいるんだな」

 

「ご明察、まぁ、彼女が自力で出ることはかなわないけどね」

 

そう言ってエレベーターがある壁を触る

 

壁が変形し、壁がエレベーターを飲み込むようになる。

 

「!!」

 

「彼女の千里眼は完璧じゃない。故にここから出ることは出来ないさ、それに、君達二人じゃどう足掻いたって無理だろう?それとも宿儺に頼るかい?」

 

その言葉に虎杖は『死んでも変わんねぇ!』と怒鳴る。

 

渋谷でたくさんの人間を虐殺してしまった記憶が蘇る。

 

「あはは、その心意気は良し、だけど…バカだねぇ」

 

そう言って呪霊を放出する。

 

「灰原サンっ!」

 

「僕に構わないで戦って!!」

 

「!応っ!」

 

呪霊に向かって拳を振り上げる

 

「黒閃!!」

 

「あはは、頑張るねぇ〜」

 

羂索が笑いながら見ていると…

 

チンッ

 

「?」

 

壁の中からエレベーターが止まる音が聞こえてくる。

 

次の瞬間…

 

壁が何かに切り刻まれるように崩壊していく。

 

「っ…!」

 

慌てて飛びのく羂索

 

すると、その壁の中から出てきたのは…

 

「………」

 

「零先生!!」

 

瞳の色が以前より赤々と光る五条零がいた。

 

手には首斬り刀が握られていた。

 

「二ヶ月と二日振りね、羂索」

 

(自力で出てきたのか…!いや…)

 

出る手段は何もなかった。

 

エレベーターが止まる音はしたが、結界が破られる音はしなかった。

 

と言うことは…

 

()()()()()()()()()()()()!!」

 

そのことに冷や汗を流す

 

「…あぁ、あのままあの特級呪霊が殴り殺してたら良かったのにな、お前ってホント、計画に意味を持たせようと動き過ぎた馬鹿だよ」

 

そう言って首斬り刀を向ける。

 

「…七海を、よくも殺したなオマエ」

 

 




久々の雪だぁあ!!(喜び方が小学生)

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