五条悟の妹は千里眼を持って呪術廻戦の世界を生き抜く   作:アルトリア・ブラック(Main)

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pixivの方となんとなく似ておりますが、違う展開になっております。

それに加筆してます


第2話『選べなかった未来』

「ハァ…学校生活楽しいなぁ〜」

 

湯船に浸かりながら休む

 

寮生活になって、隣同士ではあるものの、悟と違う部屋になってから、いろんなことが出来るようになった。

 

夜は一人で寝るのが寂しいのか、悟が突撃して来る流れで、最近は夏油くんや家入さんも来るようになった。

 

(呪力の勉強もしないといけないのは面倒だけど、まぁ…それは生きて行く上で仕方ないことだし…)

 

湯船に顎下まで浸かっていると…

 

 

ジジッとノイズが頭の中に流れる

 

『いいか!妾は天元様で、天元様は妾なのじゃ!』

 

『悪いな男の名を覚えるのは苦手なんだ』

 

『君は生きていいんだよ、僕達は最強なんだ』

 

 

 

『……コイツら、殺すか?』

 

 

 

 

「ゲホッッ!ゲホッハァ!!」

 

溺れかけた零は過呼吸になりかける。

 

(…見ようとしていないのに、未来が…見えた…?)

 

「ハァ…ハァ…」

 

深呼吸をし、これから起こりうる現象を見る。

 

(…星漿体…天元様の同化の任務…その間に起こるのは呪詛師集団によるテロ騒動と、時の器の会…伏黒甚爾が仕掛けた暗殺によって悟と夏油くんの溝が深まり…最終的に…)

 

見えた未来に泣きたくなる

 

「……見たくないなぁ…」

 

悟のあの悲痛な顔

 

夏油くんの絶望

 

湯船から上がり、服を着ながら考える。

 

ポタポタと髪から水が落ちて行くのを鏡越しに見つめる。

 

一つの並行世界が消えた。

 

選びたかった未来が消えた。

 

(…あぁ、そういうこと…)

 

私という存在はこの時間軸だけじゃなく、別の世界にもいる可能性が高い。

 

ならば、良い未来の取り合いが行われてもおかしくない。

 

「………ごめんね、悟」

 

どんなに救いたくても決定されてしまった未来は変えられない。

 

 

 

 

 

 

 

星漿体の任務は悟と夏油、零の三人に任されることになった。

 

星漿体・天内理子を保護し、呪詛師集団『Q』の一人をコテンパンにやっつけた後、零は天内理子を保護した二人の元に行く

 

「夏油くん、お兄ちゃん、保護したの?」

 

天内理子が悟と夏油に絞られてる瞬間を見てしまった。

 

「……お邪魔しました〜」

 

「去るな去るな」

 

「それで?その子が護衛対象だよね?」

 

「(で、でかい…)天内理子じゃ!」

 

「そ、星漿体・天内理子とそのお付きの人・黒井美里さん」

 

夏油の説明にふむふむと納得する。

 

「じゃなくて!!黒井!学校に行かないと!」

 

「理子様ぁ〜!」

 

「どういう状況?」

 

「これから学校に行くんだとよ、天元様から『出来るだけ要望を叶えるように』とか言われたからなぁ〜」

 

嫌そうにしながら後をついて行く悟達。

 

 

 

 

「いくら高専の術師はやれても、五条の家の人間に追われることはしたくなかったんだが、これで良かったか?」

 

時雨に電話しながら問いかける甚爾

 

伏黒甚爾の目の前には血だらけで倒れている零がいた。

 

『今後の為にもそいつは殺しておいた方がいいぞ』

 

「確か、コイツの名前、五条零だったよな?無下限貼ってなかったぞ?」

 

甚爾は零に背を向けて歩き始める。

 

『そいつの目は千里眼。呪力によって未来が見えてるんだ』

 

「あぁ、だからこそ俺を認識するのが遅れてたワケか、呪力0もそこはありがたいな」

 

『星漿体の抹殺は無事に完了したから戻ってこい』

 

「はいよ〜」

 

そう言って電源を切ると…

 

「零…?」

 

後方から聞こえてくる声

 

振り返ると、そこには先程刺したはずの五条悟がいた。

 

「…反転術式か」

 

ハイになっている目をしていたが、妹の姿を見て冷静になったのか、ゆっくりと歩み寄ってくる

 

「…!」

 

五条零の指が動いた。

 

「ッチ!」

 

刺そうとするが先に五条悟が飛んできた為、後退する。

 

「未来見えてるはずなのになぁ、なんでやられてんだよ…なんで無下限解いてるんだよ、この馬鹿妹はさぁ〜」

 

ハイになった状態で零をお姫様抱っこし、距離を置いてくる。

 

「硝子ー、零が重傷を負ったから手当てしてくんね?マジで急いで来て」

 

そう言って零を木の陰に下ろすと

 

「マジで許さね、殺してやるよ」

 

強烈な殺気に甚爾は久しぶりに冷や汗を流す。

 

 

 

 

天内理子が死んだことは悲しくなかった。

 

理子が死んだことに悲しみはなかったが、妹が殺されかけているのを見るのだけは強烈な怒りと殺気を感じた。

 

他人が死ぬことに関しては動揺も悲しみも湧かないというのに、妹が怪我したりするだけであんなに怒りが湧いた。

 

怒りが湧いて仕方なかった。

 

「殺してやるよ」

 

そう言って呪力を練る。

 

虚式『茈』

 

地面が抉られ、伏黒甚爾の体をえぐり取る。

 

「何か言い残すことは?」

 

人を殺めるというのに酷く冷静な声で聴ける言葉

 

「……に売られる子供がいる。好きにしろ」

 

息子を託すような言葉に悟はため息を吐く

 

絶命した男を見て、背を向けて歩き始める。

 

「……なんで急に茈が出来るようになったんだ…?」

 

今までは何回やろうとしても無理だった

 

それが今出来るようになった。

 

理由は分からなかったが、頭をかき、天内の遺体を取り返す為に歩き始める

 

 

 

 

 

 

 

星漿体の事件から数日後、兄がやたら心配してくる事が増えた。

 

任務が終わった数分後には大丈夫だった?と送ってくる始末だ。

 

「…歳をとればとるほど、日に日にシスコン度が増してるような気がする…」

 

自動販売機の前で愚痴をもらすと夏油が「ははは」と乾いた笑みを浮かべる。

 

「傑、なんか飲む?」

 

「…要らない」

 

「じゃあ、明日なんか奢るよ」

 

「何がどうしてその解釈になった…」

 

コーラを飲みながら、自販機に寄りかかる。

 

「傑ってホント真面目だよねー、その真面目さの半分をお兄ちゃんに煎じて飲ませてくれない?」

 

「無理だよ、悟は、アレが素のままなんだから」

 

「早々に見捨てられた…(笑)」

 

「あ、零先輩!夏油先輩っ!」

 

灰原が二人に礼儀正しくお辞儀してくる。

 

「よ、灰原」「元気だね相変わらず」と二人が返す

 

「灰原、最近上手くやれているか?つらくないか?」

 

夏油の言葉に灰原は『つらくないです!』と元気に返す。

 

(傑、元気ないな…ホント)

 

いつだって壊れるのは真面目な人で、真面目な人が苦しむように世の中はできている。

 

そもそも、不真面目な人間などは、そういうつらい選択を取らないように動いているから壊れないのだろうが

 

「非術師がいなくなれば呪霊は生まれない…」

 

その言葉を夏油が言ったあと、自分が口にしたことに驚いたのか、慌てて訂正しようとしてくる。

 

「まぁ、それも一理ある。呪霊は術師から生まれないからね、何を取るのも君の選択肢次第さ」

 

九十九の言葉に零は嫌そうな顔をする。

 

「それって事実ですか?」

 

「おや、何か気に障ったかな?五条のお姫さん。あ、そっか、君は未来視が使えるんだったね、もしかして原因療法が可能になる未来なんてあるのかい?」

 

興味津々な言葉に零は『今から10年間は来ませんよそんな未来』と返す。

 

「少なくとも10年は来ないかぁ〜うーん。君の目って確実?」

 

「さぁ、急に変わることはありますけど、基本的にありませんよ?だって、10年20年前で人なんか変わるわけないじゃないですか、それに、術師からでも呪霊は生まれますよ?」

 

「へ?」

 

今から数年後の未来、術師の子供が恋人を死なせたくないという呪いから発生した者が現れる。

 

「非術師から生まれる呪霊よりタチ悪いですよ、それに、こういう問答は意味がないですし、やめにしません?」

 

「…零?って、ちょっ」

 

傑の手を引っ張る

 

「もうそろそろ寝る時間なので、学生はおとなしく部屋に戻りますよ」

 

そう言って傑の手を掴んで引っ張る。

 

「君は自分で未来を選び取れるんだろう?5年分の命と引き換えに」

 

「…!」

 

「……」

 

九十九は楽しそうな顔を浮かべる。夏油は驚いた顔をする

 

「君が子供の頃、五条家が君にやらせたコト、そして、もう一つは」

 

「九十九さん」

 

静かな声に驚いた九十九を放っておき、傑の手を引っ張る

 

 

腕を引っ張って行くと

 

「零…」

 

傑の静かな声に立ち止まる。

 

「何?」

 

「さっきの話、本当かい…?」

 

暗い表情に苦笑いし

 

「本当だよ、命と引き換えにやれる」

 

「…天内理子の時も死なせないように出来たのか?」

 

「…出来たけど、それは限りなく難しい話だったんだ」

 

「難しい話…?」

 

「さっきの話で違うところがあったんだけど、私は未来は変えられない。平行世界の事象と入れ替えて行えるだけ、よく言えば都合の悪いことをなかったことに出来る術式。とは言っても、離れすぎてる平行世界の選択肢は取れないから意味がないけど」

 

「じゃあ、理子さんが死なない未来はつかめたはずじゃないのか!」

 

夏油が胸倉を掴んでくる

 

「無理だったんだよ、平行世界は数え切れないぐらいある。それに並んで私も存在してる。つまり、別の世界の私がその未来を選択してたら、私はもう選択できない。選べない未来になっちゃうんだよ」

 

「…!」

 

「…そんなに万能じゃなくてごめんね…正直こんな目要らない。ただ見えるだけの目なんで要らない。ごめん…救えなくて…」

 

泣きそうになってしまうのを必死に抑え、平常心を保つ

 

夏油は胸ぐらから手を離し、零を抱きしめる。

 

「…ごめん。無責任な事を言って…本当にすまない…」

 

優しい声に泣きそうになる。

 

(あぁ、助けられない…救えない、ごめんね、傑…)

 

 

何かを得るには何かを捨てなければならない。

 

誰かを助けるということは誰かを助けないということ

 

夏油傑が助けられる未来はもう、どこにもない

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