五条悟の妹は千里眼を持って呪術廻戦の世界を生き抜く 作:アルトリア・ブラック(Main)
1月後半から本格的に忙しくなるので小説投稿できなくなるのでごめんなさい。
ー高専ー
交流会の後、東京に戻ってきた乙骨は教室でのんびりとしていた。
夏油傑の宣戦布告から数ヶ月後、呪術師たちが夏油によって倒されていると話になり、ドタバタしていた、
「なーんかとんでもないことになっちゃったなー」
一人教室でボーとしていると…
ガラッと教室の扉が開き、真希が入ってくる。
「真希さん」
「何してんだ。今週は休講だろ」
「いやなんか落ち着かなくて…寮の人達も全然いないし…」
どかっとテーブルの上に座る真希
「棘は三、四年と新宿でバックアップ。パンダは学長のお気に入りだからな、棘と一緒だろ」
「そっかぁ」
「……汗」
「…聞けよ」
「え?!」
「気になってんだろ、なんで私が落ちこぼれか」
夏油傑が『落ちこぼれ』と言っていたのを思い出す
「いや……うん。はい」
「禪院家ははな、御三家って呼ばれるエリート呪術師の家系なんだよ。お前、呪術師に必要な最低限の素質って分かるか?」
「うーん……何かなぁ」
「呪いが見えることだ」
「あ、そっか」
「一般人でも死に際とか特殊な状況で見えることがあるけどな、私はこのダッセェ眼鏡がねぇと呪いが見えねぇ。私の呪具は最初っから呪力がこもってるモンで、私がとうこうしてるわけじゃねぇ」
眼鏡を外してみせる真希
「…でも、零先生は呪具でも戦ってるよ?」
「呪術師全般が使わないとかそういうことは言ってねぇ、アイツは元から呪力量がえげつねえんだよ、あのバカ目隠しみたいに常に無下限を張ってても反転術式で常に脳をクリアにしてる。それに、アイツが持ってる刀は特級呪具で、それこそ遠くからビームを撃つことだって出来んだよ」
「へー…す、すごい」
「…私はアイツから貰った眼鏡を掛けなきゃ呪霊を祓うことすら出来ない。だからこそ、猿とか落ちこぼれって言われてるんだよ」
そう言うと、机から降りる。
「じゃあ、真希さんは家の人を見返してやりたくて呪術師になったの?」
「ああ、ついでに言うなら今のままでもダメなんだよ、この呪具やら今の私が高専に通えてるのもアイツの援助があってこそなんだよ」
「零先生の…?」
椅子に座り頬杖をつく
「アイツは呪術界の常識が一切通じない。そもそも、上層部はアイツの言葉に常に怯えてるんだよ」
「そうなの?」
「考えてみろ、自分の未来が相手には筒抜けの状態だ。しかも、未来があるのかないのかは相手が握り締めてるんだよ」
「えーと…それってつまり?」
首を傾げる
「アイツの術式は千里眼ってだけじゃねぇ『都合の悪い事をなかったことにする』術式だ」
「…へ?!それってすごくない?」
零が望めば、あの夏油が言ったように非術師を皆殺しにする未来にしたり、呪術師上層部を破滅させたり出来るのだ。
「アイツはそんな使い勝手の良いモンじゃないって言ってたけどな、不可能だとは言ってねぇ、やらないだけでやれるだろうな」
雑談していると…
『闇より出でて、闇より黒く、その穢れを禊ぎ祓え』
「「!!」」
高専内に帳が降りてくる。
「誰が…!どうして!?」
「高専に敵が入ってきた可能性が高い!見に行くぞ!」
そう言って真希が呪具を持って走って行く。
ー東京・新宿ー
新宿内に数多の呪霊が溢れかえっていた。
「一人、めんどくさそうな奴がいるな…」
悟はビルの上にいる人物を見る
「五条さん!!」
伊知地が走って行く
「報告が…どうされました?」
「いや。なんでもない、どうした?」
目立ちたがりが前線に出てこない。
(…京都の方に行ったか?なら、何かしら連絡があるだろ)
零がいる地点では順調に呪霊を退治しているとの報告がくる。
「こんな時にとは思いますが、早い方が良いかと思って…以前調査を依頼された乙骨の件です」
「パンダ、棘!」
「なん…」
最後まで言い終わる前に二人の首根っこを掴み
「質問禁止!今から二人を呪術高専に送る」
「はぁ!!?」
「真希は今高専にいる!絶対、多分!間違いない!」
「どっちだよ!!!」
「勘が当たれば、最悪、憂太と真希二人死ぬ!!」
「「!!」」
「僕もあの外国人を片付けたらすぐに行く!二人を守れ、死守だ!」
「応!!」
「しゃけ!!」
ドンッ!とその場から消える。
「君たち、歳は?」
「15」
「その歳ならまだ善悪の区別も付いてないでしょうに」
伊知地と相対している双子の女の子を見る。
首をつられた三人の補助監督の縄を切り、三人を地面に下ろす。
「全く、補助監督ばっかり狙うなんて趣味悪いね」
かろうじて息をしている三人を地面に下ろす。
「!五条さん!」
「「!!」」
「伊知地、搬送よろしく」
「は、はい!」
美々子と菜々子が明らかに警戒の色を露わにする。
(傑から術師は殺さないようにと言われてるはずだけど、補助監督は範囲外なのか…)
「補助監督を呪殺したら他の術師と連携が取れなくなるから、狙うのもわかるけどねぇ、傑からなるべく殺さないようにという言伝は守れなかったの?」
そう言うと明らかに二人が「なんで知って…」と言う。
菜々子が『コイツ、確か千里眼持ってたはず』と言って警戒態勢に入る。
首吊りの術式を使ってきたが、射程範囲内に入らないように瞬時に動く
「っ!!」
美々子の横に刀を持って移動すると、明らかに怯えたような表情を見せる
(別に殺すつもりはないけど…今ここで死んでた方が幸せな気がする)
今から数年後に彼女たちは特級呪物に殺される未来が待ち構えている。
あんな死に方よりも即死した方が幸せだと思っていた。
「!よっと」
美々子を守るように大型の一級呪霊が飛んでくる。
喰われかけたが、呪力を刀に纏わせ、そのまま勢いよく斬りつける。
斬られた呪霊は爆発するように消える。
「「きゃあ!!」」
熱風が二人を押し飛ばす。
二人は腰や頭をさすりながら起き上がり
「夏油様の初恋の人だからって容赦しない!」
菜々子の敵意の眼差しに「へ?」となる。
『夏油傑の初恋の人』
(…仲間たちになんてこと言ってるんだよ…)
確かに学生時代に夏油と付き合った経歴はあるが、今は決別してしまったのだ。
(確か…まだあの時は別れてなかったから今も継続してるとか思ってんのかな?まぁ、別にどうでもいいけど)
菜々子の攻撃が炸裂しそうになると…
ドンッ!!とビルに何か直撃して来る
「「!?」」
「っ」
頭をさすりながら煙の中から出てきた外国人。
「ミゲル!?何してんの?!」
その言葉に『見て分カレ!』
「あ、悟。思いのほか苦戦してるね」
声をかけると煙の中から悟が現れる。
「めんどくせぇよ、あの縄に当たったら術式が乱される」
「でもまぁ、生きてるじゃん」
「当たり前だろ、だって俺最強だぜ」
零は双子を見た後、悟の方を見る。
「高専にパンダと棘を送った。真希と憂太を助けには行ったけど、不安だから応援に行ってくれ」
零を見て言う「オーケー」と言って、双子の前から姿を消す。
「ま、待て!」
誰かの声が聞こえたが、無視して帳の近くにくる。
「………」
着いた瞬間に帳が消えて行く。
(…乙骨君の呪力が落ち着いたな…)
代わりに傑の呪力がみるみる内に落ちて行くのを察知する。
首斬り刀を持ってある地点に歩いて行く
「…零か…随分遅かったね、ここは悟がくると思ったんだけど、零で詰んでしまったか」
腕のない傑がズルズルと地面に座り込む
「……悟はミゲルっていう外国人に随分押されてたから、私が代わりにきたんだよ、それより…乙骨君、なかなかだったでしょう?」
その言葉に夏油は笑いながら空を見上げる。
「なかなかだったよ、自分の命を糧に全力を出してくるなんて思わなかった。完敗だ、零は分かってて止めに来なかったんだろう?」
「…乙骨君は私よりも強いからね、加勢に行かなくても良かったんだよ、それに…」
夏油を見つめると「…そんな顔しないでくれないか?」と言ってくる。
「零を確かに降ったことはかなり悟からキレられたよ、あのモンペ、妹のことになると怖いんだから」
「………」
「私は非術師は嫌いだ。どう言われようとそこは変わらない…」
「……非術師も、呪術師も変わんないよ」
「零からしてみればね、それでも、私は呪術師が無駄に命を消費させるこの世界が嫌いだったんだ」
夏油の身体から血が流れて行く
「……傑。何か言い残すことは」
首斬り刀にありったけの呪力を込める。
「私はこの世界では笑えなかった。だからこそ、呪術師だけの世界を作って笑いたかったんだ」
その言葉を聞き
「五年分…」
「?もしかして…」
首を傾げたが、瞬時に何を言ったか理解した夏油はまっすぐ零を見る。
「…ここに来るのは本当は悟だった。あのミゲルって外国人を簡単に倒してここに来て、傑を殺すはずだった。でも、そうはさせなかった。分かる?」
今から人の命を奪う。
そのことに途端に刀が重くなる。
それがなおさら、かつての親友で、恋人だった相手の命なのだから
「…驚いたなぁ、私はそんなに愛されてたのか…五年分の命を犠牲にするぐらい」
「まさに呪いだ」と言う傑に
「…傑を呪いにはしないよ、めんどくさいから」
「ハハ、そこは呪ってくれよ」
笑いながら目線を逸らす
「傑」
「?」
傑の目線がこっちを見る。
「ーーーー」
呟くように言うと、傑は笑う
「最期ぐらい呪いの言葉を言えよ」
刀を振り上げ、そのまま振り下ろす
返り血が飛んでくる。
無下限に当たらず、そのまま当たる。
「…………」
首を斬る感覚はこんなにも嫌なのか
目の前が、赤く染まる。
「………赤い目って、本当に赤く見えるんだなぁ」
現実逃避のように空を仰ぐが、すぐに傑を見て、ポケットから携帯を出す。
「………灰原。火持って来てくれない?今すぐ」
そう言って携帯を閉じる。
傑の目の前に屈み込むと
「………おやすみ…」
そう呟く
後ろから走ってくる音が聞こえる。