五条悟の妹は千里眼を持って呪術廻戦の世界を生き抜く 作:アルトリア・ブラック(Main)
百鬼夜行の後の話があります。
夏油×オリ主の描写があります(ありました)
ー高専内ー
夏油一派の事件から数日後、高専上層部は乙骨が特級過呪怨霊・祈本里香の解呪に成功したため、特級から四級への降格となった。
そして、最悪の呪詛師・夏油傑を処刑、遺体を焼却した五条零は現在上層部に呼ばれていた。
「夏油の中にいる呪霊が爆発的に解放されたが、どう言い訳する?!」
夏油傑の遺体を焼却処分した際、夏油が取り込んでいた呪霊が一気にこの世に放たれた。
その場にいた零の対処によって、特級呪霊のほとんどが狩り殺されたが、それでも数体の特級呪霊は逃げ出してしまった。
「言い訳も何もしませんよ、そもそも、土葬なんてもんをしたら今後厄介なことになりますし、焼却が一番有効だと思ったんですよ、現に自分が蒔いた種は自分で何とかしてるでしょう?」
「黙れ!そもそも、自分の行いを正しいと思うな!」
ぎゃいのぎゃいの騒ぐ上層部に零はため息をつく
「……胡座かいてるだけの人間達に言われたくないな、ぶっちゃけて言うけど、それ以外の対処の仕方あったんなら教えて欲しかったですよ、土葬して封印したところで、その遺体に取り憑くような第三者がいたら?狂信者達が夏油の死体を使って復活させたりするかもしれない未来があったりするかもしれないし」
サングラス越しに見える真っ赤な目に上層部は黙り込む
「最善の選択を取ったまでですよ、じゃ、私もこの後任務があるんでお暇させてもらいますよ」
そう言って部屋から出て行く。
(……傑は呪術師が非術師の生み出す呪いによって使い潰されるのは嫌だとか言ってたけど、使い潰してんのは呪術師なのになぁ)
あの馬鹿真面目は究極論に至ってしまった。
「はぁ…真面目すぎるのも考えものだなー…」
そうため息をつくと
「零先輩!」
「!あ、灰原、どうしたの?」
三級呪術師として勤めている灰原が後ろから走ってくる。
「零先輩!上から何か言われました?」
心配そうに言ってくる言葉にサングラス越しに微笑み
「まぁね、傑の遺体から飛び出した呪霊の対処をどうするつもりだって怒られたね、ほんと、こっちが処理してんだから姑みたいに叱らなくても良いのにさ」
傑が取り込んでいた呪霊に関しては大体把握している。
(…生まれ変わる前だったら、ある意味この重労働に耐えられなかっただろうけど、二時間の睡眠で全快出来る体って良いな)
「………」
「どしたの、灰原」
灰原は無言で零の背後にいた。
「零先輩は…夏油先輩を倒した時、どうして…」
灰原が何を言おうとしたのか理解し、苦笑いする。
「あぁ、乙骨君みたいに特級過呪怨霊にしなかったか?」
「……はい」
乙骨と五条兄妹は超遠縁だが、同じ血が流れている。
結果的に言えば乙骨に出来ることは出来る可能性があるのだ。
高専時代の自分たちを知っている灰原は、零が夏油への思いを知っていたのだろう。
「一瞬は考えたよ、そうしたら良いかなって」
夏油が特級過呪怨霊になる未来なんて何もなかった。
だからこそ、試してみたかった。
しかし…
「でもまぁ、乙骨君の時と違って、向こうは調子に乗るだろうし、何よりも『この世界では笑えなかった』って言ってる奴を怨霊にまでして生かしたくなかったし」
「…そう、ですか…」
自分でも驚くほど、あの時は冷静だった。
涙ひとつ流れることはなかった。
漠然と『あぁ、死んだんだな』とそれしかなかった。
自分にとって夏油傑と過ごした日々は過去のことで、彼に本気で恋をしたのも過去のことになっていた。
殺す間際まではいろいろ躊躇った。
流石に人の命を奪うのを嬉々としてやれるほど狂人でもなかった。
灰原はまっすぐと見つめ
「零先輩っ、何かあれば、何かあったら僕にいつでも頼ってください!零先輩より弱いし、何も出来ないけど、でも…」
灰原からの気遣いの言葉に微笑む
「ありがとう、灰原。いろいろ心配かけてごめんね」
「っ…!」
灰原は何か悔しそうな顔をしたが「大丈夫です」と返してくる。
すると、携帯に電話がかかってくる。
伊知地からの電話に出る。
〜高専内部〜
「………」
家入は一人、タバコを吸いながら学生たちが鍛錬しているのを見ていた。
『硝子、夏油殺したんだけど、焼却処分していい?』
夏油一派が引き起こした事件に終止符を打った五条兄妹と学生たち。
硝子はその当日、突然とかかってきた電話に「は?」となる。
夏油を殺したと零から連絡が入り、急いで現場に向かえば、ライターを持っている灰原と、返り血を浴びて真顔の零がいた。
目の前には見るも無残な夏油の遺体があった。
女でありながら人体の首と胴を別れさせることができる腕力を持つ零にも引いたが、何より機械的に処理しようとしている零の異常さに引いた。
(…数年見てきたつもりだったけど、あそこまで壊れてたなんてなぁ…)
今の零にあるのはなんなのだろうか
未来を見て、不幸な未来にしないようにするだけのロボットなのか
上層部を憎みながらも何もしない零。
守りたい人とどうでもいい人の分別で動く彼女
そんな機械的になって行っている零を見て気味が悪くなった。
灰原の悔しそうな顔が見えていない零。
思えば、零が最後に笑ったのはいつだろうか
泣いたのは?怒っていたのは?
「焼却処分なんてしたら呪霊が一気に放たれるぞ」
あの時の自分もまぁおかしかったと思うが、自分より壊れている人間を見ると何故か冷静になってしまう。
「そっか、んー…土葬したら後々面倒なことになるからやっぱり燃やしていい?」
(じゃあ、なんで呼んだんだとか思ったけど、アレはあれなりにSOSだったのか…)
無意識に親しい人間を呼んで、無意識に助けてと言っていた。
ライターを持って来させるのだって、本当は新田あたりで良かったのだ。
それをあえて灰原に頼んだのは、助けて欲しかったからなのだろう。
タバコを吸っていると…
「硝子、禁煙したんじゃないのー?」
そう言ってやって来たのは五条悟で、あの頃から何も変わらなかった。
「禁煙は辞めたよ、我慢するのもしんどいんだ」
そう言うと「そういうもん?」と言って隣に立つ。
「……五条。零とはあの後会ってるか?」
傑を殺したあれ以降から
「会ってないなぁ、お互い忙しすぎてなかなかね」
悟は双子の妹のことなら自分の命よりも大事にしているだろう。
超が付くほどのシスコンだ。
「妹がどうかした?」
その問いかけに硝子は話し始める。
「このままじゃ、アイツ。呪詛師落ちするぞ」
そう言うと悟は分かりやすく固まり『は…?』となる?
「どういうこと?」
「本人はもう限界そうなんだよ。最後に会ったとき、物凄く機械的になってた。それに、目つきが夏油と同じになってきてるんだよ」
「………」
そう言うと悟は無言になり、窓の外を見る。
「夏油の時もそうだったが、本当にきつい奴は助けてなんて言わない。自分でなんとかしようと動いて壊れる。お前は助けて欲しいと言う奴しか助けられないとか言ってたが、そのままだと本当に大切な奴も失うぞ、それでもいいなら放っておいて良いと思うが」
「……硝子。診断書出してくんない?」
「了解」
「…悟と一緒にスタバに来るってキツイんだけど」
二人でスタバに来た悟と零は圧倒的に人の目を引き寄せていた。
サングラス二人に長身の男女
女子高生たちやら主婦層の人々が『恋人?兄弟かしら?』みたいな話が上がっていた。
「キツくないっしょ、ほら、何飲む?」
「じゃあ、キャラメル」
「りょーかい」
二人で飲みながら車に行くと、悟が運転席に乗り、零が助手席に座る。
「お兄ちゃんって車の運転持ってたっけ?」
「前取ったんだよ、お前が言ってただろ?プライベートまで伊知地を使うなって、だから免許取ったの」
「そうなんだ」
高速のサービスエリアに着き、海を眺める。
「それで、急に仕事を取り消してどうしたの」
「んー、久しぶりに遊びてぇなって思って」
「え?」
悟は笑顔になっていう。
悟が誘ってくる未来は正直見えなかった。
悟の未来は死ぬか生きるかの未来しか見えないことがある。
それ以外の未来はあまり見えない。
「教師として仕事し始めてからお互いあんまり休んでねぇだろ?俺が五条家の当主になってから、お前への結婚話やらなんやらは頓挫させてるけど、そういう事務的なことしかしてないじゃん?」
「そういえばそうだね…昔みたいにこうやってのんびりしたりしてないね」
悟を見ると、何か考えているような表情だった?
「それでさ、ほい」
そう言って悟からプレゼントを渡される。
「何これ?」
「指輪」
「………はい?」
血の繋がった双子の妹にそんなもの渡してくるなんてと悟の意図が読めなかった。
野次馬が「きゃー!指輪渡したわ!」とかなんとか騒いでいる声が聞こえたが無視する。
「別に結婚指輪とかそんなんじゃねぇ、それ、海外出張の時に見つけたんだよ、イラクに行った時に手に入れた」
「……見た感じ、呪具だよね…これ」
禍々しい何かを感じる
「なんだっけ、古代ウルクの王様の指輪がどうのこうのって言ってたな」
「…そこは大事なところなんだから覚えとこうよ」
「それを付けてると、自身の能力を制限する代わりに指輪が結界の役割をしてくれるんだってさ」
「…意味なくない?無下限あるんだけど…」
「あははは、二重結界みたいでよくない?そもそも、零、油断しやすいんだからよくね」
「…否定ができない」
指輪を見ていると…
「零。頼むから置いてくなよ、つらくなったらいつでも兄ちゃんに頼れ」
そう背中を優しく叩かれ、何か込み上げて来た。
急いで目をさすっていると…
「ほら、帰ろうぜ」
そう言って手を引いて車に向かう。
「…お兄ちゃん…ありがとう」
「おう、助けてって辛い時は言えよ、何処に居ようと飛んでくから」
【ウルクで見つけた黄金の指輪】
五条悟が手に入れた特級呪具。
かなりヤバイ代物らしく、手に入れた人間が大事に扱わないと怒涛のように不幸をもたらしていた。
能力を制限する代わりに結界を張ってくれるらしいが、非術師には効果なし
ーー億円したらしい