この中二病少女に祝福を!   作:猿野ただすみ

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多分エタる。


第0章 デスコミュニケーション
プロローグ


……ここは、何処だろう? 気がついたら私は、この白い空間にいた。でも何故か、私はこのシチュエーションを知っている気がする。はて、何処でだっただろうか?

そもそも私は、どうしてここにいるのか。確か私は、溺れてる女の子を助けるために川に飛び込んで、岸にいた人に女の子を託して…。あ。その直後、私は足を痙って…。それじゃあ私は…。

 

「ようこそ、死後の世界へ。高橋めぐみさん、貴女は先程お亡くなりになりました」

 

突然声をかけられ前を向くと、そこには水色の長い髪の、美人のお姉さんがいた。そして私は気づく。このシチュエーションってもしかして。

 

「神様転生!?」

 

思わず声を上げる私。するとお姉さんは一瞬驚いたものの、すぐに砕けた口調で話しかけてきた。

 

「あら、わかってるじゃない。私はアクア。日本において、若くして死んだ人間を導く女神よ」

 

最初の厳かな雰囲気は何処へやら。さっきのは仕事モードで、この女神アクア様、実は結構フランクな性格らしい。

 

「それじゃあこの後、私が言うこともわかってるわね?」

「ええと、定番では天国に行くか、生まれ変わるか、あるいは特典貰って異世界へ転生するか、と選択肢を出されるといった所でしょうか」

 

まあ最後の選択肢は、別の人物に憑依転生だったり、物語の世界によく似た世界に紛れ込む、なんてパターンもありますが。

 

「うんうん、説明が省けて嬉しいわ。貴女には異世界で、魔王を倒して貰いたいのよ」

 

どうやら正解だったようだ。しかし、魔王討伐とは。ありがちではあるが、なかなかハードな話である。

 

「ちなみに天国は、美味しい物もゲームも、エッチい事もない、日がな一日ぼーっと暮らすだけの場所なんだけど」

「天国という名の地獄ですね、私としては」

 

自分が中二病気質なのは自覚してますが、それとは別に、普通に恋愛だってしてみたい。生まれてこの方十三年、私は初恋もまだなのだ。達観した生活などしたくもない。

そして当然生まれ変われば、現世の記憶など無くなってしまうだろう。だが私はゼロからやり直すほど、人生を満喫していない。ならば、選択するのは決まってる。

 

「そうですね。その選択肢なら、異世界転生がしたいです」

「そうよね。貴女ならそう言ってくれると思ったわ。それじゃあ、貴女に与える転生特典をひとつ、選んで頂戴」

 

そう言って分厚いカタログを、私に渡してきた。……まずい、ダジャレになってしまった。口に出してなくてよかったと、心底思う。

気を取り直し、私はカタログを捲っていく。ここは大事なところだ。いわゆる俺TUEEEE! になるか、ミスってどん底からの出発となるかの瀬戸際である。

カタログを流し見てゆき、ページも半ばまで行った所で、ふとある考えが浮かぶ。

 

「あの、アクア様」

「ん? 何かしら?」

 

ポリッツを食べながら返事を返す女神様。やる気、ありませんね。

 

「特典は、このカタログに載っているものだけなのですか?」

「そんな事ないわよ。あまりにも度が過ぎてなければ、大概の要望に応えるわ」

 

よかった。それならば。

 

「でしたら私に、あらゆる魔法を使いこなす為に必要な、全ての資質をください!」

「……資質? あらゆる魔法じゃなくて?」

「はい! 魔法なら、転生先で覚えれば事足ります。ですが、資質が無ければ宝の持ち腐れです!」

 

私の説明に、なるほどと頷くアクア様。

 

「それじゃあ貴女は、世界一の魔法使いを目指すのね?」

「いえ、目指すのは大魔道士です!」

「大……魔道士?」

「はい! マトリフ師匠や、兄弟子のポップ兄さんに負けない大魔道士になるのが、私の夢ですから!」

 

[ダイ大]こと[ダイの大冒険]は、私の心のバイブルです! 私が熱く語ると、アクア様は目を丸くして私を見つめ。

 

「ええっと、貴女っていわゆる中二病ってやつ?」

「中二病を悪く言わないでください!

ええそうです、私は中二病と呼ばれていますとも。ですが、これから行くところはおそらく、こちらで言うファンタジー世界なのでしょう? でしたら、中二病の夢が夢でなくなるということではありませんか!!」

 

特典を貰い転生すれば、大魔道士を名乗っても変な目で見られることはなくなるのだ。ああ、なんて素晴らしいことだろうか。

 

「えっと…、貴女がそれでいいなら構わないんだけど。……貴女、紅魔族じゃないわよね?」

「こうまぞく? 何ですか、そのカッコいいパワーワードは!?」

 

私の中二魂を激しく揺さぶります!

 

「高い魔力と知力を持った、魔法のエキスパート集団よ。赤い瞳と特殊な性格、変わった名前が特徴の、まあ、貴女好みな一族ね」

 

こ、これは! 異世界へ行く楽しみが、またひとつ増えてしまったじゃないですかっ!

 

「アクア様、早く私をイカせてくださいっ!」

「ちょっと貴女、言葉足らずでアヤシイい表現になってるんだけど?」

 

アクア様が何を言ってるのかわからないが、私のこの逸る気持ちは止められない! 私はアクア様の胸ぐらを掴み、ガックンガックン前後に揺さぶる。そのおり、胸がたゆんたゆん揺れるのは、若干ムカつくけど。

 

「さあ! 私は早くイキたいんですっ!」

「わかった! わかったから、これ以上揺さぶらないでぇ!」

 

アクア様が叫び、私は手を離す。

 

「全く、もう。女の子が臆面もなくイクだなんて、はしたないわよ?」

 

は? ……あ!?

ようやく私は、アクア様が言っていた意味を理解し、それと同時に顔が紅潮してくるのがわかる。

 

「ヤレヤレ、ね。……さて、それじゃあ貴女を異世界に送るわ。その魔法陣から動かないでね?」

 

言われて、私の足下に魔法陣が浮かびあがっていることに、ようやく気がついた。

コホン、とアクア様が咳払いをする。

 

「高橋めぐみさん、貴女をこれから異世界へと送ります。もしも魔王を倒した暁には、神々からの贈り物を授けましょう。例えどんな願いでも、ひとつだけ叶えてあげます」

「なんと!?」

 

これは、俄然やる気が出てきました!

 

「新たな勇者よ。願わくば、数多の勇者候補達の中から、貴女が魔王を打ち倒すことを祈っています。……さあ、旅立ちなさい!」

 

アクア様の言葉と共に魔法陣が輝き、浮遊感を感じ私は、新たなる世界へと送られた。

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

ふう、何だか変わった子だったわね。まあ、今まで向こうに送った人達にも、結構変わったのはいたけど。

でも、女の子を助けるために命を落としたのだから、とても良い子なのは間違いないわ。きっと向こうでも活躍してくれるわよね。

さて、そろそろ次の死者を案内しないと。……はあ、面倒くさい。どうして平和な日本で、こんなに若者が死ぬのかしら?

ええと、次の相手は…、佐藤和真。え? 何この死亡理由。プークスクス、超ウケるんですけど。

よーし、ストレス解消に揶揄(からか)ってやろうっと!




なんとなく思いついたので書いてみました。最低でも某少年誌の、10週打ち切りくらいの終わらせ方にはしたい。

……ちなみに、めぐみの誕生日もめぐみんと同じです。
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