裁判から数日後。領主…いい加減アルダープでいいか。とにかく、彼に呼び出されたダクネスさんは出かけて行き。一晩過ぎても帰ってこなかった。
「あああああああっ!!」
突然和真さんが叫びだして、思わずびくりとしてしまった。
「か、和真さん、どうしたのですか?」
「お前、随分と落ち着いてるな!? ダクネスが一晩経っても戻ってこないんだぞ? 今頃…」
う。いや、私もその不安をムリヤリ押し込めていたのだが。
「で、ですが、ダクネスさんも『常識の範囲内』と言ってましたから…」
「あの男が、そんな約束守るタイプだと思うのか!?」
「そ、それは…」
やめてほしい。どんどん不安になってくる。
と、そこへめぐみんがやって来た。その腕には。
「なーう」
あの黒猫が抱かれていた。
「ちょむすけではないですか!」
私はめぐみんに駆け寄ると、奪うようにしてちょむすけを抱きしめる。ああ、心が癒される。
「ええと、そいつを屋敷で飼いたいと。……っていうか、ちょむすけ?」
「ええ。大人しい子なので迷惑はかけ名前に文句があるなら聞こうじゃないか」
「お願いするのか怒るのか、どっちかにしろ」
お願いの途中で怒りだすめぐみんに、和真さんは突っ込んだ。だがすぐに気持ちを切り替え。
「……まあ、いいんじゃないか? というか、めぐみが凄い目つきで訴えてるし」
おっと、いかんいかん。せっかくの癒やし枠に、つい感情が表に出てしまったようだ。
「お、何だこいつ、人懐っこいな」
和真さんが、私が抱えたちょむすけに手を差し出すと、その指に前足を乗せて甘える。ううむ、なんだか和真さんに嫉妬してしまう。私はこれほどに独占欲が強かったのか。
「あ痛っ!」
頭を撫でようとしたアクア様の手を、ちょむすけが引っ掻いた。
「ちょっとこの子、どうして私にだけ爪を立てるの!? この漆黒の毛皮といい、ふてぶてしい態度といい、何か邪悪なオーラを感じるわね!」
懐かないちょむすけに、食ってかかるアクア様。いつもならロッドを振り下ろしてるところだが、ちょむすけに癒されている今の私は軽く聞き流した。まあ、どのみち手が塞がっていて、そんな事は出来ないのだが。
「ほら、めぐみ。いつまでも抱えてないで、そろそろ下ろしてやれよ」
「あ、そうですね」
「そうだ。朝飯の残りの魚があったな」
ちょむすけをゆっくりと下ろす中、和真さんはテーブルに置いてあった魚をお皿ごと取り、ちょむすけの前に置いた。すると。
ちょむすけは口から小さな炎を吐き、魚を炙った。
いや、ちょっと待ってほしい。猫って火を吐くものだったか? 型月の
「……なあ、アクア。この辺の猫って、火を吐くんだな」
「何バカ言ってるの?」
「猫は火なんて吐きませんよ」
和真さんの呟きに、アクア様もめぐみんも、呆れた眼差しを向ける。
「いや、だって、今こいつが…」
「和真さん、やめましょう。きっとイタい人だと思われます」
「だけど、……いや、そうだな」
言い返そうとしたものの、考え直したのかすぐに肯定に変わる。
「ところで、先程は何を騒いでいたのですか? ダクネスの事なら、もう子供ではないのですし、一晩戻らなかったくらいで騒ぐほどのことではないでしょう」
「お前も随分と落ち着いてるが、相手はあの領主なんだぞ?」
ああ、やめてください。せっかくちょむすけのおかげで、心が癒されたというのに。
「た、確かにあの領主には、
「お前、この間何を聞いてたんだ? ダクネスはあの時、ハッキリと言ったんだぞ。『千載一遇のチャンスを逃してしまったっ!!』ってな!」
「「!!」」
めぐみんと共に、私もハッとさせられた。そうだった。ダクネスさんならむしろ、相手の誘いに乗りかねないのだ!
「ダダダダクネスさんががが!?」
「どどどうしましょう! カズマ、ダクネスが…」
「二人とも、落ち着け。もう一晩経っている。既に手遅れだ。いいか。ダクネスが帰ってきたら、普段と変わらず優しくしてやるんだぞ?」
そんな。ダクネスさんが、ダクネスさんが…。いや、落ち着け! 魔法使いは常にクールに、クールに…、出来るかあああ!
そんな、心の中での葛藤の
「サトウカズマ! サトウカズマはいるかっ!!」
検察官のセナさんである。
今、俺達は街の外にいる。雪原と化したそこには、アクアを追いかけるジャイアントトードの姿。
セナの話によると、冬眠中のジャイアントトードが、何かに怯えるように地上に這い出してきたそうだ。そして数日前の、二夜連続の爆裂魔法。この関連性を疑われたのである。というか、俺から見ても関連する可能性は濃厚な気がする。
そんな訳で俺達は、カエル討伐へと駆り出されたのだ。
「いやあああああ! もういやあああああああ!!」
いつもの如く、カエルに追われるアクアを眺めながら、我思う。
「ここのカエルは寒くても、動きが鈍らないんだな。ここの連中は、生き物といい野菜といい、逞しすぎやしないか?」
「過酷な世界だからこそ、生き物は皆、その時を精一杯生きるのです」
俺の発言に、めぐみんがもっともらしいことを返してくる。カエルに下半身を飲み込まれながら。爆裂魔法を撃ち終えたところで、いつもの如くぱっくりいかれたのだ。
「めぐみん、助けは要りますか?」
「いえ、今はいいです。アクアを先に助けてあげてください」
「……カエルの中は、暖かいからですか?」
「はい」
呆れたように尋ねるめぐみに、めぐみんはキッパリと答えた。よし。放置決定だな。
「あ、あなた達は、仲間がこの様な状態なのに随分と冷静ですね?」
「「いつものことなので」」
立会人としてついて来たセナが、かなり引いた口調で聞いてきたので、そう答えてやった。めぐみとセリフが被ったが。
「それじゃあめぐみ、ぱぱっと頼む」
「何でそこは人任せなんですか。せっかくキースさんから、[弓]と[狙撃]のスキルを教わったというのに。それに、今のところジャイアントトードを倒してないのは、元々頭数に入っていないアクア様を除けば和真さんだけですよ?」
く、さすがめぐみ。中々痛いところを突いてくる。はぁ、しょうがねえな。
俺は弓を取り出し、矢を番える。[弓]はその名の通り、弓を扱えるようになるスキル。そして[狙撃]は、飛び道具を使用したときの飛距離が伸び、更に幸運値が高いほど命中率が上がるという、俺のためと言って差し支えがないようなスキルだ。
俺は弓を引き絞り、ジャイアントトードに狙いを定める。
「カズマー! 早く、早くしてー!」
泣き叫ぶアクアを見て、もう少し追い詰めたい衝動に駆られたが、目聡いめぐみの視線が気になり、素直に矢を射た。矢はアクアの髪を僅かにかすり、カエルの眉間へと突き刺さる。
「よし。めぐみん、今助けてやるからな」
「ちょっと待ちなさい! 今、矢が私の頭のチャームポイントをかすったんですけど!」
うわぁ、めんどくせぇ!
「さあ、謝って! 今すぐ謝っt」
ぱくり、と。カエルは何事も無かったかのように、アクアを頭から丸呑みにした。
「そ、そんな。俺の攻撃が効かないなんて…」
「アクア様ああああ! 『
呆然とする俺を余所に、めぐみが俺の腰に差していた剣を奪って、ジャイアントトードへと駆け出していった。
「えぐっ、うぐっ、うああ…」
助け出されたアクアが泣きじゃくる。
「あ、あなた達は、いつもこんな危なげな戦い方をしているのですか?」
その様子を見ていたセナが、そんな事を言っている。いつもはめぐみの活躍でもう少しマシだが、それでもカバーしきれてないのが現状だ。
そんな、半ば諦めにも似た想いを抱きながら、そろそろめぐみんを助けてやらねばと思った、その時。
げこ! げろげろ!
聞きたくもない鳴き声に振り返れば、更に三匹のカエルが現れた!
「「「あ…」」」
漏らした声が被る。これはマズいのでは? いや、めぐみがいればあれくらい…。そう思ったその瞬間。俺の目の前からめぐみが消える。
「メグミいいいい!?」
アクアが叫ぶ中。
「り、『
カエルの口に納まる前に、咄嗟に呪文を唱えるめぐみ。さすが、と思ったのも束の間。
ぐきり!
「のあああああっ! 首がっ! 肩がああっ!!」
呪文を唱えたときに上下逆さまになっていた、そのままの体勢で地面へと激突してしまった。のたうち回るめぐみ。ヤバい! うちのパーティーの対カエル兵器が、戦闘不能にっ!
「あの、そろそろ私も助けてほしいのですが。なんだかだんだんと、飲み込まれ始めて…」
このタイミングでめぐみんまでっ!
……よし、わかった。
「こうなったらめぐみを囮にしよう」
「さすがは鬼畜のカズマさんね!」
「そ、それでいいんですか!?」
セナが突っ込んでくるが、そんなの気にしてる場合じゃない。めぐみからは非難の眼差しが突き刺さるが、痛がっている彼女には普段の殺気が無いので、怖くも何ともない。
俺達の方針が決まった、その時。
「『ライト・オブ・セイバー』ッッッ!」
俺の知らない声が響きわたり、光の斬擊と共にめぐみんを飲み込もうとしていたカエルの胴が、上下真っ二つに絶ち斬られる。更に。
「『エナジー・イグニッション』!」
再び声が響き、俺達を襲おうとしていた三匹のカエルが、その内側から青白い炎を上げて燃えだした。
そんな中、魔力不足で倒れているめぐみんに、ドレインタッチで魔力を分け与える。こんなヌルヌル、背負うのは嫌だからな。
魔力を受け取っためぐみんは、ヨロヨロしながらも自力で立ち上がった。そして先程の声の主、見知らぬ…おそらく紅魔族の少女へと視線を向ける。そして少女も、めぐみんの事をじっと見つめていた。
「ありがとう。誰だか知らないけど、助かったよ」
俺が頭を下げて礼を言うと、その少女は恥ずかしそうにしながら言った。
「べ、別に助けたわけじゃないですから。ただ、ライバル達がカエルなんかにやられたら、私の立場がないから…」
「ライバル?」
聞き返すようにめぐみんを見ると、やや不機嫌な顔をする。なんだってんだ?
「そう、ライバル! 久しぶりね、めぐみん! 約束通り、修行を終えて帰ってきたわ! 今の私は、上級魔法だって使いこなせる! さあ、約束通り、私と勝負をしなさい!」
めぐみんにビシッと指を突きつける少女。一方のめぐみんはと言えば。
「どちら様でしょう?」
「ええっ!?」
そのあまりにもな発言に、少女は驚きの声を上げる。だが、わざとなのか本気で忘れてるのかは知らないが、そんなこと言ったら…。
ずびしっ!
「何ふざけてるんですか!」
予想通り、自らかけた回復魔法で復活しためぐみが、いつもの如くロッドを叩きつけていた。
「あ、メグミ…」
少女は嗜めるめぐみに感極まっている。そんな彼女にめぐみは近づいて行き。
すこぉん!
「痛っ!?」
「あなたも何してるんですか!」
めぐみは、それはもうお怒りだった。……って何でだ?
「メ、メグミ?」
「あなたが使ったライト・オブ・セイバー、もし斬りつける軌道がズレてたらどうする気ですか! 下手したら、めぐみんまで巻き込まれてたかも知れないんですよ!」
「あ…!」
途端に少女の顔が青ざめる。しかし、言われてみたら確かにそうだ。もっと近づいていたらそんな事もないだろうが、あそこまで離れていると少々危険だろう。
「えっと、なんか立て込んでるみたいだから、先にギルド行ってて良い? カエル肉を引き取ってもらう手続きをしたいんだけど」
アクアがそんな事を言ってきた。コイツ、逃げる気だな? ハッキリ言って、俺だって残りたくないのに。かといってリーダーとしてこの状況を放っておく訳にはいかず、しかし金が要る俺としては、悔しいがアクアに頼むしかないだろう。
「では自分も、今日の所はこれで…。サトウカズマさん、先程の姿が私を欺くためのものだという可能性も、捨ててはいませんよ?」
セナも捨て台詞のようなことを言って、立ち去っていった。
二人が去って行き、三人の少女と俺が取り残される。
「……さて、和真さんとは後でO・HA・NA・SHIするとして」
おう。やっぱりさっきの事、根に持っていらっしゃる。
「久しぶりですね、ゆ…」
「メグミ、待ってください!」
少女と話をしようとしためぐみに、めぐみんは待ったをかけた。
「……なんですか、めぐみん?」
「先程すっとぼけたことはそれとして、この子にはしっかりと名乗ってもらわないと。紅魔族たるもの、名乗りを上げてなんぼです」
「ええっ!?」
少女は先程と同様、驚きの声を上げた。
「……この子の性格だとハードルが高いと思いますが、それが紅魔族の風習ならば仕方がないですね」
「ちょっとメグミ、なんで止めてくれないのよぉ!」
「お忘れですか? 私は本来、紅魔族寄りの資質なのですよ?」
「ああっ、そうだった!」
少女は絶望的な表情となる。
「……うう、他の人がいる前で恥ずかしいけど。
我が名はゆんゆん!アークウィザードにして上級魔法を操る者! やがては紅魔族の長となる者!」
「そうか、君がゆんゆんか。めぐみから、名前だけは聞いてるよ。俺はこいつらの冒険者仲間で、佐藤和真だ。よろしくな、ゆんゆん」
顔を赤くしているゆんゆんにそう言うと、彼女は一瞬キョトンとしてから言った。
「え、あの、カズマ…さん? 私の名前、笑わないんですか?」
「いいか、ゆんゆん。世の中には変わった名前を持ちながら、頭がおかしい爆裂娘なんて呼ばれてる奴もいるんだよ」
「それは私の事ですか!? 知らぬ間にその二つ名が定着していたのですか!?」
「知らぬ間も何も、随分と前からみんな言ってますよ。あ、王都のレックスさんにも手紙で知らせてあります」
「ノオオオオオオ!!!」
なんか知らないうちに、めぐみん弄りになってるな。ところで、レックスって誰だ?
「……なるほど。めぐみん、メグミ、良い仲間を見つけたようね。さすが私のライバル達」
なんだか、俺の株が上がってないか? まあ、下がるよりよほど良いけど。
「それよりもゆんゆん、めぐみんと勝負するのではないのですか?」
「あ、そうだった!」
「ちっ、余計なことを」
めぐみの言葉を受け、ゆんゆんとめぐみんがそれぞれの反応を返す。
「何ツンデレてるんですか」
「ツンデレとは何ですか!」
そうか。めぐみんのあれは、ツンデレだったのか。
「ほら、別れ際の約束なのですから、素直に勝負を受けてあげてください」
「ちょ、物事には段取りというものが…。ああもう! わかりましたよ!」
めぐみに急かされて、とうとうめぐみんも折れた様だ。
「……ですが、生憎と今日はもう、魔法は使えませんよ。先程カエルを八匹、蒸発させてやりましたから」
「いつもの魔法ですが」
カッコよく言うめぐみんに、ゆんゆんは一瞬驚いていたが、めぐみの補足ですぐに呆れた顔になる。
「あなた、いい加減他の魔法も覚えなさいよね」
そうだ、もっと言ってやれ。
「ですがその魔法で、魔王軍幹部ベルディアの部下を一斉に屠り、また、この街に襲来した機動要塞デストロイヤーにとどめを刺したのも事実です」
おいこらめぐみ、余計なことは言うない!
「え…」
ゆんゆんがこちらを向き、目で訴えてくる。
「ええと、嘘は言ってないな」
俺の答えに、ゆんゆんは涙目になった。
「うう、そ、それでも、勝負を…」
もう既に、悲壮感が漂っているな。
「……はあ、仕方がありませんね。それなら、ゆんゆんが得意な体術で勝負をつけましょうか」
「……いいの? 学校ではロクに体術の授業に出てなかっためぐみんが? 私の前をこれ見よがしにうろちょろして、私に勝負を誘わせてお弁当を巻き上げてたあなたが?」
「……お前、碌でもないな」
「仕方がないですよ。めぐみんの実家はお金に不自由してるらしいので」
「だから、下手に気を使った言い方、しないでください!」
そうか。貧乏なのか。
「……わかった。その勝負方法でいいわ。そしてこう言うんでしょう? 勝負には対価が必要だって! 対価は、このマナタイト結晶!」
「ほう、それが…。結晶状態のマナタイトを実際に見るのは初めてです」
めぐみが興味深そうに、その小さな結晶を見つめる。しかしやがて視線を外した。
「……では私は、アクア様を追いかけることにします」
「おや、我らの決闘を見ずにゆくのですか」
「はい。換金したアクア様が、お金をくすねるといけないので」
しまった! 確かにアクアならやりかねん!
「それに。ゆんゆんが、めぐみんの提示した勝負方法を受け入れた段階で、勝敗は決してますから」
めぐみはそう告げると、街へと向かって去って行った。
私がギルドに到着したとき。
「これがジャイアントトード討伐の報奨と買い取り分になります。……本来はギルドの依頼ではないのですが、特別報酬として出させていただきました」
ルナさんの説明を聞きながら、お金を受け取るアクア様。そして。
「それじゃあこれで、お酒でも…」
ごり!
アクア様の後頭部にロッドの石突きの部分を押し当て、ひねりを加えながら力を入れる。途端にアクア様は、体を硬直させた。
「アクア様?」
「メ、メグミ!? え、ええと、これはその…」
「そのお金を全て和真さんに手渡すのと、私に〆られるの、どちらがいいですか?」
「ええっ! でもでも、お使いのお駄賃くらいはいいじゃない!」
まったく、この女神様は。
「やれやれ。私がお金を出しますから、一杯だけですよ?」
「ありがとう、メグミ!」
……私も、まだまだ甘いですね。
カエルの粘液まみれで、着席を断られたアクア様は立ち飲みを決行。おかわりをしようとしたところで、私がガンを飛ばして黙らせる。
支払いを済ませると、名残惜しそうにするアクア様を責っ付いて、帰路へとついた。
屋敷に着くと、アクア様が勢いよく扉を開ける。
「ただまー」
舌っ足らずな子供のように声をかけるが、「ただいま」をきちんと言えるのは、アクア様の美徳である。私の年齢で言うのもなんだが、こういった声かけが出来ない人も世の中には多いものだ。
「只今戻りました」
当然私も声をかける。が、中からの返事はない。まだ帰って来ていないのだろうか? いや、鍵は開いていたから、誰もいないという事はないはずだ。
「カズマー、めぐみーん、ただまー。お帰りを言ってほしいんですけど? カエルを売ったお金…と特別報酬、もらってきたわよー」
私の視線に気がついて、特別報酬も慌てて付け足すアクア様。
「カズマー、……あれ、お風呂中?」
そうか。お風呂の最中だったか。……おや? 何かがおかしい。
「カズマー、私も早く入りたいんですけどー。それで上がったら、ご飯食べに行きましょう」
アクア様は扉越しに声をかけて引き返してくる。……ううむ、何がおかしいのだろう。和真さんがお風呂に入り、アクア様もお風呂に入りたがっている。それはそうだろう。何しろ全身、粘液まみ…れ……!? そういえばめぐみんは!?
その時。
「アクアー! めぐみー! ロリッ子に悪戯られるううううう!!」
和真さんの叫び声にお風呂場へ駆けつけるが、扉を開ける事が出来ない。触れると冷たいので、向こう側が凍らされてるのだろう。……仕方がない。まだ発動実験をしていない再現魔法を、しかも今からアレンジして使ってみよう。
私は即座にその魔法の理論の一部を再構築し、呪文を組み立て直して唱える。
「『
扉の向こう側に発動した術が、こちらに向かって解き放たれたはず。そして、中から聞こえたジュッ!という音が、その予想を裏付ける。
私は慌てて扉を開けて中に入…る……ううううう!?
「かかかか和真ささささんんん!? めぐぐぐぐみいいん!?」
「めぐみんが馬乗りになって、カズマさんを襲ってる!?」
そう。双方タオル一枚で。って一体何が、どうして…あ。
どさり
「「「
どうやら私には、刺激が強すぎたようだ。思考がオーバーヒートした私は、その場に倒れてしまうのだった。
所々アニメ版的な流れがありますね。以降、この傾向は増えると思います。