今のところ、ヤマト発進までやるつもりで前後編になる予定です。
無限に広がる大宇宙、静寂と光りに満ちた世界。生まれてくる星もあれば死んでゆく星もある。輝く星もあれば輝かない星もある。
今まさに、太陽系第三惑星『地球』は輝こうとしていた星であったのである。
「タキオンレーダーに反応。右舷30度、敵ガミラス艦隊接近」
国連宇宙軍第一艦隊旗艦『霧島』の艦橋でレーダーオペレーターが敵ガミラス艦隊接近を伝え、それを第一艦隊司令長官沖田大将は頷いた。
「……右30度返針、砲雷撃戦用意!!」
「砲雷撃戦用意!!」
「おもぉーかぁーじ!!」
旗艦『霧島』に続く形で二番艦『日向』三番艦『扶桑』四番艦『比叡』も同行していた。
なお、第一艦隊は以下の艦艇で構成されていた。
国連宇宙軍第一艦隊
戦艦
『霧島』(旗艦)『日向』『扶桑』『比叡』
巡洋艦
『八雲』『夕霧』『阿武隈』『愛宕』『剣』『鞍馬』『伊吹』『那智』『叢雲』『春日』『足柄』『羽黒』『天龍』『龍田』『那珂』『神通』
駆逐艦
『磯風』以下28隻
別動隊
宇宙母艦
『鳳翔』『祥鳳』『瑞鳳』『龍鳳』(各45機搭載)
巡洋艦
『夕張』『長良』『新高』『日進』
駆逐艦
『睦月』以下12隻
「照準合わせ」
「照準用意……」
測定員と砲雷員が測定をする。その間にもガミラス艦隊は砲撃を開始し赤で構成されたエネルギー弾が第一艦隊を襲う。
「長官」
「『波動防壁』展開」
「『波動防壁』展開します」
『霧島』艦長の山南大佐の言葉に沖田は波動防壁展開を指示する。無色の波動防壁は『霧島』の周囲に展開、その直後にエネルギー弾が飛来し『夕霧』の波動防壁と接触した。
しかし、エネルギー弾は波動防壁によって免れており『夕霧』は健在だった。
「『夕霧』損傷無し」
「照準良ろし」
砲雷員の測定が完了したのを確認した沖田は頷き、命令を発するのである。
「全砲門開け!! 撃ェ!!」
その瞬間、第一艦隊に搭載された陽電子衝撃砲ーー通称ショックカノンーーは砲撃を開始した。『霧島』は無砲身ではあるが35.6サンチ三連装陽電子衝撃砲を4基搭載しており、『霧島』が狙った戦艦ーー『デストリア』級の側面装甲を貫く事は容易であり貫かれた『デストリア』級は一瞬の間を置いて爆発四散した。それは何処にでも起きている光景だった。
「敵戦艦3隻、敵巡洋艦6隻、敵駆逐艦多数撃沈!!」
「このまま砲撃を続行せよ」
「第四戦隊旗艦『八雲』より電文!! 『我、突撃ス』」
「予定通り……ですな」
「あぁ……」
山南大佐の言葉に沖田は苦笑した。第四戦隊を率いるのは若いながらも歴戦の指揮官だったからだ。
「四戦隊は『八雲』を先頭に突撃するぞ!!」
第四戦隊旗艦『八雲』の艦橋では第四戦隊司令官の三好将和大佐がそう叫ぶ。『八雲』はそれに答えるかのように加速する。その後方には第四戦隊に所属する『愛宕』『剣』『伊吹』が続いていた。
「魚雷用意完了!!」
「魚雷連続発射!! 撃ェ!!」
連続発射は三回続いた。12本の魚雷ーー97式空間魚雷ーーはガミラス艦隊の対空砲火をくぐり抜けて着弾、12発の火球が宇宙に花を咲かせたのである。
「突撃!! 突撃!! 突撃ィィィィィ!!」
第四戦隊は『村雨』改二型で編成されている。改二型とは波動エンジン搭載と無砲身から長砲身に換装した型であり今回が初陣だった。
「右傾斜45度」
「ヨーソロー!!」
「撃ェ!!」
右舷に展開した長砲身が砲撃を開始し陽電子のエネルギー弾が戦艦級ーー『デストリア』級ーーの装甲を貫通、爆発四散をする。後続艦も次々と砲撃し撃沈していた。
「後方より航空機多数。味方機です!!」
「おぅ来たか」
第一艦隊後方に待機していた別動隊の空母部隊から発艦した97式空間戦闘攻撃機『コスモファルコン』120機が到着、混乱するガミラス艦隊に航空攻撃を仕掛けたのである。
「敵艦多数撃沈、残存艦艇が冥王星方面に撤退していきます」
「味方の被害は?」
「巡洋艦『阿武隈』が航行不能に陥った駆逐艦『島風』と衝突、二隻とも撃沈しました。更にガミラス艦隊を追いすぎた駆逐艦『雪風』が撃沈。他にも『不知火』『初風』『綾瀬』が大破しました」
「何!? 古代の『雪風』が!?」
「は、はい。深追いしていくのを『磯風』が確認しています」
「……そうか……」
オペレーターからの報告に将和は溜め息を吐きながら艦長席のシートに深く座り込むのである。
(あの馬鹿野郎……変に突撃しやがって……歴史が改変しているから死にに行く必要は無いだろうが……)
そう思う将和だが今は残存艦艇の収容であった。旗艦『霧島』からも戦場撤退の発光信号が送られていた。そんな時、『八雲』のタキオンレーダーが反応を示した。
「外宇宙方面から超高速船が接近しています!!」
「何?(馬鹿な……まさかイスカンダル……?)」
オペレーターの報告に将和は目を見開いた。そしてメインパネルに切り替えると海王星方面から侵入してくる1隻の宇宙船があった。
「あれは明らかに外宇宙速度に達している。あのままだと数分で火星に到着するぞ」
「司令部が火星にも防空警戒を出すようです」
「だろうな」
そうしているうちに宇宙船は火星方面に消え去ったのである。しかし、旗艦『霧島』から司令部に向けての暗号電文が発信されていた。
『天岩戸開ク』
それはさておき、第一艦隊は乱れた艦艇を整えて冥王星宙域から離脱するのであった。そして5日後には火星沖に到達し更に2日後には月軌道に到着するのである。
「地球に到着です」
「おぅ」
少しだけ地形が変わってしまった地球。日本では四国地方の4分の1が大きくクレーターに成り変わっていたのだ。その原因は勿論、ガミラスが初期に投下した遊星爆弾であった。
開戦時から西暦2193年頃まで地球は遊星爆弾の脅威にあった。しかし、遊星爆弾への迎撃態勢が整い迎撃に成功した事で西暦2199年の今では遊星爆弾の脅威は無くなっていたのだ。
だが、失ったモノは帰っては来ない。遊星爆弾の迎撃が成功するまでに国連宇宙軍は実に無辜の市民8000万の尊い人命を失っていたのである。
「司令、横須賀に到着しました」
そうこうしているうちに第一艦隊は母港である横須賀宇宙軍港に到着する。到着し雑務整理をしていると将和は宇宙軍司令部に出頭要請が掛かったので副官に任せて司令部に出頭したのである。
「よく来たな、まぁかけたまえ」
「どうも」
相手は国連宇宙軍の軍務局長である芹沢中将だった。普段は威厳そうな表情をしているが将和の前ではそのような表情はせず、むしろ出されたコーヒーを二人で味わっていた。
「今回のメ号作戦……御苦労だったな」
「それでも若干の被害は出ました」
「作戦に完全勝利は無い。それは君の家系がよく知っている筈だ」
(その張本人なんですけどな)
それは言わない約束である。
「だが、これでイスカンダルからの放射能除去装置の提供とガミラスの攻撃が可能となった」
「喜ばしい事ですな」
「派遣はヤマト計画の人員で動かされるだろう。だが地球も座して待つわけではない」
「……と言いますと?」
「『新地球艦隊構想計画』……漸く第一次建造計画のが就役する」
「あぁ……あの五ヵ年計画のですな」
国連宇宙軍が波動エンジン搭載艦船開発の見通しが経った2195年にスタートとした計画であった。一個艦隊に戦艦4隻を主力にしたのを九個艦隊も揃えたのが第一次計画、第二次計画は更に艦船を増やし外惑星艦隊(司令部は土星の衛星タイタン)と内惑星艦隊(司令部は月)の創設、第三次計画は長距離航海を可能とした遠征型の九個艦隊の創設を狙ったものであった。
「戦艦37隻、巡洋艦102隻、駆逐艦180隻、宇宙母艦12隻。まさに虎の子の艦隊になるだろう」
「数だけは……という形ですな(旧作の艦隊数と同じだわな)」
芹沢の言葉にそう取り繕う将和である。
「そこで貴様には……一個艦隊を何れ率いてもらいたい」
「……買い被り過ぎでは?」
「この戦役で多数の戦果を挙げているクセによく言うものだな」
芹沢は苦笑しながらもそう言ってコーヒーを啜る。
「沖田はヤマト計画のために外れている。そうなると地球艦隊総司令官には土方が有力だな」
「まぁ土方校長なら……」
現在は空間防衛総隊司令官に就任している土方中将だがその前は宇宙戦士訓練学校の校長をしていたのだ。
「まぁヤマトが発進した後の話だ。今は心のうちに秘めておけ」
「はぁ……」
芹沢の言葉に将和はそう言うのである。
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