『この無能者めがァァァァァァァァ!!』
「………………」
冥王星にあるガミラス基地ーーガミラス冥王星前線基地の司令部で対地球攻略司令官兼ザルツ空間機甲旅団司令官のヴァルケ・シュルツ大佐は通信越しで銀河方面作戦司令長官であるグレムト・ゲール少将からの叱責を受けていた。
『折角総統からお預りした艦隊をむざむざと壊滅までさせてノコノコと基地に帰るとは何事だ!?』
「……面目次第もありません。しかし……」
『言い訳はするな!! 貴様も前任者のように一族もろとも銃殺されたくなければ戦果を挙げる事だ!!』
ゲールは言いたい事を言いまくって通信を切るのであった。怒りで身体を震えさせるシュルツに副官のガンツ少佐は心配そうに見守っていた。
「シュルツ司令……」
「……分かってない、ゲール少将は何も分かってはいない……」
シュルツは溜め息を吐いた。前任者も地球の脅威をゲールに伝えていた筈だがゲールはそれを鵜呑みにせず「敗北者の妄想」と決めつけて前任者を銃殺刑に処していた。なお、地球攻略司令官はシュルツを含めて三代目であり初代は地球艦隊との戦闘中に戦死していた。(天王星沖海戦)
「シュルツ司令、戦果を挙げるという言葉があるのであれば『アレ』を使用しても良いのではないですか?」
「ヤレトラー」
シュルツに具申したのは首席参謀のヤレトラーだった。そしてヤレトラーが『アレ』と言ったのはつい最近になって冥王星基地に運び込まれた大型弾道弾の事であった。
「フム……しかしあれは……」
「この際、悠長している暇は無いと思います。なので思いきった発想が必要と思います」
「……成る程」
ヤレトラーの言葉にシュルツは頷く。
「分かった、責任は私が取ろう。弾数は一発か?」
「いえ、此処は基地が保有する全弾ーー28発とも時間差で発射してテロンか乱れるであろう隙を突きます」
「成る程。作戦はヤレトラー、お前に任せる」
「ザー・ベルク!!」
斯くして冥王星基地は地球への弾道弾攻撃に動き出したのである。そして地球ではというと……。
「そう……古代君は……」
「………済まん」
将和は情報部に所属している新見薫大尉と面会していた。そして恋人だった古代守の最期を伝えていた。
「三好先輩、わざわざありがとうございました」
「いや……」
頭を下げる新見に将和はそう言うしかなかった。その数日後に政府はヤマト計画を発表した。ヤマト計画……それは放射能汚染された地域を除去出来る装置があるイスカンダルまで向かい除去装置を譲渡してもらう事だった。
(まぁ大体は旧作かリメイクだろうな)
将和は司令部の食堂で放送を見つつチャー定を食べるのである。なお、そのついででガミラスも叩く事が藤堂長官から告げられている。
(てか何で俺、司令部に呼ばれたの? ヤマトの乗艦は断ったんだけどな)
数時間前、将和はまたしても司令部からの要請で出頭していた。その前はヤマト艦長就任だったが将和は丁重に断っていた。
(悪いが俺のヤマトは大和なんだよな……)
甦るは波間に没しようとする大和を海面から見つめる自身。そして波間に没した大和に将和は涙を流していた。
(……だからこそなんだけどな……)
司令部の真意は分からないが取り敢えずはチャー定を食べてから司令部に出頭したのである。
「……は?」
「そのままの意味だ。三好大佐、現時点を以て准将に昇進。更に新型巡洋艦『妙高』艦長を兼任しつつ第五戦隊司令官とする」
芹沢軍務局長は開口一番にそう告げる。隣にいる藤堂長官も頷いていた。
「……理由は何でしょう?」
「君がヤマト艦長を断ったからその代案を……だな」
ニコニコと笑う藤堂長官に将和は一杯喰わされたと感じた。
(ヤマトは出汁にして本命は新型巡洋艦戦隊の司令官ね……)
出汁に使われるヤマトも堪ったものじゃない……が、そうなるとはもしかしたら……。
「冥王星でガミラスが何かをしている可能性があると?」
「監視ステーションから何等かの行動をしているとの報告があった。恐らくはヤマト計画を掴んだのだろう。そこで新型艦艇での迎撃を……となった次第だ」
「既に戦艦6隻、巡洋艦17隻、駆逐艦38隻が就役し完熟訓練中だ。その中での巡洋艦4隻の戦隊司令官に貴様をだ。ちなみに艦隊司令官には土方中将が就任している」
「成る程。そういうわけですね」
藤堂の言葉に将和は頷く。
「ヤマトが発進するまで各艦隊は何としても死守してもらう」
芹沢は将和にそう告げるのである。将和はその足で『妙高』が停泊している舞鶴宇宙軍港に向かう。
「フム……(ほぼヤマト2の巡洋艦だな……)」
舞鶴宇宙軍港の第一ドックに鎮座していた『妙高』はヤマト2で出てきた巡洋艦にそっくりだった。なお、『妙高』の乗員は『八雲』乗員の七割が就いていた。恐らくは藤堂の配慮であろう。『妙高』は二日後に出撃、月軌道圏内で僚艦『那智』『足柄』『羽黒』と合流しそのまま火星に進出した。
火星には先に出撃し再編成された土方中将の第二艦隊が進出していたのだ。なお、到着した五戦隊は早速土方中将に呼ばれた。
『五戦隊は土星付近で待機せよ』
「土星ですか?」
『そうだ。五戦隊の対艦レーダーはヤマトと同じ最新鋭のレーダーだ。そのレーダーでガミラス艦隊の索敵も兼ねて偵察する』
「分かりました。直ぐに土星に向かいます」
『頼んだぞ』
直ぐに五戦隊は土星に向かい、土星の環で待機するのである。そして観測を開始してから二日後、最新のタキオン対艦レーダーが地球へ向かう超巨大弾道弾を探知したのである。
「超巨大弾道弾!? しかも複数だと!!(原作は何処に消えたんだよ!?)」
オペレーターからの報告に将和は驚きつつも迎撃を指令した。
「火星司令部に報告!! 『我、敵超巨大弾道弾複数と遭遇。これを迎撃す』五戦隊は左砲戦用意!!」
「射撃準備良ろし!!」
「撃ェ!!」
四隻に搭載されている55口径20.3サンチ陽電子衝撃砲(合計12基)が一斉に砲撃を開始し接近する超巨大弾道弾(3基)に命中、巨大な爆発をさせるのである。
「全弾撃破!!」
「気を抜くな!! これだけではない筈だ!! 各艦に通達、発見次第攻撃せよ!!」
「了解!!」
なお、五戦隊はヤマト発進までに22基の超巨大弾道弾を迎撃し破壊に成功する。だがガミラスも上手がいた。
「ワ、ワープ!? 超巨大弾道弾がワープしました!!」
「ちぃ、読まれたか!? 火星司令部と地球に緊急連絡急げ!!」
なお、そのうちの3基は原作と同じく地球にまで到達。地球軌道圏内で待機していた艦隊が迎撃し2基は破壊するも残り1基は原作と同じくヤマトが主砲にて迎撃するのである。
「三好司令、火星司令部より入電。ヤマトは無事に地球を出撃したとの事です」
「……そうか……」
オペレーターの報告に将和は提督シートに深く座り込むのであった。
(しかし……地球は半汚染だし地球艦隊は波動エンジン搭載型の艦船……どうなる事やら……)
そう思う将和だった。それは兎も角、今は地球に戻る事にしたのである。
しかし、地球がこれから体験するのは将和が粗方予想していたシナリオだった。
「ヤマトが地球に帰還。コスモクリーナーDで地球の半汚染は除去されたしメデタシメデタシ……って事にはならんのかねぇ……」
「波動砲艦隊構想計画!? 三好准将、これは今の地球に必要なんですか!?」
「必要だからこそ艦隊整備をしているのじゃないか古代?」
ガミラス戦役後のこれからの地球復興に異義を覚えてしまうヤマト乗員達。
「無限に広がる大宇宙……静寂な光に満ちた世界。死んでゆく星もあれば、生まれてくる星もある。そうだ。宇宙は生きているのだ。生きて、生きて……だから、愛が必要だ」
「虚しい。実に虚しい。彼らの命に何の意味があったのだ。その苦痛に報いる、どんな意義が人の生涯にあるのだ。やはり愛が必要だ。この宇宙から根こそぎ苦痛を取り除く、大いなる愛が。そうは思わんか……テレサ?」
地球に狙いを定めるガミラスに変わる新しい侵略国家。
「我が名はズォーダー。愛を知る者だ。この宇宙の誰よりも深く……愛を!!」
「フッ……愛なら俺も多少は知っている」
「三好准将、新型艦隊と共にヤマトを護衛せよ」
そしてガトランティスと地球は土星で激突する。
「ヒペリオン艦隊壊滅!!」
「全艦砲撃用意!!」
「全艦砲撃用意!!」
「火炎直撃砲操作不能!!」
「三包囲からの包囲殲滅……さて、どう出るバルゼー?」
「死して大帝に御詫びを……」
「山南。死んで取れる責任などないぞ、山南。生きろ。生きて恥をかけ。どんな屈辱にまみれても生き抜くんだ。人間は弱い。間違える。それがどうした。俺たちは機械じゃない!」
『優先スベキハG計画』
目指すは彗星内部。
「技師長!! 慌てず急がず正確にな!!」
「ありがとう隊長……」
「貴様は何者だ?」
「何だと思う?」
全ては愛する人がそこにいるために戦うのである。
「どちらが勝つか? そらぁ決まってる。生き残れば勝ちなんだよ」
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