第九話、どうぞ。
「今回の上からの命令はこれよ!」
麗奈はホワイトボードにバン!と紙を貼る。煌、魁、蓮の3人は貼った紙に顔を寄せる。零士や他の刑事はいそいそとなにかに取り掛かっていた。
「こいつは?」
「この男は密輸組織の親玉なのよ。元々銃やら薬物やらを売りさばいてて、逮捕したんだけど、押収されたものの中にアームドチップが見つかったの。それで、残ってる組織の構成員もアームドチップを所持している可能性が高いから、逮捕に協力して欲しい、ってことなの。」
「なるほどな。」
麗奈の説明に煌と蓮は納得したような顔をするも、魁が疑問を口にする。
「別に、警察が無理に関わらなくても俺ら3人でやれば済む話じゃないのか?」
「上で決まった話だと、チップが排出されたあとは普通の人と同じ扱いにするから令状を持った警察しか逮捕できない、って決まったのよ。」
「そういうことか。」
麗奈のごもっともな説明に魁は素直に納得した。続けて麗奈が説明をする。
「実は残りの構成員が隠れている場所は洗い出すことができたの。だから、明日の9時に隠れ家に突入することになったわ。」
「わかった。」
「3人ともよろしくね。」
そのあとはお開きになり、3人は部屋から出ていく。3人は帰り道、少し焦りが見える顔で話をしていた。
「奴らとは別の組織が売り始めるまでの時間が短すぎる…。かと言って…突然量産体制が整ったとも考えにくい。なにか…裏がありそうだね。」
「ま、裏があろうとなかろうと、ぶっ潰すだけだろ、煌?」
「あぁ。チップを悪用する以上は俺たち星座の戦士が裁きを下してやる…」
そう話終えると、3人はそれぞれ帰路についた。
***
1つの古い発電所の前にたくさんの警察車両が停まっていた。指揮を任された1人の老齢の刑事が拡声器片手に話し始める。
「まもなく突入を開始するが、奴らは以前の小原同様に異形の姿になることが考えられる!もしそうなった場合は意地を張らずに撤退しろ!ここで死ぬ事が我々の仕事ではないぞ!では、突入開始!!」
入口から警官隊がなだれ込んでいく。開けた場所に着くと、そこには100をゆうに越えた構成員が居た。警官隊に気付くと、全員がアームドチップを取り出し起動。身体へ挿入する。
《ant》
構成員達が使ったのは蟻のアームドチップ。たくさんのエビルグラムが目の前に現れたことで、警官隊は萎縮してしまう。
「退却しろー!!」
大きく響いた一言で、警官隊は後ろの方へ素早く退く。同じ場所にたっていたのは煌、魁、蓮の3人だけだった。
「なるほど…蟻なら納得いくねぇ…。」
「納得してないでとっとと倒すぞ。」
「どんだけ大勢でも倒すだけだ!」
3人はバックルを取り出し、腹部へあてがう。
《クロスドライバー》
ベルトが巻かれた後、それぞれアームドチップを起動しスロットにセットする。
《LEO》《TAURUS》《LIBRA》
「「「変身!」」」
3人はバックルのレバーを押し込む。
《CROSS UP》
《Crimson head》 《LEO!》
《Deep blue giant horn》《TAURUS!》
《Golden Scale》 《LIBRA!》
3人の星座の戦士が同時に変身が完了する。3人は大群の方へ駆け出す。
「ふっ!はっ!」
レオンは蹴りを交えながらの剣撃でアントエビルを切り捨てていく。
「ぬん!オラァ!」
タウレスは槍を大きく振り回しながらたくさんのアントエビルを巻き込むような形で倒していく。
「よっと。せいっ!」
ライブラは銃撃の他にも回し蹴りや、銃で殴ったりの打撃も交えながら制圧していく。
3人はそれぞれレバーを1回押し込む。
《LEO》《TAURUS》《LIBRA》
《STAR Break》
「はあっ!」
「せいっ!」
「ふっ…!」
レオンは剣から衝撃波、タウレスはエネルギーの溜まった槍、ライブラは放たれた波動で攻撃する。
「「「「「「「ギャアァァァァァ!!」」」」」」」
アントエビル達は爆散する。
一息つこうとしたところに、上の方向から声がする。
「やっぱり、このアームドチップだと、できて時間稼ぎってところのようね…」
「お前は…!エビルマスターだな!」
「あら、覚えててくれてたのね。嬉しいわ。私はワスプマスターのネイ。獅子座の坊やははじめましてね。」
「お前もやられにきたってわけか。」
「あそこまでの数のアームドチップをどうやって揃えたの?」
「聞かれて素直に答えるわけないでしょう?」
そこに現れたのはワスプマスターの「ネイ」。エビルマスターが現れたことで3人のライダーは一層警戒を強める。そんな様子を見て、ネイはフッ、と鼻で笑う。
「エビルマスターとはいえ、1人で僕たち3人を相手取ることが出来ると思ってるとは案外自信家だね?」
「さすがに私も1人で星座の戦士3人と互角に渡り合えるとは思ってないわよ?でも私、1人じゃないもの。」
「何…?っ!」
ネイが一言言い終えると、後ろから現れたのはたくさんの蜂のエビルグラム。再び大群が現れたことで3人のライダーは驚愕する。
「言ったでしょう?私はワスプマスター。いわば私は群れを統率する女王蜂と同じ。兵隊程度ならなんのリスクもなしに簡単に生み出せるのよ。うふふ…私の可愛い兵隊たち、行きなさい…。」
襲いかかってくるたくさんのワスプエビルと戦闘を始める3人のライダー。その様子をみながら、ネイはブレスを左手首に装着し、アームドチップを取り出す。
《WASP》
「着装」
そこに現れたのはワスプエビルよりもより、人型に近い姿をした『ワスプマスター』。ワスプマスターは、飛び降りて、ライブラへと襲いかかる。
「てやっ!」
「…っ!チッ!」
不意をつかれたライブラは攻撃をもろに食らう。攻撃を避けようにも、周りにはワスプエビルがいるため、大きな行動も出来ずに、攻撃をくらい続けてしまう。
「はっ…!」
「うぅ、ぐわぁぁぁ!」
「「蓮!」」
大きく吹き飛ばされたライブラは変身が解除されてしまう。変身が解けた蓮の前方に落ちたのは水色のアームドチップだった。
「っ!そ、それは…」
「あら、これは星座の鎧じゃない。これは頂いていくわね。」
「おい蜂女!それを返せ!っ!ぐわぁぁぁ!」
立ち去ろうとするワスプマスターを追いかけようとするレオンだったが、大勢のワスプエビルに背中を晒してしまったことで、後ろから不意打ちを食らってしまう。
「じゃあね。戦士の坊やたち。」
一言つぶやくと、ネイはいなくなってしまう。レオンは立ち上がってネイを追いかけようとするが、魁に止められる。
「煌!追いかけるよりも、こいつら倒しきる方が先だ!」
「っ……!わかった。とっとと倒しきるぞ。」
《LEO》《TAURUS》
《STAR Destroy》
「「はあぁぁ!」」
ワスプエビルの大群に向かってレオン、タウレスの2人はライダーキックを放つ。ワスプエビル達はキックをもろに食らい、爆散する。2人は着地した後、変身を解除する。
「蓮!大丈夫か!?」
「僕は大丈夫…だよ。それよりも煌、奪われてしまって済まない…。」
「とりあえずお前が無事でよかったさ。それに、アームドチップを取り返すチャンスは必ず来るだろうしな。」
3人で話しているところに、アントエビルになっていた構成員を逮捕し終えた麗奈が駆けつける。
「3人ともお疲れ様。蓮くん、大丈夫?」
「僕は大丈夫だよ。警官隊の方は被害は大丈夫?」
「えぇ。3人が早い段階で対処してくれたおかけで、小原野ときと違って殉職者は誰も出なかったわ。3人とも…本当にありがとう…!」
そう言って麗奈は深々と頭を下げる。顔をあげた麗奈の目元には涙が溜まっていた。
「何泣いてんだよ。涙ってのはもっとおしとやかな人が流すからいいんだぞ。」
「なっ…!私だって泣く時くらいあるわよ!それに、わたしのどこがおしとやかじゃないって言うのよ!?」
「全部だろ。」
「なんですってぇ…!!」
「おい、2人ともコントは辞めろって。」
「「コントじゃない!」」
喧嘩を始めた煌と麗奈を見て、魁は呆れ、蓮は笑い始める。笑っている蓮に麗奈が文句を言う。
「蓮くんまで私を笑うの!?」
「違うよ麗奈さん。煌、口ではこう言ってるけど、感謝されて照れくさいのと、女の人の涙に弱いだけだよ。」
「えっ?そうなの?」
「なっ…!違ぇよ!おい、蓮!余計なこと言ってんじゃねえよ!///」
「なーに?煌くん。照れてるの?意外と可愛いとこあるじゃない。」
「照れてない!///」
いじられ始めた煌は不貞腐れて発電所から出てきたので、外で待機していた零士はかなり困惑してしまっていた。ちなみに、煌はこれからも、麗奈からいじられ続けることとなる…。
***
「エトワール様。ただいま戻りました。」
「遅いぞ、ネイ。」
ネイが戻ると、既にほかの3人はエトワールの前に膝まづいていた。4人が揃ったところで、ギルが口を開く。
「エトワール様。ひとまず、蟹座の鎧を手に入れることが出来ました。」
「そうか…。ギルよ、よくやったな…。」
「はっ。ありがたきしあ「エトワール様。私も星座の鎧を手に入れてきたわ。」何!?」
自分以外も鎧を手に入れたことに驚きを隠せないギル。エトワールはほほう、と顎に手を当てて話し始める。
「ネイ、それは本当か。どのようにして手に入れた?」
「天秤座の戦士が手にしておりました。他にも12星座の鎧をすでに所有している可能性が高いかもしれないわ。ちなみに、これは水瓶座の鎧ね。」
ネイの発言にメーアがただを捏ね始める。
「いいな〜!あたしも星座の鎧欲しい〜!」
「あら、じゃあ今度はメーアも一緒に行きましょう?」
「えっ!?いいの?やった〜!」
無邪気に喜ぶメーア。ネイの話を聞いてから考え込んでいたエトワールが口を開く。
「ふむ…。ネイの話を聞く限り、存在を確認できている3人の戦士が他の鎧を持っている可能性が高いかもしれんな。しかし、1つ奪われたことで警戒を強めるとも考えられる。しばらくはこれまで通りに動くとしよう。」
「了解しました。」
「ん…」
「おっけーい!」
「わかったわ」
了承すると、4人は立ち去っていく。1人になったエトワールが呟き始める。
「ックク…。我が野望の為にも両者共々せいぜい争いあって潰し合うがいいさ…。フハハハハハ…!!!」
そこにはエトワール1人の笑い声だけが響いていた…。
蟹座と水瓶座の鎧が奪われちゃいましたね。蟹座の方は突然出てきたのに敵側に手に入れられる形にしたことでなんの描写もなくてすみません…(;´・ω・)
少し先になるかもしれませんが、12星座全てに出番はありますので、気長に待って貰えると嬉しいです。
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では、また次回で。