仮面ライダーレオン   作:堕天使 かよ

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かよです。
少しずつではありますが、UAが増えているのを見て色んな人が見てくれているんだな、と嬉しく思いました。
今回はレオン・タウレスコンビによる初戦闘があります。
では、どうぞ。


第六話

「こっちは異常ないわよ!」

「こっちも大丈夫っすね」

「こっちもなんにもないぞ!」

「……異常なし…はぁ…」

 

煌、魁、麗奈、零士の4人はスーツ姿でテレビ局に居た。更に煌はメガネをかけて本人には見えないように変装までしている。4人がこうしている理由は昨日にまで遡る…。

 

 

 

***

 

 

 

煌と魁は警察署による来ていた。とは言っても何か法を犯した訳ではない。先日零士に言われた「未確認生命体対策課」から連絡があって来たのだ。その内容とは『国民的アイドル「高坂美穂」の殺害予告』である。彼女の所属する事務所に匿名で一通のメールがきたのだ。そこで事務所は警察に相談をし、エビルグラムの可能性も視野に入れて、未確認対策課にも護衛をする、といった話が来たのだ。その話を受けた煌と魁は当日の流れを聞きにやってきたのだった。

 

「煌さん!魁さん!こっちっす!」

「入口まで来てもらって悪いな。」

「いえいえ、エビルグラムが犯人だとしたらお二人の力が必要不可欠っすから、これくらいは全然っすよ。あ、ここです。」

 

3人はとある部屋に入る。そこには、麗奈を含め数人の刑事が1組の男女の対応をしていた。

 

「一応ではありますが、最近頻出している未確認の可能性の加味した上で護衛させていただきます。」

「本当によろしくお願いします…!その日はうちの美穂の今後が決まる日なんです!」

「よろしくお願いします…」

「任せてください!私たち対策課には強力な助っ人もいますし、大舟に乗ったつもりでいてください!」

「ありがとうございます!本当によろしくお願いします…!ほら美穂、帰ろう?」

「あ、はい…。お願いします…」

 

そう言って男女はすれ違う形で部屋から出ていった。煌と魁は近くにいた麗奈に声をかける。

 

「よう。来たぞ。」

「今居た女の子が今回の護衛対象なのか?」

「ええ、そうよ。今日本中で人気な『高坂美穂』ちゃん。エビルグラムの可能性も考えて、2人にも護衛をお願いしたいの。」

「おう、いいぞ!頑張ってる人の夢を守るのも俺たちの役目だしな!」

「ところで、一緒に居た男は誰だ?」

「彼は彼女のマネージャーの速水俊介さんよ。護衛してくれるからってわざわざ挨拶にきてくださったのよ。」

「そうか…」

 

2人は近くにあった椅子に座って麗奈から当日の自分の動きの説明はを聞き始める。が、途中で煌が大声をあげる。

 

「おい!なんで俺の役目が『マネージャー見習い』なんだよ!」

「えっと…1人くらいは仮面ライダーが近くにいた方が安心かと思って…えへ?」

「ま、対象を見失うリスクを考えれば、まだ納得できるか。」

「と、とりあえず!今日はこれで終わるけど、何か確認したいこととかある?」

「いや、ないな」

「俺もない」

「それじゃあ、当日にまた会いましょう。」

「あぁ。」

「おう。」

 

 

 

***

 

 

 

と、言ったことがあり、煌と魁はスーツ、更に煌はメガネまでかけて変装していたのだ。煌のストレスは既に限界に達しつつあった。

 

「こら!田中!水を渡す時はすぐに飲めるように蓋を緩めて渡すんだよ!」

「はい…すみません!(くそ、この男…俺の素性を知らないとはいえ、散々偉そうに説教してきやがって…。それにあいつ、何だこの『田中守』って偽名は!俺が怒鳴られる度に近くにいる田中さんまでビビってんだよ!もう少し洒落た偽名付けられなかったのかよ…!)」

「何ボーッとしているんだ!次の場所に早く行くぞ!」

「はい…!わかりました!(くそ、あいつ覚えてろよ…)」

 

と言うふうに煌は既にブチ切れていた。そんな様子を麗奈、零士、魁の3人は少し離れたところから物珍しそうに見ていた。

 

「煌くんが怒られてるところ見るのスカッとするわ〜!普段私にきつく当たってる罰よ、罰!」

「なんか、あの光景に既視感があるんすけど…」

「おい、3人が行っちゃうぞ?追わなくていいのか?」

 

魁に声をかけられて2人は慌てて後を追う。同じ時、煌は速水俊介と高坂美穂と3人で控え室に居た。速水は携帯に電話がかかってきて、話しながら部屋から出ていった。少しの間残された二人の間に静寂が訪れるが、美穂の方から煌に声をかける。

 

「あの…」

「ん?なんだ…ですか?」

「あ、無理にかしこまらなくて大丈夫ですよ。先日、警察署にいらっしゃった方ですよね?」

「そっちがいいなら素でいくぞ。あぁ、確かにいたな。それがどうかしたのか?」

「改めてちゃんと護衛をしてくださってるお礼がしたかったんです。今日は私のワガママのために多くの人が動いてくれていますから…」

「なんで今日にこだわるんだ?あんたほど人気なら今回のイベントに出なかったくらいでも人気が落ちるとは思えないけどな。」

「今日のイベントは父に見てもらうためのものなんです。」

「どういうことだ?」

「えっと、実は両親は私が小さい頃に離婚してて…。父とはその時から1度も会ってないんです。でも、先日ファンの方から頂いたお手紙の中に『小さい頃、迷惑かけてすまなかった…。芸能界に入る夢、叶ってよかったな』とだけ書いてた手紙があって、その夢を知ってるのは父と母だけなんです。それに、デビューしたての頃からいつも手紙と一緒にたくさんのお花をくれてた方との字ともそっくりで…。父が好きだった、このイベントだけの衣装着てパフォーマンスをして恩返しをしたくて…!今日のこのせっかくつかみ取れたチャンスだけは無くしたくないんです!」

 

警察署にいた時も最初話しかけてきた時もどこか自信なさげなイメージを持っていた煌だったが、夢のために信念を曲げないところに関心していた。

 

「そこまで言われちゃあ、叶わないな。」

「え…?」

「あんたのその強い気持ち、気に入った。俺たちが責任もって最後まで守り抜いてやるよ。」

「…っ!ありがとうございます…!」

 

そんな会話をしていると速水が戻ってくる。

 

「美穂、時間だ。今君ができる最大のパフォーマンスをするんだよ。」

「はい!」

「田中、君も付いてこい。」

「……はい。」

 

3人は控え室を後にし、会場へ向かう。その後を麗奈、零士、魁も追う。

 

「狙ってくるとしたらここよね」

「でしょうね。撮影のあとの歌の披露。そこなら人も沢山いて目立たないでしょうからね。」

「んじゃ、気ぃ引き締めていくか!」

 

 

 

***

 

 

 

高坂美穂の撮影が始まった。イベントに出られた喜びなのか、煌が背中を押したからなのかは分からないが、いつもよりも表情が生き生きしていて良い!と速水は絶賛していた。次は抽選によって集められたファンの前でのライブがある。煌達4人を含め、護衛をしていた刑事達はより一層の警戒をしていた。

ついにライブが始まった。1曲目が終わり、盛り上がり始めてきたその時、ステージ脇にて異変が起きた。

 

「おい、ここは立ち入り禁止だぞ!」

「うるさい!僕のみぽりんに会うんだよ!どけ!」

「ぐあっ!」

 

ライブのスタッフを突き飛ばしてステージの上にやってきた1人の男。その光景を見た煌と魁は急いでステージの上まで向かう。その間、男は高坂美穂に話しかけていた。

 

「ねぇ、みぽりん。今日の衣装も可愛いね…。その姿はこんな奴らには見せるものじゃない。僕だけのものだ…。僕と一緒に駆け落ちしようよ…!」

「えっと…どなたですか?」

「…!?酷い!告白までしたのに、僕の想いはまだみぽりんに届いてなかったのか…?ならこれで無理やりにでも…!」

 

男が取り出したのは1枚のアームドチップ。

《Octopus》

それを起動し、右手の平へと突き刺す。姿が変わると、現れたのはタコ型の怪人『オクトパスエビル』だった。

 

「ひっ…!」

「「「「うわぁ!化け物だァ!」」」」

 

ステージに居た美穂は腰を抜かし、客席に居た大勢のファンは各々が慌てながら逃げ始める。その光景を気に欠けることなくオクトパスエビルは美穂の方へ近づいていく。

 

「さぁ、僕と一緒に遠くに行こう…?そして2人だけの愛を育もう…?」

「い、いや!来ないで!」

「そんなこと言わず「「はぁっ!」」ぐわぁっ!」

 

ステージに煌と魁が駆けつけ、オクトパスエビルに蹴りを入れる。オクトパスエビルは飛ばされ、起き上がってキレ始める。

 

「おい!邪魔すんな!」

「ファンだからってここまでやっちゃいかんだろ。」

「彼女のためにも、指1本触れさせないぞ!」

 

2人はドライバーを取り出し、腹部に当てる。ベルトが巻かれ、装着が完了する。2人はそれぞれのアームドチップを起動する。

《LEO》《TAURUS》

2人はアームドチップをドライバーにセットし、掛け声を叫ぶ。

 

「「変身!」」

 

《CROSS UP》

《Crimson head LEO!》

《Deep blue giant horn TAURUS!》

2人の仮面ライダーの変身が完了する。オクトパスエビルは初めて見た仮面ライダーに困惑する。

 

「お、お前らには用なんかないんだよ!どけ!」

「お前にはなくても、こっちは大ありだよ!オラァ!」

「ぐわぁ!」

 

タウレスがオクトパスエビルの相手をしている間にレオンが美穂の方に駆け寄る。

 

「大丈夫か…?」

「あ、はい!怪我は無いです!」

「?どうした、そんなに大きな声出して」

「えっと…憧れの仮面ライダーさんに会えるとは夢にも思ってなかったので!しかも2人も!」

「そ、そうか…。とりあえず、近くの物陰に隠れてろ。」

「はい…!わかりました!」

 

美穂はステージの脇の方に駆けて行き、レオンはタウレス達の方へと戻る。オクトパスエビルはタウレスに圧倒されていた。

 

「ぐっ…くそ…ならこれだ!」

 

オクトパスエビルが叫ぶと姿が周りの風景に溶け込んでいく。レオンとタウレスは姿を捉えられずに、一方的に攻撃を受けてしまう。

 

「ぐあっ…!」

「ぐっ…!おい煌、どうすんだ。」

「魁、あれを使え。俺はこいつを使う。」

「あれか。それなら確かにいけそうだな。」

 

短い言葉を交わすと、2人はそれぞれアームドチップを取り出す。レオンはおおかみ座、タウレスはくじら座のチップだった。2人は起動し、スロットにセットする。

《LUPUS》《CETUS》

2人はそれぞれベルトのレバーを押し込み、追加装甲を纏う。

《CROSS UP》

《Addition of Armor》

《LUPUS!》《CETUS!》

レオン・ルーパスとタウレス・スィータスが生まれる。タウレスは超音波を用いてオクトパスエビルの場所を探す。

 

「そこだ!」

 

場所がわかったオクトパスエビルに対してレオンは素早い攻撃を繰り返す。形勢が逆転し、オクトパスエビルはボロボロになる。レオン、タウレスはそれぞれレバーを3回押し込む。

《LUPUS》《CETUS》

《STAR Destruction》

 

「ぬんっ!」

「はあっ!」

 

タウレスが強力な超音波でオクトパスエビルの身動きを封じ動けなくなったところに、レオンが両手の鉤爪から斬撃を飛ばし攻撃する。オクトパスエビルに必殺技があたり爆発する。しかし、オクトパスエビルは倒せていなかった。長身の青年と小柄な少女がオクトパスエビルを庇っていたのだ。

 

「ん?てめぇら、何もんだ!」

「ただの人間、って訳じゃなさそうだがな…。」

 

長身の青年から順に口を開く。

 

「悪いが、この男をここで倒される訳にはいかなくてな。」

「だからね!あたし達がわざわざ助けに来てあげたの!」

 

そういうと青年はスロットの付いた剣を、少女はスロットの付いた銃を取り出す。そして、2人がそれぞれもう片方の手に持っていたのはアームドチップだった。

 

「…っ!」

「お前らもエビルグラムってわけかよ!」

「下等な怪物と一緒にするな。」

「あたし達の方がずっと強いの〜!」

 

2人はアームドチップを起動し、スロットにセットする。

《BAT》《TIGER》

 

「「着装」」

 

2人はおどろおどろしい音と共に暗闇に包まれ姿を変える。そこに居たのはエビルグラムとは違うかなり星座の戦士達に近い姿をしたコウモリと虎の怪人だった。

 

「俺たちはエビルマスター。」

「エビルグラムを束ねる者たちってわ・け♪」

 

2人の仮面ライダーとエビルマスターの戦いが始まろうとしていた…




タウレスの新フォームが出たかと思ったら、なんか別の奴らも出てきちゃいましたね。一体どんな力を持つのか。その謎は次回明かされます。


では、次のお話で…。

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