ザック「ふぁ〜・・・5時・・・か。軽くランニングするか」
翌日、俺は、朝早くに目が覚めて、動きやすい軽装備で、ティルナノーグの中庭を走る。涼しい風が吹いてくる。
ザック「はっ・・・!はっ・・・」
朝の日課のランニング。距離は決まってはいないが、いい汗が流れるまで、ただ走り続ける。そして、満足したら、俺は立ち止まる。
ザック「ふぃ〜・・・いい汗かいたぜ・・・今日もいい天気だな。相棒?」
俺が立ち止まったのは、MSドック。そこに佇んでいる俺の愛機のグフの目の前だ。
ザック「はじめての所属部隊だな・・・ま、色々問題はあるかもしれんが、これからもよろしく頼むぜ。相棒」
俺は相棒に軽く触れる。いつも頼もしい相棒。俺の動きについてきてくれ、俺に力をくれて、俺を守ってくれる。こいつに俺は応えなきゃならないからな。
「起きていたのか。トリシュラー中尉。」
声をかけられ、後ろを振り向くと。
ザック「バルバラ中尉、おはようございます」
バルバラ「おはよう。・・・朝は早いのか?」
ザック「ええ。日課でランニングをしていますから、相棒にもおはようぐらい言っておかないと。」
バルバラ「なるほど。トリシュラー中尉はジオンの軍人としての、認識があるということか。」
ザック「そんなんじゃありませんよ。俺はただ、この朝の時間が好きなだけです。戦争をしてる事なんて忘れて、ただ走って、清々しい気持ちになりたいだけです。そうじゃなきゃ、戦争なんてやっていけませんよ。
俺が軍人らしくないって言われてるのは事実その通りなんですよ」
バルバラ「・・・そうか。それよりトリシュラー中尉、これからシュティルナー少尉達が模擬戦を行うが・・・、貴官にはティルナノーグ周辺の警戒に当たってもらいたい。これは、ギャレット少佐の命令だ。頼めるか?」
ザック「了解です。ザック・トリシュラー、これより周辺地域の警戒任務に当たります。オペレーターとして、ラーミナ伍長を連れて行きますが・・・構いませんか?」
バルバラ「構わない。頼むぞ」
バルバラ中尉の命令を受けて、俺はすぐさま、グフに搭乗する。すぐさま、回線を開き、アンリへの連絡を取る。
ザック「アンリ、バルバラ中尉からの命令でティルナノーグ周辺の警戒に当たる。いつもの、オペレート頼むぞ?」
アンリ『は、はい!頑張ります!』
ザック「頼りにしてるよ。ザック・トリシュラー、グフ、出るぞ!」
俺はガスを起動させ、ガスをふかし、出撃。ある程度の範囲を絞った後、警戒任務へと入る。
ザック「周囲警戒開始。索敵、厳しく。アンリの方もよろしくな」
アンリ『了解。ザックさんの範囲外の場所を索敵します。』
俺と、アンリ。二人での周囲警戒に当たる。といっても、ここは普通であるならば、連邦が入ってくる事はまずないと言える。だが、万が一という場合もあるため、バルバラ中尉は俺に周囲警戒をやらせたのだろう。すると。
ピピピピっと、索敵に何かが引っかかった。
ザック「こっちで、レーダーに反応あり。」
反応の方角は・・・ん?正面?俺はメインカメラを動かし、正面を見る。すると。何故かたった一機で進行しているザクの姿。
ザック「・・・ザク?単機で?しかも、なんでこんな所に・・・?」
・・・怪しい。ここは本連邦は愚か、友軍ですら、あまり来ない場所だと、キリー少佐は言っていた。だが、友軍でしかも単機・・・怪しさしかない。
ザック「アンリ、警戒任務中に友軍を捕捉。ザクが一機。キリー少佐、もしくはバルバラ中尉に報告。俺も一度帰還する。」
アンリ『了解です。』
俺は奴に気づかれない様に、一度、ティルナノーグへと帰還する。グフをイルメラさんに任せ、俺はブリーフィングルームはと向かう。扉を開けると、すでに、全員が集まっていた。
キリー「おかえりなさい。ザック。早速で悪いけど、詳しい状況を説明してもらえる?大体のことは、アンリから聞かせてもらったけど。」
ザック「了解。警戒任務中、こちらへ進行中のザクを確認。周囲に他の機体が見当たらなく、単機でゆっくりと進行。このまま進行すれば、ティルナノーグを捕捉する恐れあり。どうしますか?」
キリー「なら、MS全機発進。目標を補足したのち、呼びかけを行うわ。部隊からの孤立、もしくは敵軍に追われていれば敵機を撃破。それと・・・各自の判断による発砲も許可します」
ヘレナ「・・・つまり、状況によっては、撃っても良いって事ですね?」
キリー「ええ。それはさっきも言ったけど、各自の判断に任せるわ。呼びかけはバルバラ、あなたが行ってくれる?」
バルバラ「はっ!」
キリー「それじゃあ、総員、第一種戦闘配置!」
「「「「了解!」」」」
キリー少佐の命により、俺達は、各自のMSで出撃。俺が先頭となり、3人が後を追う様に出撃。キリー少佐から教えられた師弟座標に到着し、岩陰に俺達は待機。そこからメインカメラだけを出すと、先程見つけたザクが一定の速度で歩いている・・・が、突如として足を止めた。
ザック「こちら、ザック、目標地点に到達。目標、補足・・・・・・周囲を警戒しながらゆっくりと進行・・・いえ、停止。」
バルバラ「よし、こちらで呼びかけを行う。各機、その場で待機。」
バルバラ中尉の命令のもと、俺達はその場で待機。バルバラ中尉の呼びかけが始まる。彼女が呼びかけしている中で、俺は、ある事を思考している。
ザック(・・・変だ。あそこまでの警戒態勢をする必要があるのか・・・?敵地ならともかく、ここはまだ、連邦の進行すらない場所・・・つまり、ジオンの占領地・・・だが、奴はひっきりなしに周囲警戒を・・・)
「・・・中尉・・・ック中尉・・・!ザック中尉!!」
ザック「・・・っと、どうした?アルマ?」
アルマ「あのザク、バルバラ中尉の呼びかけに全然反応してませんよ!?尚も進行中!」
アルマの言葉に、もう一度、目標を見ると、さっきと同じく、ゆっくりと進行を再開している。
ヘレナ「・・・っち、トリシュラー中尉、撃ちますか?」
ザック「・・・いや、まだ撃つな。バルバラ中尉、今度は俺が呼びかけてみます。良いですか?」
バルバラ『わかった。気をつけろ』
ザック「了解。アルマ、ミア、ヘレナ・・・各自の判断で引き金を引け。武装ロック、解除しておけよ?」
ミア「・・・え?」
・・・どうも、きな臭いな。当たらなかったら良いんだが・・・俺はグフのスラスターを起動させ、ザクの目の前に立つ。すると、どうだろうか。奴は俺に向けて、マシンガンを構えた。ご丁寧にロックオンもされてる・・・
こりゃ、当たっちまったかね・・・
ザック「そこのザク!貴官の名前と、所属部隊名を・・・っ!?」
予想はしていたが、奴は、マシンガンの引き金を引いた。俺は咄嗟に、機体を動かし、回避。そして、奴に対して、バズーカを構えて射撃。奴のコクピットに当たり、ザクは爆発・・・機能を停止した。すぐに、俺はキリー少佐に通信を入れる。
ザック「司令部!ザクは連邦に鹵獲された機体だ!周囲に連邦がいる!周囲に熱源反応はあるか!?」
アンリ『周囲に多数の熱源反応あり!ザクの反応が多数!全て、連邦に鹵獲された機体です!』
アンリからの情報により、レーダーに赤い丸が多数、レーダーに映し出される。これら、全てが全て敵らしい。
アルマ「こんなにいるの!?」
ミア「それに、ザクの反応ですけど、見た目が全然違う敵機がいます!ですけど、あのパーツが、全てザクのものですよ!?」
ヘレナ「私達から、鹵獲した機体を使ってるのか・・・!連邦は汚い手も使うんだな!」
ザック「・・・各自、驚くのは後だ。全て撃破する。俺とアルマが、陽動しつつ撃破。ミアは状況を判断しつつ、迎撃。だが、俺の方は気にするな。アルマとヘレナの方に気をかけろ。ヘレナは射撃に専念しろ。背中は任せた。」
『『『りょ、了解!』』』
・・・咄嗟に命令しちまったが、リーダーじゃないしなぁ・・・ま、今はいい。さて・・・・・・
蹂躙しますか。
アルマSide
アルマ「あ!ザ、ザック中尉!?」
ミア「ひ、一人で敵機に突っ込んで行っちゃいましたよ!?」
ヘレナ「う、嘘だろ・・・!?」
私達が動く前に、ザック中尉のグフが敵機の中に突貫した。それに反応した敵機の照準が全て、ザック中尉のグフに向けられる。
・・・まずい!このままじゃザック中尉が・・・!
そう思ったけど、私の心配は杞憂に終わった。何故なら、ザック中尉はスラスターを起動させ加速。両手にヒートソードを持ち、全ての敵を切り伏せた。そのまま次の敵へ。
アルマ「すごい・・・!」
ミア「これが・・・黒の鬼神・・・!ザック・トリシュラー中尉・・・!」
ヘレナ「二人とも!ぼさっとするな!まだ敵はいる!」
ヘレナが敵を撃破しながら、わたしたちを指摘して来れた。そうだった!見惚れてる場合じゃない!
アルマ「っと、そうだったね!私も行ってくる!ミア、ヘレナの援護、よろしくね!」
ミア「は、はい!」
私も・・・自分の愛機、陸戦高機動型ザクを動かし、ザック中尉の援護に向かう。同じザクでも・・・!私もバズーカを発射し、敵MSを撃破していく。
アルマ「よしっ・・・!一機撃墜!どんどん行くよ!」
ザック中尉ばかりに負担はかけちゃダメ・・・!私も頑張る・・・!
ザックSide
ザック「これで・・・ラストォ!!」
俺は、最後の一機をヒートソードで、真っ二つにし、撃破。あれだけいたが、数分で機能停止した敵MSの残骸ばかりになっていた。
バルバラ『周囲に敵機の確認はない。作戦は終了だ。』
ザック「・・・ふう〜、生き延びれたな・・・3人とも、お疲れ。初陣にしては上出来だな。」
アルマ「そ、そうですか?ほとんど、ザック中尉が倒していた気が・・・」
ザック「戦争は生きてれば勝ちなんだよ。作戦が失敗しても、生きてれば次がある。今、こうしてお前らは生きてる。それでいいんだよ」
多くの敵を撃破しようが、拠点を占拠しようが、それは自身が生きているからこそだ。そのまま帰ってこなかった奴もいる。だからこそ、新人達には生きて帰って来ることが仕事・・・って言う奴も上司にはいるからな。
ヘレナ「そう・・・なんですか?」
ザック「ああ。それと・・・ヘレナ。ナイスアシストだったな。狙撃の腕は一流・・・あとは、接近戦・・・いや、白兵戦をできるやつになれば、お前はこの部隊で重要な役割を担う。頑張れよ」
ヘレナ「は、はぁ・・・」
ザック「それと、ミア。お前もなかなかの腕だ。観察眼がいい。咄嗟だと思うが、援護が的確だった。現に、アルマはそのおかげか、思いっきり動けてた。そうだろ?」
アルマ「あ、はい。ミアが後ろにいるから・・・私はこう!って動けてましたけど・・・」
ザック「後ろに頼りにできるやつがいるって事はこんなにいい戦果をあげられる。お前らは部隊として、いい連携が取れてる。アルマとミアでの前線構築、ヘレナの狙撃による援護・・・お前ら、案外いいチームになるかもな。」
実際、俺は戦闘の最中、全員の動きに注目していたが、打ち合わせをしていないのに、あそこまでの動きを見せたのは意外だった。
ミア「そ、そうでしょうか・・//」
アルマ「えへへ・・・//」
キリー『話してる所悪いけど、各自、帰還を忘れずにね。アンリ、周囲の警戒を代わりにやってあげて。』
アンリ『は、はい!えっと、一応、帰還ルートを出しておきます!みなさん、ゆっくりでいいので帰還してください!』
ザック「了解。これより、全員で帰還します。」
キリー少佐の命令通り、俺達は、俺達の家へと帰還する。だが、アルマ達がその場で止まってしまう。
アルマ「あ、そうだ。ミア、ヘレナ。これから同じ部隊になるんだし、ザック中尉が言った通り、敬語はなしね?」
ヘレナ「え?けど・・・」
アルマ「おんなじ女の子だし、これからは背中を預ける仲間になるんだよ?気軽に行こうよ」
ヘレナ「・・・ああ。わかったよ」
ミア「はい!」
ザック「・・・仲がいい事は何よりだけどよ。お前ら、さっさと行くぞ?あんまり遅れると、バルバラ中尉に怒られんぞ。」
アルマ「あ!はい!!怒られるのは嫌ですー!!」
そして、俺達は、今度こそ、家へと帰還するのであった