【新装版】GR:DED   作:雁野 命

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#06

 

「俺か?俺は復讐者(アヴェンジャー)だ……!」

 

「アヴェンジャー、ってそんな、同じクラスのサーヴァントが二体もいるワケ……まさか、猟犬!?」

 

驚愕する広樹を前に悠然と立つゴーストライダーだったが、猟犬、の一言に身に纏う炎の勢いが若干強くなる。だが、面白くないのはもう一人のアヴェンジャー、ジャンヌ・オルタも同様だった。

 

「急に出てきてアヴェンジャーを名乗るなんて……一体何様のつもりですか!」

 

「哀れな道化よ、お前たちの舞台もここまでだ」

 

睨むような視線のジャンヌ・オルタと広樹に対し静かに怒りを滲ませて宣言するゴーストライダー。対照的な両者の睨み合いだが、ゴーストライダーの隣に沖田が並び立つ。

 

「セイバー、いや、沖田総司さん、なんでそんな奴と組んでるんだよ!?」

 

「何を言ってるかわかりませんが、ウチのマスターが世話になりましたからね。その分ぐらいは手伝いますよ」

 

「総司、勝つわよ!!」

 

承知!、と勢いよく答えて構える沖田と後ろに立つ善子。その姿には驕りも不安もなく、ただ、純粋な信念と決意が感じられた。

 

「ダイヤさん、下がっててください!──ジャンヌ、こいつは情報がない、()()()()()()!」

 

「仕方ないわね……来なさい、私の下僕ども!」

 

悲しみに打ちひしがれるダイヤがフラフラと下がる。広樹の左手の令呪が輝き二画目が消えるとともにジャンヌ・オルタが旗を振るうと竜の魔女としての力が増幅され、何処からともなく大量のワイバーンが現れる。

 

「何なんですかこの数はー!?」

 

「まだまだ、こんなモンじゃないわよ!!」

 

再びジャンヌ・オルタの旗が振るわれると上空から巨大な邪竜が舞い降りて来た。頭上を覆うワイバーンの群れと降り立った巨大な邪竜を従えるジャンヌ・オルタと広樹、その表情には余裕が窺えた。

 

「むむむ……これは流石に宝具を使うしかないですかね……」

 

「──上等よ!絶対に、コイツらを勝たせるわけにはいかない!──外狩さん?」

 

「ワイバーンは任せた……そこの元マスターも頼む」

 

小さく唸る沖田と怯みかけた心を奮い立たせる善子だったが、一歩踏み出たゴーストライダーの言葉にしっかりと頷く。

 

「ハッ、大きく出たじゃないの……それじゃ、喰われなさい!!」

 

「ちょっ、外狩さん!?」

 

「マスター、危ないですよ!」

 

ジャンヌ・オルタの指示で悠然と立つゴーストライダーに噛み付く邪竜。その攻撃から逃れるために善子を連れて下がる沖田だが、邪竜の動きが止まったことに違和感を覚える。

 

「アッハッハッハ……は?」

 

「どうやら、食い出がないものは好かないらしいな」

 

ゆっくりと開く邪竜の口、そこから無傷のゴーストライダーが姿を現すと邪竜の体がヘルファイアに包まれ、鱗や爪、牙が鋭く伸びて炎を纏った凶悪なヘルドラゴンとも呼ぶべき姿へと変貌するとゴーストライダーへと頭を摺り寄せる。

 

「なんだ、あの化け物は……!?」

 

「ウソ……私の竜が?──このっ、行きなさい、ワイバーン!」

 

「さて、今度はこちらの番だ」

 

驚愕するジャンヌ・オルタと広樹の前でゴーストライダーは悠然とヘルドラゴンに飛び乗ると空へと舞い上がる。飛び立ったヘルドラゴンへとワイバーンの群れが殺到するが、その(ことごと)くを燃え盛る翼の羽ばたきや尻尾の一振りで叩き落し、口からの獄炎で焼き払う。その様はまさしく地獄絵図と呼ぶに相応しかった。

 

「うわ~……これ、もう、私たちいらないんじゃないですか?」

 

「馬鹿言ってないで構えなさい、来るわよ!」

 

「……マジかよ?こりゃ、ヤバいかもな……?」

 

「……上等じゃないの!来なさい!!」

 

圧倒される二組だったが、奮起して旗を振るったジャンヌ・オルタが呼び出した二体目の邪竜に広樹を抱えて飛び乗ると、追加のワイバーンを呼び出して沖田と善子にけしかける。

 

「総司、宝具を!!」

 

「はい!──ここに、旗を立てます!」

 

飛びかかるワイバーンの群れの中、立てられた旗。その周囲の空間に魔力が満ち、何処からともなく浅葱の羽織の男たち──その中には先ほど倒れたバーサーカー、土方歳三の姿もある──が現れてワイバーンの群れとの戦いを始めた。

 

「外狩さん!こっちは新選組(私たち)に任せてください!」

 

「任せた──来い、竜の魔女よ。地獄の炎を見せてやる」

 

「──ッ!行くわよ、マスター!」

 

ワイバーンの群れと新選組が戦う中、ジャンヌ・オルタと広樹を乗せて飛び上がる邪竜は上空で待つゴーストライダーのヘルドラゴンと睨み合う。先に動いたジャンヌ・オルタの邪竜がヘルドラゴンに激突するとその勢いで怯んだヘルドラゴンの首筋へ喰らい付く。

 

「アハハハ!同じ邪竜の扱いなら私の方が──」

 

「殻も割れんか。邪竜も魔女も衰えたと見える」

 

「──え?」

 

悲鳴を上げる邪竜、その牙と口はヘルドラゴンの鱗で逆にボロボロになっており、その首筋はお返しとばかりにヘルドラゴンの鋭利な牙で喰い破られていた。

 

「そんなっ!──マスター、掴まって!!」

 

「ぬ、おぉっ!?」

 

力を失いもがきながら墜ちていく邪竜を必死に操るジャンヌ・オルタはどうにか近場の駐車場へと不時着させる。

 

「ぐ、うぅ……大丈夫か、ジャンヌ?」

 

「えぇ、何とか。それより、マスターは……無事みたいですね」

 

「ライダーとしては二流、と言ったところか」

 

魔力で構成された邪竜が消えてゆく中、後を追うように悠然と降り立ったゴーストライダーのヘルドラゴンをジャンヌ・オルタと広樹が睨みつける。

 

「っ!?──よし、滅ぼすわ」

 

「クソッ、見下しやがって」

 

「少し待っていろ──行け」

 

ヘルドラゴンから降りたゴーストライダーはヘルドラゴンを上空にいるワイバーンの群れに飛び込ませると、その中心でヘルドラゴンの魔力をヘルファイアで爆発させる。ヘルドラゴンの居た場所を起点に発生した上空を覆いつくす炎が群れのほとんどを焼き尽くした。

 

「なっ──何だ、あの威力は!?」

 

「待たせたな。さぁ、裁きの時間だ」

 

「……上等よ!血祭りにしてあげる!」

 

火の粉が舞い落ちる中、悠然と立つゴーストライダーに怯む広樹と怒りに燃える目で睨みつけるジャンヌ・オルタ。そして、最後の戦いの幕が上がった。

 




●#06について
・アヴェンジャーVSアヴェンジャー
本来のジャンヌ・オルタの能力として邪竜が呼べるかは分かりませんが、この世界では転生者の都合がいいように強化されているため、召喚可能となっています。しかし、手を離れた邪竜はただの魔法生物なので、ゴーストライダーの能力で乗り物にされました。全体的にかませ感が強いのは強化された影響です。

・新選組の旗
無明三段突き(むみょうさんだんづき)』の印象が強くて忘れられがちですが、今作ではこういった要素をピックアップする目的もあるため、登場させました。ちなみに、このシーンにおいて一騎が善子たちに任せたのは善子に対して戦士として敬意を払っているから、という理由があります。

・ヘルドラゴン爆弾
戦場を任せたとは言ったものの空中にいる敵を倒すのは困難だろう、という判断の元、必要なくなったヘルドラゴンを爆弾として有効活用しました。ちなみに、相手の乗り物を奪ったりする今回の戦いは小技のオンパレード感があって個人的には好きです。
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