【新装版】GR:DED   作:雁野 命

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#03

 

「(さて、此処から如何する?)」

 

とりあえず、少し離れた喫茶店に入った二人だったが、ちょっと連絡するところがあるので、と言う香蓮が席を立って電話を掛けに行ったため、残された一騎は頼まれた物と自分の分の飲み物を注文して時間をつぶしていた。

 

(まずは、彼女から情報を引きだす)

 

「(然り、彼女は転生者の情報を持っているやもしれんからな)」

 

(そうだ……まぁ、本来なら朝田詩乃に近付くべきだが……)

 

「(如何した?お前にしては歯切れが悪いぞ?)」

 

心の声で会議をしている一騎だったが、説明を求めるゴーストの声に小さく唸っていた。

 

(あのタイミングで出会ったのも妙だ。確証はない。だが、何か違和感がある)

 

「(然り、だが、其れは小比類巻香蓮も同じこと。此の際、何方でも変わらんのではないか?)」

 

(それもそう、か……まったく、儘ならんな)

 

「あの、大丈夫ですか?」

 

注文したコーヒーが来ていたことに気づかないまま内心で頭を抱える一騎の姿がどこか遠くを見ているようにしか見えなかったのか、戻って来た香蓮が先に着きながら声をかける。

 

「ええ、大丈夫です。それで、連絡は取れたんですか?」

 

「はい、それで、まずはお礼を。さっきはありがとうございました」

 

「いえ、別に大したことは……」

 

「いや、十分におかしいですって!普通、レイダーに立ち向かおう、なんて人いませんよ?」

 

謙遜する一騎に対してツッコミを入れる香蓮だが、本当にナイトさんに似てますね、と小さく呟く。その表情はどこか寂しさを滲ませていたが、気を取り直したのか勢いよく顔を上げる。

 

「それで、助けてもらってついでで申し訳ないんですけど、その無鉄砲さ、と言うか、その勇気?を買って一つお願いしたいことがあるんです」

 

「ええと、まぁ、僕で出来ることなら」

 

「いや、出来るかはわからないんですけど……あなたには一緒に仮面ライダーを探す手伝いをしてほしいんです」

 

「(一騎、如何やら当たりのようだぞ?)」

 

「……それは、また、どうしてそんなことしているんですか?」

 

香蓮の提案に内心はともかく表向きには当然の返答を返す一騎だったが、その返答に香蓮の顔が曇る。

 

「その……実は、わたしの知り合いの子が仮面ライダーを探しているんですけど、見つけてもさっきみたいな感じで……」

 

「なるほど、それでわざわざ危険に飛び込む僕に声をかけた、と」

 

「ええと、まぁ、身も蓋もない言い方をすればそうですね。それで、彼女──詩乃ちゃんが仮面ライダーを探すのに協力してほしいんです、お願いします!」

 

「(一騎、如何する?)」

 

(乗らない手はない、が、ここまで来ると作為的なものすら感じるな……)

 

「(此処で別れたとしても同じ標的を狙うのだ、(いず)れ、二人とは()ち合うだろう)」

 

(だろうな……まったく、儘ならんな)

 

内心で会議をしている一騎の姿を悩んでいると感じたのか、ダメ、ですかね?、と改めて問う香蓮。一つため息を吐いた一騎は真っ直ぐに香蓮の目を見る。

 

「わかりました。これも何かの縁でしょうし、協力しましょう」

 

「本当ですか!?ありがとうございます!えっと……」

 

「外狩一騎です、一応、私立探偵みたいなことをさせてもらっています。よろしくお願いしますね」

 

「あ、わたしは大学二年の小比類巻香蓮と言います。こちらこそ、よろしくお願いします一騎さん」

 

香蓮の提案を承諾した一騎は自己紹介をしつつ握手を交わすと、香蓮は店に入って来た人影──詩乃に軽く手を振る。

 

「詩乃ちゃん、こっち、こっち!」

 

「あ、レ──香蓮さん、お待たせしました──って、あなたはさっきの?」

 

詩乃が香蓮の手招きで席に向かうとそこに一騎がいたことに驚いていた。

 

「ああ、先ほどの──どうも、外狩一騎といいます……と言うことは、仮面ライダーの正体は……?」

 

「あ、どうも、朝田詩乃です──それより、どうしてそれを?……香蓮さん、この人にも協力を?」

 

「うん、まだ全部は話してないけど、自分からレイダーに突っ込んでくような人だし、ほら、どことなく空也君みたいな雰囲気もしない?」

 

香蓮の言葉に、うーん、と唸る詩乃だったが、いや、あんまり、と返すと、えー、とどこか不満げな顔の香蓮。これではどちらが年上か分かったものではなかった。そんな二人を見つつ一騎はふと疑問に思ったことを聞いてみる。

 

「ところで、仮面──その、空也さんでしたっけ?その人を探すと言っても、何か手掛かりはあるんですか?」

 

「一応、出てくる法則、みたいなものを掴もう、ってなってるんですけど……」

 

「香蓮さん、()()()に行きませんか?その、ここだとちょっと……」

 

「あー、それもそうか……え~っと、と言う訳なので、ちょっと一緒に来てもらえますか?」

 

「はい、大丈夫ですよ」

 

詩乃の忠告でここが喫茶店であることを思い出した香蓮の先導で店を出た一騎たちは詩乃たちが()()()と呼ぶ場所へと向かうのだった。

 




●#03について
・注文された飲み物
初期版では私の好きなアニメの影響で一騎に大食い設定をつけようとしていたんですが、わざわざコメディにする必要もないですし、活かせる場面もなさそうなので、その設定は没になりました。

()ち合うだろう
旧版では漢字変換できなかったため、ひらがなにしましたが、新装版では多少の時間的猶予があったため、わざわざ調べて変換しました。ちなみに、ゴーストの言葉はこのように古い言葉遣いや漢字を多用していますが、キャラ付け以外に理由はないです。

・私立探偵の外狩一騎
この手の主人公の表向きの職業と言えば探偵か記者だと思っていますが、個人的には事件に踏み込む理由が作りやすく特別な資格が必要ないことが原因だと思います。あとは特撮らしいという側面もあるのかもしれませんね。
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