【新装版】GR:DED   作:雁野 命

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#04

 

「着きました、ここです」

 

香蓮の先導で一騎たちが着いたのは詩乃たちが拠点として使っているマンションだった。そのまま合鍵を持つ香蓮を先頭に一騎たちはその一室へと入っていた。

 

「あの、だいぶ、高そうなマンションですけど……ここはどなたが借りてるんですか?」

 

「ええと、ここは──」

 

「ここは、スポンサーの借りている部屋です……初めまして、外狩一騎さん。僕は阿僧祇豪志(あそうぎごうし)と言います」

 

「どうも、外狩一騎です。それで、僕に何か手伝えることは?」

 

部屋に入った一騎たちを待っていたのは体格の良い精悍な顔つきの男──阿僧祇豪志だった。まずはこちらに、と促す豪志を先頭に四人はリビングに入った。広めの部屋に数台の大きなパソコンが並べられていたが、部屋の中央にあるテーブルに集まった一騎たちはシールや付箋の貼られた一枚の地図を見せられる。

 

「現在、僕たちは空也さんが現れる場所を絞り込もうとしています──まず、空也さんが出現した地域はこの地図の赤い点で示されています」

 

「なるほど──じゃあ、この、出現地点に多い青い点は何ですか?」

 

「そちらはレイダーの出現地域です。このことから、レイダーの出現地域に来る、とは思うのですが……」

 

「レイダーを見つける方法がない、と?」

 

説明を受けた一騎の問いに、おっしゃる通りです、と頷く豪志。周りを見ると詩乃と香蓮もどうにもならないとお手上げのようだった。

 

「実際に街中をしらみつぶしに探そうにも、僕たちはご覧の通り少人数ですから」

 

「それじゃあ、僕は街中を走り回っていればいいんですか?」

 

「それでもかまいませんが……出来れば、今日か明日にでもエイムズの施設に潜入してもらえませんか?」

 

「ちょっ、豪志さん、何言ってるの!?」

 

「空也のためとは言え、警察に侵入させる訳には……」

 

驚く香蓮と詩乃だが、それも無理はない。豪志の言うエイムズは複合企業であるZAIA(ザイア)の影響を受けてはいるものの、れっきとした政府機関の一つだからである。

 

「いえ、厳密に言えば政府の敷地内にあるZAIAの施設なので、捕まったとしても精々、興味本位の不法侵入者か産業スパイ程度の扱いで済むでしょう」

 

「いや、そう言う問題じゃ──」

 

「わかりました、お引き受けしましょう」

 

「ええっ!?一騎さん、ホントにいいんですか!?」

 

「まぁ、状況が状況ですし、仕方がないでしょう」

 

「その、ありがとうございます……!」

 

困惑する香蓮と驚きながらも感謝する詩乃だったが、最も驚いていたのは提案したはずの豪志であった。

 

「……まさか、本当に受けてもらえるとは──ともかく、サポートは任せてください」

 

「はい、お願いします。それじゃ、必要な物をメモに書くので……これの調達をお願いできますか?」

 

その辺のホームセンターで買えるようないくつかの物品の書かれたメモを見た豪志が、わかりました、しばらく待っていてください、と言い残して外へと出て行くが、手慣れた様子の一騎に香蓮は不思議そうな表情を浮かべていた。

 

「ねぇ、一騎さん。どうして、こんな危ないことに付き合ってくれるんですか?」

 

「うーん、そうですね……困っている人がいて自分なら何とか出来るかも知れない。なら、やらない理由は無いじゃないですか」

 

「(一騎、如何言う心算だ?)」

 

(言ったままだ……それに、不本意だが、情報を集めるならいずれ行く必要があるはずだ)

 

「……一騎さん、ってかなり普通じゃないですよね」

 

「まぁ、探偵なんてやっている人間は多かれ少なかれそんなものです」

 

当然の問いを投げかけた香蓮に対して内心でゴーストに返答しつつあっけらかんと返す一騎。その返答を受けて疑問が解消されたのか、それじゃ、データ見ときますね、とどこか疲れた様子でパソコンに向かう香蓮を見送る一騎に、ちょっといいですか?、と詩乃が近づいてきた。

 

「ええと、何かありましたか?」

 

「その、これを施設に入った後に使ってください」

 

詩乃が差し出した手の中には一台のライズフォンが握られていた。よく見れば一般的に出回っている仕様とは違い、何やらUSBケーブルのようなものが収納されているようだった。

 

「これは、一体?」

 

「それは空也が私に預けた物で、仮面ライダーの技術を使ってどんなパソコンでもハッキング出来る物らしいんです」

 

「どうしてそんな物を?」

 

「私に預けた理由はさっぱり……でも、一騎さんなら上手く使ってくれるんじゃないかと思って」

 

「……わかりました。じゃあ、お借りしますね」

 

「はい。それじゃ、香蓮さんを手伝ってきます」

 

どうぞ、と差し出す詩乃に断り切れない一騎は申し訳なさそうに受け取ると大事に懐にしまうと、香蓮を手伝うために詩乃が離れたところで一騎は小さくため息を吐いた。

 

「(一騎よ、如何かしたのか?)」

 

(いや、さっきはああ言ったが……どうにも都合が良過ぎる、と思ってな)

 

「(然り、だが、其れは何時もの事だろう)」

 

(それはそうだが……いや、今は奴を見つけることが先決か)

 

作業を進める二人の背を見ながら、どこか奇妙な感覚に困惑する一騎だったが、時間がないことを思い出すと、豪志が戻ってくるまでの間に潜入のための計画を詰めるのだった。

 




●#04について
・スポンサーのマンション
香蓮が出た時点で予想の付いた方もいらっしゃると思いますが、SAOAGGOを知っている方はご存じのあの人です。ちなみに、SAOのキャラが少ないのは作者の趣味です。

・エイムズとザイア
基本的な設定は原典に準じていますが、この辺りの関係性は原典であまり説明されていなかったはずなので、私の個人的な考察が混じっています。設定としてはおおよそ間違っていないはずなので、新装版でも特に変更はしませんでした。

・特製ライズフォン
本作における原作改変の一つです。本来はこのような機能はありませんが、言及されている通り改造されたものです。
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