【新装版】GR:DED   作:雁野 命

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#03

 

「……ここは──緋弾のアリア、だと?」

 

先ほどの世界から落ちる中で世界の外殻を見て緋弾のアリアの世界であることを確認した一騎は昼間の廃ビルの屋上から周囲を見渡していた。

 

「(一騎、如何やら此度の相手は刻印を分割した様だ)」

 

(……なるほど、それで奴の弱さと世界の脆さも合点が行く……が、意味が分からんな)

 

「(然り、刻印が小さければ出力も落ちる。自明の理のはずだが……)」

 

困惑する様子の二人だが、それも当然である。本来の刻印でさえ維持するのがやっとである特典と仮初めの世界を、崩壊しやすくする愚行を犯してまで複数を再現する時点で怒りを通り越してまさしく理解が出来ないからであった。

 

(まぁ、おそらく、それほど欲望が深い、もしくは……)

 

「(何かの実験、であろう)」

 

(だろうな……しかし、度し難い連中だ)

 

ため息を吐いた一騎は辟易しつつも廃ビルから出ようとするが、ふと、何かに気づいたように顔を上げた。

 

(ところで、()()()()の転生者の場所は分かるか?)

 

「(然り、分割された刻印の反応は武偵高校からだ)」

 

(……だろうな。一応、聞くが、数は分かるか?)

 

「(()()()()には一つだ)」

 

「……何だと?」

 

げんなりする一騎だったが、さらに続いたゴーストの言葉に思わず口に出して問いを返してしまう。

 

「(此処を除いて残る欠片は七つ。つまり、此の下には最大で七つの世界が在る)」

 

「……まったく……儘ならん、な」

 

頭を抱えた一騎は天を仰ぎつつ珍しく文句を口に出した一騎は緋弾のアリアの世界の比企谷八幡を苦も無く倒すと三つ目──ゼロワンの世界の比企谷八幡と戦うことになるのであった。

 


 

「ぐわあぁぁっ!!」

 

思い返す片手間に吹き飛ばされたゼロワンはその全身を炎で包まれてその装甲ごと燃やし尽くされると、刻印の欠片が戻った後には灰の山が残されるのみであった。

 

「(一騎、呆けるな、終わったぞ)」

 

(……ああ、分かっている……あと、五回、か)

 

「(何時もと同じであろう……多少、短い期間に同じ顔が続くだけだ)」

 

(……それが問題なんだろうが──いや、お前に言うべきではないか)

 

「(否、人の身では苦行であろう。其れに、我らは一蓮托生、気にするな)」

 

(そう、か──いや、待て、何かがおかしい)

 

崩壊する世界で大きくため息を吐いた一騎はゴーストとのやり取りで多少だが気を取り直す。そして、周囲を見渡すと明らかにこれまでと違う闘技場のような世界であることに気が付いた。

 

「(然り、恐らく、此処は最下層の世界だ)」

 

(なるほど、全ての世界を集めたか……それなら好都合だ)

 

「待たせたな!!」

 

現状の判断を終えた一騎とゴーストは突如かけられた声に顔を上げると目の前にはまったく同じ背格好で同じ顔をした四人の比企谷八幡が横並びで立っていた。そして、げんなりした表情の一騎を気にせず、一番右の八幡が一歩前に出る。

 

「俺はfateの八幡!この干将(かんしょう)莫邪(ばくや)で貴様を撃ち抜く!」

 

勢いよく自己紹介をしたfateの八幡は双剣を改造した二挺の拳銃を構えてポーズを取ると、隣の八幡が同じく前に出た。

 

「俺はヒロアカの八幡!デュアッ!このセブンスーツとスペシウムソードが貴様を切り裂くぜ!」

 

「いや、奴を倒すのはこの俺、シンフォギアの八幡だ!この聖遺物、サンライトハートでお前を倒す!」

 

「そして、俺はバンドリの八幡!能力は、ない!!」

 

「……お前たちは阿呆なのか?」

 

威勢よく名乗りを上げた八幡たちを前に一騎は呆れた様子を隠しもせずに頭を抱えて思わず思ったままを口に出してしまう。

 

「……そもそも、お前、能力がないのはどういうことだ?刻印の無駄だろう」

 

「失敬な!!俺には世界とハーレムがある!!」

 

「……話にならんな」

 

流石に気になった一騎はバンドリの八幡に指摘をするが、根拠の不明な自信に満ち溢れた力強い言葉で否定され完全に言葉を失う。

 

「ははーん、なるほど、貴様、俺たちに嫉妬してるな?」

 

「流石、ヒロアカの俺!!」

 

「そうか!自分がモテないからって俺たちの本物の生活を奪う気なんだな?」

 

「……まさか、ここまで突っ込みどころしかないとは……」

 

勝手な言い分を喚く八幡に一騎は呆然とするが、シンフォギアの俺の言う通りだ!!、と続くバンドリの八幡の力強い合いの手でさらに盛り上がる八幡たち。同じ顔をした四人の人間が喚き散らす光景はまさしく地獄絵図であった。

 

「(一騎、奴らの欲望は肥大化し過ぎた。最早、言葉は届かん)」

 

(……そうだな)

 

「──と言う訳だ!……おい、お前!何黙ってんだよ!」

 

「シンフォギアの俺、もしや、あいつは怯えてるんじゃないか?」

 

「そうだそうだ!!」

 

「なるほど!流石はfateの俺、観察眼に優れているな!」

 

「流石だな!!」

 

傍目には押し黙っているようにしか見えない一騎に対して文句を言うシンフォギアの八幡だが、fateの八幡の的外れな分析と合いの手で囃し立てるバンドリの八幡に乗せられてまたもや盛り上がる。そして、その喧噪に耐えられなくなった一騎がその一歩を踏み出した。

 

「もういい、黙れ下郎」

 

「「「「「え?──ぐあっ!?があぁっ!!」」」」」

 

ゴーストライダーに変身した一騎はチェーンで全員をひとまとめにするとそのまま持ち上げて地面に叩きつけ、ヘルファイアでまとめて爆発させた。まさしく、一網打尽にされた八幡たちは煙が晴れるとその姿は消えており、後には大量の灰と刻印の欠片が元に戻った気配が残されているだけであった。

 

「……茶番、だな──さて、いつまで見ているつもりだ!」

 




●#03について
・世界の外殻
以前に説明したゴーストの能力で確認できる世界のおおよその形です。具体的には世界の元になった作品の名前と元々の流れがゴーストには分かるようになっています。

・分割された刻印と世界
世界を構成する刻印の出力が下がることで世界の再現度が下がり、特典の出力が低下するだけでなく、世界自体の強度も低下するため、刻印がなくなれば世界は即座に崩壊します。

・世界の構造
今回の世界はいくつかの独立した世界が積み重なった積層構造になっています。レイヤーごとに異なる世界が存在しており、上位の世界が破壊されるとその下にある世界が新たな外殻として他世界から認識されるようになります。

・肥大化した欲望
今回の転生者は特殊な事情で欲望に忠実になっているせいかやけに盲目的で無自覚な暴走を続けています。詳細はのちのエピソードで説明します。
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