「……茶番、だな──さて、いつまで見ているつもりだ!」
「……何だよ、気づいてんじゃねーか」
チェーンを戻しつつ周囲に向けてゴーストライダーが叫ぶと、戦場の世界が崩壊し、虚無で満たされた漆黒の空間──世界の狭間がこの世界の刻印を持つ比企谷八幡の本体とともにその姿を現した。
「当然だ。魂の追跡はこちらの本業だからな」
「なるほど、ま、そりゃそうか……んで、俺を見逃してくれるつもりはないんだよな?」
「それも当然だ。お前が
どこか諦めを含みつつヘラヘラとした態度の八幡に対して憎しみの籠もった視線を向けるゴーストライダー。相対する両者だが、その姿も対照的であった。
「なんだよ、誰だって
「黙れ、
まずはお前だ、と八幡を指差すゴーストライダーは一歩を踏み出す。その言葉に籠められた怒りとゴーストライダーの迫力にヘラヘラと言葉を弄した八幡の表情も硬くなる。
「チッ、分かったよ……まずは──卍解」
「……やはり、使えるか」
真面目な表情になった八幡は正面に右手をかざすと足元に波紋が広がり、その周囲に千本桜景義が展開されるが、ゴーストライダーはそれを意に介さずに歩みを止めない。
「千本桜景義──って、少しは驚けよ……まぁ、いいや、吭景・千本桜景義!そして、
「ぬ……!?」
大量の桜吹雪によって歩みを止めざるを得ないゴーストライダーだったが、その合間に行われた二つ目の特典の行使には流石に反応したことで干将・莫邪を手に持った八幡は得意気な表情になる。
「お、流石にこれは驚くか──んじゃ、これで終わりだ、
桜吹雪が一度離れると、動きの止まっていたゴーストライダーと八幡の周囲を全ての花びらが刀の形となって二人を囲い込んだ。
「奥義・
そのまま全ての剣をゴーストライダーに殺到させた八幡は油断すること無く二丁拳銃をゴーストライダーの方に向けて構えると魔力を集中させて詠唱を始める。
「──So as I pray,『Unlimited lost works』.」
放たれた魔弾は意識的に空けた桜吹雪の隙間からゴーストライダーの体に命中し、そこからゴーストライダーの内部を突き破って固有結界を発動させてズタズタにする──まさしく、八幡の持ちうる必殺のコンビネーションだった。
「ふぅ……ま、とりあえず、これで様子を──」
「随分と悠長なことだな」
「──なっ!?」
八幡が驚くのも無理はない。なぜなら、本来なら防ぎようのない内部から相手を破壊するはずの攻撃を受けているはずのゴーストライダーが千本桜景義を爆砕して無傷のままその姿を現したからであった。
「ウソだろ!?あの攻撃、よっぽどの宝具でもないと防げないはずだ!──まさか、神性?いや、何かの加護か!?」
「やはり、分体が愚かなら本体も同様、か」
「あぁ!?何だと!?」
呆れた様子を見せるゴーストライダーに対して怒りを露わにする八幡だが、その姿にゴーストライダーはため息を吐く。
「出力不足だ、間抜け。お前の刻印は八分の一欠片でしかない、その程度の力で俺を倒せると思ったのか?」
「俺の力が、弱い?……いや、これだけの特典を使えるならその程度は──」
驚愕する八幡だったが、分割した刻印から引き出せる力は本来より少なく、再現される力も弱いことは自明の理である。そして、悠然と八幡へと歩みを進めるゴーストライダーの指摘はまだ続く。
「お前は分割した特典を同時に使えるようにした──つまり、お前の特典は
「そんな、馬鹿な……」
もう一つの原因、それは低下した出力を複数の特典に割り振って一人の中で再分割した事による更なる出力の低下。それを自覚せずに自分の力を過信した八幡が勝てないことはもはや明白であり、八幡が呆然自失となることも仕方のないことであった。
「理解したか?では、俺の番だ」
「ッ!?デュア──あがっ!」
いつの間にか目の前に立つゴーストライダーに気づいた八幡は咄嗟にセブンスーツを装着するが、そのままゴーストライダーの右ストレートを受けて吹き飛ばされる。転がった八幡はスペシウムソードを手放してしまっており、セブンスーツのメット部分が砕けて半分ほど露出していた顔は怯えた表情をしていた。
「ッ──ハァ、ハァ……」
「ふむ、反応は悪くない。だが、お前に勝ち目はない、諦めろ」
「クソッ!どうして俺が、俺だけがこんな目に合わなきゃならない!」
パニックに陥ったのか泣きそうな顔で叫び出す八幡だが、その姿を眺めるゴーストライダーの目には哀れみは感じられなかった。
「どうして、だと?他人を犠牲にその姿と存在を奪っておいて何を都合のいいことを言う」
「何だと!?アンタだってその力は誰かの偽物だろう!」
「お前と一緒にするな。この姿こそが俺たちだ……偽物ですらないお前にはわからんだろうがな」
「はぁ?何、言ってんだよ……それじゃ、アンタの言う本物って何なんだよ……?!」
「本物とは命だ」
「は……?」
「命とはそれだけで本物足り得る。そして、本物とはそう成るのではなく、そう在るもの、なのだ」
「……何だよ、それ……」
本物、と言う言葉に反応して困惑を深める八幡だったが、その問いに対して返された言葉に呆気に取られる八幡の姿を意に介さずにゴーストライダーは答えを続ける。
「そして、偽物とは本物になろうとする在り方、それだけだ。それは主観でしかなく、
「それじゃ、俺は、一体……?」
「偽物になろうとしたお前は比企谷八幡でも元のお前でもない。そして、何者でも無くなったお前の全てを俺たちは許すつもりはない──その嘆きすらな」
冷たく言い放つゴーストライダーに八幡は絶句する。ただでさえ恐怖を感じさせるその異形が怒りを滲ませている姿は折れかけた八幡の心をへし折るには十分すぎるぐらいであった。
「そんな……俺の選択は、俺の本物は……」
「お前は致命的な部分で憧れを履き違えた、それだけだ。さぁ、裁きの時間だ」
諦めたように脱力する何者でも無い男を引き上げたゴーストライダーは
「……これであの顔も見納めだな」
「(……だと良いのだがな)」
(滅多な事を言うな……それより、次の世界だ)
「(然り、次こそ奴を狩る)」
戦いを終えた一騎たちは改めて件の猟犬を倒す決意を固めると、休む間もなく次なる戦いへ向かうために猟犬の反応を追ってゲートをくぐるのだった。
●#04について
・世界の狭間
一騎の開くゲートの向こうに広がる空間です。基本的には真っ暗ですが、遠くに見える他の世界が星のように光っており、不可視の地面が広がっています。
・六四分の一
どれくらいの強さかと言えば一般人より強いけど怪人には苦戦するレベルの戦闘力です。要は戦闘員や協力者レベルですね。ちなみに、八分の一だと序盤の幹部級怪人ぐらいの強さです。
●タイトルについて
Nobody Eight:何者でもない8
・これは本編で言われているように全部で八人の何者でも無い男となった転生者そのものを表しています
・元になった慣用句やことわざもないので、特に説明するべきことは無いんですが、七つの分体を持つ八幡が九話の敵、と言う数字の言葉遊びがあります
●転生者について
・比企谷八幡となった男
・元高校一年の男子で願いは八幡になることだったが、その発展として刻印を分割して世界を分けた
・個別の特典はないが、分割した世界の自分の能力を使える
・分割した刻印から生まれた分割転生者は切り離された存在のため、元になった転生者の性質が極端に反映されている
①ワールドトリガーの世界
・黒トリガー<千本桜>も使えるA級隊員
・サイドエフェクトは高速思考
・総武高校が三門市にあることになっている
▽黒トリガー<千本桜>
・弧月系のトリガーで基本はブレードとして使う
・桜の花びら状の細かいトリオンのブレードに分解して操ることが出来る
・卍解も使えるが、トリオンを大量に消費するため多用出来ない
・ネイバーフッド由来の黒トリガー
②緋弾のアリアの世界
・HSSを持つ遠山の遠縁の強襲科Aランク武偵
・総武高校のメンバーも武偵
・魔剣戦後ぐらい
③ゼロワンの世界
・ゼロワンに変身する高校生社長
・総武高校は東京
・飛電は遠縁
④fateの世界
・エミヤ・オルタの力と武器を使う魔術師
・高校の設定は変わらない
⑤ヒロアカの世界
・高校生ヒーローの<セブン>として地元で活動している
・個性「スペシウム」:スペシウムを発生させることができる
・ウルトラマンスーツVer.7<セブンスーツ>を使う
・総武高校の設定はそのまま
・開闢行動隊活動後
▽セブンスーツ
・基本となるウルトラマンスーツVer.7.0と同じ装備
・駆動システムとして個性で発生させたスペシウムを使うため、厳密にはセブンスーツとは違う
・なお、スーツにはスペシウム光線を撃つ機構は無い
・理論上生身でもスペシウム光線が撃てるが、体が耐えられないため、完全に自爆技である
⑥シンフォギアの世界
・サンライトハートを使うS.O.N.G.の協力者
・総武高校が東京にある設定
・三期終了後
▽聖遺物<サンライトハート>
・シンフォギアに改造される前の聖遺物を錬金術師が改造したもの
・核鉄の形をしているが、八幡の心臓の代用品である
・起動すると巨大な突撃槍<ランス>の形をとり、エネルギーフィールドを形成してノイズの転換を無効化する
⑦バンドリの世界
・東京にすむ高校2年生でバンドと関わっている
・高校は東京にある
・戦闘能力はない