【新装版】GR:DED   作:雁野 命

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#02

「ぐわあっ!?」

 

夜の帳の落ちた木組みの街、その裏路地は元々の街灯の少なさと人気の無さが相まってどこか不安になるような静けさに満ちていたが、その静寂を打ち破る大きな爆発音とともに吹き飛ばされる怪人──シュートロイミュードは元の中年男性の姿に戻ると戦闘のダメージかそのまま気絶していた。そして、その怪人を倒した一騎は戦闘の直後と言うこともあるが、それ以上にどこか疲れた様子だった。

 

(……これで、何戦目だ?)

 

「(4、否、5体目だ)」

 

(まさか、ラビットハウスを出てから連戦続きとは……早めに宿が見つかったのはせめてもの救い、か)

 

一つ大きなため息を吐いた一騎は宿への道を歩きながら、この一日の状況を振り返っていた。

 

「(然り、そして、其れが一騎の力で倒せる程度の怪人、と言う事も僥倖だ)」

 

(それも気になるが……敵の数が多すぎる)

 

「(人心が乱れれば罪人も増えよう。増してや容易に超人に成れる、と在れば不思議ではあるまい)」

 

(それだけなら分かる。だが、レイダーにスマッシュ、ロイミュード、あまつさえライオトルーパーまで出てきたが、バグスターを見かけない……理由は分からんが、少なくともこの怪人は()に意図的に生み出されている物、と見て間違いはないだろう)

 

「(成程……では、スナイプは何者だ?件の猟犬にしては些か単純に見える。が、刻印の反応は無い──っ!?一騎!)」

 

(分かっている!)

 

考え込む二人だったが、突如、気配を感じたゴーストの警告と同時に近くの建物の陰に飛び込む一騎。そして、一瞬遅れて一騎のいた場所に弾痕が出来ると、飛び込んだ一騎を追うように弾丸が撃ち込まれ、一騎の隠れた壁に無数の弾痕が刻まれた。

 

「よく避けたな!外狩一騎!」

 

「……お前は──」

 

壁から顔を覗かせた一騎の視線の先、雲の少ない月に照らされた夜空に浮かんでいたのは両腕のガトリングガンを一騎に向けたスナイプの姿があった。

 

「そうだ、私は仮面ライダースナイプ……外狩一騎、いや、世界の破壊者ゴーストライダー!お前を倒す者だ!!」

 

「(一騎、如何する?)」

 

(死なない程度に加減して倒す……まったく、儘ならんな)

 

「来ないのならこちらから行くぞ!」

 

動かない一騎にしびれを切らしたのか、スナイプが一騎の隠れる真上まで飛ぶとそのままガトリングガンを連射する。小さく舌打ちした一騎は先程の路地裏まで飛び出ると全身が炎に包まれてゴーストライダーへと変身して追いかけて来た銃弾をヘルファイアで溶かしつくした。

 

「何だと!?」

 

「無駄だ、お前の力では勝てん」

 

「そんなことはっ!」

 

実力差を感じつつも何かに駆られるようなスナイプはジェットコンバットガシャットをベルトのキメワザスロットホルダーに挿入し、スイッチを二度押す。

 

『キメワザ!』

 

「……来るか」

 

「これで──」

 

『ジェットクリティカルストライク!』

 

「──どうだ!!」

 

昼間の怪人を倒したスナイプの必殺技、ジェットクリティカルストライク。大量のミサイルとガトリングガンの掃射がゴーストライダーを包み込みその姿を爆発と黒煙が覆い隠した。

 

「……やった、のか?」

 

「いや、まだだ」

 

「なっ……ぐあっ!?」

 

黒煙を裂いて飛んできたチェーンに絡め捕られたスナイプはそのままなすすべもなく地面に叩きつけられる。顔を上げたスナイプの視線の先には無傷のまま左手にチェーンを持つゴーストライダーの姿があった。

 

「ぐうっ、このっ」

 

「諦めろ、その足掻きは無意味だ」

 

「くっ、私は──があっ!」

 

動けないスナイプをチェーンで引き寄せたゴーストライダーはチェーンを解くとそのまま右のストレートでスナイプを殴り飛ばす。5mほど吹き飛ばされたスナイプはそのまま転がって行くが、ダメージのせいか起き上がるのもやっとのようであった。

 

「く、うぅっ」

 

「動くな」

 

「私は、負ける訳には……行かない!」

 

「ぬ……!?」

 

突如スナイプが跳ね起きたかと思えば、ゴーストライダーの目の前の地面を撃って目くらましをするとその姿が掻き消えており、何処かへと飛び去って行ったようだった。

 

「(……逃げられたな)」

 

(ああ……まったく、油断も隙もないな)

 

ゲームエリアが消えたことで破壊の跡がなくなったことを確認した一騎はひとまず変身を解除する。

 

「(此のタイミングで仕掛けてくるとは……一体、如何言う心算だ……?)」

 

(それは分からんが、今の戦いでわかったことがある。おそらく、スナイプは猟犬ではない)

 

「(然り、其れは我も同感だが……では奴は何処に居る?)」

 

(分からん。しかし、奴のやることだ、何かしらの理由があるだろう……が、今は一度戻るぞ)

 

次の襲撃に備える必要があるからな、と心の中で呟いた一騎は今の状況を考えて難しい表情になるが、一度、深呼吸をして思考を切り替えると、準備のために宿へと戻るのだった。

 


 

翌朝、宿を出た一騎は少し中身の増えたカバンを肩にかけて時折カメラを構えつつ街を歩いていた。傍目には街の写真を撮っている旅行客か記者ぐらいにしか見えないが、実際には仮面ライダーと怪人の情報と現場の状況を照らし合わせているところであった。

 

(……どうやら怪人の種類と場所はランダムのようだな)

 

「(我も同感だ。そして、ライダーと怪人、何方(どちら)も夜間の出現率は低い)」

 

(そうだな……これは、少し厄介かもしれんな)

 

「(然り、加えて此の街では多少の衝撃で建物が崩れかねん……昼間に猟犬を狩るには些か骨が折れるぞ)」

 

(ああ。だが、そのための()()だ……最も、現状では付け焼刃程度だがな)

 

苦い顔になる一騎だが、それも当然である。日の光の下では一騎はゴーストライダーになることが出来ず、対策を取ったとしても限られた力では苦戦することは必至だからだ。

 

「(だが、やるしかあるまい。其れが我等だ)」

 

(当たり前だ……それより、スナイプの正体だが、おそらくこの世界の住人だ)

 

「(……成程。確かに、転生者でも猟犬でも無いのならば、そうなるか……ならば、何故、我等を狙う?世界の破壊者、と言っていたが……)」

 

(奴の手口を考えれば、おそらく、現地の人間を騙したか、人質か……その両方、と言う可能性もあるがな)

 

「(然り、我も同感だが……目星は付いているのか?)」

 

スナイプの正体について問われた一騎は手帳を開いて少し考え込むが、おそらく、と前置いてから口を開く。

 

(この街で戦う技能を持っていて俺たちを追跡できる人間。そして、人質の有無に関わらず猟犬の口車に乗せられそうな人間、となればおおよそ見当は付くはずだ)

 

「(成程。ならば早速──と言う訳には行かぬ様だ)」

 

(敵、か……まったく、儘ならんな)

 

確信へと迫りつつある二人だったが、突如、目の前に現れた怪人──ニードルスマッシュへと視線を向けると戦いを始めるのであった。

 




●#02について
・多種多様な怪人
めちゃくちゃなラインナップですが、一騎の遭遇した中にはバグスターが居ません。また、一騎の遭遇した怪人には原典において科学的な力で変身、または発生した怪人、と言う共通点があります。

・VSスナイプ
ゲームエリアは変身と同時に常時展開されているため、武器としてこの力を使うスナイプは転送する理由がなく、見た目には使用しているかどうかわかりにくいです。また、正体そのものはメインではないので、あまりもったいぶらずに明かされます。

・対策
日の光は今作のゴーストライダーの天敵のため、それなりの対策は常に考えていますが、基本的には持ち歩き可能なものがないので、相手や場所によって準備して使い分けます。
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