「(……此れだけ時が有っても何も感じぬとはな……)」
(当然だ。奴には注意力どころか実力も覚悟も足りていない。魔戒騎士としては未熟どころか失格としか言えんな)
あれから数日、勇牙の監視を続けるゴーストライダーは
(陰我も払わずホラーも討滅しないとは……よくもまぁ、今まで無事だったものだ)
本来、ゲートを作らないために街中を巡回するのが魔戒騎士としての普段の業務であり、常日頃から邪気を気にして周囲を警戒するのは当然のことである。しかし、ホラーの捜索にかまけて普段の業務を
「(他の誰かが代わりを為す……其れも
(権利を得ても責任は果たさんか……やはり、度し難い
「(故に我等が居る。
(ああ、そのための俺たちだ……)
そんな勇牙に対して哀れみを捨てたゴーストライダーの言葉に対して答える声には他に聞く者が居れば強い怒りと決意を感じさせる響きがあった。
「うーむ、ほんとに何も見つかんねーなぁ……」
連日の捜索にもかかわらず
「そうは言っても手掛かりはあっただろう?」
「それだって、高橋、って人の血の付いたネームプレートだろ?確実に食われたかホラーになってんじゃん」
励ますようなザルバの言葉にも露骨に顔をしかめつつ、あー、どうやって報告すっかなー、と頭を抱える勇牙に対してまたもやザルバは呆れる。
「お前さんって奴は……だが、今回はどう考えてもホラーの動きがおかしい。くれぐれも油断するなよ、勇牙」
「……ああ、そこは俺も気にかかってる。ザルバにもわからないように気配を消すなんてただの素体ホラーができる芸当じゃない。もっと何かヤバい奴が裏にいる気がする」
内容だけならいつもと変わらぬ小言でしかない。だが、その中に含まれるいつもと違う真剣さに流石の勇牙も事態の深刻さを理解しているようだった。
「ま、何にせよ俺とザルバのコンビに勝てる奴はそうそういねーよ」
な?、と屈託のない笑顔を浮かべる勇牙にザルバはいつもであれば呆れるようなセリフにどこか頼もしさを覚えるのだった。だが、その時、ザルバの様子が一変する。
「!?勇牙、別のホラーの気配だ!」
「ようやく黒幕のお出ましか……場所は?」
「これは……俺様たちの家の方だ!?」
勇ましく立ち上がり、ザルバに声をかける勇牙。だが、その直後にザルバから聞かされたのは想像もしていなかった場所だった。
「……これは、どう言うことだ?」
ホラーの気配を追いかけた勇牙がたどり着いたのは冴島邸──彼の自宅近くの森であった。困惑とともに周囲を見渡して見るが、何か罠が待っているような様子はなく、途中でホラーの気配が消えたことも相まってどこか違う世界に迷い込んだような違和感が彼の心に渦巻いていた。
「俺様にもわからん。だが、ホラーの気配があったことは確かだ」
「なるほど」
なら気配はどっちだ、と問いながらザルバを周囲に向けようとする勇牙。しかし、それより早く少し先の木陰が揺れる。
「遅かったな、黄金騎士」
「ッ!?──外狩、さん?なんでここに?」
横合いからかけられた声に目を向けると気配もなく森の中から出て来たのは先日の青年──外狩であった。
「気をつけろ、勇牙!邪気は感じないが、ヤツの周囲には微かにホラーの気配が残っている」
「なんだって!?」
「なるほど。流石に倒した直後だと勘付かれるか……まぁ、当然だな」
「外狩さん、アンタは一体……?」
「あぁ、こちらの自己紹介はまだだったな──」
勇牙の問いかけに一騎は改めて向き直り、宣言する。
「──俺は外狩
宣言とともに勇牙へ向けられたその視線は酷く冷たく、以前にあった人の良さそうな態度はどこにも見受けられなかった。
●#05解説
・魔戒騎士の説明
原典でも描写されていますが、本来の仕事量なら青春をせずに仕事をしていれば放課後だけでもこなせるレベルの仕事です。本来はホラーの出現自体が職務の怠慢か異常事態を意味しているので、転生者への評価は正当と言えます。
・邪気について
一騎はここで決着をつけるためにあえて時間をかけてホラーと戦うことで転生者に気付かせています。冴島邸を選んだ理由は一般人への被害を避けるためです。