【新装版】GR:DED   作:雁野 命

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#04

 

「(他愛も無いな)」

 

(数に任せた連中ならこんなものだろう……それより、問題はスナイプ()だ)

 

「さあ、次はお前の番だぞ、ゴーストライダー」

 

戦いを終えて倒れる人々から離れた一騎の目の前に同じく戦いを終えたスナイプが飛んで来る。着陸して一騎と相対するその姿は闇討ちをした昨夜とは違い、戦士としての矜持のようなものを感じさせた。

 

「その前に聞きたい。なぜ、俺を狙う?」

 

「昨日も言ったはずだ。世界の破壊者であるお前を倒すと」

 

「なら、誰からそれを聞いた?……答えろ、スナイプ、いや、天々座理世」

 

正体を指摘されたスナイプは押し黙ったままガシャットを外して変身を解除するとそこには一騎の言った通りリゼの姿があった。

 

「……どうして、正体が分かったんだ?」

 

「確信を持ったのは戦いの中での動きと言葉だ……最初から違和感はあったがな」

 

「最初……ラビットハウスで会った時か?」

 

「お前は初対面の俺に()()()()()()()()()()と警告した。普通なら放っておくか、言ったとしても、怪人に気を付けろ、とでも言うだろう」

 

「それはそうかもしれないが……それがどうして?」

 

「敢えて仮面ライダーに言及した、と言うことは、()()仮面ライダーに会うと良くないことが起こる、と無意識に考えていた、そう考えるのが自然だ」

 

まあ、勘のようなものだがな、と付け加える一騎はどこか納得した様子のリゼに対して鋭い視線を向ける。

 

「では、答えてもらおう。俺の事を誰から聞いた?」

 

「……それは答えられない……だが、私はお前を倒して、世界を救わなければならない!」

 

「そうか……だが、その力で俺は倒せんぞ?」

 

「見せてやる!これが、私の新しい力だ!」

 

「む……!?」

 

『バンバンシミュレーション!』

 

力強く叫んだリゼは懐からガシャットギアデュアルβを取り出す。ダイヤルを回してバンバンシミュレーションにセットすると待機音声が鳴り響く。

 

「止めろ、その力は危険だ!」

 

「それでも私は……変身!!」

 

『デュアルアップ!』

 

「ぐ……ぐああっ!」

 

ゲーマドライバーを腰に着けたリゼがガシャットをセットしてレバーを引くとその姿は仮面ライダースナイプ、シミュレーションゲーマーレベル50への変身を遂げるが、その直後、強すぎる負荷にリゼが苦しみだした。

 

「(奴め、何と非道な!!)」

 

(……あまり苦しめたくはない、速攻で行くぞ)

 

「ハァ、ハァ……今度こそ、お前を倒す!」

 

苦しみながらもキメワザスロットのスイッチを押したリゼはゲームエリアであるドラム缶のようなものが並べられた採石場のようなフィールドに自分と一騎を転送させると両腕の主砲ユニット──オーバーブラストキャノンを構える。そして、響き渡る轟音とともに放たれた砲撃で戦いの火蓋は切って落とされた。

 

「くっ、流石に見え見えの攻撃は当たらないか……!」

 

「……」

 

紙一重で砲撃の余波を避けた一騎。力の制御で余裕のないリゼにはわからなかったが、一騎の表情には焦燥は感じられず、どこか哀れみのようなものが含まれているようだった。

 

「これで!どうだ!」

 

「っ……!」

 

「(一騎、何を狙っている?)」

 

(ゴーストライダーで戦うと彼女が危険だ。プランBで行く)

 

対策を使わず逃げに徹する理由を問うゴーストに答える一騎。その間も二発、三発と連続して放たれた砲撃を辛うじて回避する一騎は隙を見てはドラム缶を倒していたが、余計な動きと思考のせいか四射目の砲口が一騎へピタリと合わせられる。

 

「トドメだ!」

 

「いや、まだだ」

 

「──何だとっ!?」

 

砲撃の瞬間、倒れたドラム缶──アイテムボックスから出た黄色いメダル──高速化のエナジーアイテムを取った一騎は目にも止まらぬ速さで砲撃を回避した。

 

「このっ!」

 

再び連続して砲撃が放たれるが、ドラム缶の合間を縫ってそのことごとくを軽やかに回避する一騎。速度だけでなく、戦闘経験の差から来るその動きは最早ただの砲撃では捉えられないようであった。

 

「それなら──」

 

「む……」

 

「──これはどうだ!」

 

スナイプの叫びとともに肩に設置された四基のスクランブルガンユニットが宙に浮かんで一騎を取り囲むと一斉にミサイルや魚雷を発射した。巻き起こる爆発、それに伴う煙と砂塵でスナイプの視界が塞がれる。

 

「倒した、のか?……いや、何かがおかしい……まさか!?」

 

動きが無くなったことで一瞬安堵しかけるスナイプだったが、いつまでも視界が晴れず、むしろ暗闇に包まれていることに違和感を覚える。そして、気付くまでの短い油断が命取りであった。

 

「惜しかったな」

 

「なっ──うあっ!?」

 

突如、煙の中からのびてきたチェーンに絡め捕られそのまま引きずり込まれたスナイプは驚愕する。なぜなら、引きずり込まれた先にはあるはずのない暗闇と左手にチェーンを構えて立つ無傷のゴーストライダーの姿があったからである。

 

「このっ──ぐあっ」

 

引きずり込まれたスナイプはそのままゴーストライダーの頭突きを受けて一瞬、意識が飛ぶ。その隙にゴーストライダーはスナイプの右腕を空いた右手で払った。

 

「うぅっ……な、何を……?」

 

「今、楽にしてやる」

 

伸ばしたままの右手でゲーマドライバーのレバーを元に戻すとスナイプの変身が解除されて周囲の地形が元に戻るとともにゴーストライダーも変身を解除すると倒れかかったリゼに肩を貸した。

 

「一体……どうやって……」

 

「アイテムを使った、それだけだ……都合よく暗黒が出るとは思わなかったがな」

 

「そうか……私の負け、か」

 

「さて、答えてもらうぞ。世界を救う、とはどう言う意味だ?」

 

「それは──」

 

「それは、私から話そう」

 

「!?」

 

「お前は……!?」

 

解説をしながらリゼをベンチへと座らせた一騎は戦う前と同じ問いかけをするが、突如横合いからかけられた声に二人が視線を向けると、そこにはこの時間であれば店にいるはず香風タカヒロの姿があった。

 




●#04について
・一騎の推理
本人の言う通り勘のようなものですが、疑う理由としては無しではないと思うんですよね。理屈としてはこのキャラはこんなこと言わない、と言う粗探しに近いですが、わずかな違和感を元に隠れた敵を探す一騎にはこの程度で十分なのかもしれません。

・シミュレーションゲーマーレベル50
原典をご存じない方に説明すると、装着者への負担を前提に戦闘能力を強化するシステムの搭載されたフォームです。また、ゲームエリアに転送している理由はこのフォームが強力なので周囲への被害を完全に防ぐためですが、その点を一騎に利用されました。

・高速化と暗黒
原典では使える人物に限りがあるか不明でしたが、今作では本編中の描写から使えると判断しました。ちなみに、どちらも停止で代用できそうでしたが、文字数や展開の関係でこの二つになりました。
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