「ぐあっ!!」
ゲートを抜けて世界の狭間に出て来たゴーストライダーが急ブレーキをかけるとヘルバイクの先端に引っ掛けられていたエボルが慣性に従って薄っすらと見える地面を数m先へ転がって行った。
「ハッ、やってくれるじゃないかゴーストライダー……だが、こんな広い場所なら俺の力も──」
「言っただろう、お前の好きにはさせん、と」
「ぐえっ!?鎖、だと?」
起き上がったエボルが動き出す前にゴーストライダーが左手に巻きつけたチェーンが伸びてエボルの首に巻きついた。ヘルバイクを降りて向かい合うゴーストライダーとエボル、チェーンで繋がれた両者の間には一触即発の空気が流れていた。
「ハッ、チェーンデスマッチかよ……まったく、手の込んだことをしてくれるぜ」
「
「そうかい──なら、今日がお前の命日だ!」
言うが早いか左手でチェーンを引っ張ったエボルはそのままの勢いで踏み込むと右ストレートをゴーストライダーの顔面に叩き込む。
「これがお前の全力か?」
ゴーストライダーは一歩も動かず殴られたままの状態でエボルを見ると空いている右手でお返しとばかりにストレートを顔面に打ち返した。
「ぐあっ!!──ハハッ、そう来なくっちゃ、なぁ!!」
「ぬ……」
たたらを踏むエボルだったが、楽しそうに笑うと今度は左、右とワンツーパンチを繰り出すと、流石のゴーストライダーも後ずさる。
「まだまだぁっ!!」
「ぐ、ぬ」
今が好機と見たエボルは左で顔面にフックを放つと、右で胴体へのレバーブローのコンビネーションを放つと左のアッパーカットを顔面に叩き込んだ。
「さて、そろそろシメに入ろうかぁ!」
たじろいだゴーストライダーを見たエボルは三歩程バックステップしつつ戻した右手でドライバーのレバーを回転させて必殺技の準備をする。
『Ready go!』
「ゴーストライダー……これで終わりだ!!」
『ブラックホールフィニッシュ!』
高らかに宣言するエボルは右手にブラックホールのエネルギーを集中させるとそのまま踏み込んで右ストレート──ブラックホールフィニッシュをゴーストライダーの顔面へと叩き込む。
「フハハハハハ!勝ったぞ、見たか上位者ども!ハハハ──」
必殺の一撃を叩き込み、勝利を確信し高らかに笑うエボルだったが、ふと、自らの首元の鎖に目を向ける。
「──ん?そういえば、どうして鎖が燃えたまま──」
「なるほど、奴らは上位者と言うのか」
「は?──ぶげっ!?」
違和感に気付いたエボルだったが、時は既に遅く隙だらけの顔面にゴーストライダーの燃え盛る右ストレートが叩き込まれるとひとまずのチェーンの限界である数m先まで吹き飛ばされた。
「やるじゃねぇか……だが──」
「これ以上、お前に聞くべきことは無い」
「がっ──ぐあああっ!!」
ズレた顎を戻しつつ冷たく言い放ったゴーストライダーはチェーンでエボルを引き寄せると左の拳を右手で包んで振りかぶる。そして、無防備なまま飛び込んできたエボルへとダブルスレッジハンマーを振り下ろし地面へと叩きつける。
「ぐ、くそっ──がああぁっ!!」
うつ伏せに叩き落されたエボルが起き上がろうとするが、その前に踏み抜かんばかりのゴーストライダーの右足がその腰へと踏み下ろされると、その下にあったエボルトリガーが圧力に敗けて粉々になり、エボルはその力を失ってコブラフォームへと弱体化する。
「お、俺の力、が……」
「違うな、それはお前の力ではない」
「そう、簡単に──ぐああっ!?」
倒れ伏すエボルは悪態を吐こうとするが、それを意に介さず、ゴーストライダーはチェーンを使ってエボルを眼前へと引き上げるとその体を炎で包み込んだ。
「やめろ!俺は──」
「無駄だ、俺の眼を見ろ」
「ぐああぁっ!!あ、あぁ……」
ゴーストライダーは既に抗う力を失ったエボルに
(……これで終わりか)
「(然り、良くやった、一騎)」
(……いや、どうやらまだの様だ)
「(何だと──これは、刻印が!?)」
チェーンを戻して一息を吐くゴーストライダーだったが、一瞬の違和感に緩みかけた気を引き締めると戻っていくはずの刻印が何処かへ引っ張られているようだった。
「くっ……」
「(ぬ!何だ此の異様な力は!?)」
何とか刻印の束にチェーンをかけるゴーストライダーだったが、あまりの力強さに徐々にどこかへ引きずり込まれていくようであった。
(……このままでは埒が明かん、飛び込むぞ)
「(一騎!?──已むを得ん、か……だが、確実に敵地だ、気を引き締めろ)」
(ああ、分かっている……まったく、儘ならんな)
状況を打開するべく敢えて敵地と知りつつ引かれるままに任せたゴーストライダーは暫くすると視線の先にある一つの世界に引き寄せられていることに気が付いた。
(……何だ、あの世界は?)
「(何と歪な……だが、大量の刻印の反応がある)」
よく見れば内包しているエネルギーのせいか普通の世界と違い一回りほど大きいだけでなく、大量の刻印の影響か一つの世界にいくつかの世界の一部が重なったような歪な形をしており、どこか異様な雰囲気を持っているようだった。
「(あの世界、如何やら幾つかの世界を組み合わせている様だ)」
(なるほど、ならあの異常な量の刻印にも説明が付くな)
「(然り、だが、此処からでは内情は探れぬぞ)」
ゴーストライダーは超感覚で世界を探ってみるが、何かのベールで包まれているようにその中を見ることは出来ないようであった。
「(恐らく、此れ迄に無い規模の戦いになるだろう……覚悟は良いか、一騎)」
(当然だ──俺はいつも通り奴らを狩る。それだけだ)
「(然り、では、行くぞ!)」
刻印に引かれるままだったゴーストライダーは自らゲートを開くと目の前の世界へと飛び込んでいくのであった。
●#06について
・チェーンデスマッチ
これはエボルを逃がさない目的もありますが、ブラックホールで世界ごと吹き飛ばせないようにする目的もあります。あとは自由に動かすと絵的に困りそうだったので、この形になりました。
・偽物のエボルの終わり
今回、エボルの行った攻撃は本編でもしていた動きに近しい物を選んでみましたが、あくまで偽物のため、狡猾さは本物に及ばなかったようで逃げることもできずに倒されました。そのため、コイツを見たら本物なら馬鹿にしてそうだなと思いペナンスステアの描写であんな感じにしました。
・複合世界
今作の最後の舞台である複合世界です。積層世界とは違い、複数の刻印を組み合わせて作られた高エネルギーの世界なので、複数の転生者が存在しています。また、刻印は本来なら元の世界に戻るはずですが、近くに元の世界と同じような高エネルギーの世界があったため、そちらに引き寄せられました。
●タイトルについて
Phantom Bullet:幻の銃弾
・元ネタはアニメSAO二期12話と13話のタイトルですが、今回の敵がSAOの世界にいたこと、スナイプによる変身自体が援護になったことがその話を彷彿させるため、このタイトルになりました。
・没案として「Catch Me If You Can」にするアイディアもありましたが、今の方が面白そうだったので、こちらは没になりました。
●猟犬について
エボルト(年齢不明/性別不明)
・エボルトの能力を特典に持つ存在で転生元は新卒の社会人だが、その時代の面影はない
・Vol.8では詩乃に憑依して登場:銃を使うことが詩乃ではないことのヒント
・エイムズから奪った仮面ライダーバルカンを使い、空也の刻印でランペイジを手に入れた
・エボルトの力で憑依した人間を強化できるため、強化した身体能力でランペイジを使用した
・Vol.9では登場しないものの、情報だけは知っていた積層世界で刻印の分割という手段を学び、わざと気配を残して囮に使う
・Vol.10ではその世界の転生者の刻印を使ってかく乱のための事件を起こし、後から来た猟犬の刻印で完全体となった
・最後に出現した刻印は元々の物とこれまで自身の強化に使った全ての刻印、今回分割した刻印の三種類
→刻印がなくなったため、戦いが終わった後にはリゼの使っていたスナイプも起動しなくなっている