【新装版】GR:DED   作:雁野 命

65 / 83
#02

 

「(ぬ……転生者の反応だ)」

 

(またか?……これは面倒だな)

 

冬の昼間、通勤や通学中の時間を過ぎて落ち着き始めた平日の街中を一騎がバイクで走りまわっていた。勿論、ただ闇雲に走っている訳ではなく、転生者を見つけるために反応の強い場所を探しているが、目当ての転生者を見つけたはずの一騎はフルフェイスの下で浮かない表情をしていた。

 

「(然り、数は多い、が、此度は()()()も居る。然程、問題にはならんと思うが?)」

 

(斗真(アレ)を頼るだと?正気か?……ともかく、一度、情報を整理するぞ)

 

ゴーストの言葉に顔をしかめた一騎は内心で頭を抱えつつも、昨夜聞いたもう一人のゴーストライダーの話を思い返すのだった。

 


 

「着いたぜ。ようこそアジトへ──って、言っても俺の家だけどな。あ、住んでるのは俺だけだから気にしなくていいぜ」

 

戦いの後、徒歩でバイクの修理工場の併設された一軒家に案内された一騎はそのままリビングに通されると、目の前に立つどこか気の抜けた態度の斗真に冷たい視線を向けていた。

 

「……それで、説明してもらえるんだろうな?」

 

「思ったよりせっかちなんだな……ま、心配しなくても説明するから、適当に座って待っててよ」

 

あ、コーヒーとお茶どっちがいい?、とキッチンへ向かう斗真の言葉に内心で頭を抱える一騎は小さくため息を吐くと、好きにしろ、とだけ答えて食卓の椅子へと座った。

 

「(此奴、余程の大物か、それとも……)」

 

(おそらく馬鹿の方だろう……少なくとも俺にとってはな)

 

「はいよ、粗茶ですがどーぞ、ってね……つーか、そんな難しい顔してどうした?」

 

「……いや、なんでもない」

 

二人分の湯呑を持ってきた斗真は一騎の答えに、ふーん、と興味なさそうに返すとそのまま向かいの席へと座った。

 

「──さて、んじゃ、何から話そうか?」

 

「お前は何者で俺の事をどこで知ったか教えろ」

 

「さっきも言っただろ?俺はアンタと同じゴーストライダーで、この世界の転生者と戦ってたらアンタの話を聞いた事があったんだよ」

 

「なるほど。では、何故あの場に都合よく現れた?」

 

「そりゃ、刻印とゲートの反応を辿ったらアンタが居た、ってだけの話でただの偶然だって……つーか、これ尋問?」

 

「……そうか。いや、この聞き方は生まれつきだ、気にするな」

 

気にするな、っていわれてもなぁ、と頭を掻く斗真だったが、それを意に介さない一騎は、次の質問だ、と冷淡に言葉を続ける。

 

「ここは複数の世界が混ざっているようだが、どうなっている?」

 

「そうだな……まず、アンタの予想通りここは百人近い転生者を集めて作られた複合世界だ」

 

「そこまでは分かっている。他に何か情報はないのか?」

 

「生憎、俺が倒した転生者から他に聞き出せたのは、この世界はゴーストライダー──つまり、俺を()と見立てることで特典による敵の発生を抑えているらしい、ってことだけだ」

 

あとはさっぱり、と肩を竦める斗真がひとまずの説明を終えたとばかりに茶を飲んで一息つく間、その様子を黙ったままじっと見ていた一騎は小さくため息を吐いた。

 

「(大した情報は無い様だな)」

 

「……一つ聞かせろ、お前はどうやってゴーストライダーになった?」

 

「疑り深いなぁ……まあ、いいけどさ。俺はアンタと同じ上位者や他の転生者に反対している立場の人間だった。まあ、アンタと違ってすぐには力が無かったんでな、しばらくは魂だけの状態で封印されてたんだ」

 

「……」

 

「んで、ある日、俺の刻印が反応したと思ったら、この世界の敵としてゴーストライダーをやることになってた、って訳さ」

 

納得してもらえたか?と真っ直ぐに一騎を見て問いかける斗真に対して、一騎は鋭い視線を向けたまま、一応はな、と素っ気ない返事を返した。

 

「さて、最後の質問だ。この世界の()はどいつだ?」

 

「核?何だそりゃ?」

 

「……世界を混ぜたからこそ、その世界の中心となる刻印を持つ転生者がいるはずだ。心当たりはないか?」

 

「うーん……まあ、流石にアイツ等も敵に弱点を言うほどバカじゃないからなぁ」

 

さっぱりわからん、と再び肩を竦める斗真に対して、だろうな、と短く返す一騎は予想していたのか冷たい視線を向けていた。

 

「……アンタ、友達少ないだろ?」

 

「想像に任せる」

 

「そうかよ……そういえば、アンタのことは何て呼べばいい?」

 

「……好きにしろ」

 

「あいよ、んじゃ、一騎先輩、質問がないなら飯作るけど、何か食いたいモンあるか?」

 

「俺はいい、核を探してくる」

 

一騎の態度に呆れつつも立ち上がりかけた斗真だったが、一瞬早く立ち上がった一騎の言葉に動きが止まる。

 

「は?先輩、夕飯どうすんだよ?」

 

「時間が惜しい。食事なら探しながらでも出来るだろう」

 

「あー……もしかして俺も行く感じ?」

 

「……お前は転生者を狩らないのか?」

 

「え?いやー、俺は学校とバイトがあるから今日は無理かなー、って」

 

ダメ?と小さく首を傾げた斗真に対して冷たい視線を向ける一騎、二人の間にはただ静かな沈黙が流れるだけであった。

 


 

休憩がてら手近なコンビニでバイクを停めていた一騎は昨夜のやり取りを思い出して内心で頭を抱えていた。

 

(情報はともかく、少なくとも、斗真(アレ)を軸に作戦は立てられん)

 

「(然り。だが、戦力に違いはあるまい)」

 

(それもどうだかな……ん?)

 

一騎は正午過ぎまで続けた調査の結果、核の居場所はおろか、転生者の正確な総数すら掴めていないことに小さくため息を吐くが、ふとどこかから飛んできた紙飛行機が足元に落ちたことに気づくとそれを拾い上げた。

 

「(子供の悪戯であろう、捨て置け)」

 

(……いや、どうやら違うようだ)

 

「(何?……此れは、住所と地図?)」

 

(それも、転生者の刻印が描かれている……罠、にしてはあからさま過ぎるが、どうしたものか)

 

一騎の行動を訝しむゴーストだったが、広げられた紙飛行機が刻印とどこかのビルと思われる住所が記された地図で作られていたことでその声には困惑が感じられていた。対する一騎もどこかその地図の真意を測りかねているようであった。

 

「(……否、迷う必要はあるまい。罠ならば其れを打ち砕き奴等を狩る。そうであろう?)」

 

(……そうだな。まあ、虱潰しに探すよりはマシか)

 

「(然り、であれば、行くぞ、一騎)」

 

ああ、と内心で返事をした一騎は適当に折りたたんだ地図をポケットへしまうと記された場所へ向けてバイクを走らせるのであった。

 




●#02について
・斗真による説明
この世界についての簡単な説明ですが、彼も戦いながらの情報収集のため、自分以外についての情報は不足しています。また、彼自身のスタンスも生活を優先しているため、その行動には一騎ほどの苛烈さはありません。

・斗真を軽視する一騎
前述の理由により、一騎は斗真の能力や資質を疑問視しています。まぁ、本来は一騎のように復讐のために全てを切り捨てている方がおかしいんですけどね。

・紙飛行機の地図
ここに描かれている転生者の刻印は作中で転生者たちから引きはがされるアレです。特殊なものや分割されたものでなければ基本的に刻印のデザインは統一されています。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。