【新装版】GR:DED   作:雁野 命

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#04

 

日がほとんど沈み夜の気配の濃くなった時間、いつものコンビニでバイトをしている斗真だったが、目の前のレジではなく、その向こうを見ているような表情は未だに大きな迷いを感じさせるようだった。

 

「ねえ、斗真、本当に大丈夫?」

 

「──え?俺、そんなにヤバそうに見えた?」

 

「うん、こんな感じ」

 

「……うわぁ、確かにこれはヤバそうだわ」

 

同じシフトになることが多い友人でもある茶色のウェーブロングの髪の少女──今井(いまい)リサから見せられた直前の自分の写真は心配されても仕方がないと納得できるものであった。

 

「──で、何があったの?今ならお客さんもいないし、アタシでよければ聞くよ?」

 

「うーん……例えばさ、リサは自分のやりたいことが友達のやりたいことを邪魔するとしたら、自分と友達、どっちを優先する?」

 

「何それ?引っ掛け問題とか?」

 

「いや、例えばの話だって──んで、どう思う?」

 

うーん、と考え込むリサに対して、失敗したかな、と内心で客が来ないか気にする斗真だったが、そんな心配をよそに結論が出たのかリサが斗真へ向き直った。

 

「そうだなぁ……アタシなら友達を取るかな」

 

「まあ、リサはそう言うよな」

 

「でも、もし、斗真が本当にしたいことなら、友達の邪魔にならない程度にやったらいいんじゃないかな?」

 

「……ホント、リサは面倒見の鬼だな」

 

「鬼って何よ──」

 

「──危ない!」

 

表情の柔らかくなった斗真の冗談で笑いあう二人、だが、そんな他愛のない日常の一ページは入り口のガラス戸が叩き割られたことで終わりを告げた。

 

「……おいおい、アイツ、諦めたんじゃなかったのかよ?」

 

「あ、ありがと……でも、何が──」

 

「あー、とりあえず、ヤバい奴なのは確かだな」

 

「え、っと、とりあえず、警察呼ぶ?」

 

困惑するリサを庇って伏せた斗真が入り口にいるガラス戸を破った張本人である赤を基調としたコウモリのライダー──仮面ライダーキバ、キバフォームを覗き見ながら内心で頭を抱えていた。

 

「いや、まずは俺がバイクでアイツを引き付けるから、リサは奥に入って隠れてから警察を呼んでくれ」

 

「でも、それじゃ斗真が……」

 

「大丈夫、俺、約束破ったこと無いだろ?」

 

「……わかった。絶対、無事に逃げてね?」

 

小さな声で会話を終えてこっそりとスタッフルームへと隠れようとするリサとは逆に姿を晒して入り口へと進む斗真に対してキバの視線が向けられる。

 

「貴様、よくも抜け駆けを!」

 

「抜け駆け、って単に友達とバイトのシフトが被ったから悩みを相談してただけだろうが?!」

 

「うるさい!おまけに僕のリサに抱き着くなんて!」

 

「いや、俺は庇っただけだし、お前はただのストーカーだろ!?つーか、庇ったのもお前が原因だからな!?」

 

勝手に激昂するキバに律儀にツッコミを入れつつ横目でリサが隠れたことを確認した斗真は小さくため息を吐いた。

 

「まあいい、協定なんて知ったことか!ここでお前を倒す!」

 

「どいつもこいつも協定を無視しやがって──いいぜ、かかって来な。変身!」

 

掛け声とともにゴーストライダーへと変身した斗真はタックルをしてキバを壊れた入り口から外へと弾き飛ばすと、そのあとを追ってそのまま自分もコンビニの外へと飛び出した。

 

「クッ、だが、この程度で──」

 

「済むわけねぇだろっ!チェインブロウ!」

 

「ぐっ──ぐえっ!」

 

立ち上がったキバの首にチェーンをかけたゴーストライダーは勢いよくチェーンを引っ張ると、そのまま引き寄せたキバの顔面に右ストレートを叩き込んだ。

 

「グッ、この……」

 

「アンタの罪を悔い改めな!ペナンスステア!」

 

「ぐ──ぐあああっ!!」

 

軽い脳震盪に陥ったキバの襟首を掴んだゴーストライダーがペナンスステアを覗き込ませると、キバは己の罪によってその魂ごと体を焼き尽くされていった。

 

「ふぅ、これでなんとか──」

 

「残念ながら、ならないんだよなぁ」

 

「っ!?誰だ!?」

 

一息つこうとしていたゴーストライダーだったが、突如、横合いからかけられた声に目を向けると、そこには赤と青のツートンカラーの戦士──仮面ライダービルド、ラビットタンクフォームの姿があった。

 

「勝利の法則は決まった、ってな」

 

「……ホント、協定って何なんだろうな──クソッ、こっちだ!」

 

「あっ!?待てコラァ!!」

 

やる気満々と言いたげなビルドの姿に大きなため息を吐いたゴーストライダーは、ひとまずコンビニへの被害を抑えるために呼び出したバイクに乗って広い場所へとビルドを誘導し始めるのであった。

 




●#04について
・バイトの友達
こういうシーンは苦手なので書いててテンションを維持するのが大変でした。まぁ、本来は斗真が戦うだけのシーンなのでなくてもよかったんですが、状況に説得力を持たせるためにこのような形になりました。

・斗真の戦い
基本的には日常を守るために戦う斗真ですが、協定に則った決闘には真面目に参加しますし、今回のように協定違反の暴走転生者と戦うことも彼の役目です。また、技名を叫ぶのは彼の趣味というかクセのようなものです。

・横行する協定違反
おそらく、一騎が暴れていることがきっかけで不満を持つ転生者たちが暴走している可能性はあります。そのせいで働かされるは斗真はたまったものではありませんが、その手の転生者を倒してこなかった自分のせいなので諦めてもらうしかありません。
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