【新装版】GR:DED   作:雁野 命

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#06

 

(ここも居ない、か……どう言うことだ?)

 

翌朝、と言ってもすでに昼に近い時間帯になってはいたが、地図に書かれたマンションの見える屋上で周囲を観察する一騎は辺りに人が住んでいないことに違和感を感じていた。

 

「(周囲に生命の反応は無い。が、あの建物には複数の強力な転生者が居る……此れは当たりを引いたかもしれんぞ?)」

 

(そうだな……ここまで露骨に人払いされていればさもありなん、だな──それより、あそこに核はいるか?)

 

「(分からぬ。此処からでは他の反応に紛れて絞り切れんな)」

 

(結局、虱潰し、と言うことか……まあ、最初よりは幾分かマシか)

 

「(然り。だが、斗真の情報も役に立つものだな)」

 

(……お前、少し斗真(アレ)の肩を持ち過ぎじゃないか?)

 

マンションの様子を窺いつつ現状の分析を終えた二人だったが、斗真の話を出したゴーストに対して一騎は大きくため息を吐いた。

 

「(確かに、斗真の実力は低いが奴からは転生以外の罪の気配は無い。そして、仮にも協力者であれば評価はせねばなるまい)」

 

(なるほど。お前の基準ではそうなるか……とは言え、無駄話もここまでか)

 

「(然り。だが、雑兵とは言え気を抜くな)」

 

分かっている、と一騎が内心で返事をすると屋上のドアが開きG36(アサルトライフル)を構えた三人の八幡(戦闘員)を従えた仮面ライダーグリスが姿を現した。

 

「「「動くな!」」」

 

「そう言われて止まる奴がいるか」

 

「あっ!?待て!」

 

グリスの姿を確認した一騎は警告を無視して冷たく言い放つとそのまま柵を飛び越えて屋上から飛び降りた。慌てて柵を越えて下を覗き込んだ四人だったが、その眼前には建物で作られた日陰の中を落ちながら屋上へとチェーンを伸ばすゴーストライダーの姿があった。

 

「愚か者め」

 

「──くそったれ!」

 

「カシラ!?」

 

「ダメだ、撃てない!」

 

伸ばされたチェーンが巻き付いたグリスはゴーストライダーの力に耐えられず屋上から引き落とされるが、八幡たちはそのまま地面へと落ちていく二人を眺めているしか出来なかった。

 

「タダでやられるかよっ!!」

 

『スクラップフィニッシュ!』

 

「遅い」

 

「──なっ!?」

 

落ちていく中で必殺技を放つべくドライバーのレンチを下ろしたグリスだったが、それを予期していたゴーストライダーはベルトを燃やし尽くして破壊したことで変身が解除されて本来の青年の姿に戻ってしまった。

 

「では、情報をいただくぞ」

 

「ぐ、がああっ……あぁ……」

 

驚愕した表情のまま青年に贖罪の眼(ペナンスステア)を覗き込ませたゴーストライダーは情報を読み取った魂ごと体を燃やし尽くすと、灰を撒き散らしながら地面へと着地して追撃に備えるが、屋上には何の動きも感じられなかった。

 

(……追撃がない?いや、気配自体が消えたか)

 

「(然り。如何やら奴等は親である転生者が死ぬと消える様だ)」

 

(なるほど。まあ、それも道理か……それより、奴ら、あそこにそれなりの人数を揃えているな)

 

「(然り。このままでは少々、我等に分が悪いな)」

 

(なら、いつも通り準備をするだけだ)

 

周囲に敵がいないことを確認して変身を解除した一騎は拠点を制圧する準備を整えるために近くに止めてあったバイクに乗って街中へと向かうのであった。

 


 

「……ふぅ」

 

夕方、普段より客の少ないファーストフード店のキッチンでバイトをしている斗真は表面上いつも通りに仕事をしているものの、その内心では強い疲労感を感じていた。

 

(うーむ、流石に徹夜で戦ってそのままバイトはしんどい……休んどきゃよかったかなぁ?)

 

「斗真君、疲れてるみたいだけど、大丈夫?」

 

「彩か……あー、ちょっと徹夜で働きっぱなしでな……」

 

「あー、そういえば、コンビニのバイトもやってるんだっけ」

 

ヒマがあるのか声をかけて来たピンク色の髪をしたどこか人目を惹く少女──丸山彩(まるやまあや)が斗真の返答を聞いて、うーん、と何事かを考えながら斗真の顔を観察していた。

 

「えーっと、俺の顔に何か付いてた?」

 

「え!?あ、ううん!その、そういえば、昨日()()()()()()()()()()()()()事故があった、って聞いたけど、もしかしてそのせい?」

 

「え?あ、ああ、そうそう!いやー、その件で朝までてんてこ舞いでさー」

 

「ええ!?それじゃ、斗真君、本当に一晩中働いてたんだ……」

 

(あぶねー、そういえば、修正力で事故、ってことになってたの忘れてたわー)

 

いやー、まいったなー、と勢いで押し切ろうとする斗真に流される形で、なるほど、と得心の行った様子の彩に安心する斗真だったが、ふと店の外に強い気配を感じて動きが止まる。

 

「斗真君?」

 

「あー、ちょっと調子悪くなってきたかも」

 

「え、大丈夫!?きゅ、救急車とか呼んだ方がいい?!」

 

「いや、そこまではいいから!つーわけで、ちょっと早退するけど、後のこと頼めるか?」

 

「え?うん、それはもちろん大丈夫だけど……」

 

じゃ、よろしくなー、と軽い調子で彩に任せると、さっさと店長に報告して手早く着替えた斗真が店を出ると先程の気配をより強く感じて警戒を強めた。

 

「さあ、出て来いよ!こっちは準備万端だぜ!」

 

「そうか、その割には時間がかかったようだがな」

 

「っ!?総司!?……そうか、お前が来た、ってことはそう言うことなんだな?」

 

「ああ、その通りだ──さあ、今こそ盟約を果たす時だ」

 

斗真の前に現れた総司が交わす言葉は無くなったとばかりに口を閉ざすと、二人の間には一時の沈黙が流れる。そして、一陣の風が吹くと二人は同時に動き出すのであった。

 




●#06について
・斗真に対する認識の違い
ここで一騎とゴーストの間で斗真に対する認識の違いの理由が説明されています。罪の有無に主眼を置くゴーストと実力と覚悟を重視する一騎の間で評価が分かれますが、どちらが正しいのかは今後の展開をご覧ください。

・グリスとその部下
グリスをリーダーとするならその部下にはカシラと呼ばせるのが礼儀だと思ったのでこうなりました。ちなみに、この戦闘員は緋弾のアリアの世界の能力なので、強襲科Aランク武偵相当の身体能力を持っていますが、本編では発揮されませんでした。

・バイト先その二の斗真
複数のバイトを掛け持ちしている理由は生活費と転生者へのけん制が目的ですが、ネームドキャラと交流すると言う役得があります。なお、世界の修正力は特典に対する敵のように自然発生するものですが、この世界にはそれを最適化させる管理者が居ます。
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