【新装版】GR:DED   作:雁野 命

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#05

 

「おい、尊!これはどう言う事だ?!」

 

ゴーストライダー同士の戦いが終わった少し後、転生者たちが拠点として使っていたマンションは騒然とした空気に包まれており、ロビーでは転生者たちの指揮を執る尊に対して詰め寄る総司の姿があった。

 

「俺の部下たちから、()に襲われている、と言う報告がひっきりなしに来ているぞ!」

 

「抑えられていた特典に対応する敵が溢れ出した──つまり、斗真(あのバカ)が勝手に突っ走ってやられた、と言う事だ」

 

「……なるほど。それで、どうするつもりだ?」

 

「既に対策は取った。今は敵に対応する転生者を充てて対処させている」

 

激昂した様子の総司だったが、尊の返答にひとまず気を落ち着かせると、次いで返された言葉を聞いて大きく一度頷いてから訝し気な視線を向けた。

 

「そうか──では、ここの連中は何をしている?」

 

「これも対策だ……ゴーストライダーに対しての、だがな」

 

「うん?それは、どう言う事だ?」

 

「奴は俺たちを狙ってここに来る。ゆえに、敵を持たない転生者を集めた、と言う訳だ」

 

「なるほど。だが、こいつらが何の役に立つ?」

 

「確かに、戦力としてはたかが知れているが、まぁ、盾代わりにはなるだろう」

 

「ふむ。まぁ、俺の活躍の邪魔だけはさせるなよ?ハッハッハッ──っ!?」

 

「っ!?」

 

尊の説明を受けて得心が行った総司は機嫌が良さそうに高笑いをするが、突如、中庭から聞こえた大きな着地音に遮られる。立ち込める砂煙は衝撃波でガラスの割れたロビーにまで広がっており、突然の事態に転生者たちの間には動揺が広がる。

 

「もう来たか──総員、戦闘態勢を取れ!!」

 

「チッ、俺より目立つ登場をするか外狩一騎……いや、ゴーストライダー!!」

 

混乱する転生者たちは尊と総司の言葉でそれぞれに戦闘準備を整える。そして、転生者たちが固唾を呑む中、砂煙が晴れると地面の抉れた中庭には転生者たちを睥睨(へいげい)しながら悠然と立つゴーストライダーの姿があった。

 

「随分と数を揃えたものだな──それほど俺が怖いか?」

 

「ハッ、それは(コイツ)が勝手にやったことだ──それより、貴様、ついに本性を見せたな?」

 

「……何の話だ」

 

「とぼけるなよ?この世界の仕組みについては知ってるだろう?」

 

「知っている。それがどうした?」

 

意地の悪い笑みを浮かべる総司の言葉に不快そうな空気を漂わせながら返答するゴーストライダーだったが、その様子を気にも留めずに総司は面白そうに笑みを深める。

 

「なら、復讐に駆られたお前は、敵に襲われるこの世界の住人(無辜の民)を見捨ててここに来た、ってことだろう?これが貴様の本性と言わずして何とする!」

 

「……」

 

「どうした?あまりの衝撃に言葉も出ないか?ハッハッハッ──」

 

「浅はかな考えに呆れ果てただけだ──その程度、俺が考えないとでも思ったか?」

 

「ハッハッハッ──は?」

 

精神的優位に立ったと感じて高笑いする総司だったが、心底呆れたような声のゴーストライダーの返答に動きが止まった。

 

「俺たちには協力者がいる……不本意だがな」

 


 

「クソッ、キリがねぇ!!」

 

ゴーストライダーがマンションに到着する少し前、突如、怪物の溢れた街はパニックに包まれていた。頼るべき警察は早々に壊滅し、尊の指示で戦う転生者たちも敵の数に圧倒されつつある正に阿鼻叫喚の地獄絵図と言うべき状況であったが、そんな中、運悪く激戦地に配置された転生者──仮面ライダーオーズは倒した敵には目もくれずに悪態を吐きながら敗走していた。

 

「つーか、他の連中はどうしたんだ?……まさか、やられたんじゃ──ぐああっ!?」

 

一瞬、気の緩んだオーズに対して物陰から放たれたイカのグロンギ──メ・ギイガ・ギの火炎弾が直撃し、既に限界だったオーズの変身が解除されてそのまま青年は地面に倒れこむ。

 

「しまっ──」

 

「伏せて!──弾けろっ!」

 

目の前に迫るギイガの姿に、終わった、と感じた青年だったが、直後に響く少女の声で目を伏せると、目の前には吹き飛ばされたギイガと青年を庇う凛の姿があった。

 

「遠坂、凛?」

 

「流石に、この程度じゃ倒れないか……ねえ、後ろの貴方、戦える?」

 

「え、っと、数秒あれば、何とか」

 

「それじゃあ──」

 

私が時間を稼ぐ、と言いかけた凛だったが、その言葉を言い終わる前に真上から素体ホラーが飛び降りてくる。

 

「あ──」

 

気配を感じて上を見るが時すでに遅く、既に避ける暇は無く、正面には火炎弾を放とうとするギイガの姿もあり、完全に()()と言える状態──のはずだった。

 

「『刺し穿つ(ゲイ)──」

 

「──今のは!?」

 

「──死棘の槍(ボルク)』!」

 

「あれは……!?」

 

まず、違和感を感じたのは凛。落ちてくるはずの素体ホラーが()()()に吹き飛ばされたと思えばその姿が掻き消えていた。ついで、正面を見ていた青年は赤い槍を持った青い装束の戦士──ランサー、クー・フーリンがギイガの心臓を刺し貫く後ろ姿を目撃していた。

 

「さて、二人とも怪我は──っ!?」

 

「うわっ!?──って、あれ?」

 

一先ずの危機を脱した凛と青年だったが、倒れる青年の背後──ちょうどランサーの死角になる影から素体ホラーが這い出て青年と凛を襲う──直前で遠方から飛来した光る矢に貫かれてその姿が霧散した。

 

「アーチャーか……まさか、またあの野郎と一緒とはな……ともかく、オレはサーヴァント、ランサーだ。二人とも怪我は無いな?」

 

「アーチャーにランサー……ってことは、外狩さんの言った通り、本当にはぐれサーヴァントが出てるのね」

 

「おっ?そこまで知ってるなら話は早い。嬢ちゃん、オレと契約する気はないか?」

 

「ええ、いいわよ──それじゃ、()()()()()()()()()

 

「は?おい、今なんか──」

 

自ら契約を願い出たランサーだったが、妙に即決してにこやかな表情の凛に違和感を覚えるが、時すでに遅く、よく見れば掲げている左手には令呪のような物が一画消費されているようだった。

 

「よし、これで契約成立!」

 

「ちょ、待て待て待て!何だその怪しげな令呪モドキは!」

 

「あ、()()?これはゴーストライダーの力を使って無理矢理サーヴァントを維持するって言う……まあ、呪いの一種ね」

 

「呪い!?いやまあ、確かに魔力は確保できてるけどよ……いきなり味方のサーヴァント呪うとか、とんでもねぇマスターだな」

 

本当に効くのねー、とどこか呑気に呟く凛に対して辟易しつつも周囲への警戒は怠っていないランサーだったが、そんな中で青年は戸惑うばかりであった。

 

「さて──それじゃ、まずはアーチャーを確保しましょうか」

 

「えぇー……マジか?」

 

「ええ、少なくともこちらには駒が足りない──あの制圧力、出来れば仲間にしておきたいの」

 

「ま、その点に関しては問題ないだろうよ──それより、坊主、お前はどうする?」

 

「俺は……」

 

即席のマスターである凛との相談を終えたランサーは戸惑うばかりだった青年の意思を尋ねるが、突然の事態に心を決めかねているのか、青年はどう返すべきか答えあぐねていた。

 

「行くわよ、ランサー!──それじゃ、貴方、命を粗末にしないようにね」

 

「あいよ!──じゃあな、坊主、せいぜい生き残れよ」

 

返答を待つ気が無かったのか号令を出した凛を抱えて飛び去るランサーの後ろ姿を眺めていた青年だったが、一度、大きく深呼吸すると、決意を秘めた目で人々を守るべく走り出すのだった。

 




●#05について
・溢れ出す敵
世界の敵であるゴーストライダー(斗真)がその世界以外の存在に倒されたため、それによって抑えられていた怪人などの敵が現れました。尊は本来ならゴーストライダーが敵の対処をしている間に準備を整えるつもりでしたが、まさにイレギュラーによってその予想は覆されました。

・仕込み
敵の解放ともに世界に封じられていた原典の力も解放されました。その中にはまどマギやマギレコの魔法少女が目覚めただけでなく、サーヴァントの力を持つ人間がいるため、世界の仕組みとしてサーヴァントも召喚されました。そして、それを予期していたゴーストにより、作中の発言通りあらかじめ凛とルヴィアには令呪モドキが渡されていました。

・<お茶会>の行動
戦闘可能なメンバーは各地に散って民間人の保護にあたり、それ以外のメンバーは避難者の誘導や後方支援、戦闘の収まった地区でのケガ人の救助などを行っています。凛とルヴィアは例外としてサーヴァントを連れてそれぞれの担当地区で指揮を執っています。
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