風神side
風元素を使い高い壁を乗り越え風の翼を使い近づく
降りた場所には紫色の髪をなびかせる彼女、バアルゼブルがいた
何千年ぶりに見た彼女は変わっておらず再び会えたことをひそかに喜ぶ
しかし感動の再開というには少々状況がよくなかった
手のひらからBOOM、BOOMと爆発を出している少年が彼女に攻撃をする
何故元素力を使える?
元素力を扱えるものはボクと彼女とお爺ちゃんしかいないはずだけど、、、
久しぶりに目覚めた世界に疑問が募る
しかしそんなことを考える暇もなく
今にも少年を殺してしまいそうな彼女を元素力で止める
「駄目だよ、将軍様、人間にそんなことしちゃ」
彼女はめんどくさい奴が来たというような目でこちらを見る
でもその瞳の奥には少しの安堵と喜びが見られた
「バルバトス、、、見てわかりませんか?この人間は」
「お前ら何もんだ!?アァ!?」
爆発少年が目をビキビキさせてこちらに向かって怒鳴っている
「あははっ!君、目すごいことになってるよ」
「うるせぇ!何もんだって聞いてんだよ!!」
しかしボクたちのこんなやり取りも気にせず彼女がボクに声をかける
「バルバトス、邪魔をしないでください」
「駄目だよ、だって邪魔しなかったら彼殺しちゃうでしょ?」
「神の目がなくとも元素を扱える彼は例外、、永遠の敵、排除すべきです」
「でもボクたちは今を知らない無闇にやっても意味がないと思うよ」
そういうと彼女は綺麗な顔を少し歪める
「ですが、、、」
言葉に詰まる彼女を無視しボクは言葉を続ける
「それに彼だけじゃない周りにいる人たちも、、、」
自分で声にしてようやく気付いた
爆発少年だけじゃない周りにいる人たち全員が元素力を扱える
天空の島を、天理を倒してから元素力を使える人はほぼいなくなった
なのになぜ彼らは元素力を使える?
もしかして知らないだけで元素力を使える人がいたのかもしれない
でも天空からの神の目の支給がなくなった今それはあり得ない
まさか、、、、!
最後にたどり着いた考えは最も最悪なものだった
どうか妄想で終わってほしい、そう思いながら上を向く
しかし現実というものは残酷なものだ
目に入ってきたのはどこまでも澄み渡る青と
いつの日か仲間と共に壊したはずの天空の島
「っ、、」
息が詰まる、まるで時間が止まったようだ
彼らの犠牲は無駄だったのだろうか、、
ボクたちのしたことは全部、全部いらなかったのだろうか
これでもかというほど無意識に握りこぶしを作ってしまう
なんで、、、そう漏れそうになる口を噛みしめる
歪みそうになる顔をどうにかして笑顔を作る
「あはは、、ごめん何言おうとしたか忘れちゃった」
とっさに言い訳を言う
彼女と爆発少年は怪しむような、あきれたような表情でこちらを見る
「えへっ」
「えへってなんだよ!アァ!?殺すぞ!!」
顔の恐ろしさに磨きがかかった少年ともうこちらすら向いてくれない彼女
まったくボクを無視するなんて失礼なと少し不満に思う気持ちと裏腹に
彼らがボクの動揺に気づいていないことに安心した
ほっとして力が抜けてしまったのか彼女の拘束がほどけてしまう
まずい!そう思ってもボクの体はまだ動揺から抜け出せていなかった
彼女の薙刀が爆発少年の首もとに近づく
しかしその薙刀が少年の首元に届くことはなかった
「やめろ!まったくお前らは、、」
彼女と少年の間にいたのは後ろに結んだ髪をたなびかせ呆れた表情をしている何千年ぶりかの友の姿だった