「トレーナー君…いや、誠。ようやくだな」
「君の夢が叶った景色はどうだ?」
「…君が居ないのが寂しいな」
「………」
「君は覚えているか?私を皇帝と言ったのを…」
「その威光は衰えているか?」
「…まさか?」
「そう…初めてのその最高の舞台に私が上がらなくてどうする?」
「でも…君は!!」
「その為の準備は出来ている…」
「みていてくれ…」
「灰塗れの石ころが…輝きを失った石ころがもう一度ダイヤモンドに変わるのを…」
「祈願ッ!君の武運を祈るッ!」
「会長!頑張ってくださいね」
「皆…知ってたのかよ!」
「内緒にね…って言われてましたから」
「全く…」
彼女を見送りながら思い出す。
ここに至るまでの道のりを…。
「…感情に浸るにはまだ早いですよ?」
「たづなさん…」
話はかなり遡る。
「…もうすぐ…完成ですね!理事長!」
そう話しかけるのは緑の服がトレードマークの駿川たづな。
「感激ッ!ここから私達の夢が始まるんだ」
理事長と言われたのは秋川やよい。
見た目は完全にお子様な…理事長。
目の前に建つ建物はトレセン学園。
ウマ娘トレーニングセンター学園…といってもかなり小さい。
今の競馬…ウマ娘達のレースはおかしい。
そう、賭けレース…。
「疑問ッ!もっと伸び伸びと自由にウマ娘が走る事は何故出来ないのか!?」
勝ちを争って走る…そう、これは間違いではない。
だが…どうだ?
観客…彼らは何の為にレース場に足を運ぶ?
賭けた金が増える事を祈って来るのだ…所謂、金の為。
予想が外れればバ券と怒号が空を舞い…怒号や罵声はウマ娘に突き刺さり、バ券は地に積もる。
「ウマ娘が走るのは…まるで彼等の懐のためじゃないか!」
「そんなのおかしい!」
「私は…そんな競バ界を変えたい!」
全てのウマ娘が楽しく誇りを持って走れるように…
「たづな!私はやるぞ!
「来年の開校で何人くらい入学してくれるかな…と。」
ポロリと不安を漏らすたづな。
「……4人…」
ボソリとやよいは漏らす。
「まだ期間もありますから…頑張りましょう?!ね?」
たづなが両手を上げてポーズをとる…と、その時だった
ドン
「あっ!?」
たづなのあげた手は通りすがりの男に当たった。
「「すみません!!」」
お互いに謝り合う。
「余所見してたもので…」
と、男は言う。
「こちらこそ…周りを考えず…すみません…」
ひとしきり謝りあった後に別れる。
「………」
「理事長?」
「今の男…どこかで見たような……」
彼女達は知らない。
この男が後に学園に運命のように来るのを…。
「…何の建物が建つのかな?」
この男は知らない。
目の前の小さい学園が自分の運命を大きく変えるのを。
導入です。
ぜひぜひよろしくお願いします!