灰被りの為の舞踏曲   作:ふかひれ

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2話 それをきっと運命と呼ぶんだ ②

「驚愕ッー?!彼は元トレーナーなのか!?」

 

「でも辞めた…って…」

 

 

 

 

「彼は…」

乙名史が喋ろうとした時だった…。

 

 

 

 

 

 

「って居たぁぁぁぁあ!!!」

叫ぶルドルフ。

 

 

 

 

 

 

 

「おう!?!?」

びっくりする男。

 

 

 

 

 

「き、君は…ゼー…さっき……のハー…」

 

 

彼からしたら…いきなり集団が走って迫って来た。

ゼーハーゼーハー言いながら迫って来た…。

ここ数日で1番恐怖だったと語る。

俺何かしたかな?

 

アレ?さっきの子達じゃん…締めに来た?

やりにきたの?

 

 

「お、落ち着いてえええ!?」

 

 

 

 

 

「確保おおおおお!!!!」

 

 

「「「「ガッテン!!」」」」

 

 

 

「え!?嘘っ!モゴッ…オオオオオ!?!?」

 

 

 

これを世間では拉致と言う。

まあ…敵うわけないよね?

 

 

目隠し、腕縛り、麻袋

凡そ、ドラマで見る誘拐劇に似た強奪は敢行された。

 

 

 

 

 

 

 

ガラガラと揺られて運ばれる。

車かな?

なんてあんなに考えていたり……

 

 

あれ?止まった?

え?何?やっぱり殺される?

 

まずかったかなあ…アレは…

 

 

 

 

 

 

 

「死ぬなら…一思いにやってくだせえ…」

 

 

「いや…殺しませんから…」

 

 

 

 

 

ざわつく声が聞こえた。

 

 

 

 

 

目隠しを取られると…

部屋の中には…数名のウマ娘?らしき子達と拉致の実行犯が立っていた。

おい、乙名史記者よ…目の前で事件が起こったぞ?

てか…アンタも加担したよね?

 

 

 

 

 

 

 

と言いつつ…何を言われるか分かってる…。

うん、ばかでもわかる…

でも…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…進言ッ!急ですまないッ!率直に言う」

 

 

「私の学園でトレー「トレーナーならやりませんよ」

 

「…どうしてです?」

 

「…乙名史さんと知り合いなら聞いてたりしませんか?」

 

「私は何も言ってないですよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…俺は……もう出来ないんです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

乙名史は喋り始めた。

「彼は…ブラック学園の新人トレーナーでした」

 

「確か…この前に廃園になりましたよね」

たづなが相槌を打つ。

 

 

「厳しい練習を課して潰れるウマ娘が絶えなかったとか…内部告発と………あぁ!!」

ルドルフの目の色が変わった。

 

 

「そう…彼ですよ」

 

 

 

 

 

「ウマ娘をめちゃくちゃにした…外道男ッ」

ルドルフは彼を睨みつける。

 

「………」

 

「お前はッ!!数多くのウマ娘の夢を奪った犯人じゃないかッ!!」

「ダメだ理事長…!そんな奴にトレーナーは任せられない!」

 

ザワつきが大きくなる教室内。

 

「……」

 

「何とか言えッ!!」

彼に掴みかかるルドルフ。

 

 

「違います…」

乙名史はポツリと言った。

 

「逆なんです…」

「彼は…助けたんです」

 

 

「は?」

 

 

 

 

 

 

「……あるところにだ…とある人が居た」

 

 

フツーに暮らしてフツーに居た男だ。

ある日目が覚めたら…ウマ娘と言うのが走る世界に居た。

 

右も左も分からん中で必死に生きようとした。

やさぐれながらも…

そんな時出会ったんだ…ウマ娘に。

 

彼女達は華奢な体で栄冠の2文字の為に頑張って走っていた…。

その姿に心打たれて…俺も頑張ろうと思ってそいつは頑張り続けた。

 

 

ある時、男はひょんなことからブラック学園にトレーナー補佐として就職した。

 

 

そこは名門と言われる所で…

まあ噂通り、キツいキツい練習を課す所だった。

 

 

メニューを熟せない、タイムが上手く縮まらない子には容赦なかった。

 

初めて担当になった子が居た。

俺なりにその子に合ったメニューを考えて…頑張っていた。

 

でも…学園はそれでよしとはしなかった。

陰で無茶なメニューを課していた。

 

それに気付かなかったトレーナーは……。

 

ある日その子が怪我をした。

 

医者は言った。もう走れないよ…って。

その子は泣いたよ。

泣いて…辞めて行った。

 

 

 

 

 

 

「その後は…」

 

 

 

「死んだらしい」

 

 

 

 

 

「貴様ッ…」

 

 

 

 

「俺は暴れたよ」

「内部告発もした」

 

「でも俺は無力だった」

「全部俺に被せられて……俺は追放された」

 

 

 

 

 

 

 

 

「私達もその事は知っていたんです」

「でも…上層部に握りつぶされたんです」

 

 

「……」

 

「だから関わるのは辞めようと思ったんだ」

「信じられないないだろう?俺に関わってもろくなことにならないよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

懸命に頑張る子を壊すのは許せなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なら何故…あの子を助けた」

 

 

「何のことかな」

 

「関わりたくないなら…何故あの子を助けた!関係ないなら放っておけば良かったんだ」

 

「出来るわけないだろう!!」

彼は言った。

 

「…あ…いや、何でもない」

 

 

 

 

 

 

 

 

「逃げるのか?」

 

「なっ!?」

 

「汚名を着せられて…逃げるのか?精一杯やり返そうと思わないのか!?」

 

「俺には出来ないッ!!」

 

「何故!?」

 

「その資格も力もないッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…なら一つ聞きたい…。何故お前はトレーナーになった!?」

 

 

 

 

 

 

「ヤケクソに頑張る中で…ウマ娘に…頑張る事を教わったから……頑張る子には高く飛んで欲しいから……」

 

 

「お兄さん…」

「あの…私…上手く言えないんだけど…」

 

「お兄さんが帽子を取ってくれた時…見えたの」

 

「何が?」

 

 

 

「輝く…何かが」

 

 

 

「輝く…何か?」

 

 

「……ッ!ライス…それは」

 

「お兄さんが沢山の皆に囲まれて…よくやった!って皆を迎えてるの」

「きっと夢……じゃない」

 

「私に見えた…」

ルドルフに見えたらしい。

 

 

 

 

 

 

 

「提案ッ!!なら…ここで示せッ!!」

「私も君に大きな何かを見たッ!!」

 

「私達が君を守る…!だから!この子達を高く飛ばせてくれないか!?」

 

 

 

 

 

 

「なっ……」

 

 

 

「……鵞堂さん」

「次は私も一緒に戦います」

「あなたが…素晴らしいトレーナーである事を知ってもらう為に頑張ります」

 

「だから…」

 

「ここから始めませんか?また一度…」

 

 

 

 

 

 

「良いのか?」

「俺なんかで良いのか?」

 

 

 

 

 

「周囲の目は厳しいものもあるだろう…」

「ここが何と言われてるか知ってるか?」

 

 

「灰被りのダイヤ…グレーダイヤ」

 

「グレーダイヤ…」

 

「君が磨いて…輝かせてくれ」

と理事長が手を出してくる。

 

 

「……後悔しないでくださいね」

 

「承諾ッ…任せろ!」

 

 

「灰だらけなのはお互いだよ」

ルドルフが笑う。

 

俺はその手を取った。

 

 

 

 

 

 

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