「…ふむ、此方の手持ちはもう一体、有効打がないのならば無理に攻めはせず耐久勝負をしてメタグロスのスタミナを限界まで追い詰めましょうか、持久戦でそのスピードを維持するのは中々消費がキツイのでは?ああ、此方にはリフレクターが有りますし、冷凍パンチをするのならして良いですよ、有るならとっくに打ってるでしょう、ホラホラ打ってきなさいよォ冷パンを、メタグロスは寒冷地では元気になるんでしょう?、今まで相対してきたメタグロスのトレーナーの中でナッシーに冷パンを打ってこないトレーナーは居ませんでしたよ、リフレクターで防ぐと悔しそうな良い顔をしてくれるんですよ~」
「ジムトレーナー、余計なことをバトル中に言わないように、相手はまだ二級ですよ」
「んもぉ~別にこれくらい良いじゃないですか~ねえ~?」
これは煽りだ、解ってる、だいぶ余計なことをしゃべってはいるが、要は数的優位を押し付けるつもりだ、相手はジムトレーナー、口で見下していても油断なんて微塵も期待出来ないが、今の発言で有効打がそちらに無いこと…というより今回使える技の中では無い事は事実だと信じたい、しかしナッシーの覚える技なんてわからない、これがブラフの可能性もあるが、それならさっき催眠術で眠らされた時に使っている筈だ、わざわざソーラービームを使うまでもないだろう、やはり懸念なのは…
「あっそうだ、光合成とかして良いですかねェ~?まああんまり必要じゃないのでやりませんが」
やはり回復技の問題だ、此方は怠けると眠るをどちらも出来るが、彼方だって光合成が可能だ、ギガドレインや宿り木の種を考えると優位性なんて無い、効果今一つだとしても多分ナッシーはリーフストームを使える可能性が高いから、回復のタイミングをミスすれば終わりだ、瓦割りをして物理技に賭けようにもにもさっきのように催眠術をされた日には目も当てられない事になるだろう
だが、優位性を奪えている点として遠距離攻撃の撃ち合いではそこまで不利では無いと思う所だ、光の壁と鉄壁をしているためダメージ自体はそう多くない、ギガドレインは撃ち合いではあまり使えない(この世界ではギガドレインは攻撃でさえも物理、特殊技問わず引き寄せてしまうため、蔓の鞭等と併用して使っているトレーナーも多い、そもそも迎撃の特殊技としてはエナジーボール等が有る)
ならば、打つ手は一択だ。
「ラスターカノン!引き撃ちで攻撃!」「メタ」
「神通力で迎撃!」「ナシ」
光線を撃つが逸らされる、そもそもの出力勝負でナッシーにメタグロスが勝てる筈もなく、全くのノーダメージだ、それどころか
「あっちの撃ち終わりに念力でも見舞ってやりましょうよぉナッシー」「ナシ」
その通りにメタグロスの身体がぐらりと何度も揺れる、あちらは余裕すら有る、全くもって勝てる気がしない、これがジムトレーナーと新人の差だ、絶対的な経験と力量の差が存在する。
勝てない
そう思ってしまった
遠距離での撃ち合いはナッシーの領域、近距離での痛打はリフレクターがあるから瓦割りというワンステップが必要、その隙に催眠術を掛けられて好き放題やられるのがオチだ、ここから勝つのは不可能だという考えで頭は一杯、僕の弱いメンタルでは闘志を燃やす事が出来ない、ここから逆転する策も思い付かない、その事を認識したらこの言葉が口から出てきた。
「投了を」
「投了ですね?チャレンジャー?」
「はい、そうです、すまない、戻ってくれ、メタグロス」「メタ」
「おや、ずいぶんとお早い事で」
「黙ってなさい、クニシゲ…チャレンジャー・ヤストモの降参で、この試合、ジムトレーナー・クニシゲの勝ち!」
「…ふむ、いやはや残念、これで終わりですか?」
「エーフィ、サイコショッ「いや待って下さいよ?!いくらなんでもそれはやりすぎでしょ!?」クニシゲ、試合中の挑発なら問題有りませんが、ここから先はただの暴言です、ジムの品位を落とさないで下さい」
「あー…さっきの一言はすみませんね、ヤストモ君」
「いえ…」
「それではチャレンジャー、ポケモンセンターへテレポートで送ります、酔うかもしれませんが少しの辛抱を、戦ったポケモン達に比べればなんて事無いですよ、エーフィ!テレポートを!」「フィ~」
審判さんのエーフィによって視界が歪む、身体が歪む、いつの間にかポケモンセンターが目の前にあった。
「回復と宿泊の手続きお願いします」「はい、解りました」
…まず今日は寝よう、すっかり疲れてしまった、相手は遥か格上で、手加減されてなお負ける可能性も考えていた筈なのに、自分は敗北のショックというものを舐めていたのだ。
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