Umang us   作:Banana-colored crew

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このお話はcrewmateとは別の世界線のお話です。

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GuardianAngel
Silence


青色の彼の朝は早い。

端からせっせこせっせこと働くクルー達を眺めながら1日1回と定められたこの能力を使う相手を見極める。

 

突然だが、この青色の彼は既に死んでいる。

 

数十年か前の話だろうか。

語るだけでも笑い草だが、彼は生前すこぶる動物に懐かれなかった。

宇宙グモには威嚇され、エイリアンには補食されかけた。

彼の心の友はお給金で買ったペットロボットだけであった。

そんな彼はある日、月面の基地POLUSにて歩いていた時に他のクルーが放し飼いにしていた一つ目の犬に全身を噛まれて死んだのだ。

 

本来であれば彼に待つのは輪廻転生の輪に巻き込まれる運命だったのだが、その日の女神は哀れな彼にキスをした。

 

守護天使。

 

死した彼の新たな役職。

1日1度だけ誰かに負の運命を弾き返す祝福を与えられる能力を手にした彼は気まぐれに皆に祝福を与えてはその顛末を見届ける事を繰り返していた。

 

今日は誰にしようかな、と青色の天使はふよふよと飛んでいく。

 

 

─────────────────────────

 

 

気がついたら知らない場所に着いていた。

 

歩きスマホをしているといつの間にか結構距離を歩いていた、なんて現象は経験あるだろうか。

青色はいつの間にか建物のジャングルに迷い込んでしまったらしい。

 

しかし、守護天使になって数十年。積み重ねた年期は伊達ではない。

すぐに落ち着きを取り戻した青色はいつもの調子で気まぐれにふよふよと飛んでいく。

 

 

青色が道行く人々を見ていると、一つ気づいた事がある。

青色が知っている人間の他にも人間と同じ姿をしていながらも、頭に耳を生やしている人間?を度々見かけるのだ。

 

 

しかし気になる。

人間と人間?が集団で向かっていく先に青色は着いていく。

 

 

『天皇賞・秋、その冠を手にするのはどのウマ娘か!一番人気は1枠1番、サイレンススズカ!!』

 

 

ワァァッと歓声や応援の声が響く東京レース場。

青色はここへたどり着いていた。

 

視線の先はオレンジ色の髪をした女の子。名前は……さっき言っていたサイレンススズカで合っているのだろうか。

レース場内のバカでかいトラックに着目する。

きっとマラソンでもするのだろう。と考え、独特の覇気とそれに付随した死神の気配とも言える負のオーラに気がついた青色は無事を祈り、1日1回の祝福を彼女に使った。

 

 

 

────────────────────────

 

 

『天皇賞・秋、その冠を手にするのはどのウマ娘か!一番人気は1枠1番、サイレンススズカ!!』

 

 

(身体が軽い……!!今まで駆け抜けたレースの中で最高と言って良いぐらい。………今なら私は誰にも負けない……!!!)

 

 

11月1日、第11R、1枠1番1番人気。

 

パドックでも絶好調な彼女の様子に観客席の誰もがその隣に『1着』の1が追加されることを確信していた。

 

 

(トレーナーさん、スペちゃん、スピカの皆、見ててね。私はまだ速くなれるッ!!)

 

 

最高のスタートを切った彼女はいつもの通りに大逃げを始める。

脅威の『1000m通過タイム57秒4』を叩きだし、観客席が歓声に包まれる。

 

 

(見える。スピードの向こう側………静かでどこまでも続く私だけの世界………!!)

 

大欅を越え、息を入れた彼女は更に加速する。

左脚を力強く踏み込み、ギアを上げる───その時。

 

「ッ……!!!」

 

突如として左脚に激痛が走る。

限界を超えたスピードに肉体が耐えられなかったのだ。

 

(まだ走れる………!!まだここで終わってなんかいない…………………!!!!!)

 

そんな激痛を無視し、力強く左脚を踏み込む。

理外のスピードとパワーに骨が軋み、砕けた………かに思えた。

 

ガラスが割れるような音と共に、数秒ではあるものの彼女を蝕んでいた激痛が消える。

まるで何事も無かったかのようになり、右脚、左脚と加速しながら芝を駆け抜ける。

 

その姿は一つの流星。

何者にも先頭を譲らなかった最速は、秋の冠を勝ち取った。

 

 

 

──────────────────────

 

 

黒鹿毛のウマ娘は見つめる。

今回の秋天の勝者、サイレンススズカ……ではなく、その背後にふよふよ浮かぶ小さい天使。

 

(貴方が彼女を守ってくれたのでしょうか……?)

 

視線に気づいたその天使は自身に向かい、サムズアップ。

ということは、あの現象は天使の仕業だろう。

 

(………ありがとうございます。私も、目の前で怪我をする人なんて見たくありませんから……。)

 

 

 

 




人物紹介
・青色の守護天使
幸運にも女神が私だけにチュウした結果、守護天使として新たな生を得られた。今は89歳。おじいちゃん。


・サイレンススズカ
沈黙の日曜日回避スズカ。
スペスズも良いけど、沖スズもいいよね。

・黒鹿毛のウマ娘。
常に"お友だち"と一緒なコーヒー党。
夜更かし気味だとたまにコンディションとやる気が元通りになる。うちの愛バにも寄越せください

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