催眠アプリで純愛して何が悪い!   作:風見ひなた(TS団大首領)

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第23話「子猫ありすの襲来」

「おじさま、おばさま、ご無沙汰しています」

 

「ありすちゃんが遊びに来るの久しぶりねー」

 

 

 お父さんが外回りから帰ってきたところで、ありすがうちの両親に改めてあいさつしていた。いつもと違っておしとやかな感じで椅子に座り、ぺこりと頭を下げている。

 こいついつも学校で僕の机の上に座ってるんですよ、騙されないでください。

 

 

博士(ひろし)が小さい頃はよくうちに来てくれたなあ。もっと遊びに来てもいいんだよ」

 

「いえ、そんな。あれは博士くんがよく遅くまで外で遊んでいたので、連れて帰らないとと思っただけなので」

 

「小学生の頃はヒロくんぼーっとした子だったものねー。最近はちょっとしっかりしてきたけど」

 

 

 あれはぼーっとしてたんじゃなくて、花びらや雪の模様を観察したり、図書館で本を読み耽っていただけだ。

 まあそれで時々迷って家に帰れなくなり、ありすが探して家に連れて行ってくれていたのだが。

 

 4年生くらいまでは割と毎日そんな感じだったのだが、それには理由もあって、ありすが僕を家に連れ帰る代わりに、うちでご飯を食べていくという親同士の約束があった。ありすの親御さんが当時忙しかったこともあって、そうした持ちつ持たれつの親密な関係が存在していたのだ。

 どれだけ親密かというと、くらげちゃんは小さい頃ありすを実の姉だと思い込んでいて、「ここがおうちなのに、ありすちゃんは毎日どこに帰ってるの?」と不思議そうに訊いてきたくらいだ。キミが幼稚園児の頃はお姉ちゃんなんかいなかっただろ、騙されるんじゃない。

 

 高学年になると僕も花や雪の観察に飽きてゲームや読書するためにまっすぐ家に帰るようになり、ありすのお母さんが料理研究家として独立を果たしたこともあって、自然とありすがうちに来ることも少なくなっていった。

 

 

「ありすちゃんもすっかりお嬢さんって感じになってきたな。うちの博士はまだまだ相変わらず子供で、見習ってほしいくらいだよ。やっぱり女の子の方が成長が早いんだね」

 

「そんなことないですよ、私も博士くんには学校でよくしてもらっていますから」

 

「そういったことを言えるのが大人になってきた証拠なんだよ」

 

 

 僕はずずーっと紅茶をすすりながら、親とありすのやりとりを眺めている。

 ちなみににゃる君とささささんはもう帰っていた。

 お母さんがせっかくだから晩御飯を食べていく? と勧めたのだが、

 

 

「いえ、親が俺たちの分もご飯作ってくれてるので帰ります。お気持ちだけありがたくいただきます」

 

 

 とにゃる君が固辞して、ささささんを引っ張るように帰ってしまった。

 しかし「ありすちゃんは食べていくわよね」とお母さんはそれが既定路線であるかのように言って、さっさとありすのお母さんに電話したのである。

 

 ちなみにくらげちゃんは先ほどからありすの隣にぴったりとくっついて離れないでいる。

 

 

「ありすちゃん、今日は泊まっていってくれるよね? ねー?」

 

「ええと……」

 

 

 ありすはちょっと困ったように僕のお母さんに目を向けると、お母さんはふふっと微笑んだ。

 

 

「いいじゃない、たまにはお泊りしても。あ、でもパジャマどうしましょ。最後にお泊りしたの小5だっけ、あのパジャマまだ着れるかしら?」

 

「入るわけねーだろ……」

 

 

 思わずツッコんでしまった。

 見ろよこのにょきにょき伸びた身長と贅沢に膨らんだ胸と尻をよぉ。もうCカップ近くまで膨らんでるだろうが。成長期前のパジャマなんぞ着れてたまるか。

 

 

「どこ見てんの、兄貴キモッ……!」

 

 

 そんな僕に、くらげちゃんが嫌そうに吐き捨てた。

 最近ますます僕に対して批判的になり、エッチなことに嫌悪感を抱くようになったくらげちゃんは、体も心も成長著しい。

 

 だが僕はありすを見てエッチなことなんか……ちょっとしか考えてないから、そんなに嫌わないでほしい。中学生男子が同年代の女の子を見てエッチなことを考えてしまうのは仕方ないことなんだ。自分ではどうしようもできないんだ。

 

 そしてお父さんはそんな僕たちを見て、ニヤニヤと笑っている。何ですかその笑顔は。

 

 

「ありすちゃんのお母さんには後で連絡しておくわね。とりあえずご飯にしましょ」

 

「あ、お皿出すの手伝います」

 

「あら、ありがとう」

 

 お母さんがよっこいしょと腰を上げると、ありすがいそいそと後に続く。

 

 

「私もやるー!」

 

「なんだお前、いつもはソファでゴロゴロゲームしながら呼ばれるの待ってるくせに」

 

「……うっさいキモ兄貴!」

 

 

 さらにありすの後に続こうとするくらげちゃんにツッコむと、くらげちゃんはふーっと猫のような威嚇をしてきた。悲しい。

 

 

「……これ、一応僕も手伝った方がいい流れ?」

 

「アンタは邪魔だから座ってなさい」

 

「はい」

 

 

 ありすに言われ、大人しくソファに座り直す。

 お父さんは女性陣がきゃいきゃいと話しながら料理を盛り付けてテーブルに並べるのを見て、何やら目を細めていた。

 

 

「愛する妻と可愛い娘2人が俺たちのために料理を並べてくれるのを見ると、男冥利に尽きるなあ。これが幸せの光景ってやつだよ」

 

「……娘1人とよその子だよ?」

 

 

 まさか若年性痴呆症が始まったのだろうか。

 やめてくれよ、一家の大黒柱がいなくなったら家が傾くぞ。

 僕がそう思っていると、お父さんはため息を吐いた。

 

 

「娘2人にできるかはお前にかかってるんだよなあ。ちゃんと繋ぎ止めろよ、まったく」

 

「……繋ぐって何を?」

 

「野暮なことを言わせるんじゃない」

 

 

 具体的に言わないから、何を頼まれてるのやらさっぱりだった。

 

 

 そうこうするうちに、台所からリビングに料理が運ばれてくる。

 おっ、今日はハンバーグか……。

 デミグラスソースが食欲を誘う。ありすの大好物でもあるので、きっとありすのために急いで肉を買ってきたのだろう。

 ありすはクォーターのはずなのだがやたらイギリスの血が濃く出ているようで、肉料理が大好きだ。肉食系女子なのだ。タンパク質ばかり取ってるから胸とお尻がどんどん膨らむんだぞお前。

 

 ……おや、くらげちゃんがハンバーグの前にカトラリーを並べている。なるほど。

 僕は自分の席に座り、銀色に光るナイフとフォークを手に取って、さっさと目の前に置かれたハンバーグを切り分けた。

 

 

「あっ! キモ兄貴、ちょっと我慢しなさいよ! お行儀悪い!」

 

 

 くらげちゃんが叱るのを無視して、さっさとハンバーグを一口サイズに切ってしまう。

 そしてありすの分と取り換えて、ありすの席からナイフとフォークを取り払った。ありすは箸があれば十分だ。

 

 

「はい、これありすの分な」

 

「……ありがと、ハカセ」

 

 

 ありすが微笑んで軽く頭を下げるのを、視線を外しながら「ん」と頷く。そのやりとりを見て、くらげちゃんとお母さんが口元に手をやった。

 

 

「あっ、そっか」

 

「あら……ごめんね、ありすちゃん。気が利かなくて」

 

「すみません、こちらこそ」

 

 

 くらげちゃんとお母さんがありすに詫びを入れるのを横目に、お父さんがビールをごくりとうまそうに飲んだ。

 

 今日の夕食はいつもよりちょっとおいしく感じるだろう。

 

 

 

※※※

 

 

 

 風呂上がりのありすが、何故か僕のベッドの上で鼻歌を歌いながらうつぶせになっていた。脚を交互にパタパタさせながら、小学校の卒業アルバムを眺めている。

 

 

「えっ、何で……?」

 

「みづきちゃんがお風呂から上がるの待ってるのヒマだもん、ちょっと時間つぶしに付き合いなさい」

 

 

 ありすはそんな不思議なことを言って、ころんと寝返りを打った。

 くらげちゃんから借りたパジャマは若干サイズが合っておらず、胸まわりとお尻まわりがパツパツに膨れている。

 

 

 ……いやおかしいだろ。

 曲がりなりにも思春期の男子の部屋だぞ。何で平気な顔でベッドの上に転がってるの? こいつ危機感とかないの?

 さては僕が変な考えを起こさないとナメられているのだろうか。まあくらげちゃんがお風呂から上がってくる間に何かできるのかといえばできないのだが。

 

 くっ……湯上りのシャンプーのいい匂いがする。くらげちゃんと同じ匂いだ。

 若干正気を保っていられなくなり、僕は目を逸らした。

 

 

「そこをどけ、僕は今日勉強会で疲れてるんだ。今夜はさっさと寝るからくらげちゃんの部屋に戻れよ」

 

「えー、ゲームできるくらい余裕あったじゃない。一緒に卒業アルバム見ようよ」

 

「わざわざ僕の部屋で見なくても、同じの持ってるよな!?」

 

「じゃあアンタが私の部屋に遊びに来る?」

 

 

 ありすはそう言ってふふんと生意気な笑顔を向けた。

 くそっ。すっぴんでも可愛いなお前。風呂上がりで髪質がいつもより輝いているように見える。

 

 

「ほんの2年前の卒業アルバム見て何が楽しいんだよ」

 

「あ、じゃあ低学年のときのアルバム見る? いっぱい写真撮ったもんね」

 

 

 そう言ってありすは僕にお尻を向け、本棚の一番下のアルバム入れを探り始める。お尻がふりふりと揺れるのを正視できず、僕は顔が真っ赤になるのを感じながら制止の声を上げた。

 

 

「やめろ、僕の棚を勝手にいじるんじゃない」

 

「えーなに、エロ本でも隠してるの? ハカセも人並みに性欲ってあったんだ? えっち」

 

「研究資料が入ってるから、ごちゃごちゃにされると困るんだよ!」

 

 

 性欲の有無については濁しておく。本当に勘弁してほしい。

 僕の言葉に、ありすはこくんと小首を傾げる。

 

 

「何よ研究って。名字がハカセだからって、まさかその気になって本当に怪しい研究でも始めたの?」

 

「失礼なこと言うな。怪しくない研究だよ」

 

 

 催眠アプリは長年の伝統ある催眠術と現代最先端のプログラミングの合いの子だぞ。

 お前を無理やり土下座させるために心血を注いだ研究の何が怪しいもんか。

 

 

「へー、すごいじゃん。何研究してるの? 見せて見せて」

 

 

 お前にまだ見せられるわけないだろ!

 

 

「僕は今日疲れてるから見せないよ」

 

「えー、何よケチー」

 

 

 そう言ってありすはぼふんとベッドに倒れ込み、僕の枕を抱きしめた。

 おいやめろ、お前の匂いがつくだろ。今晩眠れなくなったらどうする。

 

 そんな僕の内心の狼狽(ろうばい)をよそに、ありすはすんっと僕の枕に顔を沈めて息を吸い込み、にへっと笑った。

 

 

「あ、この枕ハカセの匂いがする」

 

「枕が臭いって言われるの地味にショックなんですけど」

 

「大丈夫よ。お日様の光を浴びた大きな犬みたいな匂いだから」

 

「それ臭いって言ってるよな!?」

 

 

 めっちゃショックでかいぞ……。

 後で風呂入って念入りに体を洗おう。

 

 

「私、最近子犬を飼い始めたのよ。元はグランマが飼ってたのをイギリスから送ってくれたの」

 

「ふーん。検疫とか大変だっただろうに」

 

「子犬っていいわよー。すっごく可愛いの、甘えん坊だし。構ってるとああ、この子には私しか頼れるものがいないんだな……って優しい気持ちになるのよね」

 

 

 女王気質じゃねえか。

 恐ろしい……やはりこいつは根っからの支配者なのではなかろうか。

 

 僕の恐怖も知らず、ありすはホウ……とため息を吐いた。

 

 

「アニマルセラピーっていうけど、本当よね。癒されるわよー。ハカセも動物飼ってみたら?」

 

「やだよ面倒くさい。毎日散歩させるとか大変じゃないか」

 

「ランニングになって健康にいいわよ。アンタもいい加減、ちょっとは運動なさい」

 

「だから嫌なんだよ」

 

 

 僕は子供の頃から一貫して体を動かすことが大嫌いだ。ありすに何度言われても、こればかりは譲る気はない。

 

 

「はーもったいない。動物に実際触ったことないからそういうこと言うのよね」

 

「触る気もないな。パソコンを壊されたりしたらたまったもんじゃない」

 

「……じゃあ、私で体験してみる?」

 

 

 は?

 振り返るとありすは僕の枕を抱いたまま、何やら赤い顔で上目遣いを向けていた。

 

 

「子供の頃、ごっこ遊びしたでしょ。あれと同じで、私これから子猫になりきるから。アンタは子猫のありすちゃんを可愛がりなさい」

 

「どこか頭打ったの?」

 

 

 とても正気とは思えないことを口にするありすを前に、僕は真顔で訊いた。

 なんだその遊びは。今日のありすはどこかおかしいぞ。

 

 

「打ってないニャ! アンタが動物の良さを分からないっていうから、私がなりきって体験させてあげようって言ってるのニャ」

 

「え、もう始まってる?」

 

 

 困惑する僕をよそに、ありすはころんとベッドに転がって、招き猫のように丸めた手をクイクイと動かした。

 

 

「ミャーン?」

 

「僕にどうしろと」

 

「ほら、子猫が寂しがってるニャ。遊んで可愛がるニャ。子猫は構ってくれないと寂しさで死んじゃうミャ」

 

 

 そう言ってミャーミャー鳴きながら、ありすは僕をじーっと見てくる。

 ……なんだ、このプレッシャーは……! 

 アホのように猫の鳴き真似をしてるありすから、凄まじい同調圧力を感じる。

 

 そして恐るべきことにめちゃめちゃ可愛い。この姿を動画にして配信すれば、十万単位の収入があるのではないだろうか。

 もちろんそんなことをするつもりはないが。この光景を見られるのは僕だけでいい。そう、この子猫ありすは僕だけのものだ。

 

 僕は吸い寄せられるように、フラフラとベッドに近付いていた。

 

 

「猫ってどこを撫でると喜ぶの?」

 

「一番喜ぶのはしっぽの付け根だけど、今日は触らせてあげないにゃ」

 

「じゃあお腹?」

 

 

 僕はありすのお腹に目を向けた。パツパツに膨らんだ胸に生地が引っ張られ、ズボンとの間にわずかに白い肌が覗いている。

 

 

「お腹はダメニャ。よほど気を許さないと触らせないのニャ~」

 

「じゃあ……頭?」

 

 

 僕がありすの頭に手を伸ばしてゆっくり撫でると、ありすは気持ちよさそうにゴロゴロと喉を鳴らした。

 

 

「正解にゃー。猫は額を撫でられると喜ぶ、これは共通解なのニャ」

 

「そうかそうか」

 

 

 僕はありすの頭を撫でながら、ベッドに腰を下ろす。

 するとありすは待っていたとばかりに僕の膝に頭を乗せてきた。

 しばし無言でありす猫の頭を撫でて可愛がってやる。

 

 

「……なんか言うニャ」

 

「何かと言われても」

 

「褒めるニャ。ありすちゃんを褒め讃えるのニャ」

 

「ありすは可愛い」

 

「そんな当たり前のことじゃ満足しニャい」

 

 

 さすが猫だ、気位が高い。人間を下僕のように扱ってくる。

 子猫にしてこの風格とは……先が思いやられるぜ。

 

 

「いつも努力してるありすはえらいぞ」

 

「みゃーん♪」

 

 

 見えない尻尾がにゅるんと振られたような気がした。

 

 

「学校もモデルも頑張り屋さんだな」

 

「みゅー」

 

「いつも隠れて頑張ってるの知ってるぞ。えらいなあ。すごいなあ」

 

「みゅーん……♪」

 

 

 僕が褒めながら撫でてやると、子猫ありすはトロトロにとろけた顔で気持ちよさそうにみゅーみゅー鳴いて体重を預けてきた。心底リラックスしているようだ。

 

 ……あれ? これ、もしかして僕じゃなくてありすが癒されてないか?

 しかもいずれ催眠をかけて動物扱いしてやろうと密かに思っていたのを、シラフで先取りされてネタ潰し喰らったような……。

 

 

「ふみゃ?」

 

 

 撫でる手を止めると、ありすはどうしたの? といった感じの目で見上げてきた。

 まあいいか、可愛いし。癒されるのも事実だ。

 なるほど、動物っていいものだったんだな。

 

 

「えらいから今日は頑張るのをお休みして、ゆっくりしようなー」

 

「みゅーん♪」

 

「ほーら、撫で撫でー」

 

「みゅうーん」

 

 

 膝枕して子猫ありすの頭を撫で回してやっていると、何やら子猫ありすの様子がおかしくなってきた。

 何やら頬を赤らめている。どうした?

 

 

「……頭は飽きたから、別のところ触っていいニャ」

 

「別のところって言うと……」

 

 

 僕が口にすると、ありすは頭を僕の膝に預けたまま無言で仰向けになった。

 

 

「お腹触っていいの?」

 

「みぅ♥」

 

 

 ごくり、と大きな音が聞こえた。

 僕が唾を飲み込む音だった。

 

 

 僕はドキドキと心臓の高鳴りを感じながら、微かに覗いている白いお腹に指を……。

 

 

「ありすちゃん、どこー? お風呂あがったよー」

 

 

 廊下をパタパタと歩く音と共にくらげちゃんの声がした。

 えっ、ちょ、待っ……。

 

 

「キモ兄貴、ありすちゃん知らな……い……?」

 

 

 無慈悲にドアが開かれ、くらげちゃんの動きが固まる。

 その視線の先には、僕のベッドで膝枕をされながら、お腹に手を伸ばされているありす。

 

 

「「…………」」

 

「…………」

 

 

 すうっ……とくらげちゃんの視線の温度が零下まで下がるのが分かった。

 

 

「不潔……!」

 

 

 バタン! と大きな音を立ててドアが閉じられた。

 

 

「ま、待ってみづきちゃん! これは違うの! おーい!」

 

 

 ありすは跳ね起きるようにベッドから降りて、急いでその後を追う。

 

 はぁ……。

 

 

「なんだったんだ……」

 

 

 隣の部屋からは「今のは違うの!」「何が違うのよー!」「エッチなことじゃないからー!」とかしましく言い争う声が聞こえてくる。

 夢の途中で突然目が醒めたかのような脱力感と共に、僕はベッドの上に転がった。

 ふわりと包み込むように、ベッドから濃厚なありすの残り香が漂ってくる。その甘い匂いを嗅ぎながら、僕は深いため息を吐いた。

 

 

「これもう、今晩は眠れないよ……」




子猫ありすの生態

・女王気質
・甘えん坊
・注文が多い
・いつもより素直

・仲間外れにされてすごく寂しくなると発症する
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