【完結】色々なアレが多すぎる!   作:大根ハツカ

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……またもや分割です


04 君に幸あれ(上)

 夢を見る

 家族の夢を見る。かつての幸せを、もう取り戻せない日常を夢見る。そして、最後にはそこにたどり着く。

 

 ……泣き叫ぶ母。何を言わない父。

 両親は記憶よりも老けて見えた。八年の歳月のためか、それとも息子を失ったストレスの影響だろうか。

 父は何か言おうとし、躊躇っていた。

 あの時、父は何を言いたかったのだろう。

 あの時、オレはどうすればよかったのだろう。

 

 遠くから声が聞こえる。夢が終わる。

 また、現実離れした現実が始まる。

 

 

 

 

 

「あら、目が覚めましたわね」

 

 

 ビクッと、身体が跳ねそうになるのを抑える。チカさんがオレの顔を見下ろしていた。少しでも動くと頭がぶつかってしまう、それか唇がそーゆー感じになってしまうほど顔が近い。

 

 

「起こそうと思ったタイミングで起きられると、逆に面白くないですわね」

 

「GYA〜」

 

 

 オレの膝の上にいたカイが欠伸(あくび)をする。辺りを見回すと、オレはチカさんに膝枕されていたようだった。前の座席にはフミさんが、運転席には黒服さんが座っている。

 ここは車の中だった。昨日の戦いの後に詳しい話をすることが決まったが、夜も遅いことや他の様々な理由から、話を中断して別の場所に向かっている。結局、オレはまだ戦争についてほとんど何も聞いていない。

 

 

「出発したのって昨日の夜でしたよね。まだ到着してないんですか?」

 

「そうじゃな。レイの右手を取りに梅田に寄ってたのもあるが、それ以外にも妨害されてるようじゃ。『ガバメント』は一般人を巻き込まないように、市街地で襲撃してくることはなさそうじゃが、ある程度は嫌がらせしているのじゃろう」

 

 

 これが理由の一つ。

 オレたちは今、『ガバメント』に狙われている。きっかけは単純で、昨日の宇宙人襲来がSNSで拡散されたことだ。拡散された映像には、オレとカイの姿が映っており、世界平和を目指す『ガバメント』は違法改造人間と人類の脅威を許せないため、オレたちを狙っているとのことだ。

 

 

「そう言えば、そもそも何処に向かってるんですか?それに、防衛なら本拠地の京都にいた方が良かったんじゃないですか?」

 

「向かう先は淡路島じゃ。京都で『ガバメント』を迎え撃つと、『アウトロー』の家族を巻き込んでしまうからの。それで、淡路島を目的地に選んだ理由じゃが……」

 

「淡路島が生命力溢れる廃棄都市だからですわ!」

 

 

 解説役を取られて拗ねていたのか、チカさんが大きな声で割り込む。

 

 

「淡路島は神によって初めに産み出された島です、古事記にもそう書いてありますわ。だからかは知りませんが、星の生命力が溢れて、妖怪の発生率が日本で最も多い場所でもありますわ。多すぎて今は廃棄されてますので、一般人を巻き込む危険性もありませんわ」

 

「星に生命力ってあるのか?」

 

「ありますわ……むしろ人間なんてちっぽけなものよりも、星の生命力こそが妖怪の原材料と言っても過言ではありませんわ。だからこそ、ガイア仮説が成り立つ訳ですわ」

 

「……ガイア仮説?」

 

 

 話が逸れてきたな。

 ガイア仮説って、怪獣に関わるやつだっけ?

 

 

「十年前は、怪獣は古代に生きていた生物が復活したものだと言われていましたわ。ですが、古代であっても怪獣が自然に生まれる環境なんてありませんわ。それに代わって主流になったのがガイア仮説、怪獣というのは宇宙人という外敵に反応して生まれた星の抗体であるという仮説ですわ」

 

「星は生きていて、宇宙人を倒すために怪獣を作ったってことか……」

 

「この仮説なら、三つの脅威が同時に襲って来た理由も説明できますわ。まず、宇宙人の襲来。その次に、抗体として怪獣の誕生。最後に、怪獣の生命力に釣られて妖怪の繁栄という流れですわ。……まぁ、この仮説ではカイの誕生を説明できないので、間違っているのでしょうけれど」

 

「GYAU?」

 

 

 カイはそんな異常な存在だったのか。

 翼をパタパタして遊んでいる姿からは、そんなことは想像もつかない。

 

 

「じゃあ、オレたちが『ガバメント』に狙われてるのも、カイの存在が大きいってことかな」

 

「いや、レイが全身義体改造人間(オーバーホール・サイボーグ)であることも大きいじゃろうな」

 

 

 おーばー……何それ?

 

 

「『ガバメント』には多くの改造人間(サイボーグ)が所属していますわ。というより、サイボーグ技術はあそこが全て独占してますわ。ただ、そんな『ガバメント』でも全身の改造に成功した例は、世界で十二機しか存在してませんわ」

 

「つまり、レイは十三機目の未確認成功例という訳じゃな……というか、レイはサイボーグ技術の本流である宇宙人に作られたのだから、むしろレイが一例目と言った方がいいのう」

 

「あら、妹が十二人も増えましたわね!」

 

「多いよ!」

 

 

 最近弟が一人増えたばっかだぞ!?

 ……その弟はもういないのだが。

 

 

「……どうかしたんですの?顔色が悪いですわ」

 

「い、いや大丈夫。それよりも、妹が十二人って言ってたけど、オーバーなんちゃらかんちゃらって全員が女性なのか?」

 

『訂正、全身義体改造人間(オーバーホール・サイボーグ)

 

「宇宙人の技術が本流と言ったでしょう?宇宙人が持ってた全身義体改造人間(オーバーホール・サイボーグ)についての情報はレイさんの機体(からだ)のみですわ。よって、それを元に作られた地球産の全身義体改造人間(オーバーホール・サイボーグ)も、全員が女性に改造されていますわ」

 

 

 オレがモデルってことは、造られたのは結構最近なのか。というか、オレのせいで十二人の人たちが女の子になってしまったと考えると、何が申し訳なくなって来る。

 

 

「もしかして、『ガバメント』に改造人間(サイボーグ)が固まってるなら、逆に半妖が多い『アウトロー』は有利なんじゃないか?」

 

「そうですわね。ですので、『ガバメント』は自前の改造人間(サイボーグ)を投入するのではなく、『カンパニー』の超人たちに依頼しているでしょう。『ガバメント』が世界の平和、『アウトロー』が義理と人情で動く組織ならば、『カンパニー』は金で動く組織ですから」

 

 

 ……超人?

 何かまた知らない言葉が出てきた。八年のブランクのせいか、まだまだ知らないことが多い。意味が分かってなさそうな顔をしたオレを見かねてか、フミさんが補足の解説をしてくれる。

 

 

「人類の脅威に相性があるのは知っておるな?人類もそれを利用しておる。例えば、儂ら半妖が宇宙人と戦い、レイたち改造人間(サイボーグ)が怪獣と戦っているようにな」

 

「……つまり、怪獣の力を利用して妖怪と戦う人たちってことですか?」

 

「そうじゃ。超人というのは、怪獣細胞に適合した新人類のことじゃな。強力な生命力と特殊な生態を保有し、そのほとんどが『カンパニー』に所属しておる」

 

「橋が見えてきましたわよ」

 

 

 最終的にフミさんに解説役を取られことが気に食わないのか、口を尖らせながらチカさんが言う。

 神戸と淡路島を繋ぐ橋、明石海峡大橋が見えて来る。そこで、ふと疑問に思う。チカさんの機嫌を良くするためにも、気になったことについて質問する。

 

 

「妖怪が大量に発生してるなら、橋を落とした方がいいんじゃないか?」

 

「……妖怪が人の思念によって形作られるという話はしましたわよね?例えば、グレムリンという海外の妖怪がいますわ。グレムリンは簡単に説明すると機械をバグらせる妖怪ですが、機械が人類に造られる前には存在しなかった妖怪ですわ」

 

「……新たに妖怪が発見されたわけではなく、新たな妖怪が作られたってことか。でも、それと橋に何の関係があるんだ?」

 

「人は淡路島に対して畏れを抱いていますわ。今は橋の防衛線が突破されたらどうしようという恐怖ですが、橋そのものが無くなれば恐怖の内容も変わりますわ」

 

 

 それは、つまり……

 

 

「妖怪が更に強化されるってことか?」

 

「強化とはまた違うかもしれませんが、海を泳いだり空を飛んだりする能力を得ることは間違いないですわね。ですので、この橋は無くなったら大変なも、の……?」

 

 

 その橋がグラグラと揺れる。

 地震かとも思ったが、AIが別の者を報告する。

 

 

『報告、前方に敵影発見』

 

 

 直後、明石海峡大橋が崩壊する。

 原因は明らかだ、一人の男がその拳で橋を叩き割った。能力や技術などではない。正真正銘ただの腕力、怪力という生態によって鋼の建築物を破壊する。四人乗りの自動車が橋から転落する。

 だが、それだけでは終わらない(・・・・・・・・・・・)

 

 

「らるぇるれらるぇれれ」

 

「でやがりましたわ……あれが淡路島に湧く妖怪の一つ、海坊主ですわ!」

 

 

 海坊主がその巨大な手で、自動車ごとオレたちを握りつぶす。チカさんが自動車の屋根ごと海坊主の腕を消し飛ばすが、大した意味はない。海坊主は淡路島にとってはザコに過ぎず、そこらじゅうに何体でも存在している。

 そして、事態はその程度でも収まらない(・・・・・・・・・・・・・・)

 

 

『緊急、上空からの狙撃』

 

「海に飛び込め!」

 

 

 大爆発。

 それは狙撃というよりも、砲撃というべき規模であった。それとも、自動車のガソリンに引火でもしたのだろうか。真相は不明だが、オレたちは謎の男・海坊主・謎の狙撃手の攻撃によって散り散りに吹き飛ばされた。

 ここから、三大勢力による争奪戦が始まる。

 

 

 

 

 

 

「ゲホッゲホッッ!!」

 

 

 砂浜に漂着する。海水と砂利が口の中に入り、咳き込む。機体(からだ)の中に水が入ってる感触もある。辺りを見回すが、近くにはカイもチカさんたちもいない。

 だが、誰もいない訳ではない。

 

 

標的(ターゲット)ガ流レ着クトハ、運ガヨイ」

 

『注意、敵影接近』

 

 

 黒いフードに黒いマスク、黒い手袋をつけた男が歩いて来る。先程の橋を叩き割った男とは別だが、同一の雰囲気を感じる。この真っ黒男は先程の男の仲間だろう。

 

 

「命マデハ取ラヌ、死ヌガ良イ」

 

「一言で矛盾してるじゃねーか!!!」

 

『緊急、後方へ回避』

 

 

 バックステップで相手の攻撃を避ける。

 砂浜が弾け飛ぶ。速い、攻撃を見てからの回避では間に合わない。だが、攻撃の正体をスーパーアイが捉える。

 

 

「電撃……それも妖怪のような能力ではなく、生態としての放電!?」

 

『解析、身体構造が電気魚に類似』

 

「化ケ物共ト一緒ニスルナ。拙者ハ新人類、超人デアルゾ」

 

 

 これが超人!

 妖怪のように世界から外れた力を振るうのではなく、生物的な生態の延長として力を振る者。電気超人とでも呼ぶべきか。

 

 

「逃ゲラレンゾ、電磁波デ居場所ヲ探知デキル」

 

「逃げないよ、お前程度ならオレ一人だって勝てるさ」

 

「何ダト?舐メルナヨ小僧、拙者ハ『カンパニー』ノ中デモ……」

 

「お前の生態が電気魚と類似してること、そしてお前が元からこの砂浜にいたことから、お前の弱点は分かったよ」

 

 

 そうだ、電気超人はオレを探してこの場所にいたのではない。元からこの砂浜に待機していた。それは何故か……決まってる。電気超人が全力を出せる場所、いや全力を出さなくてもいい場所がここしか無いからだ。

 

 

「お前は電気を放てるが、その電気はお前も感電してしまうんだろ?だから、お前は自分が死なない程度の電気しか放てない。だが、その程度の電気では相手にも効かない。だったら、どうすればいいか……海水だろ?」

 

「ソノ通リダ。標的(ターゲット)ヲ海水デ濡ラシテ電気抵抗ヲ下ゲテオク、コレガ拙者ノ戦法ダ。ダガ、分カッタ所デ何モデキマイ。濡レタ身体ハ一瞬デハ乾カナイダロウ?」

 

「乾かす必要なんてない、お前が電撃を出せなくすればいいだけだ!」

 

 

 全力で走る。

 電気超人の放つ電撃自体は文字通り雷と同じ速度であるが、電撃を放つ速度は大したことがない。一発でも当たれば動けなくなるかもしれないが、オレの方が速い。

 このまま電気超人を攻撃してもいいが、怪獣のように再生を始める可能性がある。そして、オレに人間を殺すのは無理だ。であれば、手は一つ。

 近づいた電気超人に抱きつき、胸を顔に押し付ける。

 

 

「ナ、ナニヲス……ガボッッッッ!?」

 

「オレの胸で溺れろ!!!」

 

『展開、胸部より海水放出』

 

 

 昨日、天城セカンドが言っていたことを思い出せ。オレも空間跳躍(ワープ)を使っている。それで思い出したのが兵装展開の原理だ。オレは兵装を機体(からだ)に収納しているが、普通に考えると全ての兵装を収納するにはオレの体積が足りない。

 つまり、オレは出口のないワープホールを作ることで、亜空間ポケットを生み出していたということだ。俗な言葉で表現するならば、アイテムボックスだろうか。であるならば、兵装以外のものも収納できるはずだ。

 例えば、海水(・・)とか。

 

 電気超人が暴れる。だが、近接性能ではオレの方が上だ。しかも、電気超人は得意の電気を放てない。今、放電すると真っ先に感電するのは電気超人の方だからだ。

 身体を押さえつけ、口に大量の海水を流し込む。やがて、電気超人は気絶する。心臓は動いているので、時間が経ったら回復するだろう……多分。

 しかし(・・・)……

 

 

『注意、仮称電気超人の意識が覚醒』

 

「……は?」

 

「マダ、終ワランゾ!」

 

 

 しかし、まだ電気超人は終わらない。

 オレの足を掴む。そうだ、海水に濡れていたとしても、自爆覚悟なら放電することだってできる。そして……

 

 

「なんちゃってな!!!」

 

「はぁ!?」

 

 

 雰囲気が変わる。明らかに先程の電気超人とは別人の印象を受ける。だが、スーパーアイは何も捉えない。何も変わってはいない。

 

 

「レイちゃん一人で勝っちゃうとか、ヤバすぎ〜♪ とゆーか、おっぱいちょー柔らかいね☆」

 

『解析、原因不明』

 

 

 何も分からないとなると、妖怪か半妖の能力によるもの……意思疎通出来るということは、半妖である可能性が高いか?いや、超人と半妖は相性が悪いはず。

 そこで、昨日のことを思い出した。相性差はよっぽどの事がないと覆らないが、よっぽどの事さえあれば覆る。つまり、絶対的な実力差。

 

 

「『アウトロー』の半妖……それも序列持ち(ナンバーズ)クラスの半妖だな?」

 

「せーかい☆」

 

 

 笑う、嗤う、嘲笑う。

 無意識のうちに後退りする。

 

 

「妾の名はジュウ、九尾の狐の半妖。『アウトロー』最強の序列一位(ナンバーワン)である。……気軽にジュウちゃんと呼んでね☆」

 

 

 序列一位(ナンバーワン)……!?

 あのチカさんよりも上の順位、世界最強の半妖。オレでは逆立ちしても勝てない相手だ。

 

 

「……どうしてジュウちゃんみたいな偉い人が、こんな所に?」

 

「正確には妾はジュウじゃないけどね〜♪」

 

「どういう意味ですか?」

 

九尾の狐()の能力は洗脳。単体では弱そうだけど、能力の効果範囲が地球よりも大きいって言えば危険度が分かるかな〜♪」

 

 

 やろうと思えば、世界中の人がこの人に洗脳されるということか?

 いや、それなら『ガバメント』や『カンパニー』といった勢力が生まれるはずがない。恐らく、効果範囲を広げすぎると、洗脳の効力も弱まるのだろう。……それでも、強力なことに違いないが。

 

 

「つまり、貴方は自分がジュウさんだと思い込まされた電気超人ってことですか?」

 

「そうなの!妾ってば、お外で遊ぶには貧弱だからね〜♪ それで、ここに来たのは戦争のための駒を揃えておくためかな☆」

 

 

 ……また戦争か。

 結局、淡路島に着く前に襲撃されたので、それが何かはまだ知らない。

 

 

「あれ、聞いてない?そんな勿体ぶる話でもないと思うけど……ま、いっか☆ 戦争ってゆーのは、第二次超常戦争のこと。日本のくだんちゃんが、地球人と宇宙人の大規模な衝突が起こるよ〜って予言したの☆」

 

「くだんの予言ってことは覆らないのか!?」

 

「そうだね〜♪ 妾のとこの序列三位(ナンバースリー)も同意したし、『ガバメント』の演算装置も似たような予測したもんね☆」

 

「マジか……でも、ジュウちゃんは対策を考えてるんだろ?余裕そうな顔してるし」

 

「そうそう、そのために駒を集めてるの☆ あっ、レイちゃんとカイちゃんは強制出兵だからね〜♪ そんな訳で、妾はレイちゃんたちを助けにきたのさ☆」

 

 

 そう言って、ジュウちゃんは握手を求めるように手を突き出す。オレはその手を……

 叩いて払う(・・・・・)

 

 

「………………」

 

『………………』

 

「……ふふふふふふふ、バレた?」

 

「思考誘導だろ?」

 

「流されないとか精神力ヤバすぎ〜♪ どうして気づけたの?」

 

 

 忘れるな、気を逸らすな。目の前のコイツは襲撃者だ。オレは明らかにコイツに気を許し過ぎていた。コイツの話を信じるならば、世界中の思考を誘導するぐらいはできるだろう。そして、何よりそもそもの話だ。

 

 

「オレの見た目が女でも、お前の見た目が男でも、オレが初対面の女の子をちゃん付けで呼べる訳ないだろう。思春期を舐めるなよ」

 

「ぶははははははは!!!!!!」

 

「そもそもの話、淡路島に来た経緯だって不自然だった。戦争の話をいつまでもしないのも、オレがそれに言及しなかったことも不自然だ。……いつから思考誘導していた、どこまでが本当の話だ?」

 

「思考誘導は昨日の夜から、今までの話は全部本当だね☆ まぁ、戦争自体の解決策は考えついてるし、余裕なんだよね〜♪ 問題があるとしたら、その後始末かな?」

 

 

 視点が違いすぎる。

 人類の脅威を何とも思っていない。目の前のことで精一杯なオレとは次元が違う。

 

 

「戦争に勝てて平和になるのなら、問題なんてないだろう」

 

「それがあるんだよね〜♪ 『アウトロー』の勢力図の話サ☆ レイちゃんはさ、序列持ち(ナンバーズ)の何人が日本出身だと思う?」

 

「……一人か二人。じゃないと、トップがフミさんである理由が分からない」

 

「ところがどっこい、九人中四人が日本出身なんだよね☆ これは明らかに多いよ、中国出身は二人しかいないのにね〜♪」

 

 

 序列持ち(ナンバーズ)の約半分が日本出身。それも中国の二倍だ。

 聞いてた話では、『アウトロー』の勢力は日本ではなく中国が本場のはずだが。日本のトップがフミさんなのは、日本の序列持ち(ナンバーズ)に大きな権力を持たせたくないという背景があったのかもしれない。

 

 

「まぁ、妾一人で『アウトロー』の武力の九割を担っているから、そこはどうでもいいんだけどね☆ ただ、チカちゃんはヤバすぎる」

 

「……でも、チカさんは序列二位(ナンバーツー)。お前の方が序列は高いはずだろ?」

 

「妾が序列一位(ナンバーワン)である理由はただ一つ、チカちゃんと直接会ったことが無いからだね。チカちゃんは『アウトロー』どころじゃなく、三大勢力の均衡そのものを乱す存在なんだよね〜」

 

 

 そこまでの存在なのか!?

 確かに、チカさんは妖怪や半妖の能力をコピーできる。だから、会わないというのはコピー対策としては正しいだろう。しかし、ここまで危険視されるほどのイレギュラーなのか!?

 ……いや、待てよ。コイツのような偉い人たちにとって戦争の勝敗は決まっていて、思考は既に次のフェイズに進んでいる。であるならば、この戦いの目的は、淡路島での争乱の始まりは……。

 

 

「お前たちの目的はチカさんか!?」

 

「正解」

 

 

 その顔に笑いは一切無かった。

 

 

「『アウトロー(妾たち)』はチカちゃんの戦力や発言力を削ぐ、『ガバメント』はチカちゃんという危険分子を排除する、『カンパニー』は金のためにチカちゃんを襲撃する」

 

 

 冷酷な顔で序列一位(ナンバーワン)が告げる。

 

 

「つまり、この争乱は三大勢力によるチカちゃん争奪戦なのさ」

 

 

 

 『ガバメント』の刺客、四人の改造人間(サイボーグ)

 『アウトロー』の刺客、四人の半妖。

 『カンパニー』の刺客、四人の超人。

 それだけでは済まない(・・・・・・・・・・)最悪の争乱が始まる(・・・・・・・・・)

 




全身義体改造人間(オーバーホール・サイボーグ)
天城レイをモデルに製造された十二機の兵器
『ガバメント』の最新技術の結晶

▽一号機
製品名(コードネーム):『タイプ・アリエス』
特性:補助能力特化
特殊兵装:兵装錬成ユニット

▽二号機
製品名(コードネーム):『タイプ・タウラス』
特性:機動能力特化
特殊兵装:超速飛翔ユニット

▽三号機
製品名(コードネーム):『タイプ・ジェミニ』
特性:指揮能力特化
特殊兵装:知覚掌握ユニット

▽四号機
製品名(コードネーム):『タイプ・キャンサー』
特性:防御能力特化
特殊兵装:時間停止ユニット

▽五号機
製品名(コードネーム):『タイプ・レオ』
特性:殲滅能力特化
特殊兵装:広域消滅ユニット

▽六号機
製品名(コードネーム):『タイプ・ウィルゴ』
特性:治療能力特化
特殊兵装:細胞復元ユニット

▽七号機
製品名(コードネーム):『タイプ・ライブラ』
特性:演算能力特化
特殊兵装:未来予測ユニット

▽八号機
製品名(コードネーム):『タイプ・スコーピオ』
特性:攻撃能力特化
特殊兵装:空間切断ユニット

▽九号機
製品名(コードネーム):『タイプ・サジタリウス』
特性:狙撃能力特化
特殊兵装:世界俯瞰ユニット

▽十号機
製品名(コードネーム):『タイプ・カプリコーン』
特性:隠密能力特化
特殊兵装:存在希薄ユニット

▽十一号機
製品名(コードネーム):『タイプ・アクエリアス』
特性:支援能力特化
特殊兵装:無限格納ユニット

▽十二号機
製品名(コードネーム):『タイプ・パイシーズ』
特性:適応能力特化
特殊兵装:万能進化ユニット
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