【完結】色々なアレが多すぎる!   作:大根ハツカ

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05 荒れ狂う■■(ほし)に救いを

 

「只今より、第二次超常戦争を開始する!」

 

 

 三大勢力が集結する。

 誰も彼もが一騎当千の戦士たち。

 滅びゆく地球(ほし)を救うために立ち上がった者。

 戦争勝利時に支払われる報酬の為に戦う者。

 動機はそれぞれだが、世界中が一致団結する。

 

 

「作戦名は百鬼夜行!総員位置につけ!!」

 

 

 生み出した妖怪を思考誘導で宇宙人と戦わせるなど、細かい修正がいくつかあるが、百鬼夜行の大筋はオレが立てた計画と変わらない。

 宇宙人とは別にクローン怪獣が量産されている事も想定して、対怪獣用兵装も用意してあるらしい。

 

 

「カントダウンを始める!」

 

 

 この戦いが正念場だ。

 宇宙人さえ倒せば、星の外敵がいなくなった事で怪獣被害も無くなる。怪獣が地表から去れば、生命力が少なくなる事で妖怪被害も無くなる。全てが解決する。

 

 

「十、九、八、七、六」

 

 

 オレの心は穏やかだ。意外と緊張していない。周りを観察すると全員が程よい緊張を保っている。序列一位(ナンバーワン)……いや、序列二位(ナンバーツー)による思考誘導なのかもしれない。

 

 

「五、四、三、二、一」

 

 

 息を整え、手を握り締める。

 全ての決着をここでつける。未来に負債は残させない。人類の脅威を倒し切る。

 

 

「作戦開始!!!!」

 

 

 直後、空に大きな穴が開く。

 改造人間(サイボーグ)、半妖、超人が殺到する。

 戦いの火蓋が切られた。

 

 

 空の穴を潜ると、巨大な星が見える。

 それこそが宇宙人たちの母星。

 『カンパニー』が付けた名前はキャノンボール。その名の通り、地球を撃ち抜く金属天体だ。

 ……だが、予想外のことが一つある。

 

 

「なんだよ、あの生命力……」

 

「地表が脈動してる……?いや、まさか」

 

「まさ、か……生きてるのか?」

 

 

 味方のざわめきが聞こえる。

 それも無理はない、オレだって驚いている。

 金属の天体、金属生命体の宇宙人、……そしてガイア仮説。それらを結びつけると、一つの結論が浮かび上がってくる。

 

 

「星そのものが宇宙人なのか!?」

 

『解析、直径が約3400kmの金属生命体』

 

 

 元々は異星に棲まう宇宙人を絶滅させ、星は亜空間ポケットに入れたままにしておく予定であった。だが、全てが覆る。

 戦争に勝利するためには、キャノンボールそのものを破壊する必要がある。更に、普通の宇宙人と違ってキャノンボールは生命力さえ保有する。妖怪の能力は通用せず、物理的な破壊しか通用しない。

 

 

 

「関係ありませんわ!」

 

 

 そこに、一人の最強が君臨する。

 

 

「星一つ程度、破壊できるに決まっていますわ。わたくしをあまり舐めないことですわね」

 

 

 キャノンボールにクレーターができる。

 ただのパンチで星を破壊する。

 

 

「すごいなチカさん……一瞬で味方の士気を高めた」

 

 

 それだけじゃない。

 周辺には中継用カメラが浮かんでいる。これは生中継で全世界に配信しており、妖怪が発生するための思念を集中させている。

 チカさんの言葉は地球の人たちの不安を和らげる。

 

 

「さて、オレも仕事をやるか」

 

 

 オレの仕事はクローン怪獣の退治。

 仕事をやろうと一歩を踏み出す、が。

 

 

『注意、足元に落とし穴が出現』

 

「……え?」

 

 

 落ちる、落ちる、落ちる。

 飛行ユニットを展開しようと試みるが、それよりも先に穴の底へ到着する。それと共に上の穴が塞がっていく。

 そこには一本の道があるだけだった。

 明らかに罠だ。だが、進むほかない。

 

 

『解析、周囲の壁は金属生命体』

 

「宇宙人に囲まれてるのか……」

 

 

 奥に明かりが灯った大広間があった。

 そこに誰かがいた。

 

 

「…………は?」

 

 

 

 そこにいたのは一人の黒髪美少女。

 オレと全く同じ顔の少女だった。

 異なる点は二つだけ。髪色と目つきだけがオレとは違った。

 

 

「お前は、まさか……」

 

『解析、DNA一致率100%』

 

 

 新しい全身義体改造人間(オーバーホール・サイボーグ)を造ったという話は聞いていない。だが、改造人間(サイボーグ)を造れるのは『ガバメント』だけじゃない。

 

 

「久しぶりだなぁ、おにぃちゃん?」

 

「……天城セカンド、なのか?」

 

「死んだとでも思ったかぁ?だが、テメェは死体を確認した訳じゃねぇだろ」

 

 

 ……その通りだ。

 あの時、チカさんに頭を砕かれたセカンドはワープの穴に消えていった。宇宙人の技術力であれば、あの状態からでも蘇生出来るのかもしれない。

 いや、蘇生出来なかったからこそ、オレと同じような機体(からだ)になっているのか?

 

 

「お前も全身義体改造人間(オーバーホール・サイボーグ)になるとはな」

 

「テメェらごときの劣化技術と同じにするな。肉体を置換するだけじゃねぇ、おれたちは既にその先を行っている」

 

『報告、機体内部に生体部分を保有』

 

「……は?」

 

 

 セカンドの背中から翼が生える。

 いや、違う。背中だけじゃない。全身から肥大化した肉が盛り上がり、セカンドは肉の鎧を纏う。

 その姿は言葉では表せない。蠢く影、不定形の肉、血肉のスライム。この怪物にはどんな形容詞だって相応しくない。六枚の翼を広げて、怪物は佇む。

 

 地球のサイボーグ技術は肉体の置換に留まっている。改造後は元の肉体のサイズを大幅に超えることはできない。だが、セカンドの機体(からだ)はそれを無視している。機体(からだ)よりも肥大化した肉。しかも、ただの肉じゃない。

 

 

「クローン怪獣を見て思いつかなかったのか?おれたちは怪獣細胞の制御に成功した……つまり、超人だっていくらでも造れるに決まってるだろぉが!」

 

 

 怪獣の肉体を纏ったセカンドが言い放つ。

 もはや、超人ですらなかった。怪獣の細胞に適応した人類ではなく、怪獣の肉体を操る改造人間(サイボーグ)

 

 

「宇宙人によって作られた次世代改造人間(サイボーグ)、……超過機体改造人間(オーバーフロー・サイボーグ)とでも呼ぶか。怪獣と宇宙人の力を両方とも持つとか、欲張りセットにも程があると思うぞ」

 

「うるせぇよ、そこで死んどけ」

 

『注意、毒性の霧を噴出』

 

 

 咄嗟に後方へ跳ぶ。

 それが正解だった。改造人間(サイボーグ)のオレに毒は通用しない。しかし、オレが元々いた場所が、毒液の噴射によって切断されていた。この能力は毒だけではないと、オレは既に知っていた。

 

 

『推測、超高圧水流切断(ウォーターカッター)

 

「毒霧怪獣か!?」

 

 

 そうだ、思い出せ。オレが毒霧怪獣の討伐という依頼を受けたのは『アウトロー』の隠れ家……梅田の地下迷宮でだ。つまり、毒霧怪獣の戦利品も地下迷宮に回収されていてもおかしくはない。そして、あの場所に誰がいたのか。オレはあそこで何と戦闘したのか。

 

 

「あの宇宙人は怪獣の細胞を奪う役目を持っていた。オレたちが破壊した後に空間跳躍(ワープ)で回収でもしたのか?」

 

「怪獣だけじゃねぇぞ」

 

 

 蛇のように変化した翼がこちらへ向けられる。間違いなくウォーターカッターの予兆だ。それだけじゃない。金属生命体の壁が起動し、オレにビームの照準を合わせる。

 必死に避けようとするが、足が動かない。

 いつの間にか、オレの足に糸か綿のような何かが纏わりついていた。咄嗟に足ごと機体(からだ)を切り離し、全ての攻撃を紙一重で回避する。……いや、幾つかの攻撃は掠ったが、戦闘に支障はない程度の損傷だ。そんなことよりも、重要なことがある。

 

 

『換装、予備脚部を装着。報告、脚部の残数はゼロ』

 

「くそっ、足まがりか!だったら、狐火の能力もあるか!?お前どんだけだよ!?!?」

 

「おれたちは全ての脅威を手中に収めた。おれたちの技術、怪獣の細胞、そして妖怪の能力。量産は出来なかったがオレはその全ての力を保有している」

 

 

 迂闊だった。あの時の宇宙人を回収しているなら、取り憑いていた足まがりと狐火も回収していたと考えるべきだった。

 さながらボスラッシュ、もしくは再生怪人と言ったところか。違うところと言えば、討伐した時と同じ手は使えないことだ。

 

 

「視覚を遮断してくれ、音で周囲を探知する。視覚系のセンサーも全て使えないことを前提として動くぞ」

 

『了解、視覚遮断』

 

 

 毒霧怪獣は乾燥によって討伐できた。だが、セカンドにも亜空間ポケットがあると考えられる以上、水分の不足はあり得ない。

 足まがりと狐火はチカさんとカイの力によって討伐できた。だが、ここにオレ一人しかいない以上、同じ手段を使うことは不可能だ。

 

 

「おれはもう、ただの天城セカンドじゃねぇ。改めて名乗ろう、おれは天城セカンド(ネクスト)。宇宙人であり、怪獣であり、妖怪であり、人類であり、それら全てと異なる最強の生命体だ」

 

 

 ネーミングセンスが最悪すぎる。

 だが、間抜けな名前に反して、その脅威は本物だ。三つの脅威を全て併せ持つということは、三竦みによる弱点が存在しないということだ。自力の戦闘力が低いオレにとっては、ある意味では天敵に等しい。

 

 前方には弱点を持たないオレの天敵。

 周囲は金属生命体の壁。

 近くに味方は存在しない。

 

 

「ちょっとやばいな」

 

「諦めろよ、テメェ一人じゃ何も出来ねぇんだ。身の程を知れて良かったじゃねぇか」

 

 

 ……そうだ、セカンドの言う通りだ。

 オレは一人じゃ何もできない。いつだってオレは人の力を借りてきた。初心を思い出せ、自分一人で戦おうとするな。

 他力本願でも勝ちは勝ちだ。手段を選ぶな、そのためにオレはこれを造って貰ったのだから。亜空間ポケットからリモコンのような物を取り出し、握り締める。

 

 

「そうだ、オレ一人じゃ勝てない。だから、少し力を借りるよ」

 

「馬鹿かぁ?何処の誰にテメェに力を貸すヤツがいるんだぁ?ここにはテメェ一人しかいねぇんだよ!」

 

「いいや、お前たちがいるだろう?」

 

「…………は?」

 

『起動、機体支配ユニット』

 

 

 壁の金属生命体が一斉に不自然な動きをする。そのどれもがセカンドにビームの照準を合わせる。壁は既にオレの味方になっている。

 

 

「テメェ……ハッキングだと!?よりにもよって、そんな兵装を作りやがったのか!?!?」

 

「前に地下迷宮でジャミングしてただろ、あそこから思いついた。オレ一人じゃ勝てないのなら、敵を味方につければいいってな!」

 

 

 これこそがオレの特殊兵装、機体支配ユニット。宇宙人の機体(からだ)に接続して操作する、まるでラスボスのような能力だ。宇宙人相手には無敵のような力だが、効果範囲が非常に狭く、効果自体もそれほど長くは続かず、その上に起動するまでに時間がかかるという欠点を持つ。

 セカンドの機体(からだ)に接続することはできたが、操作するのは不可能だった。恐らく、機体(からだ)に妖怪が混ざっているため、拒否反応を起こしているのだろう。一部のパーツに誤作動を起こすぐらいは出来るかもしれないが、動きを操ることは無理だ。

 だが、それだけで十分だ。これで、数の差がひっくり返った。

 

 

「殺し合おうぜ、最強の生命体!」

 

「殺ってやらぁ、他力本願クソ野郎!」

 

 

 先に仕掛けたのはオレだ。

 全方位のビームを一斉に起動させ、セカンドを囲んで撃つ。眩い光がセカンドを圧殺する。

 だが、セカンドには傷ひとつない。怪獣の肉体が光熱を阻む。

 

 

「効くわけねぇだろぉが!」

 

「知ってるよ」

 

『起動、超音波振動剣(ヴィブロブレード)

 

 

 毒霧怪獣の汗は耐熱性を持つ。

 だから、これはただの目眩しに過ぎない。怪獣の肉体がある限り、ほとんどの攻撃は致命傷にはならない。なら、まずは肉を削ぎ落とす。

 切って斬って、切り刻む。

 

 

「ちょこまかとうっとぉしぃ!!!」

 

「そっちは図体はデカくても、動きは鈍間だな。目が見えなくても、動きが大振りで避けやすいよ」

 

 

 切るだけでは怪獣の肉体は再生する。

 だったら、傷口を焼けばいい。剣で切り、ビームで焼く。それを何度も繰り返す。神話の時代から行われた、伝統的な再生潰しだ。

 

 

「いける!お前は複数の能力を持って強力ではあるが、一つ一つの能力は大したことがない。チカさんほど突き抜けた万能性も持っていない。父さんほど戦闘経験も積んでいない。それなら、オレだってお前を倒せる!」

 

「調子乗ってんじゃねぇぞ!!!」

 

『緊急、足元に空間跳躍(ワープ)の予兆』

 

 

 足曲がりの綿糸がワープしてくる。

 咄嗟にジャンプして回避する。妖怪の足曲がりには物理攻撃が効かず、もう一度捕まれば終わりだろう。だが、足曲がりは足しか掴めない。だったら、対処は簡単だ。

 

 

『換装、脚部を収納。起動、飛行ユニット』

 

 

 足を掴まれるのなら、足が無ければいい。

 足が無くても、ある程度は飛行ユニットで代用できる。足りない部分は根性でカバーする。

 

 

「ぶっ飛べぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」

 

「やらせるかァァァァァァァ!!!!!!!」

 

 

 肉を切るどころじゃ無い。肉を剥がす。

 ウォーターカッターをビームで向かい撃つ。

 切って、焼いて、斬って、灼いて。

 耳が肉に埋もれたセカンドを心音を捉える。

 

 

「くらえ!なんとか砲!!!」

 

『訂正、超音速貫通砲弾』

 

 

 セカンドの心臓に照準を当てて放つ。

 装填された砲弾がセカンドを抉る。

 ……その一瞬前。

 

 

 

「そぉだろうと思ったぜ」

 

 

 

 ゴバッッッッッッッッ!!!!!!!!!!

 

 それは音なんて生易しいものではなかった。

 音自体が殺傷力を持つほどの衝撃、それがオレの全身を襲った。痛みを感じないからこそ、全身が存在するかさえ分からない。ただただ、機体(からだ)が熱い。オーバーヒートしている可能性もある。

 

 耳が聞こえない。オレには鼓膜なんて物はないが、鼓膜に該当するパーツが破損しているのかもしれない。

 それとも、オレはもう死んでいるのだろうか。例え幻影を見せられるとしても、周囲の状況とオレの状態を知るためにスーパーアイを起動させる。

 

 

「………………」

 

 

 目の前にいたのはセカンド。

 どうやらオレは仰向けで倒れているようだ。セカンドの口が動いている。唇の動きを読んで、セカンドの言葉が頭の中で自動的に翻訳される。

 

 

「テメェがおれに勝てるとでも思ったか?力を与えられてばかりのテメェがよ」

 

 

 壊れたのか、AIは沈黙している。

 壊れたのか、オレも全く動けない。

 

 

「テメェの一番厄介な所は解析能力、つまりスーパーアイだった。あれがあるだけで、あらゆる策は通用しねぇ。だから、初めに眼を封じさせてもらった」

 

 

 狐火の幻影は面倒くさい能力だが、タネさえ分かれば対処可能な能力だった。逆に言えば、対象せざるを得ない能力だったとも言える。

 セカンドはそれを利用した。切り札ではなく見せ札として狐火を使うことで、視覚を遮断するという対処を誘発させた。

 

 

「後は簡単だ、毒霧と一緒に可燃ガスを充満させた。テメェは毒霧怪獣だけだと思ってたよぉだが、もう一体の怪獣を知ってんだろ?」

 

 

 ……浮遊怪獣だ。

 京都で戦ったあの怪獣は、体内が水素で満ちている。それを毒霧怪獣と組み合わせて、水素を噴射するように生態を作り替えた。やっていることは人間と同じ、つまり改造怪獣だってことだ。

 

 

「衝撃波は空間跳躍(ワープ)で防げる。熱も汗で対処可能だ。後はテメェの自爆をただ待つだけでいい」

 

 

 ビームでは爆発が起こらなかったのが不思議だが、そもそもビームは宇宙人の兵装だ。何らかの細工がしてあってもおかしくない。だが、オレの兵装には何の細工も施されていない。最後のなんとか砲が引火の原因になったのだろう。具体的にビームどんな工夫がしてあったのか、分かることは二度とない。

 

 

「じゃあな……なかなか強かったぜ、テメェ」

 

「………………ぁ」

 

 

 セカンドが足でオレの頭を踏みつける。

 やばい……全身義体改造人間(オーバーホール・サイボーグ)は脳だけは改造されていない。つまり、脳だけは替えが効かないということでもある。頭を踏み潰されたらオレは終わる。

 しかし、機体(からだ)は一切動かない。機体(からだ)のパーツにエラーが出ている上に、脳が揺れて機体(からだ)との接続がおかしくなっている。

 

 セカンドが足に力を込める。

 グシャッッッッという音と共に、オレの頭が弾ける。血が辺りに飛び散る。

 そして、天城レイは三度目の死を迎えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いつの間にか、白い空間にいた。

 天と地の区別がつかず、白すぎて眩しい。

 ここはどこだ?

 

 

「ここは君の夢の中さ」

 

 

 後ろから声が聞こえる。

 振り返るとそこには小さな影が見える。

 逆光なのかシルエットしか見えない。

 だが、それだけで正体が分かった。

 ……カイ、話せたのか。

 

 

「二週間前、君はバンシーに殺された。君は間違いなく絶命した。生命力を付与した程度では蘇生出来ないほどね」

 

 

 やばい、頭が回らない。

 

 

「だから、僕の細胞を分け与えた。いや、正確に言うと僕はカイではなくカイが分け与えた細胞に過ぎないけどね。つまり、分かるかい?君は怪獣の細胞を保有している」

 

 

 重要な話をしているのだろうが、頭がぼうっとして理解できない。

 

 

「怪獣の細胞を保有しているからといって、誰しもが超人になれる訳じゃないし、例え超人であっても頭を潰されたら再生出来る訳がない。だけど、僕と君は例外だ」

 

 

 ……?

 

 

「元の僕は……新()怪獣カイは、進化という生態を持つ。本来ならばあらゆる生命よりも強くなり、新たな地球となるための能力だ。今の地球を捨て去り、新たな生命圏を作り出そうとしていたからこそ、カイは妖怪からも宇宙人からも狙われていたのさ」

 

 

 新たな……地球?

 

 

「だけど、君はカイを何度も守った。そして、カイの進化も予定とは違った方向へ伸びた。結果的に、カイは君と意思疎通する能力と他者に生命力を付与する能力が強化された。ならば、君が僕という細胞に適合するのも、細胞に過ぎない僕が君を蘇生させられるのも何らおかしくない。つまり、これは君が育てた能力だってことさ」

 

 

 新たな地球って何だ?

 

 

「そこに興味を持ったのかい?うーん、何て言えば良いのかな。まず、怪獣っていうのは地球の手足のようなものなんだ。地球が怪獣であると言い換えてもいい。名付けるなら、地球怪獣ガイアかな」

 

 

 宇宙人とキャノンボールみたいなものか?

 

 

「大体そんな感じだね。だけど、カイは違う。カイはガイアとは完全に別個体、つまりはガイアの子供みたいなものなのさ。自己の生存を諦めたガイアが、種の生存を優先したってこと」

 

 

 生物みたいだな。

 

 

「そうさ、これは生存競争なんだよ。人類と宇宙人と地球による生存競争、一つの種族しか生き残れない戦争だね」

 

 

 ……地球もなのか?

 

 

「ガイア仮説はほとんど正解なんだけど、そこだけが間違っていた。怪獣が現れたのは宇宙人が原因じゃない、宇宙人がいなくなっても怪獣被害が無くなることはない」

 

 

 考えてみればその通りだ。

 怪獣はいつだって宇宙人でなく人類を襲う。

 ならば、怪獣が現れた理由も人類にあると考えた方が自然だ。

 

 

「エネルギー問題に繋がる話さ。人類は地球の資源を食い潰し過ぎた、だから地球は生きるために人類を滅ぼすしかなくなった。君たちが真の意味で生き残るには、地球と異星の両方を滅ぼさなければならない」

 

 

 それは……悲しい話だ。

 

 

「君がそう言ってくれるなら、きっと母さん(地球)も喜ぶよ。僕という細胞を身に宿す君は、地球とも繋がっている。君の声は母さんにも届く。……まぁ、その声を届けるには少しばかり遅かったけどね」

 

 

 どういうことだと聞き返す暇はなかった。

 白い世界にヒビが入る。

 この夢が終わりを迎える。

 

 

「さあ、戦争の再開だよ。宇宙人と人類の戦争じゃない。何もかもを巻き込んだ第二次超常戦争の始まりだ。今度こそ君は、君一人の力で戦わねばならない」

 

 

 声が遠のいていく。

 意識が目覚め始める。

 

 

「……でも、僕は期待しているよ。きっと君は、誰も予想できなかった事をやり遂げてくれるってね」

 

 

 最後にその言葉を聞いて、オレは目を覚ました。

 

 

 

 

 

 

 

「……どうしてテメェはまだ生きている」

 

 

 辺りを見回す。目の前にはセカンドが驚愕した顔で立っている。機械支配ユニットの効果も続いている。死んでから大した時間は経っていないようだ。

 

 

「また、助けられた。他力本願クソ野郎の真骨頂だと思ってくれたらいいよ」

 

 

 何が君が育てた能力だよ。

 そんな訳あるか。いつだって、カイには助けられてばっかりだ。借りが積み重なるばかりで、一向に返せる気配はない。

 

 

「……生き返ったからなんだ、テメェをもう一度殺せば済む話だろぉが!」

 

「そう簡単に行くかよ。お前の能力はもう全て分かった。だが、お前はオレが生き返った方法も何も分からないんだろ?」

 

 

 セカンドが言い淀む。

 理解不能の能力が最も恐ろしいからだ。

 今のうちに考えろ。今ある手札で、セカンドをどうやって倒すのか。セカンドの持つ能力は全て戦ったことのあるものだ。あの時のことを思い出せ。記憶が走馬燈のように駆け巡る。

 

 オホーツク海で毒霧怪獣と戦った。

 梅田で足曲がりと狐火と戦った。

 京都でセカンドと浮遊怪獣と戦った。

 

 いつだって、オレ一人で勝てたわけではなかった。AI、カイ、チカさん、フミさん、『アウトロー』の人たち。……そうだ、オレは一人だが独りじゃない。この場にいなくても、みんながオレの心を支えてくれている。

 やってやる、他力本願クソ野郎の本領発揮だ。

 

 

「オレが生き返ったのは、カイのおかげだ。カイの細胞に適合して、新たな超人になった」

 

「……だったら、次は脳みそを潰すだけじゃねぇ。切り分けて、再生できないまで燃やせば終わりだ!」

 

「超人は強力な生命力と、怪獣由来の特殊な生態を保有する。お前、カイの生態を忘れてるんじゃないか?」

 

「……何だと?」

 

 

 再生は全ての怪獣が保有する基礎能力だ。

 進化はカイにしか保有できない特殊能力だ。

 だが、もう一つある。

 

 

「梅田での戦闘を覗き見してたのなら、お前を知ってるだろ?カイの生態、分かりやすく特殊な能力がもう一つあることを」

 

「火炎噴射か!?」

 

「カイは恒星にでもなろうとしてたのか。それとも地熱を既に内包していたのか。どちらにしろ、カイは強力な熱源とそれに耐えるだけの身体構造を得ている」

 

「馬鹿か!?例え火が吹けても何も変わらねぇ!テメェが自爆して死ぬだけだ!」

 

「バカはお前だ。オレは火炎噴射の能力を持っていない。だが、オレは言ったぞ。カイは強力な熱源に耐えるだけの身体構造を持ってるってな!爆発なんか効くわけないだろうが!!!」

 

「テメェ……!!!!!」

 

「さぁ!殺し合おうぜ!空間跳躍(ワープ)で防御する暇なんて与えない。汗が乾くまでいつまでもやってやる。どっちが先に爆発でくたばるか、我慢比べといくか!!!!!」

 

 

 セカンドが背を向けて逃走する。指揮官としての役割もあるのなら、それは当然だ。だが、逃すわけがない。

 飛行ユニットを破壊されているため、両脚を展開して全速力で追いかける。スーパーアイがセカンドを捉える。足りないパーツを怪獣細胞で補填する。足に綿糸が絡まるが関係ない、力づくで引きちぎる。妖怪の能力は圧倒的な生命力を前に無力となる。

 

 

「自爆特攻とか頭が茹だってるのか!?来るんじゃねぇ!!」

 

「逃がさないよ。お前は宇宙人の勢力の中で、唯一、人類的な思考ができる敵だ。細かい応用力の無い宇宙人と違って、お前は工夫をよく知っている。怪獣の量産化もお前の発想だろ?お前が異星文明における最大の脅威だろうよ」

 

「こっちのセリフだ、クソ野郎。……あの怪獣の細胞を取り込みやがった以上、放ってはおけねぇ。おれも腹を括った。テメェだけはここで殺す」

 

 

 機体(からだ)から可燃性の液体を右腕に垂らし、拳を炎上させる。爆発しないことから、空気中に水素は充満していないようだ。だが、関係ない。セカンドが纏う怪獣の肉体の中に、水素はいくらでも詰まっている。怪獣の肉をぶった斬って、中に手を突っ込めばそれで終わりだ。

 対して、セカンドはウォーターカッターを連発する。それはそうだ。体内での爆発など、ワープでも防げないだろう。怪獣の肉体から大量の水を噴射し、火を掻き消そうと必死に足掻く。

 

 そして……

 

 

 

「ハッタリに決まってんだろ」

 

「は?」

 

 

 スパッとソードを左手から展開し、怪獣の肉体を切り裂く。畳み掛けるように、金属生命体の壁を操作してビームを乱射する。

 

 

「耐爆能力なんてものを都合良く獲得できる訳がないだろ、常識的に考えろ」

 

「どの口で言ってやがる!?」

 

 

 オレがカイから与えられた能力は生命力付与。火炎噴射なんていう一度しか使っていない能力は受け取っていない。そもそも、カイからして耐爆能力なんて物は持っていない。

 だが、ハッタリに意味がなかったわけじゃない。オレがハッタリをかました理由は二つある。一つは時間稼ぎ、そしてもう一つはすぐに分かる。

 

 

「耐爆能力なんて獲得する必要はない。だって、もうお前は水素を噴射できないからな」

 

「何を言って……はぁ!?」

 

 

 怪獣の肉体がひび割れ、ミイラのようになる。

 理由は簡単、かつて毒霧怪獣を討伐した時と同じ。つまり、水分不足だ。

 

 

「お前と同じだよ。お前は狐火を見せ札として利用し、オレに視覚遮断を誘発させた。オレは架空の耐爆能力をでっち上げ、お前にウォーターカッターを誘発させた。その結果がこれだ」

 

「いいや、それじゃ説明にならねぇ!おれは亜空間ポケットに大量の水を収納している!この程度の消費で乾燥するはずがねぇ!!」

 

「亜空間ポケットと言ってはいるが、それは出口がないだけの空間跳躍(ワープ)だ。だったら、出口を作ってしまえば、中身は何処かへ飛んでいくだろ?」

 

 

 そもそもの話、怪獣にとって宇宙人は天敵だ。つまり、宇宙人の力を使えば、怪獣に対して勝ち目が生まれる。

 

 

「……い、いや、まだだ。亜空間ポケットはおれの脳と接続している。テメェが干渉できるはずがねぇだろ!?」

 

「忘れたのか?」

 

 

 セカンドにリモコンのような特殊兵装……機械支配ユニットを見せる。妖怪が取り憑いたセカンドの機体(からだ)は操れない。

 しかし、それは機体(からだ)だけだ。

 

 

「オレはお前と接続している。パーツ程度なら幾らでも自由に誤作動を引き起こせる」

 

「…………そうだな、テメェの言う通りだ。おれはハッタリに引っかかった。だが、怪獣の肉体が無くなったから何だってんだ。この程度におれに勝てるとでも思ってんのか?」

 

「勝てないのは分かってる」

 

 

 そもそもの兵装の差からして、オレとセカンドは互角だった。それか、セカンドの方が強かったかもしれない。爆発で重傷を負っているオレと、怪獣の肉体以外には無傷のセカンド。戦うまでもない、結果は明らかだ。

 

 

「でもさ、ここにいるのはオレだけじゃない。ここで戦ってるのはセカンドだけじゃない。なぁ、そうだろ!お前らも好き勝手使われるのは我慢ならないんじゃないのか!!!」

 

 

 宇宙人の天敵は妖怪だ。オレが持ってる宇宙人と怪獣の力は、セカンドには効果がイマイチだと言える。だったら、妖怪の力を借りればいい。だって、ここにはいるだろう。

 

 

「オレはセカンドに勝てない。だから、お前らの力を貸せ。足曲がり!狐火!」

 

 

 直後、綿糸がセカンドの足を絡め取り、幻の炎が全身を包む。足が破壊され、視覚情報がグチャグチャになる。

 

 

「テメェ……やりやがったな!?そうだ、思い出した!怪獣カイは他者に生命力を付与する能力を持つ、機体(からだ)に取り憑く妖怪を活性化させやがったな!?」

 

「お前は半妖じゃない。妖怪は取り憑いているだけで、力を貸している訳じゃない。だったら、どうして操られているのか。怪獣の力で従えられているか、そもそも弱っているかのどっちかに決まってる。だがら、どっちも解決した」

 

 

 いつだって、オレがやっていることはただ一つ。他人の力を借りる。今回は借りる相手がたまたま人類の脅威だった、ただそれだけだ。

 妖怪が嵐のように暴れる。その攻撃はオレも巻き込んで、周囲の金属生命体ごと破壊する。だが、超人のオレには通用しない。

 

 

「それだけじゃない。妖怪の天敵は怪獣だ。だから!!!」

 

「クソがァァァァァァ!!!!!!!」

 

 

 拳を握り締める。生命力を集中させる。

 セカンドの元へ走り、全力でぶん殴る。

 二体の妖怪が消し飛ぶ。

 

 

「これで、オレの勝ちだ!!!」

 

「………………っっっっっ!!!!!!!」

 

 

 拳と共に、握った機械支配ユニットを押し付ける。妖怪さえ消えれば、オレはセカンドを操ることができる。セカンドをこちら側の戦力として扱える!

 

 

「悪いがここで終わりだよ。手を出して来たのはそっちが先だ、自業自得だと思って諦めろ。異星が滅ぶのを指を咥えて見といてくれ」

 

「…………、……って………………」

 

 

 ぽつりと、声が漏れる。

 

 

 

「おれ達だって!戦いたくなんてなかった!!」

 

「…………は?」

 

 

 

 思考が停止する。

 前提が覆る。

 

 

「当たり前だろぉが!!どうして宇宙人の見た目が全て人型なんだと思ってる!?テメェらと友好的に接するために決まってんだろぉが!!!」

 

「……っ!?」

 

 

 宇宙人という、異星という絶対的な悪。

 そう決めつけて、本当の姿を見ていなかった。

 宇宙人は地球に侵略して来た……侵略ではなく来訪だったのではないか?

 宇宙人は文明の略奪者だ……仲良くなるために学習しているのではないか?

 宇宙人は人類を襲撃している……本当に宇宙人の意志で襲撃していたのか?

 宇宙人は人類の脅威だ……人類と共存できる存在だったのではないか?

 

 

「宇宙人は空間跳躍(ワープ)の事故で元の銀河を見失い、宇宙を彷徨う迷子になった。それから、宇宙人は故郷に帰る技術を探して文明に接触するようになった。おれ達は帰りたいだけなんだ、おれは宇宙人を帰したいだけなんだ」

 

 

 ……元の居場所に帰りたい、その気持ちは痛いほど良く分かった。

 

 

「地球を見つけて、友好的に接触するために準備を進めていた。だが、十年前にその準備が全て無駄になった」

 

 

 十年前……人類、地球、異星、全てを巻き込んだターニングポイント。

 

 

「第一次超常戦争!宇宙人は地球にいる存在にハッキングされ、地球を侵略するように仕向けられた!それでも、宇宙人は地球勢力と友好的に接することを諦めなかった。でも八年前にそんな態度も終わった、宇宙人は人類を滅ぼすことに決めた」

 

「……八年前?」

 

「そうだ、心当たりがあるに決まってるよなぁ!?テメェだよ!天城レイ!!!!」

 

 

 オレが……オレが原因なのか?

 オレは誘拐(アブダクション)されていた間のことは、何も覚えていない。いや、そもそもあれは本当に誘拐(アブダクション)だったのか?

 

 

「これまでは、操られて地球を襲撃させられていた。だが、その時初めて異星は襲撃された。テメェにな」

 

「…………」

 

「誰が宇宙人をハッキングしたのかは分からねえ。テメェの意志で異星を襲撃したとも思ってねぇ。だが、おれ達は人類ごと異星の脅威を滅ぼすと決めた。そうすることでしか生きられないと悟ったからだ」

 

「……お前は?お前は宇宙人じゃないだろう。宇宙人から産まれたのだとしても、協力する必要はない。お前はどうして宇宙人に手を貸すんだ?」

 

 

 セカンドは不思議そうな顔をした。

 

 

 

「そうしてぇと思ったからだ。襲撃者の体細胞から作られたクローンにも優しくしてくれるんだぞ?救わねぇ理由がねぇだろ」

 

 

 

 ……それで、もうダメだった。

 オレに宇宙人は滅ぼせない。セカンドは殺せない。助けたいと思ってしまった。

 

 

『提言、行動の実行停止』

 

 

 壊れたと思っていたAIが息を吹き返す。

 だが、最悪の事実にオレは気づく。

 

 

 

「お前だろ?」

 

『…………』

 

 

 オレを改造したのは宇宙人じゃない。

 そもそも、不思議だった。宇宙人は金属に知能が宿る金属生命体。ならば、人工知能を作る必要がない。なのに、オレにはAIが搭載されている。

 人類は宇宙人をハッキングできない。出来るようになったのはオレの兵装が初めてで、十年前には存在していない。ならば、誰の仕業なのか。決まってる、妖怪の仕業だ。

 

 

「十年前の真相はこうだ。人類が原因で怪獣が発生し、怪獣の生命力で妖怪が繁栄する。そして強化された妖怪(AI)が宇宙人をハッキングした。……正体を現せよ」

 

『……正解、よく分かった』

 

 

 頭から、身体から何かが抜ける。

 オレに取り憑いた妖怪が剥がれる。

 

 “それ”は宇宙人より宇宙人らしい、エイリアンのような見た目をしていた。

 “それ”は醜悪な悪魔のようにも見えた。

 “それ”こそが人類の脅威にして異星の脅威。

 

 

『回答、私の名前はグレムリン。別名、文明の捕食者……貴方達を滅ぼす者』

 

 

 直後、周囲が爆発する。

 いつの間にか、機械支配ユニットの効果が切れている。グレムリンが壁の金属生命体をハッキングして、自爆させたのだろう。

 オレは咄嗟にセカンドを庇うが、逆にセカンドの展開した兵装によって爆撃が防がれる。

 

 

「一旦逃げるぞ、レイ!おれは足を破壊されてる、テメェがいなきゃ移動すらできねぇ!」

 

「セカンド、お前……」

 

「勘違いすんじゃねぇぞ。テメェを助けたんじゃねぇ、対グレムリンの戦力が惜しかっただけだ」

 

 

 顔を逸らしてセカンドが言う。

 耳が赤いので、照れ隠しなのだろう。

 中継用カメラが浮いているのが見える。あれもグレムリンにハッキングされているのかもしれない。

 

 

『……疑問、どうして人類の脅威を助ける?確認、それは世界全てを敵に回す行動』

 

「確かに、人類から見たら悪なのかもしれない。宇宙人とは殺し合うしかなかったのかもしれない。だけど、今は違うだろ!?和解できるかもしれないんだぞ!?戦争を終わらせることが出来るかもしれないんだ!!!」

 

 

 夢物語が現実になる。

 これ以上犠牲を出さず、平和を作れるかもしれない。人類全体にとってもこっちの方がいいに決まってる。

 ……いや、全部嘘だ。そんなこと考えていない。ただ、オレは……

 

 

「世界も人類も関係ない、オレがセカンドを……宇宙人を助けたいと思った。ただ、それだけだ!!」

 

「……もう無理なんじゃねぇの?宇宙人も諦めてる、この戦争はどちらかが滅ぶまで終わらないってな。だから、せめてグレムリンだけは殺す。ヤツの一人勝ちだけは絶対に防いで見せる」

 

 

 逃げる場所なんて何処にもない。

 隠れる場所なんて何処にもない。

 文字通り人類の全てが宇宙人を憎んでいる。

 宇宙の何処にも居場所のない星は、地球の何にだって受け入れられない。

 セカンドだって、宇宙人だって諦めている。

 人類も地球も戦争を受け入れている。

 拒否しているのはただ一人、オレだけだ。

 

 

「この戦争は止まらねぇんだ。テメェは知らねぇだろうけど、地球では怪獣も暴れ回ってる。もう、おれ達だけの問題じゃねぇんだ。それぞれが、それぞれの命を賭けて戦ってる。和解なんて、もう無理なんだよ……」

 

 

 セカンドは涙を流して笑う。もう無理なことだけど、一人でもそんな馬鹿なことを考えてくれて嬉しいと言ったふうに笑う、

 もし人類が勝ったとして、地球と異星を滅ぼすのかもしれない。数多の犠牲の上で終戦記念日なんて作って、ニコニコ笑って教科書に載せるのかもしれない。

 人類だけの世界で笑顔で生きていくのだろう。

 

 

「それなら……」

 

 

 そんなの人類滅亡の方がマシだ。

 目の前で少女が泣いている。少女なのは見た目だけで、中身は宇宙人に作られた化け物なのかもしれない。それがどうした。

 一人の少女と全ての人類。そんなもの、少女を優先するに決まってる。少女の涙を拭えない人類に価値なんてない。

 だから、叫べ。文明の捕食者とか人類全てとか、そんなの関係ない。オレの心がそう叫んでいる。だから!

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!」

 

 

 

 

 

 

 

 戦え、少女の涙を拭うために。

 救え、荒れ狂う異星(ほし)を!!!!




▽天城セカンド(ネクスト)
見た目:黒髪ロリTSサイボーグ
能力:ワープ、毒霧、歩行妨害、幻影、爆破
全長:149cm
属性:宇宙人・怪獣・妖怪/人類・脅威
陣営:異星

▽キャノンボール
見た目:金属の天体
能力:宇宙人製造、ワープ
全長:約3400km
属性:宇宙人/脅威
陣営:異星

▽地球怪獣ガイア
見た目:地球
能力:怪獣創造
全長:約12700km
属性:怪獣/脅威
陣営:星

▽グレムリン
見た目:醜悪なエイリアン
能力:機械支配
全長:約100cm
属性:妖怪/脅威
陣営:異星の脅威













 天城レイの裏切り。
 それはカメラを通して全世界へ伝わった。


「GYAU」

「これってボク、キレてええんちゃう?」

「これは儂の手にも負えんぞ……!!!」

「馬鹿が!俺に息子を殺させる気か!?」


 頼れる仲間たち、強大な三大勢力。
 それら全てが、敵に回った。
 それでも少年は、拳を握りしめる。
 覚悟を決めろ、意志を押し通せ。
 希望の光(レイ)はまだここに。


 覆せ、予定調和のバッドエンドを。
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