いつも月夜に米の飯、米の飯より思し召し   作:ルシエド

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「カフェ、流石に蒲焼きの匂いにコーヒーの香りは……聞いてないなこれは」

 ……。

 ……。

 ……。

 まいったな。

 これちょっとダルくなってきたぞ。

 

 

 思った以上に、調べる場所が多い。

 と、いうか。

 一箇所の情報量が多い。

 手分けしてもまるで終わる気配がない。

 もう二日ここで使ってしまった。

 でも終わる気配がない。

 助けてくれ。

 

 

 俺・ライス姫・ネイチャ様・タキオン先生・カフェちゃん・マクドさん・マックさんで手分けして終わらないのはだいぶしんどいぞ。

 俺一人でやってた場合を想像もしたくない。

 こりゃキツい。

 

 うーん。

 方針を考え直した方がいいか。

 結果が出るかも分からない作業への従事はやる気を削ぎ、不満を積む。

 長時間ならなおさらに。

 

 

 しかし皆、根気が強い。

 定期的な休憩を入れつつも、長時間の集中作業への耐性がかなり見て取れる。

 流石アスリートって感じだ。

 忍耐力が無いやつはアスリートになれない。

 努力の継続に耐えられないからだ。

 

 そういう意味では、ウマ娘、ウマ娘か。

 夢を追うウマ娘ってやつは、全員一定以上の、"成し遂げるまで頑張る資質を持っている"……と言えるのかもしれん。

 うーむ。

 統計取りてえ。

 なんて気になる生き物なんだ。

 

 頑張り方を心得てる。

 サボらず、されど無理せず。

 自分の限界を知り、自分をコントロールしている。

 いわゆる、"笑顔で他人の十倍の努力ができるやつら"。

 

 ほどほどにお喋りしながら探索して、きっちりノルマ以上の探索をこなす彼女らと探索してるだけで、俺はとても気楽に、肩肘張っている時より多大な成果を出せる気がする。

 

 

 たまにギガスの内部空間でトレーニングやレースをしてるのも見る。

 走ることが本能の生き物、か。

 努力して。

 ぶつかって。

 勝者と敗者を決めて。

 その上で、恨みっこなし。

 幾度となくそれを繰り返しても、皆仲良しで、仲が悪くなる気配が無い。

 

 それがたまらなく眩しく見える。

 

 悔しさや恨めしい気持ちを感じていないわけでもなく、それを飲み込んで引きずらない姿勢が、輝いて見える。

 

 いや。

 自分で自分に嘘ついてもしゃーないな。

 憧れもあるが。

 嫉妬もある。

 あれは俺から最も遠いものだ。

 だが俺は子供に奉仕すべく造られた、社会の共有財産。

 そういう気持ちは割り切っていかなければならない。

 

 ……コーディングの制御がなければ、俺はこの程度の人間だ。

 つくづく、しょうがねえやつだと、自分で思う。

 まあいいさ。

 どうでもいいことだ。

 

「どっこらしょ、おらっ倒れろレバー!」

 

 

 おっ。

 ドア開いた。

 さてさてこっちは何があるかね。

 

 お。

 リンク式の転送装置みっけ。

 リンクした機神の元まで一瞬で行けるやつ。

 機械のある場所から登録した機神のところまで物質を転送してくれるやつだ。

 

 最新式ほど便利じゃあ、ないが。

 ギガスとリンクさせておけば十分に便利なやつだな。

 

 

 物質は光速を超えられない。

 光速を超えた物質は時間を遡行する。

 ゆえにタイムマシンには超光速の粒子"タキオン"の発見が必須。

 それがタイムマシン技術の基本だ。

 宇宙の基本法則である、とも言える。

 

 

 じゃあ。

 たとえば。

 光速を超えないまま、何万光年も先の宇宙に人間を送れたら、どうなるのか。

 

 そういう思考から生まれたのが転送装置。

 

 タイムマシンの雛。

 

 

 人は原則的に光速を超えられない。

 だから時間をしばらく逆行できなかった。

 だがそれは情報も同じ。

 例外はあれど、情報も基本的には光速を超えられない。

 光より速く情報を伝えることは、ほとんどの情報には出来ないことだった。

 

 だから。

 

 『光に先回りする手段』さえあれば、理論的には過去の情報を取得できる。

 

 転送装置は、光を追い越すために作られ、タイムマシンの技術の祖になった。

 

 

 ほとんどの情報は、光速を超えられない。

 だから一光年先に情報が到達するまで、一年以上は必ずかかる。

 光も、電磁波も、素粒子も、見かけ上の超光速運動天体も。

 

 だから光に先回りできれば、過去をそのまま見ることができる。

 

 地球から見た一光年の彼方の星は、どんな観測手段を用いても、一年前の星の姿だ。

 情報が伝わるのに一年かかるから、常に一年前の彼方の星が見えている。

 彼方の星の過去の姿が見えている。

 

 それは『見かけ上のタイムマシン』。

 実際には時間を遡行してるわけじゃあないけども。

 過去の情報、光景、出来事を、全てそのまま観測できる。

 

 転移装置で一瞬でどこまでも移動できるなら、これを応用すれば、多様な観測方法を用いることで、どんな過去でも観測できる。

 

 地球から出発する、と仮定して。

 一光年彼方に移動してから地球を観測すれば、一年前の地球が見える。

 十光年彼方に移動してから地球を観測すれば、十年前の地球が見える。

 十万光年の彼方に移動してから地球を観測したならば、十万年前の地球が見える。

 

 

 生きている恐竜や、オタクに優しいギャルを撮影することも、肉眼で見ることも、技術的には不可能じゃなくなる。

 

 そう、つまり、これは。

 タイムマシンの雛なのだ。

 タイムマシンにはなれないけれど、転移装置の技術を育てた先に、タイムマシンはあった。

 これがあれば、"見かけ上"ではあるけども、人は過去に戻ったかのように、過去をそのまま見ることができる。

 過去を見れるけど過去を変えられない、眺めるだけのタイムマシン。

 

 量産されてすぐ応用のために改造されて、タイムマシンとしてではなく、辺境惑星への物資輸送とかにめちゃくちゃ使われるようになったと聞いてる。

 

 これを作れるだけの設備と、設計図があれば、タイムマシンも作れる。

 そういう指標になるもの。

 

 これが見つかったからってタイムマシンの製造になんか役に立つ、ってわけじゃないけども。

 タイムマシンに至る歴史を感じられるから、俺は好きだ。

 

 動くかな。

 ちょっと調べてみよう。

 お。

 動く動く。

 ちょっとパスワードだけアンロックしとこうか。

 俺以外でも使えるように。

 

 

 ウマ娘はライバルにかけっこで勝とうとしてどんどん速くなっていく生き物らしいが、俺の世界の人間は何万年もずっと光にかけっこで勝とうとしてたらしい。

 過去を知るために。

 あるいは、情報の領域でだけでも、過去に戻るために。

 最終的には、何万光年も先で飢えている人にごはんを届けるために。

 

 この機械はそのための、いわば光より速く走る足。

 

 どこまでも助けに行けるし、どこまでも逃げていける、そんな足を与えるマシーン。

 

 うん。

 そうだな。

 ちょっとこれの使い方を皆と相談してみようか。

 

「何か見つかりましたか?」

 

 

 お。

 マクドさん。

 ちらっと見ただけだとマックさんと見分けつかねえなやっぱ。

 

「どうかした?」

 

「そろそろ休憩して軽く食事にしないかと、カフェさんからの伝言ですわ」

 

「そうか。ありがとう」

 

「不安でしたが、皆いい人で助かりますわ。

 ライスさんは、細かやかな気遣いができる方ですし。

 ネイチャさんは、とても話しやすいですわ。

 タキオンさんは……タキオンさんは……まあいいとして。

 カフェさんは言葉少なでも優しい方ですし。

 マックイーンさんはまるでもうひとりのわたくしのようで、気持ちが通じて助かります」

 

「馴染んでるな……君、そんな社交的だったか?」

 

「最後に会ってから何年経ったと思っているんですの?

 うんと小さい頃のわたくししか知らないでしょうに。

 わたくしが『子供』で、貴方が『大人』。そうだったのも昔の話ですわ!」

 

 

 なるほど。

 確かに。

 まだ『子供』でも通るが。

 本人がそう望むのであれば、『大人』とも扱っていいラインを超えている。

 規格的には問題ない。

 

「ああ。なんなりと命じてくれ。

 『子供』を脱した君が命じるなら、俺は何にでも応じる。

 それが義務であり製造目的を果たすということ。

 死ねと言われれば死ぬ、捧げろと言われれば全て捧げよう」

 

「……わたくしがそういうことを命じると思うのですか?」

 

「思ってない。だから、温情に感謝してるさ」

 

「もう。……お姉様はどうしてわざわざこんな方を連れて行ったのかしら……」

 

「そうだ、覚えてるか? 昔―――」

 

 俺と彼女は違う。

 彼女は天然の人間の自然な性交によって生み出され、理想的な成長過程を用意され、いずれ彼女の家系が担う学術的な役割を受け継ぐ、未来の賢人。

 俺はそういう人間をサポートし、彼女が『子供』である内は導き、正しく人間である者達へと奉仕するために生み出されたもの。

 

 表面上は親しくしているが、それはそうするのが良いと設定されてるから。

 これは"いい大人"のパターンの一つ。

 "子供にとって気安く話せる友達のような大人"という、人類文化において『理想的な大人』とされる無数のパターンの一つを、俺がなぞっているにすぎない。

 

 そういう風に設定されている。

 俺はそういう風に作られている。

 幼少期の彼女をそういう立場から導くため、彼女の祖父に、専用の調整を施されている。

 

 設定された通りに。

 優しく微笑んで。

 気安く接し。

 冗談を語って。

 懐かしい思い出を話題に出して。

 ちょっと雑に彼女を扱い、親しみを演出して。

 頭を撫でて。

 堂々と振る舞い。

 余裕を持った語り口を維持し。

 かつ、本質的な上下関係を誤解させないように。

 俺が彼女の主人でないことを知らしめ、間違いを認知させないように。

 

 

 プログラムをなぞるよき大人。

 子供を導くよき大人。

 エミュレートの善意。

 プログラムの善人。

 彼女に俺が与える善に、混じりものがあってはならない。

 

 俺の応対に不純物はない。

 教育に不純物は必要ない。

 正しい優しさを。

 正しい慈愛を。

 正しい信頼を。

 余計なものを混ぜ込まず、彼女に捧げよう。

 

「貴方は相変わらずですわね。いつも頼れる、信じられる……そんな人のままでしたわ」

 

「アンドロメダ生息型、危険度Sランク触手怪獣のモノマネをまた見せる時が来たか……!」

 

「ちょ、ちょっと! あれは反則ですわよ! やめてくださいまし!」

 

 そして。

 いつまでも仲良くしよう。

 いつまでも仲良くしなければならない。

 義務と善意は同義でなければならない。

 

「平行世界のもうひとりの自分を見た気分はどうだい?」

 

「最初は"ここまで同じになるのか"と驚きましたわ。

 しばらくして"こんなに違うのか"とも驚きましたわね。

 でもやはり、面白かったですわ。

 話せば話すだけ、面白いことが見つかりますの。

 他の世界であれば、自分はこうなっていたのかもしれない……と」

 

「……そうか」

 

「彼女はわたくしがならなかった、なれなかった、もうひとりのわたくし。

 わたくしは研究者にしかなれないでしょう?

 遺伝的にもそうですわ。

 遺伝子の適性と限界をこの歳になってから変えるのは困難です。

 でもマックイーンさんは、アスリートであると言います。

 走って競う者であると言います。

 わたくしがなれない者になっている彼女を見ると……胸が踊りますわ」

 

 ……。

 そうか。

 そういう見方もできるのか。

 

 

 人間は社会の保有財産としての自覚を常に持っておかなければならない。

 古来より人間の自殺は「他人に迷惑をかけなければいいよ」と言われてきた。

 

 仕事の大事なプロジェクトの途中で自殺したやつは陰で罵倒され。

 電車に飛び込んで自殺した人間は当然のように悪し様に言われる。

 人は自殺をする時も、社会の益を損なったり、社会に害を与えると、公然の密談で悪く言われるのが当たり前だった。

 もっとも、公の場で言えるようなことじゃないからネットで愚痴る、みたいな形式が多かったらしいが。

 

 人の命は社会の一部。

 社会を損なってはならない。

 社会に害を与えてはならない。

 社会に貢献する生命になるため、社会に恩恵を与えられている。

 

 遺伝子が研究者に向いている一族の女性なら、研究者になるべし。

 その才能を活かして、最大の社会貢献をするべき。

 マクドさんの姉も、そうしていたんだから。

 マクドさんだけ逃げていいわけもない。

 第一、遺伝子的に一番向いてる仕事を選ばないで、まっとうに幸せになれるわけもない。

 

 だから、『メジロマックイーン』が……彼女には、夢のような存在に見えたのか。

 

「わたくしが生きているのですから、目白(メジロ)のお祖父様も生きているのでしょうか」

 

「イーロイ博士?」

 

「はい。話が本当なら、機械の事故が起きた時、その場に居たはず。絶望的かもしれませんが」

 

「生きてたら根拠地に一旦帰ってるかもしれない。ギガス、こっちを観測してるだろ、繋げ」

 

 

 

 

 

 

.

      LINK START 

VITALCHECK OK 

CERTIFICATION OK 

PASSWORD OK 

 

SELF DESTRUCT  

CONNECT  

 

「ギガス。情報の確認だ。

 目白のお祖父様……イーロイ博士の根拠地はどこだった?」

 

『"目白のお祖父様"の名の由来を忘れられましたか?』

 

「? えっと、なんだっけ、聞いた覚えはあるけど思い出せないな……」

 

『宇宙開拓時代以前の、愛知県三河湾周辺特有のアナゴの愛称です。

 眼の白目の部分が目立つ魚だからそう呼ばれたと言われています。

 イーロイ博士の本拠地は巳の神殿でした。

 ウマ娘の皆様の世界で言えば、中京レース場の辺りです。

 あの辺りは愛知県三河湾に隣接しています。

 "目白のお祖父様"はそこに由来したあだ名だったはず。

 アナゴが好きだったイーロイ博士の口癖は「今日の昼飯は目白にするか」でしたね』

 

「……ああ、なんか、そんなことあったような気がするな……」

 

『聞いてもパッと戻らない記憶があるのは厄介ですね』

 

「ぼんやり"そんなことあったなあ"って思ったりはすんだけどね」

 

 

 ん?

 

 

 どうしたギガス。

 

 神殿のマシンアームを動かして……?

 

 

『これがアナゴですが、何か思い出しませんか?』

 

 

 ……。

 ……。

 ……。

 

 機神に芽生えた上位知能にこういうこと思うのなんかあれだけども。

 お前、面倒見良い感じの性格に育ってきてるよな。

 他人のために設定された以上の労力を尽くすようになってきたっていうか。

 いや、いいことだと思うよ。

 うん。

 

「悪いな、なんか思い出しそうだけどぼんやりしてる」

 

『そうですか。力及ばず申し訳ありません』

 

「いや、ありがとう。

 そういえば、中京レース場か……

 世界を越えて競走馬の魂を受け継いだのがウマ娘だったよな。

 中京レース場の何かの勝負で勝った競走馬ってどんくらい居たっけか」

 

『高松宮記念が代表的な競争として記録されています。

 オグリキャップ。

 メジロアルダン。

 ダイタクヘリオス。

 マチカネタンホイザ。

 キングヘイロー。

 カレンチャン。

 あたりはここで勝っていますが、貴方も肖像画を見たことがあったはずです』

 

「覚えてねえ……」

 

『そうでしたか。馬の方のナイスネイチャも勝っているのに』

 

「いやそっち先に言ってくれよ!」

 

 なんだそのフェイント。

 

「……あの、そろそろ、皆さんが待ってくださってると思いますので……」

 

「あ」

 

 ……。

 ……。

 ……。

 考察に夢中になると色々忘れて考え込んじまう癖、どうすりゃ治るんだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さっむっ!

 港。

 海。

 波。

 冬の海風。

 荒々しい自然の中で、強い生命が育まれている肌触りがある。

 

 皆大分寒そうだな。

 そりゃまあそうだ。

 今日は昨日より寒く感じるしなあ。

 姫、大丈夫か?

 

 

 大丈夫じゃなさそう。

 ほれ。

 俺の上着着とけ。

 大丈夫大丈夫。

 俺生体素子あるから。

 寒くないし寒さでどうにかなることないから。

 

 まーこれは俺の肉体にかけられた製造費を考えれば当然ってもんですよ。

 

 

「おふっ」

 

 なぜ小突く。

 なぜこっちを見ない。

 どうしたんだネイチャ様。

 俺なんかした?

 

 ……。

 そだね。

 ネイチャ様は俺がネイチャ様に上着化して凍死しかけてたの知ってたんだっけ。

 こりゃまいった、はっはっは。

 大嘘ぶっこくもんじゃないな。

 ネイチャ様、無理するなとか甘やかすなとか言われてもな。

 寒そうにしてる子が居たらこう……どうしても……なぁ?

 小突かないで小突かないで。

 

 え?

 どしたライス姫。

 ……。

 そっか。

 頑張るか。

 よし、頑張れ。

 応援してる。

 

 ギガス、やってくれ。

 

 

 おーおー。

 出た出た。

 海中の食べ頃な生育年齢の魚がマーキングされてわんさかと。

 これがサーチの便利なとこだな。

 見つけた魚全部を、肉眼で見やすいよう、光子でマーキングできる。

 竜の機神が俺を捕まえた時に使ってた光の捕縛攻撃と同系統の、かつ別の技術ツリー。

 光のマーキングだ。

 

 

 あとは。

 

 ギガスの本体重量、マイナスの質量を付加すれば。

 

 

 ぽーんぽーん。

 うむ。

 狙った魚だけ集めたいならこれが一番だな。

 ギガスに大網を引かせてもいいが。

 こういうやり方でも、がっつり今日のごはんは集まる。

 

 

 うわぁいっぱい。

 どちゃどちゃ落ちてくる。

 どっばどっば入れ物に入っていく。

 さて、俺らは蓋を閉めて、保存機械のコンベアに乗せるだけだ。

 率先。

 率先しよう。

 男の俺が一番働いてないと論理的にアウトだ。

 

 こういう時、結構キャラが出るな。

 真面目に動いて、きっちり決められた動作を繰り返し、一番成果出すのがカフェちゃんとマックさん。

 この性質をラベリングするなら『一途』や『律儀』かな。

 

 

 周りを見ながら、上手くやってるやつのサポートや、うっかり失敗したやつのフォローに動いてチームそのものに最大パフォーマンスを発揮させるのがネイチャ様。

 この性質をラベリングするなら『社交』か『柔和』か。

 

 

 ドジったり、うっかりしたり、世間知らず過ぎて予想外の失敗したりするが、本人は賢明にやってるのがライス姫とマクドさん。

 『注意不足』や『失敗』があるが、それが彼女らの全てでもない。

 

 

 上手いこと手を抜いたりサボったりするのがタキオン先生。……こんにゃろうめ。

 『好きなことしかしたくない』のかおのれは。

 

 

 とりあえず新鮮な食料が確保できた。

 アナゴだアナゴ。

 白目が大きいから目白(メジロ)

 ん。

 データベースに別のが引っかかってる。

 ああ。

 愛知ではメジロだけど、ここは千葉だからハカリメって呼ぶのか、アナゴ。

 

『中京レース場の愛知も、中山レース場の千葉も、どちらもアナゴの名産地です』

 

「そうなのか」

 

「目白のお祖父様によく食べさせていただきましたわ、懐かしい」

 

 ん?

 どしたライス姫。

 ほうほう。

 テレビでやってた豆知識?

 

 へー。

 アナゴの旬は夏。

 通は冬アナゴを好むのか。

 

 普通の魚は餌をたっぷり食べて脂が乗った季節が旬。

 でもアナゴは淡白な味わいが売りだから脂が乗ってる冬より、さっぱりしてた夏の方が旬だってことにされてたと。

 でも現代人の味覚の変化もあって冬のアナゴの方が美味しいと言う人が増えたと。

 ふむふむ。

 ほう?

 アナゴに似てるウナギも冬が旬だけど夏に一番食べられてる?

 へぇー。

 一番美味しい時期に食べない縛りでもしてんのかな。

 

 なるほどなるほど。

 目白くんも美味しい時期がぶれぶれなんだなあ。

 

 流石食いしん坊のライスシャワー。

 美味しいものの豆知識でも一級だ。

 

 

 ごめん。

 ごめんて。

 許して。

 ははっ。

 

 ん? どしたマクドさん。

 

「いえ……なんでもありませんわ」

 

 そっか。

 

 なんでもないならいいけど。

 

 

 ネイチャ様どうする?

 何にする?

 蒲焼き?

 穴子の蒲焼き。

 ほほう。

 いいね。

 今データベースにあたったけどおいしそう。

 

 

 ん。

 なんか、懐かしい香りだ。

 記憶は五感に結びついてるもの。

 時間が経つにつれ記憶は消えるものだが、記憶は耳から消えていって、鼻の記憶は結構残る……んだっけ。

 この匂いも、俺の何かの記憶に結びついてるんだろうか。

 

 ああ。

 でも

 そういえば。

 

 

 あの姉妹は、結構仲が良かったっけ。

 

 一緒にアナゴ食ってるのも時々見た覚えがある。

 

 あの姉妹?

 

 ……。

 

 なんだったっけ。

 

 

 

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