そして、アルタイルのヒロイン競争が激化してくるか!?
それではよろしくお願いします。
あの後、割と直ぐに目を覚まし俺は、陛下とおっさん…ゼーロス・ドラグハートと対面していた。
「ます、先の発言の数々、謝罪申し上げます。大変申し訳ありませんでした。いかなる処分も受ける所存です」
「顔をあげてください、アルタイル。貴方の言葉に間違いは何一つありません。むしろ、こちらからお礼を言いたいのです」
そう言って陛下は俺に頭を下げてきた。
「私の間違えをハッキリ糾弾してくださいありがとうございます。そして娘を、エルミアナを守ってくださり、本当にありがとうございます!」
ちょ!?マジかよ!?
流石に滅茶苦茶焦るなこれ!
「陛下!?何をなさってるのです!?頭をおあげ下さい!」
「そうですよ!俺みたいなクソ生意気なやつにそんな事したらダメですって!」
俺とゼーロスさんは慌てて頭を上げさせる。
心臓に悪いな全く。
「陛下…もう少しお立場というものを…」
「ゼーロス。今はいいではないですか。ここにいるのは大人と子供ですよ」
こういうの茶目っ気はルミアに似てるな。
やっぱり親子なんだあの二人。
「はぁ…全く。時にアルタイル。君に聞きたいことが1つと、言いたい事が1つある」
今度はゼーロスさんからか。何なんだろう?
「何でしょうか、総隊長殿?」
「殺しあった仲なのだ。敬語は入らん。あの方は、エンダース殿はお元気か?」
「バリバリに元気だよ。今度ウチくる?」
そう言って俺はうちの場所教えた。
入り組んでる為、分かりにくいが何とかしてもらう。
「感謝する。次に言いたい事だが…君はもっと強くなれ。ただ敵に突っ込むだけが、戦いではない。今のままではいつか死ぬ。もっと冷静に周りを見て、敵を知り、己を知りなさい。君が死んで悲しむ人がいる事を忘れるな」
「…肝に銘じます。ご忠告痛み入ります」
戦闘の先駆者である彼の言葉だ。
重くないはずがない。
その言葉を俺はしっかりと受け止める。
「アルタイル、私からと1つよろしいですか?」
今度は陛下から?
俺そんなにやらかしてる?
何故にそんなに笑顔なの?
「は、はい。なんでしょうか?」
「貴方は…あの子の、
「…え?」
惚れた?誰が?誰に?
俺が?ルミアに?惚れてる?
「一体どこなのでしょう?やっぱりルックスかしら。あの子私似の美人だから〜!それともスタイル?あの子あの年にしてはスタイルをいいから!ああ、性格?あの子優しいし気が利くものね〜!でもちょっと不器用だけどそこがまたギャップで…」
「陛下、そこまでに。アルタイルが混乱しておりますので」
「あ、あらあら…」
マシンガントークが終わり、やっと正気を取り戻した俺。
「お、俺がルミアに惚れてる…いやいや…落ち着けアルタイル。落ち着け…」
訂正、まだ混乱している。
「貴方…まさか…。アルタイル」
陛下に呼ばれ、反射的に陛下を見ると、陛下は俺の頬を優しく触れる。
「ごめんなさいね。少し気が早ってしまったわ。貴方は貴方のペースでいいのよ。でも出来るだけ早く自分の心に気づいてあげて。そして、ルミアの事をよろしく頼むわね」
その目はさっきでの女王陛下ではなく。
ただの母親のような顔をしていた。
「…分かりました」
「ええ、頼みました。さて最後にもう一度ルミアに会いたいのですが…アルタイル、お願い出来ませんか?」
「かしこまりました。それでは」
そう言って俺は2人の元を去る。
歩きながら、先程の発言を考える。
俺がルミアに惚れてる?
俺はただ、自分の日常を守りたいだけ。
だから…あ、居た。
声をかけようとして、グレン先生の姿も一緒に見えた時、ヅキッ…モヤ…
「ヅキッ…モヤ…?」
何だか変な感じがした。
その変な感じを引きづりながら、ルミアを呼ぶ。
「ルミア!!」
「あ、アイル君?どうしたの?」
「…陛下が会いたいって。この廊下を真っ直ぐ突き当たり部屋」
「…?ありがとう!行ってくるね」
「どうしたんだよアイル?」
「…何でもない。アルベルトさん、リィエル。お疲れ様です」
「ああ、お前もご苦労だった。あのゼーロスと殺りあって生きているとは驚きだ。しかもあのエンダース=トワイスの愛弟子とはな」
「そんなに凄いんですか?爺さん。さっきもゼーロスさんが聞いてきたけど…」
うちでは寡黙な、俺に厳しく、ベカに甘い孫バカの頑固爺さんのイメージしかない。
「封神戦争随一の英雄だ。彼のお陰で戦争に決着がついたと言われているほどだ」
マジかあの爺さん。
そんな人に教わってたのか俺は。
なのに…まだ弱い。
もっと…もっと強くならないと。
「さて、我々も行く。帰るぞリィエル」
「ん。グレン、次こそ決着」
「つけねぇよ!」
最後までマイペースだなあいつ。
「はぁ…アルタイル。何故あそこまでした?」
突然真面目に話を切り出すグレン先生。
「何の話ですか?」
「何故、ルミアにそこまで関わる。いや、前回もだ。殺されるかもしれなかったんだぞ。どうしてそこまでする?」
…なんでルミアに関わるのか…か。
これもきっと陛下の問いかけの1つの答えになるのだろうか。
「俺…怖いんです。失うのが…無くなるのが…。大切なものが壊れていく様を見続けるのは…もう嫌なんだ。失う恐怖と死ぬ恐怖…どっちが大きいかっていてば、失う恐怖です」
「お前…そういう事か」
「そういう事…のはずだったんですが…」
「え?」
「本当にそれだけかなって…。大切だからだけじゃなくて、ルミアだからなのかって思ったりして…よく分かんなくなってきました…」
「お前…まさかまだ?」
「まだって何が?」
「お前の気持ちだよ!お前は!…いや、自分で気づくべきだな」
突然言葉を止めるグレン先生。
そんな事を話してると、ルミアが帰ってくる。
「戻りましたー!どうしたんですか?2人とも」
「「いや、何でもない」」
俺達は慌てて誤魔化す。
「?それより!速くみんなの所に行こ!アイル君!」
今はまだ分からない。
いつか分かる時は来るのか?
まあ、なるようになるか。
だから俺は今を楽しもう。
「分かったから!手を離せって!引っ張るな!」
そんな2人の後ろ姿を見ながら
「やれやれ…青春だな〜」
何て呟きながらグレンはゆっくり2人を追いかけた。
「そういや、みんなどこでやってんの?」
「えっとね…あそこだよ!」
そこはフィジテで有名なレストランだった。
主にお高いって意味で。
「おいおい、ここって高級レストランだろ?先生大丈夫っすか?」
「ま、報奨金と給料3ヶ月分も入った事だし労ってやるとするか」
そう話しながら扉を開けると
「「「「先生!待ってましたー!!!」」」」
「あ〜!遅かったじゃないの〜!えへへ〜」
全員出来上がってる…。
あとシスティーナ、お前、記憶が残らない方に賭けろよ。
「ど、どうしたの!?システィ!?」
「完璧に酔ってんな…」
「デザートのブランデーケーキを食べすぎちゃったみたいですの〜」
「それだけで!?ていうか、それはナーブレスを始めとする全員だろ!」
「ん〜!アイル君!め!」
今度は俺が絡まれた。
てか怒られてるの?
「て、ティティス?」
「リン!」
「り、リン?どうしたんだよ?」
「その苗字呼び!みんな仲良くなりたいのにアイル君だけ苗字呼びなんだもん!なのにルミアとシスティだけずるいよ!」
「お、おう…?」
「だから!今から!皆のことも!名前で呼ぶの!分かった!?アイル君!」
「分かった!分かったから離れろリン!」
「んふふ〜!よろしい!」
そう言って離れるリン。
はぁ…リンってああなるんだな。
「アルタイル〜!いつもルミアちゃんと一緒だなー!しかも次はリンかよ〜!」
「ウィ…カッシュ、お前も絡み酒か?あとウザイ」
そうやって酔っぱらいの相手をしていると、支配人が領収書を持ってきた。
その額を見て俺は…絶句した。
幾らかって?…知らなくていい事もあるよ。
「報奨金と給料3ヶ月分が一晩でお星様に〜!…!!てめぇらそこになおりやがれ!全員【イクスティンクション・レイ】だ!!!」
「「「「「わぁ〜!!」」」」」
「ダメだこりゃ…」
「あ、アハハ…」
俺とルミアは乾いた笑いしか出せなくなってしまった。
「はぁ…マスター。フライドポテトとサンドイッチと…オレンジジュース。ルミアは?奢るぜ?」
俺は自腹で何か頼むことにした。
「そんな!いいよ!」
「仲直り記念だよ。気にすんな」
「じゃあ…紅茶を」
そう頼んで2人でカウンターに座る。
「アイル君って前から思ってたんだけど、リンには弱いよね?」
「え?そうか?全然意識してなかったけど…あいつはあれだろ?小動物的な?」
そう言われると確かにリンの扱いには、気をつけてた気がする。
まあ、小動物的な感じの扱いをしてた気がする。
あと…何となく妹に似ている気がする。
「ふ〜ん…ならいいけど?」
「【変身】の時もそうだけど、何を拗ねてるのかな?」
「何でもないよ!」
「勘弁してくれよ…。そうだルミア。本人には謝ったけど、お前の母親にあんな事言ったりしてごめん」
俺は結界内での事を謝った。
どれだけ言っても自分の親だ。
あそこまで言われていい気分では無いはずだ。
「…私も気になってたの。アイル君何があったの?」
…ルミアになら話してもいいかな。
「昔から、俺達の一族には【言祝ぎの巫女】と【継人】という役職?みたいなのがあったらしいんだ。それが何を意味するのかは知らないけどな。そして今代は俺達兄妹がその立場なんだ。ベガの足が動かないのもこの巫女としての力のせいだ。何でも歴代最高らしいぞ…。まあそれはいいんだが、ある時何者かがうちを襲撃してきた。そいつに一族郎党、全て皆殺しにされたんだよ。しかも一族は、俺達兄妹を守る為に犠牲になったんだ」
あの時の光景は今でも覚えてる。
何もかもが真っ赤になりながら、それでも俺はまだ幼い妹を抱えて、秘密の抜け道から逃げ続けたんだ。
そして、母親が残したあの言葉。
『自分の未来は自分で決めなさい。決して委ねては行けないわ。それをよく覚えておいて』
「その後、爺さんに助けられて今がある。って感じかな」
「それで…お母さんに…」
「そういう事。ま、要するに頭に血が登ったってだけだよ」
そう、どんなけ言葉を並べても結果は、カッとなった。
それだけだ。
「戦う理由も…強くなろうとする理由もそれ?」
「そういう事。さ、しみったれた話はここまで!」
話していると、丁度出来たらしく美味そうな料理が出てきた。
「よし!それじゃあ!」
「2組の優勝を祝して!」
「そして親子関係の修復を祝って!」
「「乾杯!!」」
チンッと小気味いい音が鳴る。
俺達の夜はこうして更けていった。
この時間が長く続くように…祈りながら。
ありがとうございました。
襲ってきた相手は誰だったのでしょうか?
一応考えてはあります。
ちゃんと伏線は回収しないとね。
かなり後にはなりますが、長い目で見てください。
それでは失礼します。