ロクでなし魔術講師と糸使いの少年   作:ネコ耳パーカー

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エステレラ兄妹の過去がハッキリします。
そして、アルタイルのヒロイン競争が激化してくるか!?
それではよろしくお願いします。


魔術競技祭編5話

あの後、割と直ぐに目を覚まし俺は、陛下とおっさん…ゼーロス・ドラグハートと対面していた。

 

「ます、先の発言の数々、謝罪申し上げます。大変申し訳ありませんでした。いかなる処分も受ける所存です」

 

「顔をあげてください、アルタイル。貴方の言葉に間違いは何一つありません。むしろ、こちらからお礼を言いたいのです」

 

そう言って陛下は俺に頭を下げてきた。

 

「私の間違えをハッキリ糾弾してくださいありがとうございます。そして娘を、エルミアナを守ってくださり、本当にありがとうございます!」

 

ちょ!?マジかよ!?

流石に滅茶苦茶焦るなこれ!

 

「陛下!?何をなさってるのです!?頭をおあげ下さい!」

 

「そうですよ!俺みたいなクソ生意気なやつにそんな事したらダメですって!」

 

俺とゼーロスさんは慌てて頭を上げさせる。

心臓に悪いな全く。

 

「陛下…もう少しお立場というものを…」

 

「ゼーロス。今はいいではないですか。ここにいるのは大人と子供ですよ」

 

こういうの茶目っ気はルミアに似てるな。

やっぱり親子なんだあの二人。

 

「はぁ…全く。時にアルタイル。君に聞きたいことが1つと、言いたい事が1つある」

 

今度はゼーロスさんからか。何なんだろう?

 

「何でしょうか、総隊長殿?」

 

「殺しあった仲なのだ。敬語は入らん。あの方は、エンダース殿はお元気か?」

 

「バリバリに元気だよ。今度ウチくる?」

 

そう言って俺はうちの場所教えた。

入り組んでる為、分かりにくいが何とかしてもらう。

 

「感謝する。次に言いたい事だが…君はもっと強くなれ。ただ敵に突っ込むだけが、戦いではない。今のままではいつか死ぬ。もっと冷静に周りを見て、敵を知り、己を知りなさい。君が死んで悲しむ人がいる事を忘れるな」

 

「…肝に銘じます。ご忠告痛み入ります」

 

戦闘の先駆者である彼の言葉だ。

重くないはずがない。

その言葉を俺はしっかりと受け止める。

 

「アルタイル、私からと1つよろしいですか?」

 

今度は陛下から?

俺そんなにやらかしてる?

何故にそんなに笑顔なの?

 

「は、はい。なんでしょうか?」

 

「貴方は…あの子の、()()()()()()()()()()()()()()()()!?」

 

「…え?」

 

惚れた?誰が?誰に?

俺が?ルミアに?惚れてる?

 

「一体どこなのでしょう?やっぱりルックスかしら。あの子私似の美人だから〜!それともスタイル?あの子あの年にしてはスタイルをいいから!ああ、性格?あの子優しいし気が利くものね〜!でもちょっと不器用だけどそこがまたギャップで…」

 

「陛下、そこまでに。アルタイルが混乱しておりますので」

 

「あ、あらあら…」

 

マシンガントークが終わり、やっと正気を取り戻した俺。

 

「お、俺がルミアに惚れてる…いやいや…落ち着けアルタイル。落ち着け…」

 

訂正、まだ混乱している。

 

「貴方…まさか…。アルタイル」

 

陛下に呼ばれ、反射的に陛下を見ると、陛下は俺の頬を優しく触れる。

 

「ごめんなさいね。少し気が早ってしまったわ。貴方は貴方のペースでいいのよ。でも出来るだけ早く自分の心に気づいてあげて。そして、ルミアの事をよろしく頼むわね」

 

その目はさっきでの女王陛下ではなく。

ただの母親のような顔をしていた。

 

「…分かりました」

 

「ええ、頼みました。さて最後にもう一度ルミアに会いたいのですが…アルタイル、お願い出来ませんか?」

 

「かしこまりました。それでは」

 

そう言って俺は2人の元を去る。

歩きながら、先程の発言を考える。

俺がルミアに惚れてる?

俺はただ、自分の日常を守りたいだけ。

だから…あ、居た。

声をかけようとして、グレン先生の姿も一緒に見えた時、ヅキッ…モヤ…

 

「ヅキッ…モヤ…?」

 

何だか変な感じがした。

その変な感じを引きづりながら、ルミアを呼ぶ。

 

「ルミア!!」

 

「あ、アイル君?どうしたの?」

 

「…陛下が会いたいって。この廊下を真っ直ぐ突き当たり部屋」

 

「…?ありがとう!行ってくるね」

 

「どうしたんだよアイル?」

 

「…何でもない。アルベルトさん、リィエル。お疲れ様です」

 

「ああ、お前もご苦労だった。あのゼーロスと殺りあって生きているとは驚きだ。しかもあのエンダース=トワイスの愛弟子とはな」

 

「そんなに凄いんですか?爺さん。さっきもゼーロスさんが聞いてきたけど…」

 

うちでは寡黙な、俺に厳しく、ベカに甘い孫バカの頑固爺さんのイメージしかない。

 

「封神戦争随一の英雄だ。彼のお陰で戦争に決着がついたと言われているほどだ」

 

マジかあの爺さん。

そんな人に教わってたのか俺は。

なのに…まだ弱い。

もっと…もっと強くならないと。

 

「さて、我々も行く。帰るぞリィエル」

 

「ん。グレン、次こそ決着」

 

「つけねぇよ!」

 

最後までマイペースだなあいつ。

 

「はぁ…アルタイル。何故あそこまでした?」

 

突然真面目に話を切り出すグレン先生。

 

「何の話ですか?」

 

「何故、ルミアにそこまで関わる。いや、前回もだ。殺されるかもしれなかったんだぞ。どうしてそこまでする?」

 

…なんでルミアに関わるのか…か。

これもきっと陛下の問いかけの1つの答えになるのだろうか。

 

「俺…怖いんです。失うのが…無くなるのが…。大切なものが壊れていく様を見続けるのは…もう嫌なんだ。失う恐怖と死ぬ恐怖…どっちが大きいかっていてば、失う恐怖です」

 

「お前…そういう事か」

 

「そういう事…のはずだったんですが…」

 

「え?」

 

「本当にそれだけかなって…。大切だからだけじゃなくて、ルミアだからなのかって思ったりして…よく分かんなくなってきました…」

 

「お前…まさかまだ?」

 

「まだって何が?」

 

「お前の気持ちだよ!お前は!…いや、自分で気づくべきだな」

 

突然言葉を止めるグレン先生。

そんな事を話してると、ルミアが帰ってくる。

 

「戻りましたー!どうしたんですか?2人とも」

 

「「いや、何でもない」」

 

俺達は慌てて誤魔化す。

 

「?それより!速くみんなの所に行こ!アイル君!」

 

今はまだ分からない。

いつか分かる時は来るのか?

まあ、なるようになるか。

だから俺は今を楽しもう。

 

「分かったから!手を離せって!引っ張るな!」

 

そんな2人の後ろ姿を見ながら

 

「やれやれ…青春だな〜」

 

何て呟きながらグレンはゆっくり2人を追いかけた。

 

 

「そういや、みんなどこでやってんの?」

 

「えっとね…あそこだよ!」

 

そこはフィジテで有名なレストランだった。

主にお高いって意味で。

 

「おいおい、ここって高級レストランだろ?先生大丈夫っすか?」

 

「ま、報奨金と給料3ヶ月分も入った事だし労ってやるとするか」

 

そう話しながら扉を開けると

 

「「「「先生!待ってましたー!!!」」」」

 

「あ〜!遅かったじゃないの〜!えへへ〜」

 

全員出来上がってる…。

あとシスティーナ、お前、記憶が残らない方に賭けろよ。

 

「ど、どうしたの!?システィ!?」

 

「完璧に酔ってんな…」

 

「デザートのブランデーケーキを食べすぎちゃったみたいですの〜」

 

「それだけで!?ていうか、それはナーブレスを始めとする全員だろ!」

 

「ん〜!アイル君!め!」

 

今度は俺が絡まれた。

てか怒られてるの?

 

「て、ティティス?」

 

「リン!」

 

「り、リン?どうしたんだよ?」

 

「その苗字呼び!みんな仲良くなりたいのにアイル君だけ苗字呼びなんだもん!なのにルミアとシスティだけずるいよ!」

 

「お、おう…?」

 

「だから!今から!皆のことも!名前で呼ぶの!分かった!?アイル君!」

 

「分かった!分かったから離れろリン!」

 

「んふふ〜!よろしい!」

 

そう言って離れるリン。

はぁ…リンってああなるんだな。

 

「アルタイル〜!いつもルミアちゃんと一緒だなー!しかも次はリンかよ〜!」

 

「ウィ…カッシュ、お前も絡み酒か?あとウザイ」

 

そうやって酔っぱらいの相手をしていると、支配人が領収書を持ってきた。

その額を見て俺は…絶句した。

幾らかって?…知らなくていい事もあるよ。

 

「報奨金と給料3ヶ月分が一晩でお星様に〜!…!!てめぇらそこになおりやがれ!全員【イクスティンクション・レイ】だ!!!」

 

「「「「「わぁ〜!!」」」」」

 

「ダメだこりゃ…」

 

「あ、アハハ…」

 

俺とルミアは乾いた笑いしか出せなくなってしまった。

 

「はぁ…マスター。フライドポテトとサンドイッチと…オレンジジュース。ルミアは?奢るぜ?」

 

俺は自腹で何か頼むことにした。

 

「そんな!いいよ!」

 

「仲直り記念だよ。気にすんな」

 

「じゃあ…紅茶を」

 

そう頼んで2人でカウンターに座る。

 

「アイル君って前から思ってたんだけど、リンには弱いよね?」

 

「え?そうか?全然意識してなかったけど…あいつはあれだろ?小動物的な?」

 

そう言われると確かにリンの扱いには、気をつけてた気がする。

まあ、小動物的な感じの扱いをしてた気がする。

あと…何となく妹に似ている気がする。

 

「ふ〜ん…ならいいけど?」

 

「【変身】の時もそうだけど、何を拗ねてるのかな?」

 

「何でもないよ!」

 

「勘弁してくれよ…。そうだルミア。本人には謝ったけど、お前の母親にあんな事言ったりしてごめん」

 

俺は結界内での事を謝った。

どれだけ言っても自分の親だ。

あそこまで言われていい気分では無いはずだ。

 

「…私も気になってたの。アイル君何があったの?」

 

…ルミアになら話してもいいかな。

 

「昔から、俺達の一族には【言祝ぎの巫女】と【継人】という役職?みたいなのがあったらしいんだ。それが何を意味するのかは知らないけどな。そして今代は俺達兄妹がその立場なんだ。ベガの足が動かないのもこの巫女としての力のせいだ。何でも歴代最高らしいぞ…。まあそれはいいんだが、ある時何者かがうちを襲撃してきた。そいつに一族郎党、全て皆殺しにされたんだよ。しかも一族は、俺達兄妹を守る為に犠牲になったんだ」

 

あの時の光景は今でも覚えてる。

何もかもが真っ赤になりながら、それでも俺はまだ幼い妹を抱えて、秘密の抜け道から逃げ続けたんだ。

そして、母親が残したあの言葉。

 

『自分の未来は自分で決めなさい。決して委ねては行けないわ。それをよく覚えておいて』

 

「その後、爺さんに助けられて今がある。って感じかな」

 

「それで…お母さんに…」

 

「そういう事。ま、要するに頭に血が登ったってだけだよ」

 

そう、どんなけ言葉を並べても結果は、カッとなった。

それだけだ。

 

「戦う理由も…強くなろうとする理由もそれ?」

 

「そういう事。さ、しみったれた話はここまで!」

 

話していると、丁度出来たらしく美味そうな料理が出てきた。

 

「よし!それじゃあ!」

 

「2組の優勝を祝して!」

 

「そして親子関係の修復を祝って!」

 

「「乾杯!!」」

 

チンッと小気味いい音が鳴る。

俺達の夜はこうして更けていった。

この時間が長く続くように…祈りながら。




ありがとうございました。
襲ってきた相手は誰だったのでしょうか?
一応考えてはあります。
ちゃんと伏線は回収しないとね。
かなり後にはなりますが、長い目で見てください。
それでは失礼します。
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