この話はなんというか、人のこと言えない話ですね。
僕もスマホのメモ帳とか、絶対に見せられないし…!
それではよろしくお願いします。
これは何でもない平和な日常。
彼らの思い出、
「ルミア〜、見つかった〜?」
「ううん、まだだよ。ごめんねシスティ。アイル君は?」
「まだ。本当にここなのか?システィーナ」
ここは、学院付属の図書館。
俺達がここで何をしているかというと
「うん…それは間違えないはず。ごめんね、2人共。こんな事に付き合わせちゃって…」
「気にしないでシスティ。システィの大切な手帳なんでしょ?だったら絶対、見つけなきゃ」
「夜からバイトだから。それまでに見つけるぞ」
システィーナがここで手帳を、無くしたのだ。
いた場所にも、落し物コーナーにも無かったので、誰かが間違って本棚に入れてしまったのではと予想。
その結果、この莫大な数ある本棚とにらめっこする羽目になったのだ。
「アイル君。上、大丈夫?変わろっか?」
「スカートのお前達が?」
「うぅ…///」
「いいから上は、俺に任せとけ」
俺が上、ルミア達が下を探している。
というのも当然だが、俺達は学院の制服だ。
女子生徒はスカートの為、上に行かれては、中が丸見えなのだ。
だから余計なトラブルは避けたいので、俺が上にいるのだ。
…本音を言えば、俺は下がよかった。
男の性として。
「…アイル?」
「早く探すぞ〜!」
システィーナからの冷たい圧力を感じた俺は、さっさと目的を再開する。
「もう…見つからないかな…」
何やら意気消沈しているシスティーナ。
こうもしおらしいと、調子が狂うな。
「あー!もう!いちいちしょげるな!ほら、さっさと見つけるぞ!」
「そうだよ、システィ。山羊革装丁のベルト付き手記帳で、背表紙に何も書いてない。結構特徴的な本だもの。絶対見つかるよ。それにほら、アイル君もやる気だし!」
「うるせぇ。バイトがあるから早めに片付けたいだけだし」
「ふふ、素直じゃないな〜!」
「う〜る〜さ〜い!」
ルミアが俺をからかうなんて、珍しい。
でもそんな俺達を見て、少し元気になったらしいシスティーナ。
「2人共…ありがとう…!」
「まあ、それはそうと。随分と必死だけど、何が書いてあるんだ?」
「たしかに私も気になってたの。システィ。何が書いてあるの?」
俺達の質問は、捜し物に巻き込まれた側からしたら、至極真っ当は質問だが。
当の本人は、急に慌てだした。
「え!?え〜と…!?実は、魔術研究の事を綴ってあるのよ!最近思いついた術式とかあるし…」
「え!?そうなの!?すごいねシスティ!」
「ほう…将来、黒歴史帳確定だな」
本当に魔術研究用の手帳か?
なんか怪しいな。
システィーナが俺に隠すならともかく、ルミアにまで、はぐらかすって珍しい事をする。
ルミアは素直に尊敬しているが、俺はどうも胡散臭いと見る。
「それはそうと…アイルの事もあるし、手早く探しましょう!私はあっちの行くわ!」
「じゃあ、私はこっち!」
「じゃあ俺はそっち」
「それじゃあ、30分後にここね!」
そう言って俺達は3手に別れて捜索を始めた。
「ん〜…無い」
もう、持って帰られたんじゃね?
それが1番可能性が高い気がする。
そう思いながら探していると、ちょうどルミアと遭遇する。
「あ、ルミア。そっちはあった?」
「アイル君。ううん、無かった。アイル君も?」
「ああ…。そろそろ時間だ。一度合流しよう」
そう言って先ほど分かれた場所に戻ろうとしたのだが、
「…あれ?」
「どうしたの?」
「…いや、何でもない」
そう言って歩き続けるが、そろそろおかしい。
「…変だな」
「うん…いくら何でも遠すぎるよね?」
そう、いくら歩いても着かないのだ。
「それだけじゃない。そこを見ろ」
俺が指さしたのは、書架に刻まれた書架番号。
「さっきからずっとG8だ。多分同じ場所を、ずっとループさせられてる」
「それって…ここから出られなくなったって事!?」
ルミアの言葉に俺は頷く。
「そうだな。早くここから抜け出さねぇと…」
「そうだよ!アイル君、バイト間に合わなくなっちゃうよ!」
「…」
シーン、って音が聞こえるくらい静まる。
だって…ねぇ…
「ルミア…?今気にするのそこ?」
「へ?…あぁ、もちろんシスティの本も大事だよ?」
「だから、そこじゃねぇよ!このままだとお家に帰れないの!一生ここでさ迷い続ける事になるの!お分かり!?」
「あ、あぁ!そういう事?」
「他にどういう事があるんだよ…?」
図太いっていうか、タフっていうか、マイペースっていうか…。
本当にルミアは、スゲェな。
1周まわって冷静になれたわ。
「とにかく出口を探すぞ」
そう言って歩き出した時
「ん?」
視界の端で何かが動いた。
「ねぇアイル君。今、本が動いたよ?」
「冷静に教えてくれてどうもありがとう。1冊2冊って訳じゃねぇみたいだな」
かなりの数の本が動いてるな。
そう思った瞬間、突然俺達に本が襲いかかってくる。
「チッ!逃げるぞ!」
「う、うん!」
俺達はすぐに走り出した。
出来るだけ曲がり角は曲がり続けて、何とか振り切った。
「ふぅ…ルミア。大丈夫か?」
「ハァ…ハァ…な、何とか…」
俺はここがどこが調べる為に、書架を確認すると
「I6?あれ?先には進めるのか?ループじゃなくて、一方方向の…?だったらなんで帰れない?」
そもそも、最近この図書館で、変な怪異は起きていたが、その全てが実害は無かった。
でもここに来て、俺達だけ初めて実害が出ている。
一体これは…?
「ねぇ、アイル君」
「うん?」
「あれ」
ルミアに呼ばれ振り向くと、ルミアが指さす先に、白いお化けがいる。
「…あらら、出ちゃったね」
「うん、出ちゃったね」
さてと…どうしよう?
俺、浄化の呪文は使えないんだよな…。
「よし、ルミア。逃げ…」
「あの、すみません」
「っておいいいい!?」
何普通に話しかけてるの!?
いくら何でもキチガイかよ!?
「出口はどこですか?」
「聞いて答えるかよ!?」
〖帰れ…帰れ…帰れぇぇぇぇぇぇ!!!〗
ですよね!?
俺は直ぐにルミアの手を引いて、逃げようとするが
「ごめんなさい。それは出来ません」
そう言って頭を下げるルミア。
「いや何やってんの!?逃げるぞ!?」
「私の友達の大切なものがある筈なんです。なのでここから帰る訳には行かないんです。だから、お願いします。ここで探させて下さい」
いや、そんな事言っても許すわけ…!
〖…だったら、条件があります〗
「条件…ですか?」
あれ?急に雰囲気が…?
〖僕が探している本があるのですが、それを一緒に探して下さい。そうすれば、貴女達のお探しの本を探すのを手伝います〗
何言ってるんだが…?
そんなの信じる奴なんて
「分かりました!見つけますね!」
「いたよ、ここに!」
ルミアさん?タフすぎるのも大概にしてくれ。
俺はもう、喉が痛いよ…。
「アイル君!手伝って!」
「はぁ…。仕方ねぇ。俺の傍から離れるなよ?」
「う、うん!」
どうしてこうなった…?
俺とルミアは、お化けの本の特徴を聞いて探していたのだが、何やら俺ら以外の人がいるらしく、そっちの対応に行った。
「お前な…もしあの幽霊が、襲ってきたりしたら、どうするつもりだったんだ?」
「え?もちろん
「…そうか」
今、何か物騒なルビが振られなかったか?
気の所為だよな…?そうだよな!?
「あ、あった!これじゃないかな?」
「うん?…あぁ、特徴と一致するな、それ」
「早く渡しに行こう!」
俺達はお化けを探しに行くと、丁度すぐそばにいた。
しかも
「あれ?先生にシスティ?何してるんですか?」
「いや、それ多分あっちのセリフ…」
先生とシスティーナがいた。
多分行方不明になった俺達を、探しに来てくれたんだろう。
「ルミア!?アイル!?無事だったのね!?」
「お前ら、何してたんだ?」
「ええっと…」
俺は事情を説明した。
このお化けは有名な作家であり、ここに何故か寄贈されてしまった、少年期に書いた小説に憑いてる幽霊だ。
ところが、この間大量に本が入荷され、自身の本がどこかに紛れたしまったのだ。
それを見られたくない故に、色んな霊障を引き起こしたのだ。
「何故、ルミアとアルタイルを巻き込んだ?」
〖2人共、まったく驚かなかったので、もういっその事、巻き込んでしまおうと思いまして…〗
「「…」」
「…いや、俺はただ冷静に対応しただけだぞ?鋼メンタルはルミアだけだ」
「鋼メンタル!?」
驚くルミアを無視して、今後の事を話し合う。
そんな時、突然先生が何かを取り出して、お化けに見せた。
そしたら、何故か酷く安心した顔して、成仏してしまった。
「…何事?」
「作家の未練ですら成仏させる程の出来の悪さって事だ…」
その手に持つのは、手帳サイズの冊子だ。
…手帳サイズ?
「先生、それは?」
「ああ、昼間本を借りに来た時にたまたま見つけたんだが…これ本当に酷くてな!」
先生の口から語られる内容を纏めると、普段ロクでなしのダメ教師が、主人公の女の子やその友達の為に戦う、というもの。
内容は設定などほとんどが、テンプレ。
特に恋愛描写など酷いもの。
つまり
「年頃の女の子の願望全開ですね」
ルミアが一言でまとめた。
「ほう、ルミアもあるのか?そういうの」
「まあ、私も女の子ですから。私はどちらかと言うと…大人の男性よりも、同い年くらいの男の子の方がいいですけど…///」
突然ルミアから、熱い視線を感じる。
「ん?どうした?」
「な、何でもないよ!?///」
どうしたんだろうか?ルミアのやつ。
まあそれよりも…
「おいルミア、あの本見ろ」
「え?…あれ?山羊革装丁にベルト付き…?」
「背表紙に何も書いてないな…」
猛烈に嫌な予感がする。
だってほら、さっきから背中から、ものすごく冷たい空気を感じる。
俺達はさっきから冷や汗が止まならない。
「しっかしひでぇな…これ。背表紙に何も書いてない。著者名もなし。ん?インクが乾ききってないし、何より話が途中だな。…あれ?名前が書いてある。ええっと…シス…」
それ以上先生の言葉は続かなかった。
なぜなら、いつの間にか背後を取ったのか、後ろからシスティーナが分厚い本の角で、ぶん殴ったからだ。
「…」
「「天地神明、神に誓って、決して口外しません!!!」」
俺達は必死に命乞いをした。
ここで…殺される…!
「…それじゃあ、俺バイトだから!後よろしく!」
そうして俺は、逃げるようにバイト先へと走り出したのだった。
余談だが。
楽しげに小説を書く、幽霊が見られるようになるのは、また別の話である。
おまけ
「うぅ…ルミア達に知られるなんて…」
「ちゃんと秘密にするからね?ね?」
「本当に秘密にしてよ!?ちゃんとしてくれたら…今度ルミアとアイルを、モチーフにした小説書くから」
「…秘密にするね…///」
こういうのもありでしょうか?
それでは失礼します。
ありがとうございました。