少しささくれています。
それではよろしくお願いします。
次の日、俺は普通に登校していた。
でも昨日の事で頭がいっぱいで、夜も眠れず食欲と無い。
「よお、おはようさん、アルタイル」
噴水広場に差し掛かった時、声をかけられた。
そこにはグレン先生が頬杖しながら座っていた。
「おはようございます先生。昨日はありがとうございました」
「そんな事気にしなくていい、それより…大丈夫か?」
「大丈夫です。家族にもはぐらかしてくれて助かりました…。まあ、爺さんには気づかれましたけど」
昨日、気がついたらアルフォネア邸にいた俺は、アルフォネア教授が理由をでっち上げてくれたのだ。
「…すまなかった。俺がもっとしっかりしていれば…」
「先生、俺は大丈夫だから…ね?」
その言葉を受けて、先生は顔を顰める。
ああ、俺のせいだ。
俺が弱いから…!
「「先生!アイル(君)!おはようございます!」」
そこにルミアとシスティーナがやってきた。
俺達は2人を守る為に、いつもここで待っていた。
「…うん、おはよう2人とも」
「お〜す…」
俺達は2人に悟られないように芝居をうつ。
「2人とも、私の為にごめんなさい…」
ルミアが申し訳なさそうにする。
「気にするなよ、好きでやってんだし」
「たまたま同じ時間に、同じ通学路ってだけだし〜」
相変わらずこういうのは下手だなこの人。
2人もその事に気づきてるのか、苦笑いを浮かべながら俺達は登校しようとした。
その時、突然何かの陰が俺達を覆った。
「「っ!?」」
俺はルミアとシスティーナを纏めて抱え、距離をとる。
先生はというと
「どおぉわ!?」
大剣を真剣白刃取りしていた。
すげぇ…リアル真剣白刃取り、初めて見た…。
ていうかあれ?こいつって…
「会いたかった。グレン」
「り、り、リィエル!いきなり何しやがんだ!!殺す気か!?」
そうだ特務分室のリィエルだ。
何故に斬りかかった?
「…あいさつ?」
「「「え?」」」
思わず俺達は固まった。
いや無理も無いだろ。
いきなり斬り掛かる挨拶があるか?普通。
「これのどこが挨拶だ!?」
「でもアルベルトが久々に会う戦友にはこうしろって…」
「あいつの仕業か!?あの時のしおらしさはどこ行きやがった!?そんなに俺が嫌いかこんちくしょう!!」
それは無いだろ…とは言えない気がしなくもない。
「あれ?その子って…競技祭の時の!」
「リィエルだよね?それにその格好…」
そういえばうちの女子制服だな…。
まさか!?
「編入生ってお前か!?」
あちゃ〜…。
人選ミスだろこれ。
「どういう事ですか?」
「帝国政府が正式にルミアに護衛をつける事を決めてな。編入生を隠れ蓑に魔導師を送るって話だったんだが…」
「…大丈夫なんすか?」
「多分大丈夫じゃない」
だよね〜…。
いきなり不安だよ、これじゃあ。
「私なんかの為に心強いです。これからよろしくお願いしますね」
すごく丁寧に挨拶するルミア。
それに対しリィエルは無表情に
「うん、任せて。グレンは私が守る」
「「「…え?」」」
何言ってんのこいつ?
「俺じゃねぇ!守るのはルミアだ!この金髪の可愛い可愛いルミアちゃんだ!OK!?」
「よくわかんないけど私はルミア?よりグレンを守りたい」
「訳わかんねぇこと言ってんじゃねぇ!!」
そう言いながら、グレン先生はリィエルをグリグリする。
こいつで本当に大丈夫なのか?
何か騒いでる2人を無視して俺は思考に沈んでいった。
「あ〜、という訳で今日から同じクラスになるリィエル=レイフォードだ。ほれ、挨拶しろ」
クラスはリィエルの見た目でザワついてる。
まあ、見た目はいいからなあいつ。
小柄さと見た目が相まって、まるで人形みたいだ。
「リィエル=レイフォード」
「「「「「…」」」」」
違う、そうじゃない。
それは既にグレン先生が言っただろ。
「バカ、名前は俺が言っただろ。趣味とかそういうの話せよ」
「分かった。…リィエル=レイフォード。帝国軍が一翼、帝国宮廷ま」
「だぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
こいつアホか!
俺もビックリしたわ今!
それ1番言っちゃいけないやつだから!
横でグレン先生が耳打ちしたことを棒読みしてるし。
何やってんだが…。
「質問してもよろしいでしょうか?」
突然ウィンディが手を上げる。
「イテリア地方から来たと仰ってましたが、御家族とは離れて暮らしてるんですの?」
その瞬間、初めてリィエルに感情が見えた。
最も、いいものでは無さそうだが。
「…兄さんが…いた…けど…」
「あ〜、今訳あって身寄りがないんだ。それで察してくれ」
「す、すみません!?」
ふーん…嘘って感じじゃなさそうだな。
ウィンディが素直に謝ったところで湿っぽい空気になりかけてしまった。
それを払拭すべくカッシュが果敢に質問する。
「先生とリィエルちゃんて仲良さげだけど知り合いなの?」
「あ〜と、それはだな…」
中々答えにくいところをついたなカッシュ。
「グレンは私の全て。グレンがいないと始まらない」
…はい、爆弾投下。
起爆まで3,2,1…
「「「「「キャーーー!!だいたーーーーん!!」」」」」
「「「「「もう失恋だーーーーー!!」」」」」
ドッカーン!
好きだよね〜女子は。
こういう背徳的なやつ。
そしておめでとう、男子諸君。
世界最短失恋記録更新だな。
もうクラスはメッチャクチャ。
こんな感じでクラスの連中とリィエルのファーストインパクトは最高になった。
めでたしめでたし。
「『雷精の紫電よ』!」
「すごいシスティ!全弾命中だよ!最近調子いいね!」
「この距離で全弾命中は普通にすげぇぞ!白猫」
みんなの賞賛を受け、恥ずかしがるシスティーナ。
確かにすげぇなあれは。
俺は…できるか?あれ。
「次は…アルタイル。お前だ」
俺は定位置にたって構える。
意識するのは銃だ。
5本の指、全てが銃身、弾は【ショック・ボルト】が1発ずつ。
最初の1発だけは掌からのイメージで…。
必要な情報を整理、処理して放つ。
「『雷精の紫電よ』…『1,2,3,4,5』」
イメージ通りに最初は掌から、その後は5本の指から連続で【ショック・ボルト】を発動する。
結果は…4発命中した。
…まだまだ、温いな。
この結果に周りはざわめいている。
「お、お前!【
そんなに驚くことかこれ?
2発も外してるんだ、まだダメだ。
「頑張ったらできました。でも2発も外してますよ」
「いや、学生であんな速度の【
そう言われても、まだ納得が行かない。
ついでにシスティーナの恨めしい視線も納得いかない。
その俺の様子に察したのか、先生は溜息をつく。
「あんまり気負いすぎるなよ。次、リィエルお前だ」
次は現役軍人のリィエルだった。
軍人だし余裕だろと思いたいが、あのリィエルだ。
筋金入りの脳筋のこいつがどこまで出来るのか。
クラス中が注目する中、リィエルが動き出す。
「『雷精よ・紫電の衝撃以て・撃ち倒せ』」
結果は恐れてた通り散々だった。
5発目を外した時にリィエルはグレン先生に質問していた。
「グレン、【ショック・ボルト】じゃなきゃダメなの?」
「ダメって言うか、あそこまで届く学生用の呪文だと、これしかないだろ」
「つまり何でもいい?」
おい、ちょっと待て。
なんだその不穏な会話。
「軍用魔術は使うなよ!」
「『万象に希う・我が腕に・剛毅なる刃を』いやぁぁぁぁー!」
あちゃ〜…ぶん投げちゃったか〜…。
確かに
「ん…6分の6」
「そういう問題じゃねぇ!」
こうしてセカンドインパクトは最悪に終わった。
ちゃんちゃん。
そして昼休み、リィエルはと言うと、
「…」
見事に孤立していた。
いや、何黄昏てんだよ。
護衛だろ、意地でもルミアのそばにいろよ。
「リィエル。学食行こう?」
いや、ルミアから近寄ってどうすんのさ。
「学食?」
「学生がご飯食べる場所だよ」
「お昼ご飯?必要ない」
「でも食べておかないとお仕事に差し支えるんじゃないかな?」
「…一理ある」
おお〜、すげぇなルミア。
ネゴシエーションの素質あるんじゃね?
そのままシスティーナもつれて3人で学食に向かう。
まあ、あんなんでも実力は確かだ。
そばにいればとりあえず、ルミアとシスティーナは無事だろ。
別にリィエルの事はどうでもいいが、しっかりしてくれないと俺が困る。
俺は食欲が無かった為、そのまま屋上に行き、昼寝をする事にした。
…何かやる気出ねぇな…、このままサボろ。
こうして俺は惰眠を貪る事にした。
まあ、悪夢のせいで寝れる事はなかった訳だが。
「白金魔導研究所か…」
数日後、俺は明日に迫った遠征学習の用意をしていた。
【白金術】とは、【白魔術】と【錬金術】を掛け合わせて、命に関する事を研究する学問だ。
こんな時に命の話題とか随分と皮肉の聞いたタイムリーな事だ。
そんな事を考えながら、俺は最後の荷物のチェックをしていた。
「…よし。後は明日の朝用意するものだな」
その時、誰かが俺の部屋をノックする。
「兄様、ベガです。入っていいですか?」
「ベガ?開けるぞー」
ドアを開けると室内用の小型車椅子に乗ったベガがいた。
「どうした?」
「明日から遠征学習ですよね?だから荷物のチェックのお手伝いに来ました!」
胸張ってできる妹アピールをするベガだが、
「すまん、今終わった所だ」
「む〜!!」
いや、むくれられても、理不尽な。
そんなベガも可愛いんだが。
「…まあいいです。本命は別ですので。入りますね」
「お、おう。本命って?」
一体何かあったか?
「兄様、なにか隠してますよね?」
「!?」
ベガの鋭い目が、俺の心を的確に貫く。
こういう時のベガの勘は鋭い。
それでも俺はこの子には教えたくなかった。
「ねぇよ。何も」
その言葉に目付きが鋭くなる。
俺も譲れないのでそのまま睨み返す。
3分程だろうか、突然溜息をつく、ベガ。
「…分かりました。こういう時の兄様は強情ですから、もう何も言いません」
そう言って出口に向かうと最後にもう一度振り返ってから
「兄様、最後に一言だけ。
そう言って、部屋から出ていった。
表と裏、か…。
俺が殺したという事実の裏はなんなんだろうか?
何があるのだろうか。
色んな葛藤が俺の中で渦巻く中、遠征学習当日を迎えることとなった。
リィエルに対して冷たいというか、無関心になっています。
普段ならもうちょい気にかけていますが、今は心が荒れているので、かなりドライです。
気にかけているのはあくまでルミアとシスティーナを守る上で、駒として使えるかどうか、そこを気にしてるだけ。
優しさは0です。
そんな彼が命というものにどんな価値観を得るのか。
…実はこれからしばらく投稿出来ないかもです。
リアルが繁忙期に突入してしまったので…。
それでは失礼します。