1番書いてて楽しいです。
それではよろしくお願いします。
これは何でもない平和な日常。
彼らの思い出、
「あ、アイル君…!?」
「綺麗だ…ルミア」
真っ白なウエディングドレスの私と、同じく白いタキシード姿もアイル君。
「本当にこんな日が来るなんて…夢見たい」
「ばーか。夢じゃねぇよ」
式はつつがなく進んでいき、ついにキス。
「…愛してる、ルミア」
「あ…あぅ…///」
そして私達は…
「う…うぅ…///」
私は…なんて夢を…!?
「ルミア…大丈夫?」
「ルミア、顔真っ赤。…風邪?」
2人が心配してくれているのには、気付いてるけど、それどころじゃない。
あのままだったら私達…!?///
あの3日間の事件以降、私は自分の気持ちに素直に生きる事にした。
しかしその反動か、アイル君への想いが募っていく一方なのだ。
きっと吐き出せば楽。
でもその勇気が出ない。
結局のところ、システィと同じなのだ。
後一歩が踏み出せない。
そこにあの夢だ。
悶々としているのが、更に積み重なり、精神的なキャパシティが限界に近い。
そんな中、突如として舞い降りる天啓。
「これより、【グレン&アルタイルの嫁決定戦】を始める!!」
「「「「「「「「「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」」」」」」」」」」
突然のアルフォネア教授の宣言。
その隣には、明らかに正気を失っている2人。
訳が分からないけど…これはチャンスかも!
「教授!…私…参加していいですか!」
会場となる中庭には、結構な数の女の子。
よく見ると、何か色違いのワッペンをつけており、その大半が赤色のワッペン。
「ほれ、お前達もつけろ。赤がアルタイル、青がグレンだ」
…なるほど、そういう風に別れてるんだ。
そう見ると、アイル君が本当にモテるのがよく分かる。
システィは青色、私は赤色のワッペンを受け取りながら、皆を見る。
う…リゼ先輩もいる。
こうなると、かなりハードルが高い気が…
「やっぱり貴女達も来ましたのね」
「ウィンディ!?」
「テレサ、リンまで!?」
どうして3人が!?
ウィンディはリンは青、テレサは赤のワッペンつけてる!?
「そこまで動揺しなくてもいいですわよ。貴女達と理由は同じですし…。ああ、テレサは違いますわね」
「もちろん。このチャンス、ものにしない訳にはいかないもの!ねぇ?ルミア?」
「…そうだね、私もその通りだと思う」
私とテレサが睨み合う。
そんな火花を散らす私達を無視して、システィが、リンと話している。
「リンは?先生側みたいだけど…?」
「その…私は…早く2人に元に戻って欲しくって…!だから…恥ずかしけど…!」
「「「「「け、健気すぎる…!」」」」」
何とも健気な理由だった。
そんな私達に
「あら?システィーナに、ルミアさん」
「え!?り、リゼ先輩!?」
先程見かけた、リゼ先輩が近づいてくる。
リゼ先輩は私達のワッペンを確認して、私と向き合う。
「せ、先輩も、同じなんですね…」
「あら?ルミアさん達は同じね…。フフ、こういうジョークイベントは、楽しまないとね」
随分と大人の笑みを浮かべるリゼに、圧倒されかける私達。
私達にはない、大人の魅力を感じる。
「それにあの子は、本当の私を知っていて、受け入れてくれてるから…」
「「え?」」
「ふふ、何でもないわ」
…やっぱりそうだよね。
アイル君は、ルックスもいいけど、それ以上に性格などの内面がいい。
現実的ではあるものの、優しく、温かい人。
好き嫌いがハッキリしていて、自分の意見をはっきりといえる人。
そして…困っている時、何気ない顔で助けてくれる、そんなスゴイ人だ。
惚れないはずがない。
しかもここにいる人達の中には、外側だけじゃなくて、内側を見て知っている人もいる。
「…負けられないよね…!」
そう決意を新たにしていると
「お前達ぃぃぃぃぃぃぃ!!2人の花嫁になりたいかァァァァァァ!!!?」
拡張音声術式で、声を大きくした教授。
流石にテンションに、誰もついていけない…。
そんな何とも言えない温度差のまま、コンテストが始まったのだった。
最初の審査は、何故か水着審査。
「ってなんでですかァァァァァァ!!!?」
「いや、簡単に言うと元気な子産めそうかなって」
システィーナのツッコミをスルーするセリカ。
基準はセリカの独断と偏見。
得点も独断と偏見。
このテストが発表されて、半分以上が去った。
恥じらいが勝ってるシスティーナやウィンディは得点が低く、テレサなどのスタイル抜群な人は、高得点。
リンも高得点だった。
曰く、『萌えた』らしい。
「おおっと!これはいい!!40点だァ!!!」
そんな大興奮のセリカの視線の先には、妖艶なハイレグ水着を見に纏い、胸元に赤いワッペンをつけたリゼ。
照れず臆せず堂々と…まるで、本物のモデルみたいな立ち振る舞い。
(私も…負けられない!)
ついに来たルミアの番。
(アイル君!私、頑張るね!)
「はぁ〜い!20番、ルミア=ティンジェルです♡精一杯頑張るから、皆!応援よろしくね♡」
「な、何あれ…!?あれが…ルミアの本気…!」
あまりの本気度に、システィーナがたじろぐ。
当の本人のルミアは、自身との戦いにいっぱいいっぱいで、周りの事に気付いていない。
「これは…!負けられないわね…!」
「はい…!私も…!」
「リゼ先輩!?テレサ!?かなり本気!?」
最高得点を叩き出したルミア。
そんな彼女の熱に当てられたリゼとテレサが、対抗心を燃やす。
そんな混沌とした状況に、ツッコミが追いつかないシスティーナが、頭を抱えていたのだった。
「次のテストに行ってみようぅぅぅぅ!!」
「…何あれ?」
呆然とつぶやくシスティーナの前には、デッカイ生き物。
これには流石のルミアも唖然としている。
「コイツは昔、私がボコって舎弟にしたドラゴンだ!コイツをやっつけろ!レッツファイト!」
「出来るかァァァァァァ!!!」
システィーナはセリカの胸ぐらを、掴みあげる。
「何の勝負何ですか!?普通こういうのって、料理とか洗濯とかじゃないんですか!?どこにドラゴン倒す必要あるんですか!!!?」
「いやだって、夫がいない間、妻は家を守るもんだろ?邪神とかそういうの来たらどうするだよ。せめてドラゴンくらいは、鼻歌交じりで料理出来ないとなぁ…」
「どんな家よ!!!?というか何ですか!?その『定番料理くらい出来ないと〜』みたいなノリ!?」
当然、大半の生徒が逃げ出す。
それでもリゼを中心に、一部の生徒達が戦う中、セリカはある事に気づく。
(…へぇ。私の精神干渉に抗おうとしてるのか?)
アルタイルが、皆の元に駆けつけようと、体を軋ませている事を。
まあ、結果は言わずとも
「無理に決まってるでしょ…!?」
ほとんどの生徒が膝をつく中
「皆!諦めないで!」
ルミアが【銀の鍵】を堂々と掲げ…
「ってなんでよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!?」
システィーナの魂のツッコミが響く。
「それは奥の手の最終チート兵器でしょう!!!?何でこんな事に!!!?」
〖私よ。久しぶりね、システィーナ〗
「ナムルスさん!?」
〖私がまた一日だけ使えるようにしてあげたのよ。それにしても…また魔将星なのね…!?ル=シルバ?ハ=デッサ?何にせよ…戦いなさい、ルミア!貴女自身の為に!!!〗
「うん!ありがとう!ナムルスさん!!!」
(言えない…!!ただの茶番なんて言えない!!!)
盛大な勘違いをしているナムルスが、ただ力を貸しているだけだったらしい。
ちなみに、事の真相を知ったナムルスは、大泣きしたらしい。
「次の審査は、掃除だ!!!」
「やったまともな…」
「ハーレイを掃除してこい」
「掃除の意味が違う!!!」
「私は…勇気を出すって…!」
「それは出したらダメな勇気!!!」
目をぐるぐるさせてるルミアを、必死に止めるシスティーナ。
それからも、意味不明な審査は続き、結果残ったのは、7名。
グレン枠から、システィーナ、リィエル、リン、ウィンディ。
アルタイル枠から、ルミア、リゼ、テレサ。
「さぁ!最後はこれだ!!!」
そう言って視線を向けた先には、突っ立っているだけのグレンとアルタイル。
「自分の想いの丈をぶつけて、キスしろ!!!これは早い者勝ちだァァァァ!!!」
「「「「「「「キスぅぅぅぅぅぅ!!!!?」」」」」」」
誰も彼もが驚き、恥じらう中。
ただ1人、動く少女がいた。
「ルミア…!?本気なの…!?」
「あ、アイル君…」
否が応でも高鳴る心臓。
今朝の夢と同じシチュエーションに、頭が茹で上がりそうになる。
ああ、無理…私には無理。
でも…今は…今だけは勇気を出して…私…!
私は自分を叱責して
「アイル君…失礼…します…!」
背伸びして顔を近づける。
息づかいが感じられるほど近付いて…ついにお互いの唇がくっつくその瞬間
「ッ!!!?」
突然体が回される。
肩と腰に手が当てられ、まるで、ダンスのフィナーレのような体勢になっている。
「はぁ…はぁ…言っただろ…」
そう言って彼は、肩に置いていた手の人差し指で私の唇に抑え
「ここは予約するって」
「あ、アイル君…///」
優しく、色っぽく笑っていたのだった。
「…やってくれたな、このバカ老害」
俺はゆっくりとルミアの姿勢を起こしてやり、アルフォネア教授を睨みつける。
今回ばかりはおいたがすぎる。
「ば、バカ老害!?私は…」
「誰も頼んでねぇよ。クソ迷惑ババアが。勝手なことすんな。おしおきだ」
「お、おしおきって…!あの人形は私が」
「知ってるよ、そんな事」
そう言って俺は左腕をまくる。
「その呪印は…?」
俺は黙って腕をつねると
「いたァ!?」
アルフォネア教授が、脇腹を押さえて蹲る。
「こういう時の為に、あれと同じく術式を左腕に仕込んであるんだよ。当然これは起動済み」
「き、起動済み…?」
「なるほどな、そりゃいい」
その声に、ビクつきながら振り返るアルフォネア教授。
その視線の先には
「グ…グレン?その…私は母親だぞ?」
「そうだな。…だからだよ、このバカ野郎」
そう言う先生の手には、愚者のアルカナ。
【愚者の世界】は、発動済み。
「お、お前達…待て…!?話せば…」
「「おしおきだァァァァァ!!!」」
世にも珍しい、アルフォネア教授の悲鳴が響き渡ったのだった。
「…私、ダメだなぁ…」
私は1人、屋上で今日の事を振り返っていた。
あの時、土壇場でキス出来なかった理由。
アイル君が目を覚ましたからじゃない。
私が直前で躊躇ったからだ。
成り行きとはいえ、あんなチャンスをお膳立てしてもらって、活かせなかった…最後の最後で、勇気が出せなかった。
まだ心が弱い。
「でも…少しは頑張ったよね。1歩じゃなくても…半歩くらいは進めたよね…?」
やっぱり私は、アイル君が好き。
多分、あの時…助けて貰った時から。
いつかきっと…伝えるんだ…!
そう決意を新たに、システィ達のところに向かおうと屋上から出たその時
「え!?」
突然腕を引っ張られ、壁ドンされる。
相手は、
「あ、アイル君!?」
そう、アイル君だった。
突然どうしたのだろうか…?
そんな疑問を挟む暇もなく、彼は私の頬にキスをした。
しかも唇のかなり際どいところ。
思いがけない行動に固まっていると、抱き締められる。
「…いつか、ちゃんとするから。俺の意思で、俺の言葉で、しっかり伝えるから。だから…待ってて」
彼の言葉が、つけてる香油の香りが、彼の体温が、私の体を包み込む。
私の思考の全てが溶かされる。
そのまま走り去るアイル君。
僅かに見えたその横顔は、真っ赤だった。
「え…えぇ…!?///」
私はその場で腰が抜けてしまう。
結局私は、システィ達が迎えに来るまで、腰が抜けたまま、動けなかった。
おまけ
「ルミア〜?帰ろ〜?って、ルミア!?顔真っ赤よ!?」
「ルミア…風邪?」
「システィ、リィエル…その…あぅぅ…!///」
(アイルめ、何かしたわね…)
「???」