ロクでなし魔術講師と糸使いの少年   作:ネコ耳パーカー

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同じ話を投稿してしまいすみませんでした。よろしくお願いします。


遠征学習編4話

「たく…リィエルの奴…!」

 

「言ったはずだ。あの女は危険だと」

 

「お前もしかして、天の知恵研究会がなにか仕掛けてくると知っていたって事か」

 

「【白金魔導研究所】の資金に不透明な所があると報告を受けていた。その流れ徹底的に洗った結果…」

 

「バークス=ブラウモンも奴らの繋がりが発覚したっていう事ですね」

 

「だったら何で俺と接触した時に言わなかった!?初めからルミアを囮に使うつもりだったんだろ!?」

 

は?ちょっと待てよ。

何だよそれ。

 

「どういう事ですか?アルベルトさん」

 

「…こんな命令を下す上層部も、それに黙って従う俺もクズだ。否定はしない。だがグレン、お前なら分かるはずだ」

 

「何がですか!?」

 

「…もし反対すれば、リィエルの素性を明かす事になるって事か」

 

は?レイフォードの素性?

それが何の取引材料になるんだよ。

 

「…先生。レイフォードは何者なんですか?」

 

「…【Project:ReviveLife】通称【R()e()=()L()()()】」

 

「【R()e()=()L()()()】?…まさかあいつ!?」

 

「そうだ。あの女は【Project:ReviveLife】の唯一の成功例だ」

 

…マジかよ。

あまりの衝撃に言葉が出ない。

本当に死者蘇生なんて成功してたのか?

 

「…天の知恵研究会なのか?成功させたのは」

 

「そうだ。組織にいた、とある錬金術師のオリジナルだったんだ。その錬金術師は裏切り者として殺されたがな」

 

確かにそんなヤバい爆弾、迂闊に外に出せない。

とはいえ、それとこれは別問題だ。

 

「最優先事項は王女の救出だ。もしリィエルが行く手を阻むのなら、俺は容赦しない」

 

アルベルトさんはレイフォードの排除もやむなしという。

 

「いや、まずはあいつの勘違いを正す。その上で連れ戻す。2年前あいつを拾ってきた俺の責任だ」

 

グレン先生は、意地でもレイフォードも助けようとする。

一体どっちが正しいのだろう?

多分どっちも正解なんだ。

任務か、それとも命か。

何を優先するかで、話が変わってくるんだ。

 

「兄が現れたと言ったな。お前の言うことを聞くのか?」

 

「聞かせる!拳骨入れて無理矢理でも聞かせるんだよ!」

 

「よくそんな事を言えるな。お前は逃げた。仲間から、あいつから。そんなお前がリィエルを救う資格があるのか?答えろ!グレン=レーダス」

 

「全くのド正論だよコンチクショウ!けどな…俺はあいつらの教師だ。リィエルも今は俺の生徒なんだ!!」

 

「…変わらんな。だから俺はお前に期待するのかもしれないな」

 

ため息を一つついた途端、思いっきり先生を殴るアルベルトさん。

痛そう…。

 

「ぐぁ…痛ってぇな…!何しやがる!?」

 

「黙って消えた事はこれでチャラにしてやる」

 

そう言いながら懐から銃を取り出し、投げ渡す。

 

「これは…俺の…」

 

「王女救出が最優先だ。もしリィエル排除を余儀なくされた場合…文句は受けつけん」

 

「けっ…相変わらず面倒くさい野郎だ…。アルタイル、【次元跳躍】はできないのか?」

 

俺は首を横に振った。

 

「…どうやら何処かに落としたみたいですね。試したんですが、無理でした」

 

「そうか…なら仕方ねぇ。アルタイル、お前は」

 

「行きますよ。ここには結界だけ貼っていきます」

 

当然のように置いてかれかけるのを拒否する。

 

「ダメだ。エステレラお前は残れ」

 

アルベルトさんにまで止められる。

でも俺だって譲れない。

 

「2人には悪いけど、俺も助けに行く。例え…何を犠牲にしてでも」

 

俺は絶対に引かない、と睨みつけて言った。

 

「…ならば、自分の命は自分で守れ。いいな」

 

「アルベルト!?何言って!?」

 

「最初からそのつもりです」

 

「お前もノリ気で行く気になるな!!」

 

アルベルトさんは折れたらしいけど、グレン先生は中々認めなかったが、最後には認めてくれた。

 

 

俺達はアルベルトさんが仕掛けた魔力信号を頼りに、地下下水道から研究所内に侵入した。

道中キメラが何体か出てきたが、それも難なく撃退していた。

その終着点が…()()()()()()()()()()()()()()()()()()だ。

水槽にはそれぞれ、異能の種類が刻まれていた。

 

「クソったれ野郎が…!!何で…何でこんな事が!?」

 

「まさか、全部異能者か!?」

 

「異能者嫌いとは聞いていたがこれ程だとはな…」

 

俺たちはこのビーカーを片っ端からぶっ壊していた。

俺には分からなかった、何でこんな事が出来るのか。

その時

 

「貴様ら!?貴重な()()()()に何て事をしてくれたんだ!!」

 

バークス=ブラウモンが入ってくる。

今、なんて言った?

 

()()()()だと…?お前、なんでこんな事が出来る!?人の命をなんだと思ってる!!」

 

「このわしの偉大なる魔術研究の礎になれたのだ!感謝して欲しいくらいだわい!」

 

「…お前は何故そこまで出来る?人の命にまで手を伸ばして、何がしたい?」

 

「アルタイル?何を言ってる?」

 

俺には分からなかった。

何故人を殺して何も思わないのか。

こいつのその原動力が知りたかった。

 

「ふん…何を聞き出すかと思えば…。いいか!わしはな、偉大なる魔術師になのだよ!将来わしの研究は、必ずや大きなものになる!その為の異能者!その為のあの娘!それを邪魔する貴様らを排除するのだ!!」

 

偉大なる魔術師…?

そんなもんの為に、こいつらは…!!

怒りで頭が茹で上がりそうになる。

今すぐにこいつを…!そう思った瞬間

 

『どんな事にも必ず表と裏があります。それを忘れないでください』

 

ベガの言葉が頭をよぎった。

表と…裏…等価交換…。

それを思い出した俺は、思いっきり息を吐き出して、最後の質問をぶつけた。

 

「最後に一つ聞きたい。命を奪ったお前は、一体誰かの命を救ったのか?」

 

「何?何言うかと思えば…。わしが何故人助けなどしなくてはならないのだ!?」

 

ああ…そういう事か。

こいつはただのクズ以下の畜生だ。

 

「…どんな物事にも表と裏がある。無くちゃ行けないんだ。なのにお前は命を奪うばかりで、救う事をしなかった。」

 

「なんじゃと?」

 

「等価交換と一緒だよ。()()()()()()()()()()()()()()()()()んだ。なのにお前は、今までいたずらに命を奪っただけ。…そのツケは、支払ってもらうぞ。覚悟はいいか?バークス=ブラウモン!!俺はルミアを救う!!だからここで、お前を殺す!!!」

 

 

「アルタイル…」

 

その目には確かな光があり、その声は絶望に染まってはいなかった。

 

(この僅かの間で何があったのか…?)

 

何故かは分からないが、今アルタイルは成長した。

 

「ふん!小僧が!やれるものなやってみるがよい!」

 

そう言いながらバークスは首筋に何か打ち込む。

その瞬間、姿が異形に変わる。

まさか、ドラッグか!?

 

「チ…ヤク中め。切り刻んでやる」

 

アルタイルが糸を作り出しながら、1歩踏み込む。

その前にアルベルトが、立って止める。

 

「グレン、エステレラ。お前達は先に行け」

 

「でも、こいつは!?」

 

「くどいぞ」

 

食い下がるアルタイルをアルベルトが一言で切って捨てる。

その不器用な優しさに俺は、思わず苦笑いしてしまう。

 

「アルタイル行くぞ。アルベルト頼む」

 

「…分かりました」

 

アルタイルは俺と自分に糸を巻き付け、強化する。

 

「行くぞ!」

 

俺とアルタイルは一気に走り出す。

 

「行かせんぞぉ!!」

 

「『雷槍よ』」

 

アルベルトがバークスを足止めする間に、俺は足下を滑り抜け、アルタイルは三角飛びのよう要領で上から飛び越える。

俺達はそのままその場を走り去った。

 

「アルタイル、何があった?」

 

俺はアルタイルの決意が気になって、走りながら尋ねた。

 

「…遠征学習の前にベガに言われたんです。『どんな事にも必ず表と裏があります。それを忘れないでください』って。どうやら俺の悩みは筒抜けだったみたいです。…その言葉がよぎって、冷静になれました」

 

なるほどな、妹の言葉がこいつを守ったのか。

…家族ってのはいいものだな。

 

「もちろん、殺しは悪です。それを認める事はしません。あくまで手の打ちようが無い時にしか、殺りません。ただ俺は、相手に命に手を伸ばすだけの理由を、見つけただけです。だから…安心して下さい。俺はあいつらみたいに堕ちません」

 

「…ああ、分かってんだよ、んな事は」

 

分かってるよ、お前がそんな奴じゃない事は。

大切な人達を守ろうと必死になってるお前を、悪に堕ちるとは思ってねぇよ。

ただな…

 

「ただな、たまには周りを頼れよ。俺はお前らの教師なんだからな」

 

「…!ありがとうございます。先生、俺さ、今はこんな状況だけど、ここに来て良かったかも」

 

「…!そうかよ」

 

こいつの中で何があったかは分からない。

だが、一つだけ分かったのは、生徒に感謝される事の嬉しさだ。

自分の決断が、生徒にとって大切な何かになる。

これが、教師の喜びってやつかもしれないな。

 

「あとアルベルトの事だがな、あいつはこれ以上お前の手を血で汚したくねぇんだ。そこは分かってやってくれ」

 

その言葉に何も返さなかったが、しっかりその言葉を受け止めてくれているのは分かった。

 

「ここですね」

 

「ここだな。一気に行くぞ!3,2,1!!」

 

俺達は最奥の部屋のドアを蹴りあけた。




妹の言葉と等価交換。
この2つがアルタイルに闇と向き合う覚悟を与えてくれました。
今までただ闇雲に戦うだけの彼が本当の意味で戦う、魔術師の端くれになりました。
そんな彼を見ていってください。
ありがとうございました。
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