ロクでなし魔術講師と糸使いの少年   作:ネコ耳パーカー

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最近走り出して、筋肉痛が凄いです。
今回アルタイル君が、結構頑張って格好つけてます。
それではよろしくお願いします。



天使の塵編3話

「システィーナ。少しいいか?」

 

俺は放課後、直ぐにシスティーナを捕まえて、問いただした。

 

「…何?時間が無いのだけど」

 

そう、なら遠慮なく。

 

「何でクライトス先生の求婚を受けた?」

 

「…それが現実的だからよ。レオスの言う通りだわ。魔法考古学はかなり厳しい道。お爺様ですら出来なかった事を私になんて…」

 

全く、嘘が下手なやつだな。

そんな面してよく言えるよ。

 

「ここにはクライトス先生はおろか、ルミア達だって来ない。かなり強力な結界を張ってるからな。来れるのは、予め言っておいたアルフォネア教授くらいだ」

 

そう、わざわざ俺が無計画に誘うわけない。

ちゃんと結界を張った場所に連れてきたのだ。

バレたら困るので先に、アルフォネア教授に説明しておいたが。

 

「だから、ここでそんな見え透いた嘘を着く必要は無い」

 

「アイル…私…私!!」

 

そう言って泣き崩れるシスティーナ。

俺は優しく背中を擦りながら、宥めることにした。

落ち着いたシスティーナから、事情を聞くことにした。

俺は直ぐに呼び出された為知らなかったが、学院に着いてすぐ、決闘の再戦が決まったらしい。

しかし、お互い取り決めより速く会ってしまい、なし崩し的に始まってしまったのだとか。

結果、グレン先生の敗北、その後

 

「ルミア達のことで脅された?」

 

「ええ、それを盾に…」

 

クソッタレが。

あのクズ、やっぱあの鼻潰してやるべきだった。

 

「…まさか、天の知恵研究会と?」

 

「それは…違うわ。多分」

 

「違う?どういう事だ?」

 

今ルミアとリィエルの事を知ってるのはあいつらぐらいのものだ。

それか帝国上層部…。

でも、上層部がそれをわざわざ一講師に教えるとは思えない。

しかも、リィエルの事は上層部すら知らないと言っていた。

 

「私も最初はそれを疑ったんだけど、凄い剣幕で否定されて…。あれは嘘をついてる感じじゃないわ。本気で拒絶してたもの」

 

そうなると、本当に違うのだろう。

じゃあ、一体…?

 

「それと…」

 

「それと?」

 

「あの時のレオスはまるで別人みたいで…」

 

別人みたいか…。

そういえば、最後に会った時顔色が…。

 

「なあ、システィーナ。あいつ顔色悪くなかったか?」

 

「え?暗かったからあまり分からなかったけど…体調悪そうには見えなかったわよ?」

 

あれだけ顔色悪くて、その日の夜には治ってる?

そんなのおかしくないか?

 

「…システィーナ、明日俺休むから。ルミア達から離れるなよ」

 

「休むって…どうして?」

 

「少し調べ事だ。ほら、今日は送る。行くぞ」

 

そう言って俺は結界を解き、システィーナを家まで送り届けた。

問題はその帰り道だった。

暗くなってしまい、俺は近道するため裏路地を走っていた。

 

「…ん?」

 

なんだアイツ?

様子が変だな。

酔っ払いか?

 

「おい、あんた大丈夫か?」

 

声をかけて瞬間、

 

「ガァァァァァァァ!!」

 

突然奇声を上げながら、襲いかかってきたのだ。

慌てて避けながら、体勢を整える。

 

「な、なんだよいきなり!?『雷精の紫電よ』!」

 

直ぐに【ショック・ボルト】を発動し、無力化する。

幸い魔術は使えないらしく、1発で倒すことは出来たが、

 

「!?こいつまだ動けるのか!?」

 

【ショック・ボルト】は初歩的な呪文ではあるが、実力差によるが、意識を刈り取るまではいかなくとも、動けなくする事は出来る。

ましてや相手は素人だ。

意識を刈り取るぐらいなら出来る。

それをまともに受けて、意識を保っているなど異常だ。

直ぐに糸で縛り上げて、動けなくする。

 

「…爺さんに連絡するか」

 

俺は直ぐに爺さんに連絡し、来てもらうことにした。

その時、誰かの気配がして、咄嗟に身構えた。

 

「!?誰だ!?」

 

「落ち着け、俺だ」

 

暗闇から現れたのは

 

「あ、アルベルトさん!?」

 

「久しぶりだな、エステレラ」

 

特務分室の制服を着たアルベルトさんだった。

後ろには初めて見た髭を生やした男と、品の良さそうなと少年。

多分、同い年か少し上か?

同じ服を着てるため、特務分室のメンバーなのだろう。

 

「おう、小僧。無駄のない動き見事じゃったぞ」

 

「見事な手際でした。アルベルトさんが目をかけるのも納得です」

 

「はぁ…どうも。えっと…?」

 

突然話しかけられて困っていると

 

「俺の仲間だ。執行官NO.9【隠者】の【バーナード=ジェスター】と、執行官NO.5【法王】の【クリストフ=フラウル】だ」

 

「フラウル…。結界術のフラウル家!?」

 

その名前を聞いて、俺は驚いた。

フラウル家は結界術の第一人者みたいなものだ。

同じく結界を扱う者として、一度会いたかったのだ。

 

「アルベルトさんから聞いています。糸を使って結界を使うのだとか。僕も会いたかったです」

 

「いや、俺…自分の方こそ一度お会いしたかったので…」

 

その爽やかな笑顔を向けられると、何ともむず痒くなる。

 

「もし良かったらタメ口で大丈夫ですよ?歳もそれほど変わりませんし」

 

「そういう事なら…俺の方もタメ口でいいよ。俺の方が年下だろうし。あと名前でいい」

 

「そういう事なら、よろしくアルタイル。僕も名前でいいよ」

 

「よろしくクリストフ」

 

俺達はそのまま握手を交わした。

やばい…結構嬉しい…!

 

「おいおい!ワシは無視かいな!」

 

突然肩を組んでくるジェスターさん。

 

「随分と老けたな…バーナード」

 

爺さんの声が聞こえたのはその時だった。

 

「!?まさか…トワイスの爺さんか!?懐かしいの〜!そっちも老けたのぉ!」

 

「あれが…エンダース=トワイス…」

 

「すみませんアルベルトさん。呼んだ直後に気づいて…」

 

「構わない」

 

「…取り敢えず、うちに来い。バーナード、それを担げ」

 

「相変わらず人使いが荒いの〜」

 

そう言いながら、俺達は店まで移動した。

 

「バーナードこっちじゃ。アルタイル、茶を入れといてくれ」

 

「はいよ。アルベルトさん、クリストフ。どうぞいらっしゃい」

 

俺は2人を店内に招き入れた。

 

「お邪魔する」

 

「お邪魔します」

 

「適当に座っててください。直ぐにお茶入れますね」

 

俺は直ぐに荷物を置きに行く為、部屋に向かった。

 

「兄様!おかえりなさい!お客様?」

 

「ベガ、ただいま。そうだよ今から爺さん含めて、話をするから」

 

あまりベガには聞かれたくない類の話なので、部屋から出ないように遠回しに言う。

 

「分かりました。お茶は?」

 

「俺が入れるよ。おやすみ」

 

「おやすみなさい、兄様」

 

俺は直ぐに皆の元に向かい、お茶の用意をした。

 

「…それであいつは何なんですか?」

 

俺は一息入れた皆を見て、早速本題に踏み込んだ。

 

「あれは【天使の塵(エンジェル・ダスト)】と呼ばれる、ドラッグの末期中毒症状者だ」

 

天使の塵(エンジェル・ダスト)?」

 

「ええ、嘗て私達の仲間だった執行官NO.11【正義】の【ジャティス=ロウファン】という男が作った違法ドラッグだよ」

 

「そいつは1年前、それを使って帝都で、高位の魔術師や帝国重役を、殺しまくる事件を起こしたんじゃ」

 

「そしてその事件で仲間を失ったグレンは、ジャティスを倒した後、軍を除隊したのだ」

 

「グレン先生…」

 

そういう事だったんだ。

道理で、ルミアと3人で帰った時、口を噤んだんだ。

爺さんが話をまとめる。

 

「倒した筈の男が、戻ってきたという事じゃな」

 

「そういう事になるの〜」

 

「いつ頃あれが広まり出したんですか?」

 

「学院にレオス=クライトスが来た頃からだ」

 

あいつが来た時から…?

その瞬間、あと時の寒気がぶり返した。

その様子に疑問を抱いたのか、じいさんが聞いてくる。

 

「アルタイル、何かあったか?」

 

俺は初めて会った時に感じた事を全部話した。

それと、魔導兵団戦の時の顔色の事も話した。

 

「馬車の御者が…」

 

「ゼロでは無さそうですね。そちらは僕達が調べます」

 

「でもその場合、目的は?」

 

「分からんが、ひとつにグレ坊への復讐…いや挑戦があるかもしれんの」

 

「どういう事ですか?」

 

「あいつの行動原理は正義の執行だからだ。それを嘗て阻んだグレンに再戦を挑もうとしていても不思議ではない」

 

正義の執行…、正義ね…。

正義は人それぞれだから否定はしないけど、かなり野蛮だな。

こんなのは悪とそう大差ない。

 

「取り敢えず、今日は泊まるが良い。アルタイル。部屋の用意してやれ」

 

そのまま話し込んでいた為、遅くなってしまいこのまま泊まってもらうことにした。

明後日は結婚式だ。

大荒れになるだろうと思いながら俺は就寝した。

2日後、遂に結婚式当日が来た。

俺はシスティーナに会うために、待合室まで来た。

 

「システィーナ、アルタイルだけど」

 

ノックしてから呼びかける。

 

「アイル?どうぞ」

 

許可えを得たのでドアを開けると、そこには見事に着飾ったシスティーナがいた。

いつも下ろされてる銀髪は、後ろがかきあげられており、いつもより色っぽい印象を受けた。

 

「おお〜…綺麗だな…これが真っ当な結婚式なら手放しで喜べたんだが…」

 

「ありがとう。それで?何か用?」

 

おっと、うっかり忘れるとこだった。

 

「システィーナ、これ。見えないところに身につけといて」

 

そう言って渡したのは、【アリアドネ】で編んだものだ。

とりあえず、隠せるように小さいものにしてある。

 

「これは?」

 

「お守り。念の為の」

 

そう言って半ば強引に押し付ける。

不思議そうにしながらも、とりあせず受け取ってくれた。

 

「ありがとう。ちゃんと持っておくわ」

 

「おう、そうしてくれ。じゃあな」

 

「…アイル!」

 

部屋を出ようとすると、突然システィーナに、呼び止められた。

振り返ると心配そうな、不安そうな目でこっちを見ていた。

 

「…信じていいのよね?」

 

そういう事か。

なら返事は決まってる。

 

「信じろ。俺達を」

 

俺はそう即答して、部屋を出る。

用意は出来てる、後は時が来るのを待つだけ。

こんな茶番は直ぐにフィナーレにしてやる。

 

「『アドリブは舞台のスパイス』…なんつって」




ありがとうございました。
という訳でバーナードとクリストフが初登場です。
そして本編には出す予定なかった爺さんを出してしまいました。
宣言通りに行かず、すみません。
それでは、失礼します。
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