ロクでなし魔術講師と糸使いの少年   作:ネコ耳パーカー

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あの方登場です。
それではよろしくお願いします。


タウムの天文神殿編2話

「そんなの【タウムの天文神殿】に決まって…って!ここ街道から外れてるじゃない!」

 

システィーナの声で目を覚ます。

うっすら目を開け、周りを確認すると、どうやら森に入ったらしい。

 

「ちょっと御者さん!こんな道予定してません!こんな森に入っちゃったら…!」

 

…残念だが、手遅れだな。

森の奥から獣の群れがやってくる。

しかもただの獣ではなく

 

「シャ、【シャドウ・ウルフ】!?」

 

黒い体毛に覆われた、大型の狼の姿をした魔獣だ。

ただ、そこらの狼とは違う感覚を持っている。

その名も【恐怖察知】。

 

「皆怖がっちゃダメ!怖がったら…」

 

システィーナの警告も虚しく

 

「あ…あぅ…魔物が…あんなに沢山…!?」

 

「うぅ…何で私が…こんな目に…!?」

 

ダメだなこりゃ。

こいつらは恐怖に敏感で、一度獲物と認識したら、何処までも追いかけてくる、クソ面倒な奴らなんだよな。

俺はこっそりと結界を張りながら、数を確認する。

 

「アイル君!?起きて!アイル君!!」

 

「ルミア!アイルとリィエルは!?」

 

「ダメ!?2人とも起きないよ!?」

 

「こんな時に…!」

 

悪いな、俺は起きてるんだ。

 

「待てぇい!てめぇら!俺の生徒に手を出すとは、いい度胸じゃねぇか!俺が成敗してくれる!とぉう!!」

 

グレン先生が華麗なジャンプを決めながら、着地する。

グギッ!って音を鳴らしながら。

 

「ぎゃああああ!!足くじいたぁぁぁぁぁぁぁ!!痛ァーーーーーーー!!」

 

「馬鹿なんですか!?」

 

(バカなのか)

 

俺とシスティーナの感想が一致する。

そしてそんな寸劇をしてる間にも、【シャドウ・ウルフ】が、先生に狙いを定め、襲いかかる。

 

「先生!?」

 

馬車の誰もが最悪のイメージをしたその時、何かしらの壁が、【シャドウ・ウルフ】を弾く。

 

「…へ?結界?」

 

いつの間にか、銃を取り出してたグレン先生が唖然としている。

そろそろかな。

 

「全く…こっちがせっせと結界張ってるのに、余計な手間を取らせないでください」

 

俺はゆっくりと立ち上がり、アホ面の先生を見下ろす。

 

「「あ、アイル(君)!?」」

 

「おう、ちゃんと起きてたぞ。最初から」

 

「最初からって…じゃあ何ですぐに対応しなかったのよ!?」

 

「だからしてたじゃん」

 

そう言いながら、俺は結界を可視化する。

赤い光が、馬車とグレン先生を守るように光っている。

 

「これ…結界?」

 

「範囲指定に時間かかったんだよ。それに…あの人が何とかすると思ってたからな」

 

俺がそう呟きながら、御者を見ると姿が消え、いつの間にか、何体かの【シャドウ・ウルフ】の首がはね飛ばされた。

 

「…ん?何だ、いたのかお前。じゃあ、後は任せたぞ?」

 

そう言いながら、何にもなさげに立ち上がり、銃をしまう。

そのまま御者は、美しい片手半剣(バスタードソード)でどんどん薙ぎ払っていく。

 

「すげぇな…あの剣技。しかもあれって真銀(ミスリル)ですよね?」

 

「ああ、白魔改【ロード・エクスペリエンス】。物品に蓄積された思念や記憶情報を読み取り、自分に一時的に憑依させる魔術だ。あの剣はかつて、帝国最強と云われた剣士の愛剣だ。だから一時的にあいつは、その剣士の技を借り受けてるのさ」

 

「【ロード・エクスペリエンス】は知ってますけど…あれは白魔()でしょ?やっぱりつくづく規格外ですね…あの人」

 

そう、本来のこの魔術は()()魔術だ。

膨大な時間と手順を以て、初めて成立するものだ。

俺は糸を使い、それを簡略化出来るけど、それでは精度が落ちる。

 

「あの御者さん…一体何者なの…?」

 

おや?システィーナはまだ気づいてないのか。

 

「あんなバカげた事出来るやつなんて決まってるだろ?」

 

その時、最後の1匹との決着が着いた。

無論、御者の勝ちだが、外套に爪が掠めたらしい。

その下から出てきたのは、黄昏に燃え上がる麦穂のような燦然と輝く金髪。

黒いゴシックドレスに包まれた、艶美で優美な曲線美。

ニヤリと笑う、その女性の正体は

 

「やれやれ、バレちゃったか…失敗失敗。予定では、もう少し満を持しての登場だったんだが…」

 

「あ、アルフォネア教授!?どうしてここに!?」

 

「や、皆。元気かなー?」

 

大陸最高峰の魔術師【第七階梯(セプテンデ)】、セリカ=アルフォネア教授だった。

 

 

「有り得ねぇ…あいつ、何企んでやがる…?」

 

「そ、そんなに疑わなくても…」

 

教授に変わり、御者を務めるグレン先生。

そして俺とルミアはその補佐を務めている。

 

「きっと親心ってやつでしょ?」

 

「いーや!有り得ないね!あいつは俺以上の物ぐさっていうか、ワガママでフリーダムな奴だぞ?気が向かない事は、たとえ世界が滅んでも、絶対にやらないぞ」

 

そこまでかよ…。

愕然としながら、そっと小窓を覗く。

そこから見える馬車内の雰囲気は、はっきり言って最悪だ。

まあ、中はシスティーナに任せよう、そう思い俺は、深く腰掛け寝る姿勢にはいる。

 

「アイル君。流石にここでは寝ない方がいいと思うよ?」

 

「おいおい、ここで寝たら落ちるぞ?」

 

そう言われればそうかもしれないな。

そう思い、俺は姿勢を直す。

 

「…感謝してるんだ」

 

ふと、アルフォネア教授の声が聞こえたので、また小窓から覗いてみる。

その雰囲気はさっきまでとは、まるで違う。

多少のぎこちなさは残っているが、それでもかなりいい雰囲気になっていた。

 

「先生、雰囲気かなり良くなりましたよ」

 

「ふーん…まあ…別にどうでもいいけどよ…」

 

ツンデレかよ。

ビックリするわ、気持ち悪いわ。

 

「確かにあいつは傍若無人で、破天荒で、我が儘で、破天荒で、悪ふざけが好きで、破天荒で、嘘か本当かわからん噂放ったらかしにして、破天荒で、しかもそれ利用して人の反応楽しむわ、しょーもねえ破天荒な奴だけどな!…偶に優しい一面もあるし…なんだかんだで、赤の他人の俺をここまで、女手一つで面倒見てくれたし…魔術師の誇り高さも力も…一応は認めてるっつーか…一目置いてるつーか…」

 

めっちゃ喋るじゃんこの人。

どんなけ気にしてんだよ。

 

「フフ…先生は本当にアルフォネア教授の事を大切に思われてるんですね」

 

「ながっ…!?」

 

WOW、ルミア選手の笑顔がクリティカルヒット!

これは先生も何も言えず、絶句する。

 

「大切な人が拒絶されるのは辛いですもんね。だから先生は教授の事、心配だったんですよね。だから…」

 

「な、何言ってんだよ!?知らん知らんそんな事!大体あいつがそんな事気にするタマか!?大体…」

 

「ハイハイ。ツンデレマザコン乙」

 

これ以上は聞くに耐えんので、ぶった斬ることにした。

 

「誰がツンデレでマザコンだ!?たたき落とすぞ!!」

 

「ちょっと!?手綱手綱!?離すなって!!危ないだろ!」

 

「先生!落ち着いて!速く手綱握ってください!」

 

俺とルミアが必死に馬の制御をする中、何時までも喚き散らす先生だった。

 

石で造られた、巨大な半球状の本殿。

周囲には並び立つ無数の柱。

渦を巻くような不思議な幾何学模様が、壁面にびっしりと刻まれていた。

 

「ここが…【タウムの天文神殿】…」

 

俺を含めた生徒組が、呆然とその存在感に圧倒されていると

 

「おいおい、お前ら。ぼぉ〜っとしてる暇はないぞ?」

 

グレン先生が、手を鳴らし、テキパキと指示を出す。

 

「アルタイル以外の男子は、テントを張れ。アルタイルとリンとテレサは、アルタイル中心に料理の用意だ。セリカ、一応野営地の周囲に守護結界を頼む。白猫、ウィンディはその補佐だ。ルミアは馬の世話、リィエルは周囲の哨戒だ。危険な魔獣とかいたら、遠慮なくやっちまえ。俺は…疲れたから寝るわ。夕飯出来たらよろしく。おやすみ〜…」

 

すごいな、自分のサボりまでしっかり計算し尽くしてやがる。

勿論、システィーナに制裁されてるが。

それはさておき、こっちは飯の用意だ。

 

「テレサ、火を起こしておいてくれ。リンは材料を均等に切っておいてくれ。俺は少し、野草とかキノコ探してくる」

 

「え、えぇ…」

 

「行ってらっしゃい。気をつけてね」

 

2人の返事を聞いて、俺は茂みに入っていく。

迷わないように、糸を入った場所の木に括りつけて、それをどんどん伸ばしていく。

手付かずだったからか、順調に集めていると、()()()()()()()()()()()()

それに()()()()()()()()()()()

 

「…え?こんな所に?」

 

全くの想定外だったが、とりあえずここまでのマーキングをしてから、俺は野営地に引き返した。

ついでに野ウサギがいたので、捕まえて〆ておいた。

 

「おまたせ。これ頼むわ。そこの箱の中に調味料入ってるから、今日はカレーにしよう。そっちの箱に保存用のパンあるから」

 

「わかったわ…お肉はこれ?」

 

「そうそれ。一応食べれるヤツだから。…何の肉かは知らない方がいいと思うけど」

 

「何の肉取ってきたのよ!?」

 

テレサがびっくりしたような声で言う。

いや〜知ったら多分、食べれないよ?

俺はその質問を黙殺し、2人と共に夕飯の用意をした。

テレサとは最初はぎこちなかったが、やっていく内に、前のような感じに戻って来た。

きっと先生も、これが狙いだったんだろう。

これには流石に感謝だな。

そうして出来たカレーは、全員に大好評で、ついでに下宿先のレストランもアピールしておいた。

うさぎの肉を使ったのは、グレン先生とアルフォネア教授以外には気づかれなかった。

 

次の日、一部生徒を残し、俺達は早速遺跡調査を始めた。

そこで待ってたのは、手荒い歓迎だった。

 

「こ、こんなの聞いてませんわ!?ここは安全な遺跡では…!?」

 

「いいから撃て!ほら来たぞ!!」

 

「ああもう!今回はこんなのばっかりですの!」

 

様々な形をした、実体を持たない霊体が襲ってきた。

 

俺は一気に飛び出し、糸で編んだ大型ナイフを逆手に持って斬り掛かる。

 

「フッ!」

 

通り過ぎざまに、ナイフで首を切る。

そのまま、次のやつの心臓目掛けて、貫く。

そのまま順手に持ち替え、引き裂く。

 

「『気弾(ファイア)』!『続く第二射(リロード)』!『更なる第三射』(リロード)!」

 

「『気弾(アインツ)』!『続く第二射(ツヴァイ)』!『更なる第三射(ドライ)』!」

 

「『気弾』!」

 

「『我は射手・原初の力よ・我が指先に集え』!」

 

俺とシスティーナで、奥から来るやつを【マジック・バレット】で、撃ち抜く。

他の皆も俺達に続いて、【マジック・バレット】を放つ。

こうして道をこじ開けてから、

 

「やぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

リィエルが突貫し、俺達がその撃ち漏らしを狩っていく。

そんな感じで、俺達は比較的に順調に進めていく。

最後の1匹を斬り払った俺は、ゆっくりと息を吐き、周囲の索敵を行った。

 

「…異常なし。状況終了」

 

この言葉に皆の気が抜ける。

 

「やるじゃないか!上出来上出来!」

 

「これだけの数の狂霊を、こいつらだけでやらせるなんて…お前な…無茶言うよなぁ…」

 

上機嫌に褒めるアルフォネア教授と、ほっと気を抜いているグレン先生。

狂霊とは、精霊や妖精が、霊脈(レイライン)の影響で、狂化してしまったものだ。

 

「貴重な戦闘経験の機会だぞ?お前は過保護すぎるんだ。しかし…良かったな、私がいて。いなかったらとんぼ返りだぞ?」

 

「うるせぇ…」

 

何でもグレン先生はこの手の魔術が特に苦手らしい。

俺はそんな話を思い出していると、不意にカッシュに話しかけられる。

 

「システィーナに…アイルも。強くなったよな」

 

「へ?そ、そうかしら…?」

 

「まあ…何かと経験してるしな」

 

2人揃って適当にはぐらかしていると、何やら嫉妬の目を向けられる。

それには気づいていたが、それよりもまた狂霊の群れがやってくる。

 

「ほら、また来るぞ。全員構えろよ」

 

「お!また団体さんのお出ましか!?」

 

「今度こそシスティーナや、アルタイルには負けませんわよ!」

 

…マズイな、どんどん熱中しすぎてる。

結構の連戦をしてるから、そろそろ限界なはずだが、そこに気付いてないなこいつら。

 

「まあ待て。お前達は結構連戦してるから1回休みな。このままだと、マナ欠乏症になるぞ」

 

良かった。

アルフォネア教授が絶妙なタイミングで、ストップをかけてくれる。

 

「それじゃあ、遠慮なく」

 

「おいアイル!へばったのかよ!?」

 

これに乗って俺は休む事にした。

カッシュが何やら挑発してくるが、乗る気は無い。

 

「勇猛と蛮勇は別モンだぜ?カッシュ」

 

そう言いながら、俺は下がる。

カッシュも渋々それに従うが、

 

「おっと…?」

 

フラついてコケかける。

慌てて俺は支える。

 

「言わんこっちゃない。これが本物の戦場なら、この瞬間死んでるぜ?これがスリーマンセルなら、他の2人も死んだな。『敵を知り、己を知れば、百戦危うからず』だ。自分の限界も知っておく事だな」

 

「…悪ぃ」

 

「気にすんな」

 

そんな話をしてると、突然アルフォネア教授の周りに、大量の【マジック・バレット】が出現し、一気に襲いかかった。

 

「…あれも無理だかんな?」

 

「それはやらなくても分かる」

 

俺達はその規格外に思わず、ため息をついてしまった。

 

「…何か、意外に普通だな」

 

道中突然、カッシュが訳分からん事を言う。

 

「はあ?何だよ急に」

 

「だって、助けてくれたし、アドバイスはくれるし、飯は美味いし」

 

飯が美味いは、何の関係があるか?

 

「…そりゃあ、俺だって人間だ」

 

「だよな…人間で、俺らのクラスメイトだもんな。…このところごめんな、何か避けちゃったりして」

 

ああ、そういう事…。

別に気にしてねぇのに。

 

「…別に、気にしてねぇよ。それだけの事をした訳だし」

 

「俺が気にすんだよ。ダチを避けちまって…情けねぇ」

 

…どれだけ言っても、納得しないだろうな。

だから俺は軽く頭を小突く。

 

「…じゃあ、許す。これでいいだろ?」

 

「…ありがとう」

 

こうして、カッシュとも無事仲直り出来た俺は、心が軽くなった気がした。

前の方では、何やら考古学講座が開かれている。

その中に、霊素皮膜処理(エテリオ·コーティング)の話があった。

これは、物理的・魔術的干渉及び、破壊を防ぐ作用を持つ。

この説明には、少し例外がある。

 

「それ、少し説明が足りませんよ」

 

後ろから俺が口を挟んだ事に、皆が驚く。

 

「…ほぉ、アルタイル、どういう事だ?」

 

アルフォネア教授も興味深そうに尋ねてくる。

 

古代魔術(エンシャント)に傷をつける方法はあります。同じ古代魔術(エンシャント)のものをぶつける事です。例えば、この手袋【アリアドネ】は、魔法遺産(アーティファクト)です。こいつの糸なら、壊すのは無理でも、多少傷をつける程度なら可能です」

 

「ほう、その原理は?」

 

「恐らく存在の大きさです」

 

「存在の大きさ?」

 

「そのまんまです。具体的に分かるものではないですが…。ただ、唯一説明できるのは、物理的な大きさではなく、もっと、概念的な大きさです。すみません、具体的に説明する事は出来ませんが、感覚で分かるんです」

 

そう、本当にフィーリングの世界なのだ。

これを使いだしてから、何となくそういうのが分かるようになったのだ。

 

「なるほどな…【魔法遺産(アーティファクト)】を長く使ってきたからか、特有な感覚があるようだな。まだ、何も分からない魔導考古学だ。そういうのもあるだろう。ほら着いたぞ」

 

そんな話をしていると、今回の調査場所である第一祭儀場についた。

 

「さて、何もねぇとは思うが…一応、俺が先に入って、安全を確認してくる」

 

先生が、パーカッション式リボルバーを、確認しつつ言う。

 

「ふふ、生徒の為に体を張る…中々格好いいじゃないかグレン」

 

「こんくらいはやらんと、マジで俺が一番の役立たずだからな…」

 

「1人で大丈夫か?怖いなら私も着いていってやろうか?」

 

「うっさいわ!ガキ扱いすな!」

 

グレン先生はそう言い残して、入り口をくぐり抜けた。それから十数分は経つが、いまだに帰ってこない。

 

「…遅くないっすか?」

 

「そうだな…ちょっと様子見てくるか」

 

アルフォネア教授が見に行って暫くしてから、安全が確認され、俺達は調査を始めた。

狂霊を祓っては、調査、祓っては調査…。

そんな事を繰り返す事、3日目の夜、俺は1人で森を散策していた。

あるものを探して、フラフラしてる訳だが、中々見つからない。

臭いはこっちから来てるので、方向は合ってるはず。

 

「ん〜…こっちであってはずなんだが…」

 

「何が合ってるんだ?」

 

「うぉわぁぁ!!!?」

 

急に声が聞こえ、慌てて振り返るとそこには、アルフォネア教授がいた。

 

「き、教授!?どうして!?」

 

「お前がこの2日間、深夜徘徊してるからだ。何してるんだ、こんな所で?」

 

気配は消していたはずなんだが…気付かれていたらしい。

これは隠しきれないか…。

まあ、隠さなくちゃいけない事でもないしな。

 

「…この辺は、妙に地面も温かいし、硫黄みたいな匂いもします。多分温泉、あるいは泉源があるかと思って…」

 

「…ほう、よく気づいたな。その通りだ」

 

「…へ?」

 

「確かにここは霊脈的には旧火山帯だから、探せばあるだろうな。まあ、私も探していたのだが」

 

「…マジであるんすね。半分勘だったんですけど?」

 

「なら、その勘は正解だ。方向も合ってるだろう。そら、行くぞ」

 

そう促され、俺はアルフォネア教授と先を進んだ。

流石にサシで話すのは初めてだから、何を話していいか分からない。

 

「…何で探そうと思ったんだ?」

 

突然、アルフォネア教授がそんな事を聞いてきた。

何でか…か、それは…

 

「俺も入りたかったからですよ。これでも風呂好きですよ?俺」

 

おどけたようにはぐらかした。

こんな女々しい理由、話したくないし。

認めたくないけど、1番に思いついたから、きっとこれが理由だろうな。

 

「そんな見え透いた嘘が通ると思うか?」

 

そう言われ、思わず顔を向けると、紅い瞳が真っ直ぐ、こっちを射抜いていた。

 

「…認めて欲しいから…かな…?」

 

そんな目で見られ、ついポロッと本音が出てしまった。

やっぱり、皆にあんな風に避けられるのは嫌だった、寂しかった。

だから、まあ…得点稼ぎとでも、言えばいいだろうか。

 

「…実際、リンやウィンディ、カッシュとは戻って来たし、このまま行けば…!」

 

「すまなかった」

 

気付くと、アルフォネア教授が俺の頭を撫でていた。

 

「子供のお前に、余計な荷物を背負わせた事。それに、気付いてやれなかった事。本当にすまなかった」

 

「…別に教授が謝る事じゃ…」

 

「いや、大人として、大事な時にいてやれなかったんだ。すまなかったな」

 

何だろう、この感じ久しぶりだ。

まるで母親のような、温かさ。

ていうか、グレン先生の母親代わりか。

気が緩みそうになるのを、何とか堪える。

ふと、温かい風が頬を撫でる。

 

「教授!こっちですよ!」

 

俺は強引に話を切ろうとして、風の方に向けて走っていった。

温泉を見つけ、無事目的を達成した俺達を待っていたのは

 

「「「「「「「「アイル(君)(アルタイル)!!!」」」」」」」」

 

「どぅわぁ!!?な、なんだぁ!!?」

 

クラスメイトからの抱擁という名の、タックルだった。

よく見ると、皆泣いていた。

訳が分からず、助けを求めるようにグレン先生を見ると、赤い宝石の着いたブレスレットを見せてきた。

あれは…通信用結晶…やられた。

アルフォネア教授を見ると、同じものを見せつけてくる。

どうやら、筒抜けだったらしい。

俺はため息をつきながら、その顔は、泣きそうながらも、笑みが浮かんでいた。

 

「お前ら…いいから離れろー!!」




という訳で、無事仲直りさせました。
ええ、バットエンドとか嫌いですから。
そして次から…話が動き出します。
アルタイルの言っていた存在云々の話ですが、10巻のあるシーンを参考にしました。
はっきりいって独自解釈です。
ありがとうございました。
それでは失礼します。
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