ロクでなし魔術講師と糸使いの少年   作:ネコ耳パーカー

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ネコ耳パーカーです。
アルタイル君やっと糸を本格的に使います。
名前はアリアドネ。
理由は調べれば多分分かります。
それではよろしくお願いします。


学院テロ編4話

ハァハァ…全力で教室まで走る。

巻いた糸で身体強化しつつ、走ってきたので結構疲れた。

そんな事を思いながら、俺は教室のドアを開けた。

 

「みんな!…大丈夫そうだな。一応」

 

「「「「アイル!?」」」」

 

「アイル!?お前何で!?」

 

クラスのムードメーカーカッシュ=ウィンガーが尋ねてくるが、呑気に答えてる暇はない。

 

「ただ遅刻しだけだ!それよりウィンガー!ティンジェルとフィーベルは!?」

 

そう、2人だけいないのだ。

なぜいないのかウィンガーに聞いてみたら

 

「あいつらはテロリスト共に…」

 

「は?テロリスト?攫われたのか!?」

 

頷くウィンガー。

テロリストって何で?

ティンジェルとフィーベルなんだ?

フィーベルは分からんでもないが、ティンジェルは?

嫌な予感がしつつも俺は、ウィズダンとナーブレスの封印式を破壊する。

 

「ウィズダン、ナーブレス。みんなを頼む」

 

「頼むって…」

 

「待て!どこに行く気だ!?」

 

ウィズダンが俺を止める。

でも、悪いけど止まってる時間が無い。

 

「2人を助ける。それだけだ」

 

「それだけって!?相手は誰か分かってるのか!?こんな事やるやつら、【天の知恵研究会】しかない!」

 

…天の知恵研究会。

それは帝国有史以来、ずっと暗躍し続ける連中だ。

まあ、そうだろうな。

あいつら以外に有り得ない。

だからどうした?

 

「そんな事より日常を守る方が大事だ」

 

それだけ呟いて、俺は教室をとびだした。

 

 

当てはないが、じっとしてられず走っているとガチャガチャ音が聞こえてくる。

 

「こっちか!」

 

音の方へ走ると骨が、グレン先生とフィーベルを追いかけ回していた。

 

「クッソ!数が多すぎる!白猫、急げ!もっと速く!」

 

「そう言っても疲れて…」

 

フィーベルが体力の限界が近いのか、スピードが落ちてきており、追いつかれそうだ。

 

「間に合え!」

 

俺は全力で走りながら紐を投げつけた。

その時1体がフィーベルを射程に捉え、剣を振りかざした。

 

「ッ!?クソ!」

 

「先生!?」

 

咄嗟にフィーベルを突き飛ばした先生は、自身の体を盾に庇う。

マズイ…間に合うか?

俺は一気に他の糸も投げつける。

その結果…

 

「何だこれ…」

 

そこには雁字搦めにされた骸骨の群れがあった。

よし、間に合った!

俺は三角飛びの要領で、群れを飛び越し先生達の前に着地すると

 

「フッ!」

 

一気に糸を引き、骸骨をバラバラに引きちぎった。

この糸はある効果があり、その副次作用的なもので【絶対に切れない】、という効果がある。

 

「先生!フィーベル!大丈夫!?」

 

「アルタイル!?すまん!助かった!」

 

「アイル!?貴方どこから!?」

 

どうやら2人とも無事らしく、ほっと一息つく。

とはいえ、休む暇は無く後ろから、ガチャガチャ音が聞こえる。

 

「話は後!まだ来る!」

 

「白猫!俺達はここで食い止める!お前は得意の【ゲイル・ブロウ】を広範囲に長く持続出来るように改変しろ!生意気だが優秀なお前なら出来るはずだ!…生意気だが」

 

「何回も生意気って言わないでください!」

 

「俺のこれまでの授業を理解してれば出来るはずだ。…でなけりゃ、単位落としてやる」

 

「そんな横暴な〜!?…分かりました!やってみます!」

 

フィーベルの方の指示は終わりらしい。

優秀なフィーベルだ。

きっとやりきってくれる。

 

「頼んだぞ…白猫。さて、アルタイル。お前はこっちだ。いくつが聞くぞ。何が出来る?その糸の限界は?」

 

グレン先生はこの糸の性能を知りたいらしい。

 

「これは幾らでも出せます。使い方は糸を巻き付けたり、糸で切ったり、編んで武器に変えたり、打ち出したり、体に巻けば外付けの身体強化になります。強度は…古代遺跡並ですね」

 

そう言いながら俺はグレン先生の体に巻き付け、身体強化を施す。

さらに拳と足に多く巻き、武器として使えるようにする。

自分にも同様の事を施し、さらに武器を編み上げる。

 

「へぇ…これは重畳。ていうか、古代遺跡並ってすげぇなこれ!?…まあいい。行くぞ!アルタイル!」

 

そう言って俺達は骸骨の群れに飛びだした。

俺は鞭の要領で糸を振るい、骸骨を砕く。

そのまま隣のヤツな首に巻き付け、近くまで引き寄せ、頭を蹴り砕く。

一方グレン先生は俺以上の暴れっぷりだ。

殴る、蹴る、踏み潰す。

その動きはとても洗練していて、相当の実力者だという感じである。

ていうかあれ、帝国式軍隊格闘術じゃね?

てことはあの人、元軍人?

そう考えながらも腕を止めない俺は、指を先生の方…具体的には先生の後ろに向けて、数発糸の弾を打ち出す。

 

「!?すまねぇ!助かった!それにしてもすげぇなこれ!めちゃ硬ぇから、武器としても防具としても優秀だぜ!」

 

「そりゃこれ、【魔法遺産(アーティファクト)】なんでね!」

 

「【魔法遺産(アーティファクト)】だと!?マジか!?」

 

魔法遺産(アーティファクト)】とは簡単に言うと、使い方だけが分かってる昔からの武具の事を指す。

俺は実家にこれがあり、これの使い手として選ばれたのだ。

 

「先生!アイル!出来ました!あとそれ、後で見せて!」

 

「こんな時にガッツくな考古オタク!」

 

俺達は一気に敵を蹴散らすと、そのままフィーベルの所までさがる。

 

「よし!ぶっぱなせ白猫!」

 

「『拒み阻めよ・嵐の壁よ・その下肢に安らぎを』!」

 

その風は細く、されど長時間骸骨達にまとわりついていた。

名付けるなら黒魔改【ストーム・ウォール】だろうか。

でも、弱いのか、ジリジリと少しずつ前に歩き出していた。

 

「ダメ…完全には…ごめんなさい!先生!」

 

「いや、上出来だ。続けろ」

 

そう言いながら先生が出したのは…赤結晶?予備の魔力タンクか。そんなものまで持ち出して何を?

 

「『我は神を斬獲せし者・我は始原の祖と終を知る者・素は摂理の円環へと帰還せよ・五素成りし物は五素に・象と理を紡ぐ縁はこ乖離すべし・いざ森羅の万象は須くここに斬滅せよ・遥かな虚無の果てに』…ええい!ぶっ飛べ有象無象!黒魔改【イクスティンクション・レイ】!」

 

そう叫びながら放たれる極光が全てを薙ぎ払う。

その後には瓦礫の山と化した廊下しか残っていかった。

【イクスティンクション・レイ】…噂には聞いていたけどここまでだとは。

 

「すごい…あんな高等呪文を使えるなんて…」

 

「オーバーキルだが…俺には…これしか無くてな…ガバッ!」

 

「「先生!」」

 

突然血を吐いて倒れるグレン先生に、俺達は駆け寄る。

冷たい…これは…

 

「マナ欠乏症!?」

 

簡単に言うと、体内の魔力が極端に減っている状況の事だ。

放っておくと最悪、死に至るのですぐに手当が必要だ。

 

「クソ!フィーベル!【ライフ・アップ】を頼む!俺は先生を担ぐから!」

 

「わ、分かった!『天使の施しあれ』」

 

俺達は出来るだけ速くその場を去ろうとしたのだが…

 

「まさか【イクスティンクション・レイ】まで使えるとはな…三流魔術師と侮っていた」

 

黒いダークコートを着た男が、5本の剣を空中に浮かせながら現れた。

そいつは如何にも強者の風格があり、全く隙がなかった。

逃げられない、そう確信した俺はそっと壁際に先生を寝かせ、防御と回復の結界を糸で紡いだ。

内からは出られるが、外からは入れない、そういう仕組みの結界だ。

 

「アイル…今のは…?」

 

「フィーベル、あれディスペル出来る?」

 

「…多分、残りの魔力的にギリギリ出来ないかも。それ以前に…隙がない…」

 

だよな〜…しょうがない。

 

「分かった…よっと」

 

そう言いながら俺はフィーベルを横穴から落とした。

もちろん糸を巻き付けておいてあるが。

 

「貴様は逃げないのか?学院生」

 

「逃げても何も無いからな」

 

「フッ…肝が据わってるな。だが無駄死と知れ!」

 

「うるせぇ!勝手に決めんな!『未来を紡げ・アリアドネ』!!行くぞこの野郎!」

 

 

俺は走りながらその辺の瓦礫に糸を巻き付け、高く飛ぶ。

空中で体を捻りながら遠心力を加えて、叩きつける。

その攻撃は躱され、剣が襲いかかってくる。

俺はそれを簡易的な結界で防ぎながら、バラバラになった瓦礫の一部を蹴り飛ばす。

身体強化を施してあるので、その勢いは軍用魔術と変わらない。

瓦礫が先に崩れたが、勢いだけは残って男にぶつかる。

その直前、剣を戻して防いでるそいつの隙を、俺は高速移動で背後を取り、殴りかかる。

しかしそれも、防がれてしまい、俺は距離をとった。

 

「ちっ…思ったより硬いなその剣。何で出来てるんだよ」

 

「それはこちらの台詞だ学院生。たかが糸と思っていたが、その糸一体何で出来ている?」

 

「は…知るかよ!」

 

俺は糸の弾を打ちながら糸を振るう。

男はそれらを全て叩き落とし、剣で襲ってくる。

俺はそれらを躱すと、突然男が

 

「『吠えよ炎獅子』」

 

「げ!?今それ使うの!?」

 

軍用魔術【ブレイズ・バースト】。

炎のC級軍用魔術だ。

俺は焦りながら火除けの結界をはる。

 

「こんの…『霧散せよ』!」

 

対抗魔術【トライ・バニッシュ】。

炎熱、電撃、冷気の基本3属性を打ち消す魔術だ。

結界で威力を落とした【ブレイズ・バースト】程度なら打ち消せる。

だが打ち消した瞬間

 

「…え?」

 

目の前に剣が迫っていた。

爆炎で目隠しさせ、こっちが本命だったのだろう。

打ち消させる前提で放たれたそれは見事に俺の隙をついて

 

「…ッ!?」

 

俺は糸で網を編みながらギリギリで躱した。

 

「ッ!?何!?」

 

あちらも必勝を確信していたのだろう。

俺の行動が想定外で固まっている。

 

「だあぁぁぁぁぁ!!」

 

網で捉えた剣をそいつに叩きつける。

慌ててそいつは飛んで躱したが、俺としてはむしろそれが狙いだ。

 

「『雷帝の閃槍よ』!」

 

軍用魔術【ライトニング・ピアス】。

雷のC級軍用魔術だ。

【ブレイズ・バースト】とは違い範囲は狭い分、速さと射程、貫通力が売りだ。

そのまま男目掛けて飛んでいく雷光。

 

「ッ!?『霧散せよ』」

 

それも【トライ・バニッシュ】で打ち消させる。クソ…効かないか…。

それより、マズイ…左目に血が入って見えない。

しかも、ずっとこいつを展開してたから、そろそろ魔力が切れる。

体力もそろそろ限界かも。

つい膝をついてしまう。

 

「まさか軍用魔術を使ってくるとは、思いも寄らなかった。しかも先の一撃を躱すとは大した反応速度だ。しかし…完全とは言えないようだな」

 

「ハァ…ハァ…うるせぇ。まだやれるぞ」

 

「貴様は強い。間違えなくな。条件次第では帝国宮廷魔導師団に匹敵するかもしれん。…ただ、経験が足りない。私と貴様の明確で絶対の差はそこだ。さて、そろそろ終わらせよう」

 

クソ…万事休すか…。

そう思い諦めかけたその時

 

「『刺し穿て』!」

 

「何!?」

 

突然俺の後ろから【ライトニング・ピアス】が飛んでいき、男に直撃した。

と思いきや、剣で塞がれてる。

まさか【トライ・レジスト】が付けられてるのか?

 

「チッ…最悪1本はとれると思ったんだがな…まあいい、ここまでよく1人で持たせたな。ここからは選手交代だ」

 

「…グレン先生…」

 

いつの間にか復帰したグレン先生が俺の前に立つ。

でも、先生だけじゃ荷が重い。

そう思い立ち上がり構えると

 

「馬鹿野郎。今のお前じゃ足でまといだ。結界でじっとしてろ」

 

「…すんません、よろしくお願いします」

 

そう言われ、大人しく引き下がることにした。

そのまま結界に入り、俺は回復に専念した。

気づいたら意識が落ちており、丁度決着が着いた頃だった。

いつの間にかフィーベルが来ており、こっちも顔色が悪い。

 

「フィーベル…俺の意図に気づいたのか」

 

「アイル!?大丈夫なの!?」

 

「俺は休めたから問題ない。それより先生、何であんなズタボロに?」

 

あの剣を無力化させる為にワザとね…いやアホなの?

幾らなんでも無茶苦茶だな!?

 

「…思い…出したぞ…つい最近まで、帝国宮廷魔導師団に…凄腕の魔術師殺しがいたと聞く…コードネームは…」

 

ここまで言って、男は事切れた。

俺達3人がかりで何とかなったぐらい、強敵だった。

そして、俺の力不足を感じた。

もっと…もっと強くならないと…。

 

「先生!?」

 

顔を上げると、先生が血だらけで倒れていた。

 

「フィーベル!さっき出来なかったことやるぞ!頼む!」

 

「分かったわ!『天使の施しあれ』!」

 

俺達はそのまま医務室まで運び、フィーベルごとまとめて結界に入れた。

 

「さて、ここは任せたぞ」

 

「どこに行くの!?」

どこって決まってる。

 

「あとはティンジェルだろ?助けに行く」

 

「待って!貴方も限界じゃない!私も!」

 

「いや、お前にはここで先生を守って欲しい。何が起きるか分からないからな」

 

「でも!」

 

「でもじゃない!」

 

そんな言い合いをしていると、妙に甲高い音がなる。

 

「これは…先生の通信機だわ!」

 

俺がそれに魔力を流して出る。

 

「グレン!?無事か!?」

 

「「わぁ!?」」

 

突然の大声に俺達は驚く。

その声に凄んで脅してくる電話の主は

 

「誰だお前達!?」

 

「アルフォネア教授!?アルタイル=エステレラとシスティーナ=フィーベルです!」

 

「…アルタイルとシスティーナか。お前達無事なんだな?」

 

「ええ、グレン先生も重傷ですが、何とか…それより外部から応援は来ないんですか?」

 

「それなんだが…」

 

アルフォネア教授が言うには、どうやら結界が書き換えられ、外に出られない上、外からも入れないとの事。

しかも転移門も壊されてるらく、外部からは打つ手がないらしい。

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「ちょっと待ってください。それじゃテロリストはどうやってここから出る予定なんですか?」

 

フィーベルが最もな疑問を口にする。

そう、出られないのなら攫う意味なんてないでないか。

そう思い、ふとある可能性がよぎった。

 

「壊されたんじゃなくて…書き換えられた?でも、そんな事…いや、出来る。1人だけいる!アルフォネア教授!あの人は本当に一身上の都合なんですか!?」

 

俺はある可能性を確信に変えるべく、アルフォネア教授に質問した。

 

「あの人って…まさかあいつの事か!?確かにこの手の専門家だが…」

 

「いいから答えてください!」

 

「…お前達にはそう伝えたが、正確には突如失踪したんだ。だが、幾らあいつでも半日は…」

 

「今がちょうど半日くらいですよ!」

 

そう言って通信を切り、俺はそのまま飛び出した。

俺の目的地は…転移塔だ。




本当は一気に行きたかったのですが、文字数が凄いことになりそうなので分けました。
この主人公、傷だらけにはあまりなりませんが、その代わり、スタミナ切れをよく起こします。
なのでオリ主ツエーーーーーにはならないようにしていきます。
ありがとうございました。
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