エルザの奥義、カッコイイですよね。
それではよろしくお願いします。
ダカカッ!ダカカッ!ダカカッ!
夜の森に、フランシーヌとコレットが操る、馬の蹄の音が響く。
「…イッテ!舌噛んだ〜!」
「も、もっとゆっくり!?」
その後ろには俺とグレン先生が乗っているが、2人共吐きそう。
その時【フラッシュ・ライト】が光る。
「あそこですわね!」
「2人共!準備いいか!」
「「また!?」」
俺達は次の馬に飛び乗って、再び走り出す。
俺達は今、森の中を馬リレーで、駆け抜けている。
何でこんな道でやってるかというと
「…出ますわ!」
森を抜けた先の眼前に、列車が走っていた。
「追いついた…!」
「…そうか!ここは自然がそのままだった!」
そう、ここは手付かずの自然が多く、道も真っ直ぐじゃないし、徐行しないと通れない場所もある。
それらを全部スルーして、最短ルートを通れば、列車にだって追いつける。
「そういう事さ!」
「地形を熟知して、十分な乗馬の技術、上質な馬があれば、この程度問題ありませんわ!」
もちろんそれも大事だが、1番は派閥を超えたこの協力だろう。
「よし!2人共!あと一息頼む!」
「任せな!しっかり掴まってろよ!」
こうして威勢のいい返事をしたコレットの声と共に、俺達は列車まで一気に近づいた。
「アルタイル!行くぞ!」
「了解!…ありがとうな」
列車の屋根に飛び乗る直前、フランシーヌにお礼を言いながら、飛び乗る。
「フゥ…何とか追いついた。先生、システィーナを…」
今後の話をしようとした時、ダンっ!と誰が飛び乗る音が聞こえる。
音の方に顔を向けると
「フランシーヌ!コレット!お前らまで!?危険だぞ!」
何と2人もこっちに飛び移ってきたのだ。
「危ないのはそっちもだろ!それに…水臭いこと言うなよ!」
「うちの生徒もいるのでしょう?だったら露払いが必要ではなくて?」
確かにそうなのだが…。
俺は先生に、判断を任せる事にした。
先生は少し考えてから、真剣な顔で2人に問いかけた。
「…お前達は何だ?フランシーヌ、コレット。お前達は何者だ?【魔術使い】か?それとも…【魔術師】か?」
2人は顔を見合わせてから、ハッキリと答えた。
「「魔術師ですわ(だ)!」」
「…よし!なら頼むぞ!2人共!」
俺達は車両の1つを占拠してから、システィーナを呼ぶ。
その後二手に別れてから、再び屋根伝いに先頭車両を目指す。
「無茶苦茶な…」
「これしかねぇんだから仕方ねえだろ?」
システィーナの愚痴に俺は返しながら、索敵も行う。
「…!先生!そこから2人出てくる!」
俺の言葉に皆が戦闘態勢に入ると、出てきたのはリィエルとエルザだった。
「お前ら!無事だったか!?」
「ん、グレン。問題ない」
「無さそうでは無さそうだが…?まあいいか」
そんなアホな会話をしていると、エルザが申し訳なさそうな顔をしていたので、肩を叩く。
「…話は後だ。今はケジメつけるぞ」
「…はい!」
こうして合流した俺達は、そのまま先頭車両に向かい、窓をぶち破って侵入した。
「…全部、貴方達のせいよ…!グレン=レーダス!!!アルタイル=エステレラ!!!」
「バカ騒ぎは終いにしようぜ!!ババアー!!」
「覚悟は出来んだろうなぁ!!」
俺達は戦闘態勢を整える。
「さて…5対1だぜ?投降しろ」
先生が勝利宣言をすると、突然マリアンヌが笑い出す。
「ふふふ…エルザへの牽制の為に用意したのだけど…まさか本当に役立つとはね!」
腰に差した剣を引き抜いた瞬間、突然炎が出現した。
「今の魔術を起動した気配がなかったぞ!?」
俺はそれを見た時、確信した。
「あれは…【
「まさか【
「あら?随分とマニアな子がいたようね…。まあ説明が省けたわ」
またそれかよ…!
じゃあなんだ!あれは実話だって言うことかよ!?
「研究員時代にちょっとね。戦闘技術の再現とかも出来ないか、ていうのもやってたのよ」
「白魔儀【ロード・エクスペリエンス】の応用か!?」
あれの応用とか…アホかこいつら!?
「勿論、セリカ=アルフォネアみたいな完璧には出来なかったけど…それでも不完全ながら、半永久的に持続させる事は、出来るようになったわ。こんな風に…!」
「…!?下がれ!」
俺は咄嗟に結界を張って防ぐ。
斬撃と同時に、剣から溢れ出す炎も纏めて防ぐ。
「野郎!?」
先生が無防備な背中にトリプルファニングで、銃を撃つも、それも躱されるどころか、剣の腹に乗せるなんて芸当を、やってみせる。
「あら?その糸…【
そのまま炎で弾丸を溶かしてから、俺達の退路を塞いだ。
それに追い討ちをかけるように
「はぁ…はぁ…はぁ…!?」
「…チラッとは聞いてたが、これ程とはな…」
エルザがトラウマで過呼吸を起こしているのだ。
エルザには期待できない。
「チッ…俺達だけでやるぞ!」
「「了解!」」
「ん」
「アハハハハハハハハ!!!」
響き渡るマリアンヌの狂ったく笑い声。
その声と共に炎が走る。
「クッソ!」
俺は結界を張って炎を塞き止める。
「『守人よ・遍く弎の災禍より・我を守り給え』おぉぉぉぉ!!!」
先生が【トライ・レジスト】も発動しながら、マリアンヌに特攻する。
しかし、その超越した剣技で躱される。
「させない!」
リィエルが突撃して何とか防ぐが、また炎が溢れ出る。
「『大気の壁よ』!」
システィーナの【エア・スクリーン】がそれを防ぐが、その壁を今度は剣で切り裂く。
「『雷帝の閃槍よ』!喰らえ!」
俺は【ライトニング・ピアス】で牽制してから、糸を鞭みたいにして、剣の上から吹き飛ばす。
アール=カーンみたいに、糸を斬ることは出来ないらしい。
それでもまだ炎を出してくるので、先生とリィエルを、糸で手繰り寄せて、結界を張る。
「あちちち!アルタイル!白猫!熱が遮れてないぞ!サボんな!」
「そんな暇あるわけねぇだろ!!文句言うなら自分でやれ!!」
「あの剣の炎の出力が異常なんですって!!これが限界です!!」
「クソ…!【フォース・シールド】は万能で強固だが、足が止まる。【エア・スクリーン】は万能で自由に動けるが、物理的に弱い。【トライ・レジスト】は自由に動けてで永久的に使えるが、軽減させるだけ。その全ての短所を見事に突いてきやがる!!オマケにアルタイルの結界を、突き抜ける程の火力かよ!厄介だな!炎だけなのに!」
「逆ですよ…ただ1つだからこそ、こういう究極の一は厄介なんです。下手な小細工が通用しない。通用する余地がないんだ」
俺は舌打ちを撃つ。
このままだとジリ貧だ。
しかも…列車がもたない。
「アハハ!!燃えろ!燃えろーーーーー!!!」
「お、おい…どうなってんだ?」
「…剣の記憶に、精神が持ってかれてる?」
もし、話が本当なら、魔将星が振るった剣だ。
ただの人間が、マトモでいられるはずがない。
「システィーナ!かつての使い手はどうやって倒された!?」
「確か…『炎を切り裂く風の刃』!」
「だったら【エア・ブレード】だ!この間教えただろ!」
「無理よ!私とアイルは防御で手一杯よ!」
「ここを守るならともかく、突撃されたらフォローより先に、丸焦げになるだろうな!」
「モエローーーーー!!!」
作戦会議してるうちに、襲ってくる炎。
慌てて回避した先には…エルザがいた。
「しまった…!エルザ!」
しかしトラウマで動けない彼女では、回避は間に合わず…
「!?リィエル!?」
リィエルが身を盾にしなかったら間に合わなかっだったらだろう。
「クソが!」
俺はその後リィエルに結界を張って、防ぐ。
すぐにリィエルに手当てを施す。
「リィエル!?大丈夫か!?」
「ん、平気」
「なわけねぇだろ…!『天使の施しあれ』!」
「どうして…」
呆然と呟くエルザに、リィエルは当たり前のように言う。
「だって守るって決めたから」
「…ッ!?」
「…これがイケメン女子。流石は【一夜の王子様】」
社交舞踏会の後、リィエルにつけられた渾名だ。
女子には相当、インパクトがあったらしい。
「…?何の話?」
「何でもない、行けるか?」
「問題ない」
そのままグレン先生と突っ込むリィエルを見送りながら、俺はエルザに話しかける。
「…怖いのがあるのは、しょうがない。俺も一時期はあの夜を夢見る度に泣いていた」
「…アイルさん?」
「でも、それでも世界は回る。時は進む。残酷に、冷酷に。何時までもそのままではいられない。だったらどうする?…
俺はそこまで言って、先生達のフォローに戻る。
俺とシスティーナは、結界の作用でマナが増大しているが、そろそろ限界だ。
予備タンクの石ももうない。
2人共、マナ欠乏症になるだろう。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
突然、エルザが叫んだのはそんな時だ。
「はぁー…!はぁー…!この…ッ!」
何と自分の刀の刃を左手で握りこんだ。
そんな事すれば、当然左手は深く切れる。
だがそれが良かったのか…少し顔色が良くなる。
「皆さん…最後の一手…私が…請け負います…」
「馬鹿野郎!分かってるのか!?お前の顔色は…!?」
俺は先生の言葉を止める。
「本当にいいんだな、エルザ」
「私が…やらないと…いけないんです…!」
その言葉に先生も、覚悟を決める。
「わかった…任せるぞ」
「…はい…!!」
こうして俺達は最後の特攻を開始する。
「これが…最後だ!!」
俺はマリアンヌの周りに結界を張り、炎を内側に押し込める。
だが、この結界すらぶち破って、炎が溢れ出る。
自分自身も焼けてるのに、全く気にしてない。
しかも俺のマナが尽きる。
「クソ…システィーナ…頼む…」
「アイル!はァァ!!」
システィーナが最後のマナを振り絞って、2人を守る。
それが幸いしたか
「ハアァァァァァァァァァァ!!!」
ついにエルザが、その一撃を放つ。
左足で踏み込む神速の瞬発力、腰骨の超速横回転。
それらを纏めあげ、右腕に伝える背骨のしなり。
そしてその力を右腕に伝え、立てるように構えていた刀の刃を抜き放ち、重力に従って撃ち落とした。
【打刀】と呼ばれる刀だからこそ、成せた技。
その名も【春風一刀流奥義:神風】。
その一撃は炎の壁を真っ二つにして
「あ、がァァァァァァ!!」
マリアンヌを斬り裂いた。
まさに『炎を切り裂く風の刃』。
そして、その道が出来た瞬間、一気に駆けだす先生とリィエル。
「させない!」
迎撃しようとするマリアンヌの剣を、リィエルがはじき飛ばし
「寝てろぉぉぉぉ!!!」
グレン先生が、胸ぐらを掴んでそのままぶん投げた。
2人分の体重を受けて、気絶するマリアンヌ。
こうして、俺達は勝利した。
はい、本編終了です。
リィエルの2つ名は、適当です。
それにしても…相変わらず、あと一手が足りないアイル君ですね。
彼はボスクラスの敵を1人で撃破する日が来るのだろうか?
それでは失礼します。
ありがとうございました。