ロクでなし魔術講師と糸使いの少年   作:ネコ耳パーカー

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はい、オリジナルを加えての、エピローグ兼プロローグです。
それではよろしくお願いします。


小話7

2人の男女が向かい合っている。

そこに甘酸っぱい空気はなく、寧ろ冬の風を思わせる寒さを感じる。

お互いの手には、槍と打刀。

 

「「…シッ!」」

 

それぞれ油断なく睨み合い、全く同じタイミングで動き出した。

少年が槍を突き出すと同時に、少女も刀を抜き放つ。

武器同士が衝突して、少女が弾かせる。

 

「ッ!?」

 

驚きつつも、すぐに体勢を直し、斬りかかろうとする足元を突き崩される。

完全に出鼻をくじかれた少女は距離を取らざるを得なくなり、苦い顔をしながら、下がる。

そんな少女に追撃する少年。

 

「フッ!」

 

連続で突きを放ち、近付けさせないようにする。

しかし、それが読まれてきたのか、徐々に空振りが目立ち出す。

そして、足場を狙った突きを、少女はフェイクで誘い出し、その槍を足場にする。

 

「ッ!?」

 

驚愕する少年に対し、それをフェイクで誘い出し、その槍を足場にする。

 

「シッ!」

 

驚愕する少年に対し、遂に神速の居合が開帳させる。

しかし、その一撃は止められる。

 

「ッ!?」

 

少年が1歩踏み込み、その手を腕でガードしたのだ。

力比べでは、少女に勝ち目はなく、刀を振り抜けない。

その隙に足場を崩され、ふらつく少女。

その隙に槍を引き、突く少年。

 

「フッ!」

 

「シッ!」

 

それを攻撃をもって迎え撃つ少女。

その反動を利用して、大きく距離をとる。

 

((…強い!))

 

その2人…アルタイルとエルザは、全く同じ事を思っていた。

 

(なんて速さ!剣速が速すぎて見えない!それに…なんて鋭さ!さっきからギリギリで防ぐのが精一杯だ!これが居合…!ゼーロスとは違う方向性の武の完成系!)

 

(なんて重さ!どれだけ鍛えてるの!?それに…武器の性能が違いすぎる!硬いし重いし…防いだら武器がへし折れる!それを十全に扱ってる!体術ばかりだと油断した!)

 

(膂力と武器の性能はこっちが上。技の速さと冴えはあっちが上。反応速度はほぼ互角。…なら)

 

(技の速さと冴えはこっちが上。膂力と武器の性能はあっちが上。反応速度はほぼ同等。…なら)

 

(力で一気に押し潰す!)

 

(技で一気に攻め倒す!)

 

少女が一気に斬りかかってくる。

その一撃の速さは、少年の目には追えず、ギリギリで防ぐのが精一杯だった。

そしていつの間にか、拾っていた鞘に刀を戻して、すぐに斬りかかってくる。

間合いに踏み込まれた少年は、そのままその怒涛の連撃に抑え込まていた。

放たれた刃は、気付けば既に鞘に仕舞われており、認識した頃には既に次の技が放たれている。

 

「クソ…!?」

 

(まだあがるのか!?)

 

アルタイルは、焦りそうになる心を鎮めながら、攻撃を防ぐ。

しかし少しずつ、間に合わず、小さい傷ができ始める。

 

「はァァ!」

 

エルザは好機と捉えたか、一気に攻め倒す。

縦横無尽に斬り続けながら、足と腕を止めない。

その時ふと、目が合う。

 

(目が合った…?)

 

その事に一瞬疑問を抱きた瞬間、

 

「イッ!?」

 

突然、目元に痛みが走る。

眼球には当たってないが、どうやら目尻に何かが当たったらしい。

しかし、攻撃の手が止む。

その時、嫌な予感がしたので、本能的に避けると、上から槍が振り下ろされていた。

 

「おぉぉぉ!」

 

そこからは、アルタイルが攻めた。

エルザ程の速さはないが、それ以上の破壊力があった。

薙ぎ払い、振り下ろし、突きを放ち…。

そんなあらゆる攻撃が濁流のように襲いかかる。

 

「クッ!?」

 

まともに防げば、刀ごと吹き飛ばされるので、何とか避けるしかないエルザ。

しかし片目が機能せず、避けるのすらおぼつかない。

そして、遂に槍がエルザを捉えた。

 

「ガハッ!?」

 

吹き飛ばされるエルザ。

すぐに体勢を整えたが、その頃には槍が喉元に突きつけられていた。

 

「…参りました」

 

「そこまで!勝者!アルタイル!」

 

その模擬戦を見守っていたグレンが、勝敗を知らせる。

 

 

「お前ら…すげぇ戦いだったぜ」

 

「何とかなった…」

 

俺は思わず、深い息を吐き、へたり込む。

最近動きが良くなったとは思ってたが、まだまだ動きに意識が追いつかない。

まだまだ修行不足だな。

 

「アイル君すごいね。…腕がまだ痺れてるよ」

 

エルザが立ち上がって、腕をフルフルさせてる。

 

「エルザこそ…マジで細切れになるかと思った…」

 

俺は自分の体を見下ろす。

服の胴体の部分は、ボロボロに切り刻まれていた。

 

「でも、突然どうしたんだ?エルザと戦いたいって?」

 

そう、この模擬戦は俺が誘ったのだ。

 

「あの時のエルザの技を見て、何か掴めるかなって…」

 

理由はあの時の技を身に付けたかった。

もしくは何かヒントが欲しかったのだ。

 

「そうか…。で?何か得れたか?」

 

「もちろん。得た物はある」

 

「えっと…何の話?」

 

エルザが不思議そうにしたので、俺は掻い摘んで話た。

 

「なるほど…で、何が得れたの?」

 

「あれは身体的なものでは無く、技術的なものでも無いって事かな」

 

今回戦って思ったのは、あの時のような感じは無かった事。

つまりあれは俺の問題ではなく

 

「この糸になにかあったって事だな」

 

俺は手に着けた【アリアドネ】を見る。

俺はあの時…何をしたんだろう…?

こいつは一体…?

そう思いつつも、俺はエルザに礼を言う。

 

「疲れてるのに、わがままに付き合ってくれてありがとう」

 

「こっちこそ。自分の新しい課題も見えたし、ありがとう!」

 

そう言って俺達はお互いの健闘を称えながら握手した。

 

 

そして、俺達が帰る時間。

駅のホームで、それぞれ挨拶していると、コレットが突然

 

「なあ?今度はあたしが…そっち行っていいか?」

 

そんな事を言い出した。

 

「まあ!それはいいですわね!ジニーも一緒に!」

 

「ふへぇ…面倒臭いな…」

 

フランシーヌがそれに乗り、ジニーは面倒臭そうに言う。

 

「アハハ!それいいわね!」

 

「その時は皆で歓迎するね!」

 

システィーナとルミアは、楽しそうに笑いながら言う。

 

「そ、それに…ほら…あれだ…」

 

コレットが先生に組み付き

 

「そちらに行けば…アイル達とも会えますし…」

 

フランシーヌが俺に組み付く。

俺とグレン先生が顔をひきつらせてると、

 

「アハハ!やっぱ来なくてもいいかも!」

 

「その時は皆で塩を撒くね!」

 

システィーナとルミアは、楽しそうに笑いながら言う。

…それが余計に怖い。

 

「「と、とにかく!」」

 

俺と先生は、強引に引き剥がしながら、話もぶった切る。

 

「お前達のお陰で、何とかなった。ありがとうな!」

 

「俺からも。ありがとう皆」

 

「ん…みんな…ありがとう…」

 

いつも間にいたのか、グレン先生越しにリィエルも、お礼を言っている。

そんなリィエルの頭を、俺とグレン先生で撫でいると、

 

「むむむ…」

 

エルザが頬を膨らませながら、リィエルを強引に引き剥がす。

 

「…?エルザ?どうしたの?」

 

「…何でもない…」

 

「「…?」」

 

そんなエルザの様子を不思議そうにするグレン先生とリィエル。

 

「「「「「「「…」」」」」」」

 

そして、その様子をニマニマと見ている俺を含めた女子生徒。

そんなこんなで、電車の時間が来た。

俺達が乗車していると、

 

「リィエル!私…強くなるから!もっともっと強くなって…何時か貴女と肩を並べるくらい…誰かを守れるくらい強くなるから…!だから!!」

 

そんなエルザにリィエルは少し笑って

 

「待ってる。…また…何時か、会おう…エルザ」

 

「…ッ!!うん!!!」

 

その優しい約束は、そう遠くないうちに実現する事はこの時、誰も知らなかった。

そして…

 

「やぁアルタイル=エステレラ。久しぶりだねぇ」

 

「てめぇ…何の用だ!!」

 

これから、とんでもない事件が巻き起こる事も、まだ知る由もなかった。




この時、公式百合設定が出てきましたね。
エルザとリィエル…美しい百合が咲き誇る事を、期待してます。
エルザは新刊でも出てきましたね。
いや〜、成長しましたね、彼女も。
それでは失礼します。
ありがとうございました。
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