型月の青タイツの兄さんとは、違う法則でどうしようと考えた結果、こうなりました。
ええ、かなり無理筋ですとも。
どうか広い心で読んでください。
それではよろしくお願いします。
「…ふぅ…」
沈黙を破ったのは、俺だった。
残心を解き、回り込んで先生の隣に立つ。
次に先生が、静かに息を吐き、銃を下ろす。
〖馬鹿な…馬鹿な…。貴様らの攻撃は…この私に傷をつけなれなかった…!〗
そう、俺達の攻撃は、アセロ=イエロの言う通り、その神鉄の身体に傷をつけるどころか、凹みすらつけていない。
俺達の攻撃は、ただすり抜けただけ。
〖なのに…何故…!?何故、私が滅びる!?滅びねばならんのだァ!?グレン=レーダス!アルタイル=エステレラ!一体何をしたァァァァァ!!!?〗
信じられないとばかりに叫ぶ、アセロ=イエロの肉体は…黒く光る粒子となって崩れだしていた。
「別に大した事はしてねぇよ。【イヴ=カイズルの玉薬】。それによって起動させる固有魔術【
先生が、指先で銃を回転させながら、タネ明かしを始める。
「この魔術火薬で放たれる弾丸は、【あらゆる物理エネルギーの変化が停止】し、同時に【あらゆる霊的要素に破滅の停滞】をもたらす。…つまり、お前がいくら神鉄で出来ていて、不滅の肉体だろうが、
なるほど…俺の槍とほぼ同じだな。
じゃあ、次は俺か。
「この槍の大元は【アリアドネ】だ。そして【アリアドネ】の1番の力は【次元跳躍】だ」
俺は槍を弄びながら、説明する。
「あらゆる空間を飛び越える…だったら、お前の肉体の内側に入れても可笑しくないだろ?つまり…俺の槍は、お前という存在の内側を貫いたのさ。どれだけ強かろうが、硬かろうが関係ねぇ。
勿論、それだけじゃない。
俺の
アセロ=イエロの霊的事象を観測、槍を介して干渉する事で初めて、直接魂を貫けるのだから。
【アリアドネ】の【次元跳躍】と、俺の
このふたつがあってこその【
〖バカな…!?こんな…ことが…!?〗
〖何度でも言うけどね…貴方、人間を舐めすぎなのよ〗
愕然としながら消滅していくアセロ=イエロに、ナムルスが冷ややかに告げる。
〖バカな…この私が…!?滅びるとは…!思い出したぞ…グレン=レーダス…!
断末魔をあげ、何か意味わからない事を呟きながら、黒い爆光に包まれ 、そのまま呆気なく消滅したのだった。
本当に終わったのか…、未だ信じられず、緊張したまま沈黙していると、不意に先生が口を開く。
「この【
考えみれば、随分と皮肉の効いたネーミングだ。
愚者の考え無しの一撃は、時に賢者のあらゆる知恵を持ってしても、防げない。
魔術師という賢者を殺す為の…術。
そんな事を考えてると、突然背伸びしながら俺達に振り返る。
「でもな!ルミアを…お前達を守れた!もうそれでいいよな!?」
「…ええ、それでいいんじゃないですか?」
その顔は完全に吹っ切れたのか、実に清々しい笑顔だった。
さてと、先生はこれで良し、次は…
「このおバカ」
「あてっ!?」
ルミアの頭を軽く小突く。
「全く…人の忠告散々無視しやがって…挙句に死にかけてるし…。ヒヤヒヤさせてくれるよ…」
「あう、うぅ…」
申し訳なさそうに、呻くルミアの頭を優しく撫でやる。
「でも…ごめん。ルミアの気持ちに全然気付いてなかった。思えば社交舞踏会の時から変だったのに…。ごめんな。何時も気丈に振舞って、精一杯背伸びして、無理をして、我慢してたんだよな。…1人で全部背負って、諦めて、悩んで、苦しんでたんだよな…」
「うぅ…うん…」
俺は既に涙が溢れ出してるルミアの目尻を、優しく撫でながら、目を合わせる。
「だから、もういいんだ。いい子でいる必要なんてない。もっと我儘でいいんだ。…帰ろう?俺達の学院に。そして皆で一緒に考えよ?ルミアを受け入れてくれる世界は、絶対にある。だから…帰ろう?」
「アイル…君…!!グズッ…ヒック…うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!」
そして遂に、涙腺と我慢が限界に来たルミアは、俺に抱きつき、子供のように泣きじゃくった。
やっと…ルミアの心の呪縛も解放されたんだ。
しかし、そうこうしてる内に、タイムリミットが迫っていた。
「な!?何だ!?」
突然【炎の船】が揺れだし、周りが光の粒子となって消えだした。
「…!?そうか!アセロ=イエロがいなくなったから、保てなくなって来たのか…!ここでお約束展開かよ!?」
「先生!アイル!急いで!」
「ん。グレン、アイル。遅い」
「「っておいぃぃぃ!!俺らを置いてくな、薄情もんがぁぁぁぁ!!」」
とっくに出口に走り出したシスティーナとリィエルを追いかけるように、先生は走り出し、俺はルミアを抱えて、駆け出した。
「あ、アイル君!!?///」
「こっちの方が速い!」
そんな顔真っ赤のルミアを見ながら、追いかける。
周りから死角になるタイミングで、俺は…ルミアの額にキスを落とした。
「…今はこっちで。そっちは予約って事で」
「〜ッ!!!?///」
俺は胸をポカポカと殴るルミアを無視しながら、アルフォネア教授の所まで急いだのだった。
何とか脱出した俺達を待っていたのは
「「「先生ーーーーーー!!!」」」
「「「アイルーーーーーー!!!」」」
「「「ルミアーーーーーー!!!」」」
「「「システィーナーーーーーー!!!」」」
「「「リィエルーーーーーー!!!」」」
学院の生徒達からの大歓声だった。
耳をつんざくような熱狂と歓声は、留まる事無く。
やがて、中庭に辿り着くと、一気に大挙してやってくる。
「先生!ついにやったな!!」
「アイル!お疲れ様!!」
「ルミア!ありがとう!!」
「システィーナ!リィエル!よく頑張ったね!!」
「先生達のおかげで僕達…」
「バカ!違うだろう!?俺達の…皆の勝利だろ!!」
「そうだ!俺達で…皆で勝ったんだ!!」
「「「「「ばんざぁぁぁぁぁぁい!!!!!!」」」」」
カッシュも、セシルも、ウィンディも、テレサも、リンも、カイも、ロッドも、アルフも、ビックスも、シーサーも、ルーゼルも、アネットも、ベラも、キャシーも、今回ばかりはギイブルも。
2年2組生が、総出で取り囲んで大騒ぎしている。
「…ま、こういう事だ」
「…うん!」
そんな様子を指さしながら、ルミアに笑いかけると、嬉しそうにルミアも返す。
ふと、たまたまルミアの奥にクリストフ達、特務分室の面々が見える。
あ、クリストフと目が合った。
俺達はエアで拳をぶつけ合い、健闘を讃えあった。
ルミアも女子達に連れてかれ、あっちこっちで大騒ぎしてる中、俺は木陰でゆっくりとその光景を眺めていた。
あ、先生がめっちゃくちゃ高く胴上げされてる。
「アハハハハハハハハ!!!」
思わず大爆笑しちゃった。
いや、だって…お星様になっちゃったし!
「…ねぇ、システィ」
「ん?どうしたの?」
私は先生が思いっきり胴上げされてる姿を見て。
そしてそれを大爆笑してるアイル君を見て。
「…ありがとう、システィ」
思わずお礼を言っていた。
「バカね、お礼なんて要らないわよ。私達、家族なんだから」
そう言って、優しく笑いかけてくれるシスティ。
「私…もう少し自分の気持ちに素直になる事にした。だから…アイル君と一緒になりたい!…手伝ってくれる?」
私はある一大決心をシスティに報告した。
そう…今までは諦めようとしてきたこの気持ち…やっぱり諦めきれない…。
だから、自分の願いを叶える事にした。
「手伝ってね?システィ!」
「勿論よ!鋭敏で精度抜群の恋愛センサーを持つ、この私に任せなさい!」
前から思ってたんだけど…この子は何でこんなにも、自信満々なんだろう?
「うん!ありがとう!だからシスティも…頑張ってね!私も手伝うから!」
そろそろ自覚させないといけない気がする。
何やら嫌な予感が…。
「が、頑張るって何を!?何を手伝うのよ!?///」
ほら、直ぐにそうやってツンツンしちゃうんだから。
その鋭敏で精度抜群の恋愛センサーは、自分には使えないものね。
うん、わかるよ?
「もう…仕方ないな〜!システィは!私に任せなさい!」
「だ、だから何を一体何の話なのよ、もう!?///って!?こらルミア!まちなさーーーい!!」
私は慌てふためくシスティの置いて、先生の方に歩み寄る。
「ほら!!アイル君!!こっちこっち!!」
勿論、アイル君を呼ぶのも忘れない。
驚いた顔をしてるけど、少し笑ってから、仕方なさげに立ち上がって、こっちに歩み寄る。
「やれやれ…俺は疲れてるんだが?」
「皆で!騒がないと!ね?」
私はアイル君と腕を組んで、皆の元に向かう。
その先に、暖かい陽だまりがある事を信じて。
ルミアへの気持ちを自覚している彼は、結構攻めます。
すぐに行動に出すので、大抵ルミアを照れさせます。
それでは失礼します。
ありがとうございました。