ロクでなし魔術講師と糸使いの少年   作:ネコ耳パーカー

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ここで解説が入ります。
型月の青タイツの兄さんとは、違う法則でどうしようと考えた結果、こうなりました。
ええ、かなり無理筋ですとも。
どうか広い心で読んでください。
それではよろしくお願いします。


最悪の3日間編第8話

「…ふぅ…」

 

沈黙を破ったのは、俺だった。

残心を解き、回り込んで先生の隣に立つ。

次に先生が、静かに息を吐き、銃を下ろす。

 

〖馬鹿な…馬鹿な…。貴様らの攻撃は…この私に傷をつけなれなかった…!〗

 

そう、俺達の攻撃は、アセロ=イエロの言う通り、その神鉄の身体に傷をつけるどころか、凹みすらつけていない。

俺達の攻撃は、ただすり抜けただけ。

 

〖なのに…何故…!?何故、私が滅びる!?滅びねばならんのだァ!?グレン=レーダス!アルタイル=エステレラ!一体何をしたァァァァァ!!!?〗

 

信じられないとばかりに叫ぶ、アセロ=イエロの肉体は…黒く光る粒子となって崩れだしていた。

 

「別に大した事はしてねぇよ。【イヴ=カイズルの玉薬】。それによって起動させる固有魔術【愚者の一刺し(ペネトレイター)】。…俺の魔術特性(パーソナリティ)【変化の停滞・停止】を弾丸に乗せて、放つ術だ」

 

先生が、指先で銃を回転させながら、タネ明かしを始める。

 

「この魔術火薬で放たれる弾丸は、【あらゆる物理エネルギーの変化が停止】し、同時に【あらゆる霊的要素に破滅の停滞】をもたらす。…つまり、お前がいくら神鉄で出来ていて、不滅の肉体だろうが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。ただ、この弾は1度外界に晒されると、急速に力を失うんだ。…分かるな?()()()()()()()()()()するしかねぇんだ」

 

なるほど…俺の槍とほぼ同じだな。

じゃあ、次は俺か。

 

「この槍の大元は【アリアドネ】だ。そして【アリアドネ】の1番の力は【次元跳躍】だ」

 

俺は槍を弄びながら、説明する。

 

「あらゆる空間を飛び越える…だったら、お前の肉体の内側に入れても可笑しくないだろ?つまり…俺の槍は、お前という存在の内側を貫いたのさ。どれだけ強かろうが、硬かろうが関係ねぇ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

勿論、それだけじゃない。

俺の魔術特性(パーソナリティ)【万象の観測・干渉】もまた、重要なファクターだ。

アセロ=イエロの霊的事象を観測、槍を介して干渉する事で初めて、直接魂を貫けるのだから。

【アリアドネ】の【次元跳躍】と、俺の魔術特性(パーソナリティ)【万象の観測・干渉】。

このふたつがあってこその【果てへ手向ける彼岸の槍(アリアドネ·リコリス)】だ。

 

〖バカな…!?こんな…ことが…!?〗

 

〖何度でも言うけどね…貴方、人間を舐めすぎなのよ〗

 

愕然としながら消滅していくアセロ=イエロに、ナムルスが冷ややかに告げる。

 

〖バカな…この私が…!?滅びるとは…!思い出したぞ…グレン=レーダス…!()()()()()()()()()()()()()()!()?()う、うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!〗

 

断末魔をあげ、何か意味わからない事を呟きながら、黒い爆光に包まれ 、そのまま呆気なく消滅したのだった。

 

 

本当に終わったのか…、未だ信じられず、緊張したまま沈黙していると、不意に先生が口を開く。

 

「この【愚者の一刺し(ペネトレイター)】は、暗殺の際、予め起動させといて、【愚者の世界】で相手の魔術を封じた後、相手がどれだけ魔術的防御を固めてきても、必ず撃ち殺す…俺の悪意と殺意の塊なんだ」

 

考えみれば、随分と皮肉の効いたネーミングだ。

愚者の考え無しの一撃は、時に賢者のあらゆる知恵を持ってしても、防げない。

魔術師という賢者を殺す為の…術。

そんな事を考えてると、突然背伸びしながら俺達に振り返る。

 

「でもな!ルミアを…お前達を守れた!もうそれでいいよな!?」

 

「…ええ、それでいいんじゃないですか?」

 

その顔は完全に吹っ切れたのか、実に清々しい笑顔だった。

さてと、先生はこれで良し、次は…

 

「このおバカ」

 

「あてっ!?」

 

ルミアの頭を軽く小突く。

 

「全く…人の忠告散々無視しやがって…挙句に死にかけてるし…。ヒヤヒヤさせてくれるよ…」

 

「あう、うぅ…」

 

申し訳なさそうに、呻くルミアの頭を優しく撫でやる。

 

「でも…ごめん。ルミアの気持ちに全然気付いてなかった。思えば社交舞踏会の時から変だったのに…。ごめんな。何時も気丈に振舞って、精一杯背伸びして、無理をして、我慢してたんだよな。…1人で全部背負って、諦めて、悩んで、苦しんでたんだよな…」

 

「うぅ…うん…」

 

俺は既に涙が溢れ出してるルミアの目尻を、優しく撫でながら、目を合わせる。

 

「だから、もういいんだ。いい子でいる必要なんてない。もっと我儘でいいんだ。…帰ろう?俺達の学院に。そして皆で一緒に考えよ?ルミアを受け入れてくれる世界は、絶対にある。だから…帰ろう?」

 

「アイル…君…!!グズッ…ヒック…うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!」

 

そして遂に、涙腺と我慢が限界に来たルミアは、俺に抱きつき、子供のように泣きじゃくった。

やっと…ルミアの心の呪縛も解放されたんだ。

しかし、そうこうしてる内に、タイムリミットが迫っていた。

 

「な!?何だ!?」

 

突然【炎の船】が揺れだし、周りが光の粒子となって消えだした。

 

「…!?そうか!アセロ=イエロがいなくなったから、保てなくなって来たのか…!ここでお約束展開かよ!?」

 

「先生!アイル!急いで!」

 

「ん。グレン、アイル。遅い」

 

「「っておいぃぃぃ!!俺らを置いてくな、薄情もんがぁぁぁぁ!!」」

 

とっくに出口に走り出したシスティーナとリィエルを追いかけるように、先生は走り出し、俺はルミアを抱えて、駆け出した。

 

「あ、アイル君!!?///」

 

「こっちの方が速い!」

 

そんな顔真っ赤のルミアを見ながら、追いかける。

周りから死角になるタイミングで、俺は…ルミアの額にキスを落とした。

 

「…今はこっちで。そっちは予約って事で」

 

「〜ッ!!!?///」

 

俺は胸をポカポカと殴るルミアを無視しながら、アルフォネア教授の所まで急いだのだった。

 

 

何とか脱出した俺達を待っていたのは

 

「「「先生ーーーーーー!!!」」」

 

「「「アイルーーーーーー!!!」」」

 

「「「ルミアーーーーーー!!!」」」

 

「「「システィーナーーーーーー!!!」」」

 

「「「リィエルーーーーーー!!!」」」

 

学院の生徒達からの大歓声だった。

耳をつんざくような熱狂と歓声は、留まる事無く。

やがて、中庭に辿り着くと、一気に大挙してやってくる。

 

「先生!ついにやったな!!」

 

「アイル!お疲れ様!!」

 

「ルミア!ありがとう!!」

 

「システィーナ!リィエル!よく頑張ったね!!」

 

「先生達のおかげで僕達…」

 

「バカ!違うだろう!?俺達の…皆の勝利だろ!!」

 

「そうだ!俺達で…皆で勝ったんだ!!」

 

「「「「「ばんざぁぁぁぁぁぁい!!!!!!」」」」」

 

カッシュも、セシルも、ウィンディも、テレサも、リンも、カイも、ロッドも、アルフも、ビックスも、シーサーも、ルーゼルも、アネットも、ベラも、キャシーも、今回ばかりはギイブルも。

2年2組生が、総出で取り囲んで大騒ぎしている。

 

「…ま、こういう事だ」

 

「…うん!」

 

そんな様子を指さしながら、ルミアに笑いかけると、嬉しそうにルミアも返す。

ふと、たまたまルミアの奥にクリストフ達、特務分室の面々が見える。

あ、クリストフと目が合った。

俺達はエアで拳をぶつけ合い、健闘を讃えあった。

ルミアも女子達に連れてかれ、あっちこっちで大騒ぎしてる中、俺は木陰でゆっくりとその光景を眺めていた。

あ、先生がめっちゃくちゃ高く胴上げされてる。

 

「アハハハハハハハハ!!!」

 

思わず大爆笑しちゃった。

いや、だって…お星様になっちゃったし!

 

 

 

「…ねぇ、システィ」

 

「ん?どうしたの?」

 

私は先生が思いっきり胴上げされてる姿を見て。

そしてそれを大爆笑してるアイル君を見て。

 

「…ありがとう、システィ」

 

思わずお礼を言っていた。

 

「バカね、お礼なんて要らないわよ。私達、家族なんだから」

 

そう言って、優しく笑いかけてくれるシスティ。

 

「私…もう少し自分の気持ちに素直になる事にした。だから…アイル君と一緒になりたい!…手伝ってくれる?」

 

私はある一大決心をシスティに報告した。

そう…今までは諦めようとしてきたこの気持ち…やっぱり諦めきれない…。

だから、自分の願いを叶える事にした。

 

「手伝ってね?システィ!」

 

「勿論よ!鋭敏で精度抜群の恋愛センサーを持つ、この私に任せなさい!」

 

前から思ってたんだけど…この子は何でこんなにも、自信満々なんだろう?

 

「うん!ありがとう!だからシスティも…頑張ってね!私も手伝うから!」

 

そろそろ自覚させないといけない気がする。

何やら嫌な予感が…。

 

「が、頑張るって何を!?何を手伝うのよ!?///」

 

ほら、直ぐにそうやってツンツンしちゃうんだから。

その鋭敏で精度抜群の恋愛センサーは、自分には使えないものね。

うん、わかるよ?

 

「もう…仕方ないな〜!システィは!私に任せなさい!」

 

「だ、だから何を一体何の話なのよ、もう!?///って!?こらルミア!まちなさーーーい!!」

 

私は慌てふためくシスティの置いて、先生の方に歩み寄る。

 

「ほら!!アイル君!!こっちこっち!!」

 

勿論、アイル君を呼ぶのも忘れない。

驚いた顔をしてるけど、少し笑ってから、仕方なさげに立ち上がって、こっちに歩み寄る。

 

「やれやれ…俺は疲れてるんだが?」

 

「皆で!騒がないと!ね?」

 

私はアイル君と腕を組んで、皆の元に向かう。

その先に、暖かい陽だまりがある事を信じて。




ルミアへの気持ちを自覚している彼は、結構攻めます。
すぐに行動に出すので、大抵ルミアを照れさせます。
それでは失礼します。
ありがとうございました。
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